2025年3月からスタートし、10月26日(日)に7年ぶりとなる日本武道館公演でファイナルを迎えるACIDMANの最新ベスト・ライブ・ツアー、“This is ACIDMAN 2025”。“This is ACIDMAN”とは、シングル曲やMVが存在する楽曲を中心に構成され、“これぞACIDMAN”と呼ぶべきセットリストのワンマン・ライブである。5度目となる本ツアーで大木伸夫(vo,g)が使用する2台のアンプを、本人に解説してもらった。
取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊 協力=小谷“Kotty”高志
Oki’s Amplifiers
・Orange / AD140 Lead & Orange / PPC412(Left)
・Fender / Super-Sonic 60 Head & Fender / Super-Sonic 4-12 Enclosure(Right)

ACIDMANのサウンドを形成する2台の組み合わせ
ライブでの大木のアンプは2台。ACIDMANのメジャー・デビュー時から愛用しているOrangeのAD140 Leadと、2010年頃から導入したフェンダーのSuper-Sonic 60だ。
AD140 Leadは常に鳴らしっぱなしで、サビやリフなどで音量と歪みが欲しい時にSuper-Sonic 60も同時に鳴らすという使い方。Super-Sonic 60のオン/オフは、大木の足下に置かれた専用フット・スイッチで操作が行なわれる。
どちらのキャビネットにもマイクはShureのSM58(ダイナミック・マイク)が立てられていた。また、ヘッドの電源ケーブルはギター・テックの小谷“Kotty”高志氏がセレクトしたビンテージのBeldenを使用しており、Kotty氏は“電源ケーブルは色々と試したんですけど、オーディオ用はパキッとしてしまう。でもこのBeldenは艶が出て、ACIDMANの曲に合っていたんです”とコメントしてくれた。

メイン・アンプであるAD140 Leadは、2001年に数量限定でリリースされたカスタム・ショップによるハンド・ワイヤード仕様の貴重なモデル。HIにインプットし、各ノブはMASTERが1時半、TREBLEが12時半、MIDDLEが2時半、BASSが2時、GAINが9時手前にセッティングされていた。クリーン・サウンドで鳴らしており、歪みは足下のエフェクターで作っている。
キャビネットのPPC412にはCelestionのVintage 30が4発搭載されているが、下の2発がヘタってきたため新品に交換されている。

Super-Sonic 60はVINATGE chとBURN chが選択できるモデルで、大木はモダンな歪みが得られるBURN chをセレクト。BURN ch選択時は右側のコントロールのみが有効になる。各ノブは、GAIN 1が4、GAIN 2が4、TREBLEが7、BASSが6、MIDDLEが7過ぎ、VOLUMEが3過ぎにセッティングされていた。
本機で歪みを作っており、「Stay in my hand」や「FREE STAR」や「ある証明」などのサビ、「ファンタジア」の間奏、「2145年」のラスト・サビ、「water room」や「カタストロフ」の大サビ、「輝けるもの」のサビとリフ、「Your Song」のイントロとサビと間奏など、「風追い人(前編)」以外の全曲でオンにしていたのが確認できた。

