パンク、ハードコア、プログレ、ポップスをオリジナリティ溢れる楽曲に昇華し、ワールドワイドな活躍を行なっている4人組ロック・バンド、おとぼけビ~バ~。2024年にグラストンベリー・フェスティバルへの出演やレッド・ホット・チリ・ペッパーズとの北米ツアーを完走した彼女たちが、このたびジャパン・ツアーを開催。そのタイミングで、ギタリストの“よよよしえ”が使用する機材を本人の解説付きで撮影させてもらった。まずは2本のギターからご紹介しよう。
取材・文=小林弘昂 機材撮影=小原啓樹 人物撮影=村井香
Yoyoyoshie’s Guitars
Gombo bass guitars
G.Suparna “ROBIN よよよしえモデル”
テレキャスター×SGをイメージしたハンドメイド・ギター
2022年8月31日に完成した、大阪府平野区の工房“Gombo bass guitars”による、よよよしえオリジナル・モデル。撮影時のライブ(2024年11月15日@恵比寿LIQUIDROOM)では全曲本器のみで演奏していた。店主の松原哲也氏から“ぜひギターを作らせて下さい!”と逆オファーされ、製作にいたったという。
よよよしえはテレキャスターのようなネック・グリップと、SGを変形させたようなボディ・シェイプにしてほしいとオーダー。鮮やかなカラーはオレンジ・パールというものだ。重量は3.27kgと軽量。
ボディはホンジュラス・マホガニー、ネックはローステッド・メイプル、指板はインディアン・ローズウッドという材構成。ネック・スケールはミディアムの24.75インチ(約628mm)。三角のポジション・マークはオニギリとのこと。22フレット仕様で、Jescarの#47095Sというステンレス・フレットを採用している。
コントロールは、1ボリューム、1トーン、3wayピックアップ・セレクター。ピックアップはEuphoreal製のG.Suparnaオリジナル・ハムバッカーを2基搭載。よよよしえは普段、おもにリアを選択している。
弦は“安くて世界中どこでも買える”という理由で、Ernie Ballの.010〜.046(Regular Slinky #2221)を愛用。
2014 Gibson USA
SG Standard 120th Anniversary
『スーパーチャンポン』までを支えた頼れるサブ器
7〜8年ほど前、それまでメインで使用していたテレキャスターが壊れてしまい、必要に迫られて急遽購入した2014年製のギブソン創立120周年記念SGスタンダード。『スーパーチャンポン』(2022年)のレコーディングまでメインで使用していた1本だ。
現在はサブ的なポジションだが、よよよしえは本器のサウンドを気に入っており、ライブによって“ROBIN よよよしえモデル”と交互で使うこともあるという。
ピックアップはフロントに490R、リアに498Tを搭載。ペグはGroverに交換されている。
そのほか大きな改造点はないが、ジャックがゆるくなってしまうことが多く、何度かメインテナンスが施されている。
Interview
トーンを上げると凶暴なテレキャスみたいな音が出て、
下げればSGっぽい図太い音も出せます。
よよよしえさんのメイン・ギターはカスタム・モデルなんですね。
そうなんです。Gombo bass guitarsっていう、松原(哲也)さんという方が1人でやられている平野の工房で作ってもらいました。ひろちゃん(b)もGomboでベースを作ってもらったんですよ。
いつ頃完成したんですか?
コロナ禍の時だったので、使い始めてから2年くらいです。いつもGomboにギターの修理やメインテナンスをお願いしていたんですけど、ある時、松原さんから“よしえさん、ギター作らせてもらってもいいですか?”と言われて。“凄く高いんだろうなぁ……”とか思いながら“いいですよー!”とお返事したら、ご厚意で作ってもらったんです。最初に“どんな形がいいですか?”と言われて、手でシェイプを書いたんですね。SGみたいだけど、ちょっと“いびつ”な感じがいいというオーダーをしました。なので基本はSGっぽいんですけど、ネックはテレキャスっぽくしてもらっています。あと、見えやすいように指板にオニギリを入れてほしいとか、そういう色々とややこしいことをお願いしていて(笑)。
オレンジの色は、よよよしえさんの衣装やメイクと合わせているんですか?
