4人組ロック・バンド、ハンブレッダーズが、2024年2月に最新作『はじめから自由だった』を発表。疾走感のあるリフやブルージィなソロなど、多彩なプレイでアルバムのサウンドを彩ったのが、ギタリストのukicasterだ。今回はギタマガWEB初登場の彼に、新作のギターに込めた想いやこだわりを聞かせてもらった。
取材/文=伊藤雅景 写真=渡邉一生
ルーツに寄りすぎず、現代的なポップスのギターになるよう意識しました
今作のギター・アレンジはどのように進めていきましたか?
基本的にムツムロ(アキラ/vo,g)が持ってきたデモに肉づけしていくんですが、ギターに関しては、曲の全体像が見えてから考えることもあれば、リフから広げることもあります。ギター・リフやイントロは曲の顔になる部分なので、どの曲も慎重に考えましたね。
ギターのフレーズを考える時は、どういったポイントを意識していますか?
ハンブレッダーズの曲はパンク色が強いので、その色をいかに華やかにするかを重視しています。それと、自分はブルースやクラシック・ロックのような古い音楽も通ってきているので、ギターにそのルーツをどこまで出すのかも考えますね。
ただ、ルーツに寄ることはできるけど、そこを出し過ぎると面白くなくなるので、そのバランスはできるだけ客観的に見て決めるようにしています。
ルーツの色を出しつつも出しすぎず、というバランスですね。
特にギタリストはそれを出しがちなイメージがあるので気をつけています(笑)。今作で言うと「DANCING IN THE ROOM」では、ジャミロクワイ的なカッティングやジョン・メイヤー的なソロを弾きつつ、そこに寄りすぎず、現代的なポップスのギターになるよう意識しました。結果的に、この曲はハンブレッダーズらしからぬギターになりましたね。
ギターのメロディはどのように考えていきますか?
基本的にはサビの歌ありきですね。なので、ボーカルのメロディ・ラインをそのまま引用することもあります。でも今作はそんなにやってないかな? どちらにせよ、メロディを活かすプレイをしようと心掛けていて。音色に関しては、ロックなストラトキャスターの音が出たらなんでも良いと思っています。
でも、今までより空間系や揺れ物のエフェクターを使うようになりましたね。昔は“絶対に使わん。素の音で勝負や”みたいに考えてましたが(笑)。
確かに、「サレンダー」のリフには強烈なフランジャーが掛かっていました。
そうですね。あと「無駄な抵抗」ではコーラスも使っています。
「またね」ではショート・ディレイを掛けてましたが、掛かり具合が絶妙ですよね。曲のブレイクでやっと掛かっていることに気がつくくらいのミックス量というか。
ディレイやリバーブをちょっとだけ掛けると、モニタリングしやすいんですよ。アンプが鳴ってる感じの立体感で聴けるというか。それに、弾き心地も変わってくるのでプレイも良くなりますね。
なるほど。ちなみにバッキング・ギターの音色はどのように決めていますか?
ムツムロがテックさんと相談しながら作っていて、毎曲ごとにキャラクターの違いがありつつも”テレキャスターの良い音”を目指した形になってると思います。
“ギタリスト好き”な人にも、斜に構えずに聴いてほしい
個人的には、今作の全11曲中、10曲もギター・ソロが入っているのが嬉しいポイントでした。
逆に入ってない曲あったんですね(笑)。
自然とギター・ソロが入っているアレンジが生まれていくんですか?
そうですね。そういうバンドなんです(笑)。でも、マジな話“それが一番テンション上がるやん”って思ってます。
少し前は“若い世代はギター・ソロが鳴ったらスキップする”みたいな話題もありましたね。
俺らは迎合せずに、その真逆を行ってますね(笑)。“ソロはあるもの”として作ってますし、まだ全然やりたいこともあるので、ハンブレッダーズの曲からソロがなくなることはないと思います。
ソロはどのように考えていますか?
