Every Little Thingのギタリスト、伊藤一朗がライブやレコーディングで愛用するKillerのKG-FIDESを本人が解説! ギターを選ぶうえでの基準や好きなサウンドの傾向なども話してくれた。
取材・文=小林弘昂 機材撮影=八島崇
Ito’s Guitar
Killer
KG-FIDES
こだわりを詰め込んだ伊藤一朗オリジナル・モデル
Killerの人気モデルSCARYをもとに、伊藤一朗とのコラボレーションにより誕生したKG-FIDES。ボディ・シェイプはSCARYよりもやや小ぶりに変更され、ボディ材もアッシュではなくマホガニーが採用されている。ネックはメイプルで、指板は貼りメイプル。伊藤曰く“サステインよりもアタックを重視しています”とのこと。
ピックアップはKillerのLQ-500(フロント)、AGI Lace Transensor(センター)、KillerのDyna-Bite(リア)を搭載。おもにリアを使用することが多いという。本当はフロント・ピックアップもシングルコイルにしたかったそうだが、ボディ・バックから2点、ピックアップ下から1点でネックを固定するKiller独自の“トライ・ポイント・ジョイント”のため、物理的にシングルコイルがマウントできず、このようなレイアウトになったと語る。
コントロールはマスター・ボリュームと5wayピックアップ・セレクターのみ。ヘッド側部にはピック・ホルダーが貼り付けられていた。
Interview
軽くて自分が好きな音がする個体を
選んで使っています。
このギターはいつ頃完成したものなんですか?
20年以上前かな。これは市販化もされているんですけど、ライセンスを入れると値段が高くなっちゃうじゃないですか? だから僕の名前を入れないで作っていただいたんです。ほかの人のシグネチャー・モデルに比べて安いんですよ。気に入っている同じモデルを10本くらい持っていて、その中から軽くて自分が好きな音がする個体を選んで使っています。
どのようなオーダーを?
僕が指定したわけじゃないんですけど、マホガニー・ボディで、指板が貼りメイプル。もともとは粒が揃った、すべての弦で平均的な音が出せるほかのブランドのギターを使っていたんです。でもEvery Little Thingの曲は打ち込みで、当時は音の立ち上がりがめちゃくちゃ速かったんですよ。そういうギターだとアタックがなまっちゃってね。そんな時、Killerの方が吊るしのギターを何本か持ってきてくれて、良かったのでそのまま使うようになりました。
パーツは市販化されているものと同じですか?
僕のやつはセンター・ピックアップにAGI Lace Transensorを載せているんですけど、売られているものはBartolini S-3が多いですね。ドライブさせた音が強みだと思うので、よく使うピックアップはリアです。ポップスでクリーンを出す時はフロントなんですけど、実はシングルコイルのほうが好きなんですよ。でも、このギターは構造上フロントにシングルコイルをマウントできなくて。
このギターはどういう時に使いますか?
ライブでもレコーディングでもけっこう使うんですよ。というのも、青いメイン・ギターをメンテナンスに出したら、もう5年くらい戻ってこなくて(笑)。メイン・ギターもボディがマホガニーで、フロイド・ローズが載っていて、3kg以内という軽さだったんです。普通のブリッジが載っているギターだと音がペチペチで使いにくいんですけど、フロイド・ローズは質量があるので、載せるとそれが緩和されるんですよ。気に入っていたんですけどね……。しかもサブも預けちゃっていて、今はNo.1とNo.2がどっちもいないという(笑)。
そんなことが(笑)。このギターでレコーディングした楽曲で、思い入れが深いものはありますか?
アルバムを作る時に時間が余るとインストを入れるんですけど、「Phone jamming」(2015年)っていう曲がありまして、それで使ったのを覚えてるかな。