レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテが語る、『Unlimited Love』(2022年)の作曲秘話。今回は「The Great Apes」のギター・アレンジや、レコーディングの手法を語ってくれた。
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翻訳=トミー・モリー Photo by Matthew Baker/Getty Images
この曲には、普段の俺よりもアメイジングなサウンドを出している部分がある
「The Great Apes」はフリーが持ってきた曲なんだ。サビのギターは、アイツが俺の中から引き出してくれたフレーズをプレイしているだけだよ。あそこは確実にフガジにインスパイアされたフレーズだね。俺は速くピッキングしているけど、スローなメロディを弾いている。これはフガジの音楽からたっぷりと感じられるフィーリングを表現しているんだ。曲の真ん中くらいで聴こえるスライドは、かなりジョニー・サンダースっぽい部分があるね。
この曲には、普段の俺よりもアメイジングなサウンドを出している部分がある。ここで試した、ちょっとしたトリックを教えてあげよう。実はアウトロで俺とフリーが入れ替わっているんだよね。
俺は曲中のほとんどの部分、特にサビではさっき話したメロディを弾いていて、フリーはコード進行を弾いている。でもアウトロでは、俺はフリーのコード進行を、フリーは俺のメロディをプレイしているんだ。俺がコード進行を弾き始めると、かなりベースっぽく聴こえるんだよね! もう1つアウトロについて付け加えると、俺は最後の数小節でコード進行からソロに戻っているんだ。
俺はこの曲で2本のギターを弾いている。1本はストラトキャスターを歪みペダルに通したもの。もう1本はYamahaのSG2000をマーシャルに直接つないで、ブラック・サバスのようなパワーを得るためにダビングで使ったんだ。
でも、ソロをめちゃくちゃ速く弾いてしまったから、そこだけはどうしてもダビングできなくてね。トライはしたんだが、あまりにも速すぎたんだ。だから人工的なダビングって言うのかな? ディレイとテープ・スピードを操作してやりきったよ。テープがちょっとだけズレていて、まったく同じ感じのパートにはなっていないんだ。
ダビングでは、そのパートの中での少しの違いによってパワーが生まれるものだ。聴いているだけだと俺が同じフレーズを2回弾いているような印象を受けるかもしれないが、実はこの部分は違うんだよね。
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作品データ
『UNLIMITED LOVE』
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
ワーナー/WPCR-18552/2022年10月14日リリース
―Track List―
- Black Summer
- Here Ever After
- Aquatic Mouth Dance
- Not the One
- Poster Child
- The Great Apes
- It’s Only Natural
- She’s a Lover
- These Are the Ways
- Whatchu Thinkin’
- Bastards of Light
- White Braids & Pillow Chair
- One Way Traffic
- Veronica
- Let ‘Em Cry
- The Heavy Wing
- Tangelo
―Guitarist―
ジョン・フルシアンテ