打首獄門同好会の大澤敦史が、ギターを始めた当時をふり返る 打首獄門同好会の大澤敦史が、ギターを始めた当時をふり返る

打首獄門同好会の大澤敦史が、ギターを始めた当時をふり返る

結成20周年を迎えた打首獄門同好会の大澤敦史。新作『ぼちぼちベテラン』のインタビュー時にギターを始めたきっかけを聞いたのだが、本編に入りきらなかったため、ここでお届けしたい。7弦ギターにたどり着く経緯などについても話を聞いた。

文=福崎敬太

よせば良いのにXの『Jealousy』の楽譜を買ったんです

小学校高学年からギターを始めたそうですね。改めてギターを弾き始めたきっかけなどを聞かせて下さい。

 歳の離れた兄がいて、兄が使っていないギターが転がっていたんです。それを“使っていないなら貸せ”と、自分部屋に持っていってですね。

 当時はCDを買えるようなお小遣いはないので、兄や姉が持っていたCDを聴かせてくれと。なんなら“カセットテープにおすすめの曲を入れてくれ”とお願いをして。例えばB’zやX、米米CLUBやTM NETWORK、あとは聖飢魔IIとかを聴くわけです。

 で、ギターで何か弾き始めようと、楽器店に行って教則本を買って。いよいよアーティストの曲に手を出してみようとして、よせば良いのにXの『Jealousy』(1991年)の楽譜を買ったんです。

一番最初に? 今後のルートが決まりますね(笑)。

 一番最初に(笑)。たぶん聴いていて一番カッコよかったんでしょうね。でも半音下げも知らないから、“チューニング、合わないな〜”っていうところから始まって。インターネットもない時代で調べようもなく、田舎だから聞く相手もいなく、兄も頼りにならず。

 “なんかおかしいなぁ〜”と思いながら弾き始め、途中で“あれ? なんか下げたら合うぞ?”みたいに自分で発見をしながら、Xのコピーからちまちま始めた、というのが最初のとっかかりでしたね。

中学時代から洋楽へ傾倒していったそうですが、どのような経緯で?

 中学の時に流行っていたのがWANDSやZARD、いわゆるビーイング系で。バンド・ブームではあるんですけど、ギターが前面でジャキジャキしているわけではなかった。すると当時の中学生・大澤敦史は、何せXから始めているので、もっとギターが攻めてくる曲にチャレンジしたいと思ったんでしょうね。それなら洋楽じゃないかと。

 で、1店舗しかない地元のレンタルCDショップに行ったら、その時に平積みで置かれていたのが、ヴァン・ヘイレンの『Balance』(1995年)とMR. BIGの『Lean Into It』(1991年)だったんですよ。

良い出会いですね〜!

 そこは良かったですね(笑)。その2枚を借りてきて聴いた時に、最初から“エレクトリック・ドリル・ソング(「Daddy, Brother, Lover, Little Boy」)”じゃないですか。まぁぶったまげて。

 その時までは“世界で一番の速弾きは松本孝弘、あるいは噂に聞く高崎晃なんじゃないか”くらいの認識だったので、まぁびっくりしちゃって。そこから情報を探っていくと、やれスティーヴ・ヴァイだ、イングヴェイ・マルムスティーンだ、と色々と出てくるので、そっちのほうに偏りまして。

その頃はバンドをやったりしていましたか?

 やっぱり周りに楽器をやっている人がいなくてですね。ギター仲間がかろうじて見つかるくらいで、ベースやドラムってなると本当にやっている人がいない。

 高校に入ってようやく、先輩がそういうグループを組んでいたので、1人だけ学年は違うけど混ぜてもらって。

そこではどういう曲をやっていたんですか?

 モトリー・クルー、ガンズ・アンド・ローゼズをちょっとずつ──きっと先輩はLAメタルが好きだったんですね。で、こっちから持っていったのが、スキッド・ロウ。「Monkey Business」をやりました。今思い返すと良い選曲でしたね(笑)。

そこから音楽専門学校に進むわけですね?

 高校3年生の時に色んな学校を見て回って、メーザー・ハウスに進学を決めましたね。先生方がジャズ畑の人が中心で、きっちり基礎を教えてくれる学校なんですよ。自分なりにロックやメタルは独学で見えてきたので、それ以外を学ぶのが重要じゃないかと考えたんです。

 ブリッジ・ミュートしか知らなかったやつが、手を浮かせて16のカッティングをやれっていう時に、もう猛特訓ですよね。しっかり基礎を学んで、ジャズやブルース、フュージョン、ファンクをやっていったわけです。

 結局それが打首獄門同好会に活きているっていうところを考えると、真面目に授業を受けて良かったなと思いますね。

打首獄門同好会の初期もしばらくはセルバの7弦でした

お兄さんが持っていたという初めてのギターは何でしたか?