コード進行や曲の構成、ダイナミクスが決まってきたら、頭の中で口ずさんだり、前のセクションからの流れでアドリブで弾いてみたり、色々です。「無駄な抵抗」のソロで言うとほぼアドリブで、レコーディングの音決めの段階で適当に弾いたのがそのまま採用されたんです。
あと、“誰に向けて弾くか”っていう部分はよく考えますね。「グー」はAメロでカノン・ロック的なオマージュをしてるんですけど、それって中学生の俺が一番ときめいた音楽だったんですよ。なので、その時のティーンの俺に向かって弾こうと思って。一番高い音でチョーキングしてビブラートして……みたいに。
若い自分に向けて弾いていたんですね。
そうですね。「DANCING IN THE ROOM」とかは、20歳以降の自分に向けていて。ちょっと背伸びした自分……みたいな感じでしたね。大人になりきれてないけど“こういうソロってオシャレでカッコいいよね”みたいな(笑)。逆に「サレンダー」は、昔の自分や、現役の高校生に向けて弾いてます。めちゃくちゃ弾きまくってるように聴こえるけど、コピーしやすいように音数は減らしていて。
では、今作でコピーするのにおすすめの曲は?
バンドでコピーするなら「ペーパームーン」で、1人で弾くなら「サレンダー」ですね。
「ペーパームーン」はバッキングがストロークで、ソロもロング・トーンなので弾きやすそうですね。
そうそう。実は「ペーパームーン」のソロはパッションで適当に弾きました(笑)。そういう感覚も大事です。
ukicasterさんは、SNSにも自身のプレイ動画をアップしているので、そこもコピーの参考にできますね。
俺らって“フェスに出て若いリスナーに好かれてるバンド”みたいな、ちょっとキラキラした印象が先行してる部分があると思っていて。それがあると、“ギターがカッコいいバンド”って印象から少し離れてしまうと思うんです。その外堀をどう埋めようと考えた時に、個人で頑張るしかないなって思って。
それに、自分のルーツや音をもっとオープンに表現していこうっていうのもあって、SNSにギターの動画を上げるようになったんです。それがあれば、ファンの人にはよりアルバムを楽しんでもらえるし、“ハンブレッダーズには興味ないけど、ギターがカッコ良いなら聴いてみようかな”っていう人にも届くかもしれない。今作は、そういった“ギタリスト好き”な人にも、斜に構えずに聴いてほしいですね。
ハンブレッダーズ“はじめから自由だったワンマンツアー”
日程/会場
- 2024年4月15日(月)/神奈川県 CLUB CITTA’
- 2024年4月21日(日)/香川県 高松festhalle
- 2024年5月1日(水)/愛知県 Zepp Nagoya
- 2024年5月9日(木)/石川県 金沢EIGHT HALL
- 2024年5月11日(土)/広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
- 2024年5月18日(土)/宮城県 チームスマイル・仙台PIT
- 2024年5月21日(火)/東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
- 2024年5月25日(土)/北海道 サッポロファクトリーホール
- 2024年5月30日(木)/大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2024年5月31日(金)/大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2024年6月8日(土)/沖縄県 Output
- 2024年6月9日(日)/沖縄県 Output
ハンブレッダーズ ワンマンライブ 放課後Bタイム ~15th Special~
日程/会場
- 2024年10月9日(水)/東京都 日本武道館
※情報は記事公開時のものです。最新のチケット情報や公演詳細はハンブレッダーズ公式HPをチェック!
ハンブレッダーズ公式HP
https://humbreaders.com/
作品データ
『はじめから自由だった』
ハンブレッダーズ
トイズファクトリー/TFCC-81063/2024年2月21日リリース
―Track List―
- はじめから自由だった
- サレンダー
- ビートアディクション
- 十七歳
- DANCING IN THE ROOM
- ひらがな
- またね
- ペーパームーン
- 無駄な抵抗
- グー
- THE SONG
―Guitarists―
ukicaster、ムツムロアキラ