クルアンビンのマーク・スピアーが語る、来日ツアーのペダルボード(2022年11月15日 @ 豊洲ピット) クルアンビンのマーク・スピアーが語る、来日ツアーのペダルボード(2022年11月15日 @ 豊洲ピット)

クルアンビンのマーク・スピアーが語る、来日ツアーのペダルボード(2022年11月15日 @ 豊洲ピット)

2023年5月から9月にかけて、なんと4枚連続でライブ・アルバムをリリースするクルアンビン。ギター、ベース、ドラムの三位一体でくり出される、エキゾチック&サイケデリックなグルーヴはライブこそが真骨頂なので、この4作にも期待が高まるところである。というわけで、ライブ盤の連続リリースを記念し、ツアー機材の一部をご紹介しよう。昨年11月に大熱狂の渦を巻き起こした来日ツアー『FIRST CLASS TOUR』で、ギタリストのマーク・スピアーが使用したペダルボードである。ほぼすべてのペダルが真っ黒に塗られた摩訶不思議なボードについて、本人に語ってもらった!

取材=河原賢一郎 通訳=前むつみ 撮影=小林一真(人物)、はっぴいけいてぃ(機材)

マーク・スピアーのペダルボード

マーク・スピアーのペダルボード(全体)

【Pedal List】
①BOSS/PH-3(フェイザー)
②BOSS/CE-2W(コーラス)
③BOSS/DS-1(ディストーション)
④Fender/Micro DI(DI)
⑤MXR/Dyna Comp Mini(コンプレッサー)
⑥Electro-Harmonix/Holy Grail Nano(リバーブ)
⑦Strymon/TIMELINE(ディレイ)
⑧Roland/EV-5(エクスプレッション・ペダル)
⑨Radial/HotShot 48V(スイッチャー)
⑩Electro-Harmonix/Pitch Fork(ピッチ・シフター)
⑪Jim Dunlop/GCB-95(ワウ・ペダル)

金持ちになったから、良いものを買えるようになったのさ(笑)

ほぼすべてのペダルが真っ黒に塗られていますね(笑)。以前、ギター・マガジンで取材させてもらった時(19年3月)とは変わってるんですか?

 でも、黒くペイントしているだけで以前から使っているものも多いよ。一番右は昔から使っているフェイザー(PH-3/①)で、その隣はBOSSのコーラス(CE-2W/②)だ。DS-1(③)、Dyna Comp Mini(⑤)、Holy Grail(⑥)は、前も取材してくれたよね? で、小さいのはFenderのMicro DI(④)。これは高音域を拾うために入れているよ。

マーク・スピアーのペダルボード(右側)

では、新たに導入したエフェクターというと……。

 コーラス(CE-2W)、StrymonのTIMELINE(⑦)、それとワウの隣にあるPitch Fork(⑩)の3つだね。

マーク・スピアーのペダルボード(左側)

前回までコーラスは、Chase Bliss AudioのWarped Vinyl MkII(ビブラート/コーラス)を愛用していましたよね?

 あれも好きなペダルだよ。ただ、普通のコーラスよりもピッチがゆっくりと微妙に変わるから、歌うのが大変でさ。ライブではもう使っていないんだ。

それで代わりに導入したコーラスが、ボスの技シリーズなんですね。

 これは優秀なペダルだよ。前より金持ちになったから、良いものを買えるようになったのさ(笑)。家ではムーアーの小さくて安いペダルも使ったりするけど、それもまぁ性能は悪くない。特にフランジャーだけどコーラスのようなサウンドになるやつはわりと気に入っているね。

ペダルを増やした理由は?

 アルバム『Mordechai』の曲を再現するためだ。でも、実は後悔している。こんなにたくさんペダルがあるなんて! もう増やすつもりはないよ。ペダルは好きだし家で使うのは楽しいけど、ステージの上でこんなにたくさん置いて使うのは嫌いなんだ。

マーク・スピアー

レコーディングではStrymonのEl Capistanを使ったよ。

それぞれどの曲に使うんですか?

 Pitch Forkはちょっと前から持っていて、使うのは「First Class」だけだ。P5(完全5度)にセットしてあって、フュージョンとかジャズっぽいサウンドになるね。多機能だから家で使う時はベース・サウンドにも使ったりしているよ。コーラスは「So We Won’t Forget」「Pelota」をやる時に使うんだ。

これらのペダルは『Mordechai』のレコーディングでも使われたものなんですね。

 ああ、そうだ。TIMELINE以外はね。レコーディングではStrymonのEl Capistanを使ったんだよ。そのEl Capistanで作った音をTIMELINEでも作って、ライブで同じサウンドになるようにしている。まったく同じサウンドにセットするのに時間がかかったけどね。そんな風に、TIMELINEには曲ごとのプリセットを入れてある。いちいちテンポに合わせてタップしなくてもいいように、ディレイ・タイムもプログラムしてね。TIMELINEの最初のスイッチにも「First Class」用のサウンドがセットしてあるよ。

RadialのHotShot 48Vはマイクの切り替えですか?

 これは物凄く存在感があるよね。でも、単にエンジニアと話す時の切り替え用なんだ。“もっとギターを大きくして!”とか、それだけのものだよ(笑)。

クルアンビン。左からローラ・リー(b)、ドナルド・"DJ"・ジョンソン(d)、マーク・スピアー(g)。
クルアンビン。左からローラ・リー(b)、ドナルド・”DJ”・ジョンソン(d)、マーク・スピアー(g)。

作品データ

『LIVE AT STUBB’S』
クルアンビン&フレンズ

DEAD OCEANS/BIG NOTHING/DOC331JCD/2023年6月28日リリース

―Track List―

  1. Kelly Doyle – Woman Trouble
  2. Ruben Moreno – At The Trailride
  3. The Suffers – Don’t Bother Me
  4. Robert Ellis – Nobody Smokes Anymore
  5. Khruangbin – Blind Man Can See It / (It’s Not The Express) It’s The Monaurail
  6. Khruangbin – Bin Bin
  7. Khruangbin – Friday Morning
  8. Khruangbin – Number 4
  9. Khruangbin – People Everywhere (Still Alive)

―Guitarist―

マーク・スピアー

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Mark Speer