ACIDMANの大木伸夫が最新ツアー“This is ACIDMAN 2025”で使用するペダルボードを本人が解説! ACIDMANの大木伸夫が最新ツアー“This is ACIDMAN 2025”で使用するペダルボードを本人が解説!

ACIDMANの大木伸夫が最新ツアー“This is ACIDMAN 2025”で使用するペダルボードを本人が解説!

2025年3月からスタートし、10月26日(日)に7年ぶりとなる日本武道館公演でファイナルを迎えるACIDMANの最新ベスト・ライブ・ツアー、“This is ACIDMAN 2025”。“This is ACIDMAN”とは、シングル曲やMVが存在する楽曲を中心に構成され、“これぞACIDMAN”と呼ぶべきセットリストのワンマン・ライブである。5度目となる本ツアーで大木伸夫(vo,g)が使用するペダルボードを、本人に解説してもらった。

取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊 協力=小谷“Kotty”高志

Oki’s Pedalboard

真空管搭載ペダルで作るパワフルなサウンド

【Pedal List】
①VHT / Valvulator I(バッファー)
②Providence / P-3TB(1ループ・スイッチャー)
③BOSS / DD-20(ディレイ)
④Hughes & Kettner / Tube Factor(オーバードライブ)
⑤Providence / PEC-04(プログラマブル・スイッチャー)
⑥Electro-Harmonix / POG2(ピッチ・シフター)
⑦MXR / Six Band EQ(EQ)
⑧BOSS / DD-5(ディレイ)
⑨EBS / DynaVerd(リバーブ)
⑩strymon / blueSky V1(リバーブ)
⑪BOSS / RC-30(ルーパー)
⑫Handmade / Mute Switch
⑬Lehle / Sunday Driver SW(バッファー/ブースター)
⑭Handmade / Mute Switch
⑮KORG / Pitchblack(チューナー)
⑯Ex-pro / PS-1(パワー・サプライ)

ギターからは、まず①Valvulator Iにインプット。真空管入りのバッファーで、本機で信号を強化している。本機はアウトが2つあり、信号を2つに分岐。

1つはメイン・アンプであるOrangeのAD140 Leadに接続されるもので、②〜④を経由して⑤PEC-04にインプット。⑤PEC-04の各ループに接続されているペダルは下記のとおり。

・Loop 1=⑥POG2
・Loop 2=⑦Six Band EQ
・Loop 3=⑧DD-5
・Loop 4=⑨DynaVerb → ⑩blueSky V1

⑤PEC-04のアウトからは、⑪RC-30と⑫ミュート・スイッチを経由してAD140 Leadへ。⑫ミュート・スイッチはギター・テックの小谷“Kotty”高志氏が製作したもので、ここには⑮Pitchblackがつながれている。

①Valvulator Iのもう1つのアウトは、リフやサビなどでAD140 Leadと同時に鳴らされるブースト用アンプ、フェンダーSuper-Sonic 60に接続されるもので、⑬Sunday Driver SWと⑭ミュート・スイッチを経由してアンプへ。⑭もKotty氏が製作したハンドメイドのミュート・スイッチ。LEDオフの状態がミュートで、オンにするとSuper-Sonic 60のサウンドが追加される。

大木はAD140 Leadをクリーン・サウンドに設定しており、歪ませる際は20年以上愛用している④Tube Factorをオンに。つまり、AD140 Leadのクリーン/④Tube Factorの歪み/④Tube Factorの歪み + Super-Sonic 60の歪み、という3つのバリエーションがあり、これらをフレーズによって使い分けている。本来、④Tube Factorは右側のフット・スイッチでブーストが可能なのだが、ブースト・チャンネルは常にオンでセッティングしており、誤ってオフにならないようにスイッチが取りはずされていた。

②P-3TBは急遽追加したいペダルが出てきた時に本機にループするためのものだが、今回のライブでは何も接続されていなかった。

③DD-20はメインの歪みである④Tube Factorの前段に配置することで、より広がりのあるディレイ・サウンドが出せるという。STANDARDモードを選択し、ディレイ・タイムは333msecでミディアムとロングの2つをプリセット。メインはミディアムで、「FREE STAR」のサビ前と間奏、「ミレニアム」のイントロ、「スロウレイン」のメイン・リフ、「白と黒」のイントロ、「ある証明」のイントロなど、多くの楽曲でオンに。「輝けるもの」の間奏ではロング・ディレイを使用しているそうだ。また、「Rebirth」用に350msecのREVERSEディレイもプリセットしているとのこと。

⑥POG2は、「風追い人(前編)」のイントロでアタックを遅らせたオルガンのようなサウンドを出していた。大木は本機をTHE BACK HORNの菅波栄純から教えてもらったのだという。

⑦Six Band EQはアコースティック・ギターを弾く際にオンにするもので、今回のライブでは未使用。

⑧DD-5は800msにセッティング。ライブではショート・ディレイにセッティングして音をにじませたい時に踏むそうだが、本機のREVERSEモードのかかりがほかのディレイ・ペダルとは違い、レコーディングでリバース・ディレイが必要な時に活躍しているとのこと。

⑨DynaVerdと⑩blueSky V1は⑤PEC-04の同じループ内に接続されており、楽曲によってどちらか1台のみを使用する。⑨DynaVerdはHALLモードにセッティングし、「夜のために」のAメロ、「FREE STAR」のイントロ、「カタストロフ」のAメロなどでオンにしていた。響きがデッドな会場では常時オンにすることもあるという。⑩blueSky V1はnornモード、roomタイプにセッティングし、幻想的なリバーブが必要な「風追い人(前編)」と「water room」の2曲で使用。

⑪RC-30は「Λ-CDM」などでリアルタイムで大木がフレーズを重ねていくのだが、この日は未使用。

⑬Sunday Driver SWは常時オンで、Super-Sonic 60の歪みをプッシュしている。大木は“Kottyに「これをオンにして音を持ち上げたほうがいいから」と言われて、そうしています(笑)”とコメント。

Interview

333msecがバッチリ合って、
“決まり!”っていう感じでした(笑)。

大木さんのボード内のペダルですが、このラインナップになってから長いですよね?