そうですね。最初からオレンジが良かったんですけど、イメージが沸かなくて。それで松原さんに、“とりあえずオレンジで元気な感じで!”と作ってもらったらこの色になって、めっちゃくちゃ気に入っています。
音に関してはどのようなオーダーを?
ジャキジャキした感じにしたいとは伝えていました。パーツの話はあんまりわからないんですけど、トーン・ノブを上げると凶暴なテレキャスみたいな音が出て、下げればSGっぽい図太い音も出せますね。普段は音作りを少し軽めにしています。というのも、おとぼけビ~バ~はベースとドラムで低音域をドカッと出したいので、ギターはジャキジャキというか、チャキっとした音作りにしたいなと思っているんですよ。あんまり得意ではないんですけど……(笑)。
ピックアップはリアを使うことが多いですか?
今までアンプはTwin Reverbを使っていて、その時はリアだけだったんです。でも、今回のツアーからアンプをElectro-Harmonixに変えたんですよ。それからは各ピックアップの音の差が出てくるようになって、色々試しています。
ピックはJim DunlopのTortex Triangleなんですね。黄色の0.73mmがちょうど良かったんですか?
はい。一瞬、赤色(0.50mm)を使ったことがあったんですけど、あまりにもフニャフニャだったので戻しました(笑)。
では、SGについても話を聞かせて下さい。
SGはもともとメインだったんですけど、今はサブですね。SGの前はずっとテレキャスを使ってたんですよ。でもネックごと壊れちゃって、次の日にライブがあって、ヤバいとなって、急いで京都の近所の楽器店に買いに行ったんです。そのお店には、SGがこれとエピフォンの2本しか置いてなくて、“とりあえずこのギター下さい!”って買いました(笑)。これ、ギブソンの120周年モデルなんですよね。だから12フレットのインレイに“120th Anniversary”って入っていて、ちょっと恥ずかしながら使っています(笑)。
購入したのはいつ頃ですか?
だいぶ前ですね。7〜8年は経ってるんじゃないかな? 『いてこまヒッツ』(2019年)もですし、『スーパーチャンポン』(2022年)もほとんどこのギターで録っていると思います。
どこか改造はしていますか?
いつもジャックが弱くなっちゃうので、強いやつに換えてもらいました。あとボリュームとかのツマミが取れちゃって、そのたびに自分で付けているので、かなりめちゃくちゃになっています(笑)。
音の印象はどうですか?
“モコモコするな”と感じる時があったんです。日本のライブハウスってJCかマーシャルしか置いてなくて、マーシャルだと良い音なんですけど、JCを使った時に違和感を感じていて。そこからしばらく使わなかったんですけど、Twin Reverbを使うようになってからは相性が良くて、今も気に入っています。ライブごとにメインと交互で使うこともありますね。
おとぼけビ〜バ〜 JAPAN TOUR 2024 公演情報
<日程>
・11/30(土)仙台SENDAI BIRDLAND
開場18:00/開演18:30
前売:4,000円(D別)
問い合わせ:EDWARD LIVE https://www.edward.co.jp/live/
・12/6(金)金沢GOLD CREEK
開場18:30/開演19:00
前売:4,000円(D別)
問い合わせ:FOB金沢 https://www.fobkikaku.co.jp/
・12/14(土)大阪味園ユニバース
開場17:30/開演18:30
前売:4,000円(D別)
問い合わせ:SMASH WEST https://www.smash-jpn.com/
・12/15(日)大阪味園ユニバース
開場17:00/開演18:00
前売:4,500円(D別)
※特別ゲスト:SiM https://sxixm.com/
問い合わせ:SMASH WES https://www.smash-jpn.com/
<おとぼけビ~バ~OFFICIAL WEB SITE>
https://otobokebeaver-kyoto.jimdofree.com/