裏側にはサブのOrange AD140 Twin ChannelとSuper-Sonic 60 Headが用意されていた。
Interview
非常に手触りのある音、
アナログな音がしたんです。
アンプは不動の2台ですね。特にOrangeのAD140 Leadは20年以上使い続けていますが、いつ頃購入したんですか?
Orangeを買ったのはデビュー前ですね。僕らのデビューが2002年なんですけど、その前にアンプを買おうということになって、レコード会社さんの計らいで5台くらいアンプを並べて、品川にある大きなサウンドクルースタジオで試奏させていただいたんです。
最初にMatchlessを弾いたんですけど、ギターがリッケンバッカーなのでディストーションを踏んだ瞬間に“ピー!”とハウってしまって。インディーズの時って普段のライブではRolandのJCを使うことが多いじゃないですか? JCだとハウらないなんですよ。なので、“これならJCのほうがいいな”と思いながら次にマーシャルを試奏したんですけど、やっぱりハウってしまって。
難しいですね……。
で、色々ダメで、最後に“これはないだろう”っていう、見たこともないオモチャみたいな色のアンプを試したら、唯一ハウらなかったんですよ。さらにシャボン玉がポンポンと出てくるような、非常に手触りのある音、アナログな音がしたんです。それを気に入って、“オレンジ色でOrangeって、この見た目はバカにされるかもしれないけど……”みたいに思いつつも、“これにします!”と決めたんですよ。でも、“これは売ってないんです”と言われてしまって。
売り物ではなかったんですか。
そう。“売り物じゃないんです。自分で探して下さい”と言われて、Kottyに手伝ってもらって全国の楽器店を探したんですけど、1つも売ってなかったんです。でもそのあと、ツアーで行った大阪でライブの合間にウチのスタッフが楽器店に行ったら、1台だけOrangeが置いてあるのを見つけて、それを見に行って速攻で買わせてもらいました。今では考えられないですよ。
そうですね(笑)。
今はOrangeだらけじゃないですか(笑)。当時は日本に1台しか売ってなかったんです。
先日のライブでは、クリーンでも歪ませても音の輪郭がハッキリしつつ、とても暖かい音がしていて、リッケンバッカーとの相性も凄く良く聴こえました。
そうなんです。おっしゃっていただいたように暖かい音で。だけどディストーションもハウらずにめちゃくちゃ乗るんですよ。だからちょっと不思議なアンプですね。
セッティングのコツはありますか?
そんなにないですね。こだわりもなく、いつも感覚で合わせていったのがまとまっていったという感じです。
もう1台のアンプ、Super-Sonic 60はなぜ導入することになったんですか?
僕らは3ピースなので音源ではギターを重ねているんですけど、ライブでも2本鳴っているような表現ができないかと相談した時に、“アウトを分けて2台のアンプを鳴らすことはできるよ。そしたらパンで振れるし”という話を聞いたので、“じゃあ買おう”と。テレキャスターというフェンダーのギターを使っているし、Super-Sonicのベージュの見た目も好きだったというのもあって、すぐに決めましたね。
Super-Sonicはアンプ側で歪ませているんですよね?
そうそう。特にサビで2台同時に鳴らしています。
サウンドの印象は?
めちゃくちゃ細かく砕いたザラメを“バシャー!”と撒いたような音が背中を押してくれるんです。砂ではないです。硬質なんだけど、口に入れたら溶ける。
粒が細かいサウンドだと(笑)。
そう。粒が細かいけど、いつか消えてなくなるような感じですね。柔らかくて体に良い音(笑)。
This is ACIDMAN 2025
2025年6月13日(金)KT Zepp Yokohama
【Setlist】
01. Stay in my hand
02. 夜のために
03. FREE STAR
04. ミレニアム
05. スロウレイン
06. 白と黒
07. ファンタジア
08. 2145年
09. 水写
10. sonet
11. 風追い人(前編)
12. water room
13. カタストロフ【投票曲】
14. 輝けるもの
15. ある証明
16. 飛光
-Encore-
17. Your Song
Live Information
ACIDMAN LIVE TOUR
This is ACIDMAN 2025
<日時>
2025年10月26日(日)
日本武道館
Open 16:30 / Start 17:30
<チケット>・SS指定席……15,000円(SOLD OUT)・S指定席……10,000円(SOLD OUT)
・A指定席……8,500円
・【学割】A指定席……5,000円
※未就学児童無料/お席が必要な場合は【学割・A指定】をご購入下さい。
※【学割】は高校生以下対象となります。
※【学割】をご購入のお客様は必ず学生証または年齢のわかるものをご持参下さい。
※【学割】は【A指定】とセット販売のみとなります。必ず【A指定】を1枚以上ご購入下さい。(【学割】のみの購入不可)
※高校生以下のお客様は必ず大人の方との来場をお願いします。
・イープラス https://eplus.jp/acidman-1026/
<お問い合わせ>
公演HP https://acidman.jp/special/thisisacidmantour2025/