長いですね。“なんでそんなにBOSSを使ってるの?”と色んなミュージシャンに言われるんですけど、僕はBOSSが一番優秀だと思ってるんです。まず音が良い。そして踏みやすさ。僕みたいに感覚的に踏む人は、このデッカいスイッチは宝のよう(笑)。普通のスイッチは踏み間違えたりもするので、BOSSが一番良いんですよ。“やっぱり日本のブランドって良いな!”と感じられますね。

そして大木さんのメインの歪みといえば、Hughes & KettnerのTube Factor(③)です。

これもKottyのアイディアだったんです。僕がいつも音に対して抽象的な表現をしていて、“大木ちゃんの出したい音は真空管のものじゃないとダメかも”ということで紹介してもらいました。こんな小さいところに真空管が入ってるんですよね。

Tube Factorは右側のフット・スイッチがはずされています。

こっちのブースト・チャンネルはオフにしないし、いつも左側のオン/オフと踏み間違えちゃうのでKottyが取ってくれました。

DD-20(②)も大木さんには欠かせないペダルですね。

最初はずっとDD-5(⑧)を使っていたんですけど、DD-20が出た時に“やっと踏み分けができるものを作ってくれた!”と、すぐに導入しました。

DD-20のディレイ・タイムは333msecを軸にしているそうですが、なぜこのタイムにたどり着いたんですか?

僕、8月3日生まれということもあって8と3をラッキー・ナンバーにしているんですね(笑)。DD-20のタップ・テンポを手でカチカチ合わせて、“一番良いところってどこだろう?”と試していたら、333msecがバッチリ合って、“決まり!”っていう感じでした(笑)。偶然なんです。

333msecでACIDMANのほとんどの曲をカバーしているので、便利なディレイ・タイムなんですね(笑)。

そうそう。それまではDD-5のノブをいちいち手で動かしていたので、1mmの違いでディレイ・タイムが全然変わるんですよ。それはそれで楽しかったですけど。

今はDD-5をどう使っていますか?

ショート・ディレイにしていて、少しにじませたい時にオンにしています。DD-5のREVERSEモードがめちゃくちゃ優秀で。ほかのディレイのリバースも色々と試したんですけど、DD-20ですらもDD-5と同じリバースの音が出ないんですよ。なのでレコーディングでリバース・ディレイが必要な時はDD-5を使っています。

DynaVerb(⑨)はどれくらいの頻度でオンにしているんですか?

箱にもよるんですけど、響きがデッドの時はほとんどかけっぱなしですね。

インストの「風追い人(前編)」と「water room」では、DynaVerbではなくblueSky(⑩)に切り替えていました。

より幻想的にしたい時はこっちですね。これは自分でインターネットで調べて導入しました。本当に良いです。

RC-30(⑪)はどんな時に使用するんですか?

今回のライブでは使ってないんですけど、例えば「Λ-CDM」というインストの長い楽曲の1フレーズをループさせたりしています。その場でRECして、それを再生していて、自分でも凄いことをやってるなと思いますね(笑)。ちょっとズレたら終わりなので。

POG2(⑥)は「風追い人(前編)」のイントロでアタック音を遅らせて使っていましたよね?

そうですね。レコーディングではボリューム奏法みたいな感じで使っています。これのオクターバーの部分はあんまり関係なくて、アタックの音をゼロにするのに一番良いんですよ。昔、THE BACK HORNの(菅波)栄純から教わったんです。

そうだったんですか!

“栄純、あの音どうやって出してるの?”って聞いたら、“たぶん大木君これ好きだと思うからトライしてみて”と教えてもらって出会えたエフェクターで、凄く重宝しています。音を点じゃなく線でつなげてくれるので大好きですね。

This is ACIDMAN 2025
2025年6月13日(金)KT Zepp Yokohama

【Setlist】
01. Stay in my hand
02. 夜のために
03. FREE STAR
04. ミレニアム
05. スロウレイン
06. 白と黒
07. ファンタジア
08. 2145年
09. 水写
10. sonet
11. 風追い人(前編)
12. water room
13. カタストロフ【投票曲】
14. 輝けるもの
15. ある証明
16. 飛光

-Encore-
17. Your Song

Live Information
ACIDMAN LIVE TOUR
This is ACIDMAN 2025

<日時>
2025年10月26日(日)
日本武道館
Open 16:30 / Start 17:30

<チケット>
・SS指定席……15,000円(SOLD OUT)
・S指定席……10,000円(SOLD OUT)
・A指定席……8,500円
・【学割】A指定席……5,000円

※未就学児童無料/お席が必要な場合は【学割・A指定】をご購入下さい。
※【学割】は高校生以下対象となります。
※【学割】をご購入のお客様は必ず学生証または年齢のわかるものをご持参下さい。
※【学割】は【A指定】とセット販売のみとなります。必ず【A指定】を1枚以上ご購入下さい。(【学割】のみの購入不可)
※高校生以下のお客様は必ず大人の方との来場をお願いします。

・イープラス https://eplus.jp/acidman-1026/

<お問い合わせ>
公演HP https://acidman.jp/special/thisisacidmantour2025/