米ギター・ワールド誌の取材で、ジェフ・バックリィが名作『Grace』で使用したテレキャスターを購入したことを明かした、ミューズのマシュー・ベラミー。今回はそのテレキャスターと、お気に入りの所有ギターについて語ったインタビューをお届け!
Word by Amit Sharma. This article is translated or reproduced from Total Guitar #363, September 2022 and is copyright of or licensed by Future Publishing Limited, a Future plc group company, UK 2022. All rights reserved. 翻訳=トミー・モリー Photo by Andy Willsher/Redferns/Getty Images
僕が経験した中でベストなクリーン・サウンドが得られるギターだよ
あなたはジェフ・バックリィが『Grace』(1994年)のレコーディングで使用したテレキャスターを2020年に手に入れましたね。このギターはどうですか?
▲ジェフ・バックリィの1983年製テレキャスターを手にするマシュー・ベラミー(写真右)と、前オーナーであるフランスの楽器店“Matt’s Guitar Shop”のCEO、マット・ルーカス(写真左)。
アメイジングだよ! セレクターを真ん中にして2つのピックアップをブレンドした際に、極わずかに位相がズレるんだけど、これがグレイトなサウンドなんだ。ちょっとした故障だけど、それが一度も修理されないまま使われてきたのが興味深いよね。透明なガラスのようなトーンで、ピアノで最高音の鍵盤を叩いた時ような、ナチュラルなサステインがあるんだ。音同士の間に異常なまでの明瞭さがあって、完全に音が分離している感じなんだ。
マンソン(編注:マシューがシグネチャー・アーティストを務めるギター・ブランド)で電気周りがどうなっているのかを分析して、いつかこのピックアップのレプリカを作りたいと思っている。僕が経験した中でベストなクリーン・サウンドが得られるギターで、フェンダー・アンプにつなげれば「Hallelujah」(ジェフ・バックリィ/『Grace』収録)みたいなサウンドが得られるんだ。とてもユニークなギターで、こんなサウンドが得られるギターなんてほかに知らないよ!
あなたのコレクション中の、マンソン以外のお気に入りのギターを教えて下さい。
いつも手に取るお気に入りの1本は90年代に作られたストラトキャスターで、レリックが施された60年代レプリカだね。レコーディングで頻繁に使うわけではないけど、フロント・ピックアップのサウンドが欲しい時は常に手に取るようにしている。僕は基本的にリア・ピックアップが好きだからさ、僕のマンソン製ギターのほとんどがフロントにサステイナーを搭載しているんだよ。だからフロントの音が欲しい時は、ストラトキャスターを使うんだ。
ビンテージのストラトキャスターをプレイしたこともあって、「Uprising」(『The Resistance』収録/2009年)のブルージィなソロはまさしくそれだけど、あまり頻繁に使うわけじゃない。今回のアルバムではストラトキャスターをプレイする代わりにジェフ・バックリィのテレキャスターをプレイしていて、「Will Of The People」ではマンソンで分厚いリフのパートをプレイする一方で高い音域のギターはテレキャスターによってプレイしているよ。
マンソン以外だとストラトキャスターが多いんですね。
1953年製ゴールドトップ・レス・ポールも持っているけど、これは頻繁に弾くものではなくて。正直なところ、その値段を知ってしまうと触ることさえも恐いんだ……(笑)。ストラトキャスターはほかにも、1991〜92年頃に作られたかなりレアな“アロハ・ストラト”っていう金属製のものを持っている。のちにマンソンで作ったアルミニウム・ギターのインスピレーションを与えてくれたものだよ。
僕は基本的にマンソンを使っているから、ビッグなコレクターというわけじゃないんだよ! ジェフ・バックリィのギターこそ、大金を払って手に入れた初めてのコレクタブルなギターだね。たぶんこれが僕にとっての始まりのギターになるんじゃないかな(笑)。あと、僕らのベーシストのクリス(・ウォルステンホルム)はかなりのコレクターで、彼は博物館級のアメイジングな楽器をたくさん所有している。もし何か必要なことがあれば、彼に貸してもらえるから、これまで貴重な楽器を集めようとは思ってこなかった。だから、コレクションを増やすべき時がやっと来たってことだよね!
作品データ
『Will Of The People』
ミューズ
ソニー/SICX-30148/2022年8月26日リリース
―Track List―
01. Will Of The People
02. Compliance
03. Liberation
04. Won’t Stand Down
05. Ghosts (How Can I Move On)
06. You Make Me Feel Like It’s Halloween
07. Kill Or Be Killed
08. Verona
09. Euphoria
10. We Are Fucking Fucke
―Guitarist―
マシュー・ベラミー