 日本製のフェンダー・ストラトキャスターでした。ラージ・ヘッドの。

ラージ・ヘッド! スタートから良いですね(笑)。7弦ギターを使うようになった経緯は?

 専門学生時代に7弦ギターが流行り始めたんです。たぶんKOЯNとかの影響で。アイバニーズを中心に、ウォッシュバーン、シェクターなども7弦を市場に多く出していて。でもアイバニーズの薄いネックが肌に合わなくて、違うものはないかなって探していたんですよ。

 で、当時セルバ(イシバシ楽器のオリジナル・ブランド)の6弦ギターを気に入って使っていたので、試しに渋谷のイシバシ楽器で“セルバって7弦は作ってないんですか?”って聞いてみたんですよ。そしたら楽器フェアの展示用に1本だけ作ったそうで。

 御茶ノ水の店舗にあったので取り寄せてもらって、弾いたら“これだ!”と。それが最初の7弦ギターでしたね。打首獄門同好会の初期もしばらくはセルバの7弦でした。

今のスタイルを築くにあたり、影響を受けたギタリストを挙げるとすると?

 “こういうリフはこの時代のこの人”みたいにけっこう分かれる感じですね。まず、最初に出会ったXからの影響は凄くあります。相変わらずブリッジ・ミュートで16分音符での刻みは多いですし、それはその時の感覚が大きい。

 で、ギター・ソロをアドリブで弾けって言われたら、ポール・ギルバートっぽいスケールが出てくるんですよ。“そのペンタの音の混ぜ方、ポール・ギルバート通ってない?”ってほかのギタリストを聴いてもわかる(笑)。

 ギター・リフに関しては、ヴァン・ヘイレンのセンスがトップ・クラス。それはXともMR. BIGとも違うところで影響を受けています。

 あとはLAメタルも影響はデカいんですよ。特に“ギター・リフ良いな”って思うのは、モトリー・クルーですね。ミック・マーズのリフ、いちいちフレーズがカッコ良い。

打首獄門同好会 20!+39!=59! TOUR

日程/会場

  • 2024年1月11日(木)/東京 Zepp Haneda
  • 2024年1月16日(火)/徳島 club GRINDHOUSE
  • 2024年1月17日(水)/愛媛 松山WstudioRED
  • 2024年1月20日(土)/和歌山 SHELTER
  • 2024年1月21日(日)/奈良 EVANS CASTLE HALL
  • 2024年1月27日(土)/福岡 Zepp Fukuoka
  • 2024年1月30日(火)/宮崎 LAZARUS
  • 2024年1月31日(水)/大分 DRUM Be-0
  • 2024年2月3日(土)/島根 出雲APOLLO
  • 2024年2月4日(日)/鳥取 米子 AZTiC laughs
  • 2024年2月11日(日)/宮城 SENDAI GIGS
  • 2024年2月18日(日)/群馬 前橋DYVER
  • 2024年2月23日(金・祝)/茨城 水戸LIGHT HOUSE
  • 2024年4月5日(金)/長野 JUNK BOX
  • 2024年4月6日(土)/新潟 LOTS
  • 2024年4月9日(火)/北海道 小樽 GOLDSTONE
  • 2024年4月11日(木)/北海道 函館club COCOA
  • 2024年4月13日(土)/青森 Quarter
  • 2024年4月14日(日)/秋田 Club SWINDLE
  • 2024年5月14日(火)/滋賀 U☆STONE
  • 2024年5月15日(水)/岐阜 club-G
  • 2024年6月9日(日)/山口 周南RISING HALL
  • 2024年6月11日(火)/佐賀 GEILS
  • 2024年6月12日(水)/鹿児島 CAPARVO HALL
  • 2024年6月21日(金)/大阪 Zepp Osaka Bayside
  • 2024年6月29日(土)/福島 郡山HIPSHOT JAPAN
  • 2024年6月30日(日)/千葉 柏PALOOZA

※各地対バンあり

チケット代 5,900円(ドリンク代別)

※情報は記事公開時のものです。最新のチケット情報や公演詳細は打首獄門同好会公式HPをチェック!

打首獄門同好会公式HP https://www.uchikubi.com/schedule.html

作品データ

打首獄門同好会『ぼちぼちベテラン』

『ぼちぼちベテラン』
打首獄門同好会

LD&K Records/403-LDKCD/2024年1月3日リリース

―Track List―

  1. 20!+39!=59!
  2. フワフワプカプカ
  3. 少年よ、君に伝えたい事がある
  4. カンガルーはどこに行ったのか
  5. 死亡フラグを立てないで
  6. なぜ今日天気が悪い
  7. クッチャネ
  8. 部長ぷっちょどう?
  9. シュフノミチ
  10. もののわすれ
  11. 地味な生活 -SAMBA MAX EDITION-
  12. KOMEKOMEN

―Guitarist―

大澤敦史