レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテが語る、『Unlimited Love』(2022年)の制作秘話。今回は「Tangelo」に関する制作秘話をお届けしよう。
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翻訳=トミー・モリー Photo by Matthew Baker/Getty Images
俺らは作曲の最後の段階で“今作にはどんなスタイルが足りないんだ?”と考えていた。ファンクや面白い曲は沢山あったけど、ヘヴィなのが足りないと感じたんだ。そういうことで「The Heavy Wing」やほかの曲を作ることにしたんだよ。
それと同時に、ソフトで優しめの曲も足りないってことに気付いたんだ。そのぽっかり空いたところを埋めるために「Tangelo」を書いたんだよ。昔作ったアコースティック・ギターでフィンガー・ピッキングの曲をベースに、アンソニーがメロディを入れていった。アンソニーは俺のメロディにインスパイアされつつも、半分は語り、半分は歌っているルー・リードっぽい感じのものを持ってきてくれて、もともと俺が作っていたものとは完全に異なるものを出してくれたんだ。
アコースティックのパートは2本のギターでプレイしたよ。両方ともマーティンで、モデル名までは覚えていないんだが、俺が長らく所有してきたギターたちだ。一本は茶色くて小振りなマーティンで、40〜50年代のどこかで作られたもの。そしてもう一方は60年代のマーティンで、ジョン・レノンが「Magical Mystery Tour」の映画の中でプレイしているギターに似ているんだ。この2本のギターは俺の可愛いベビーたちだよ。
この曲のオーバーダビングは楽しかったよ。アルバム・レコーディングの最後の方だったと思う。本当はその日は家に帰っている予定だったんだ。俺は全部出し尽くして、完全に干からびたような状態だったんだ。それでもどういうわけか、“ちょっとトライしてみたいんだが……”って思えてきてね。
俺はメロトロンを触り始め、いつの間にか無我夢中でダビング作業をしていて、それは2回し目のヴァースから、最後のヴァースまで続くパートとなった。これによって曲が次のレベルに押し上げられたような気がするんだ。
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作品データ
『UNLIMITED LOVE』
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
ワーナー/WPCR-18552/2022年10月14日リリース
―Track List―
- Black Summer
- Here Ever After
- Aquatic Mouth Dance
- Not the One
- Poster Child
- The Great Apes
- It’s Only Natural
- She’s a Lover
- These Are the Ways
- Whatchu Thinkin’
- Bastards of Light
- White Braids & Pillow Chair
- One Way Traffic
- Veronica
- Let ‘Em Cry
- The Heavy Wing
- Tangelo
―Guitarist―
ジョン・フルシアンテ