【サブスク会員限定】和嶋慎治が人間椅子の35周年ツアーで使用した、テルミンと2台のマーシャル・アンプ 【サブスク会員限定】和嶋慎治が人間椅子の35周年ツアーで使用した、テルミンと2台のマーシャル・アンプ

【サブスク会員限定】和嶋慎治が人間椅子の35周年ツアーで使用した、テルミンと2台のマーシャル・アンプ

人間椅子が2024年にデビュー35周年を迎え、10月から全国8箇所でワンマン・ツアー、“バンド生活三十五年 怪奇と幻想”を開催した。ツアー・ファイナルのZepp DiverCity公演で使用された和嶋慎治(vo,g)の機材を、本人の解説付きで紹介しよう。本記事ではテルミンと2台のマーシャル・アンプをご紹介。

取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊 人物撮影=西槇太一

Wajima’s Theremin

Moog
Etherwave Theremin

Moog / Etherwave Theremin

「芋虫」で使用したテルミン

この日のライブでは、「芋虫」で使用されたMoogのテルミン。

テルミンのアウトからBOSS / EV-50L(ボリューム・ペダル)とElectro-Harmonix / Memory Toy(ディレイ)を通り、マーシャルSV20Cに接続されていた。

Electro-Harmonix / Memory Toy(ディレイ)
Electro-Harmonix / Memory Toy(ディレイ)

Wajima’s Amplifiers

・Marshall / SV20C
・1972 Marshall / 1987(Head)
・Marshall / 1960TV(Cabinet)

和嶋のアンプ類

楽器やプレイによって使い分けるマーシャル2台セット

この数年間は、お馴染み72年製のマーシャル1987と1960TVの組み合わせに加え、コンボ・タイプのマーシャルSV20Cも用意されている。

1987は1stアルバム『人間失格』(1990年)の印税が入ってきた時に購入し、それ以来30年以上メイン・アンプとして使い続けている。1960TVも1987を入手したあとすぐに購入したものだ。

1960TVは通常の1960よりも65mm背の高いキャビネットの中に12インチのスピーカーが4発搭載されている。オリジナルのスピーカーが飛んでしまったため、現在はすべて和嶋の手によって新しいCelestion Greenbackに交換済み。マイクはShureのSM57とSennheiserのMD421が立てられていた。

Marshall / 1987(前面)

1987のインプットはHIGHのⅠを使用。各コントロールは、VOLUME ⅠがMAX、TREBLEがMAX、MIDDLEが2時、BASSが11時、PRESENCEが1時の方向にセッティングされていた。和嶋はアンプのボリュームをフルに上げて歪みを作っており、クリーンが必要な場合はギター側のボリューム・ノブを下げたり、足下のプリセット・ボリューム・ペダルをオンにする。

Marshall / 1987(背面)

シリアル・ナンバーは“3115D”で、72年製ということがわかる。パワー管はElectro-HarmonixのEL34が使用されていた。

Marshall / SV20C

SV20Cは20W出力のコンボ・アンプ。今回、本機はテルミン用、「夢女」での音量を抑えたスライド・ギター用として使用したほか、メインの1987が故障した際のサブとしてスタンバイ。マイクはSennheiserのe906がセットされていた。

Marshall / SV20C(Panel)

テルミンはLOWの1に、スライド・ギターを弾く際はHIGHの1にインプット。出力スイッチはHIGH側の20Wで、各コントロールは、LOUDNESS 1がMAX、LOUDNESS 2が10時、TREBLEが3時、MIDDLEがMAX、BASSが3時手前、PRESENCEが11時の方向にセッティングされていた。

テルミン用のLOUDNSS 2が控えめなセッティングだが、実はこれでも歪んでおり、和嶋は“1987と音色は変わらない”と語る。

Interview

人間椅子

音量が小さいというくらいで、
1987と音色は変わらないです。

最近はメインの1987に加え、SV20Cも使っているんですね。

これはテルミン用として使っています。それと場合によってはサブとしての意味合いもあって。

1987の調子が悪くなった時に使えるようにしていると。

そういう時はSV20Cをヘッドにして、キャビネットはそのまま1960TVを使います。サブ兼テルミン用のアンプですね。今日はスライド・ギターの曲(「夢女」)をやるんですけど、その時にもSV20Cを使います。

スライドを弾く時、SV20Cは歪ませているんですか?

歪ませます。というか、これはビンテージ・マーシャルと同じで、どうやっても歪むんですよ。こっちのほうが音量が小さいというくらいで、1987と音色は変わらないです。

1987のVOLUME 1はMAXになっていますね。かなり歪んでいるのでは?

そうですね。それと僕、チャンネル・リンクがあんまり好きじゃないんです。リンクさせるとブーミーになるというか、ローが増えるじゃないですか? 抜けが悪くなるなと思ってリンクはしていないんです。

TREBLEもMAXなんですね。ここまで上げるとキンキンになるイメージがあるのですが……?

シングルコイルのギターだとうるさすぎると思うんですけど、SGだとちょうどいいですね。あとレス・ポールでもうるさいです。やっぱりメイプル・トップなのでね。SGってマホガニーの単板だからハイがないんですよ。なのでこれはSG用のセッティングです。

1960TVに立てられているマイクはSM57とMD421ですが、これは和嶋さんの指定ですか?

いや、エンジニアの方との付き合いで自然とこうなりました(笑)。僕は57が好きなんですよ。

シールドのこだわりはありますか?

MOGAMIの2524が好きなんですよ。なのでパッチ・ケーブルもMOGAMIにしていて。一時期は自分でシールドを作っていましたけど、ステージによっては長さが必要になってくるので、最近はスタッフに買ってきてもらっています(笑)。Beldenも良い。ハイエンド系はレンジが広すぎてギターが下手に聴こえるというか……MOGAMIのほうが好きですね。