BOSSより、コンパクト・ペダルの新製品“RT-2 Rotary Ensemble”が登場した。
本機は、ビンテージ・ロータリー・スピーカーによって生み出される特徴的な揺れと豊かで空間的な広がりを細部まで再現した上で、オリジナルの音色を含む3タイプのエフェクト・モードを搭載し、シンプルな操作性をも実現したペダルだ。
発売は2025年8月9日(土)が予定されている。



ロータリー・スピーカーをペダルボードへ
1940年代に登場したロータリー・スピーカーは、キャビネット内部に搭載されたローターを物理的に回転させることで、スピーカーから出力されるサウンドの定位を周期的に変化させ、音量と音程に独特な揺らぎを生み出す構造を持っていた。
加えて、回転の停止や速度を切り替えることで生まれるリアルタイムな音色変化も魅力の1つだった。
RT-2は、このユニークなロータリー・サウンドと、その表現力を最大限に引き出す柔軟な操作性を、コンパクトなペダルに凝縮したものだ。
表現力を余すことなく再現
スピーカーの回転速度は、本機ではFASTとSLOWのノブによって2パターン設定することができ、そのスピードは中央のバーチャル・ロータリー・ディスプレイで視覚的に確認できる。


また、FASTとSLOWの状態の切り替えは、ペダル・スイッチの操作で行える。
さらに本機は、回転速度を切り替えた際にローターが加速もしくは減速することによって生まれる音色変化も再現しており、その移行スピードは、背面に配置されたRISE/FALL TIMEスイッチで選択することができる。

3タイプのロータリー・エフェクト
本機には、MODE I、MODE II、MODE IIIという名の3つのタイプのロータリー・エフェクトが搭載されており、その切り替えは筐体の上面にあるMODEスイッチで行う。

これにより、温かみのあるトーンを特徴とするビンテージ・ロータリー・スピーカーの忠実な再現から、より広がりある揺れをもたらすオリジナルのチューニングを施したサウンドまでを選択することができる。
各モードの特徴は次のとおり。
MODE I
- BOSS最新のモデリング技術により、ビンテージ・ロータリー・スピーカーのサウンドを忠実に再現したモード。
- その唯一無二のキャラクターをとらえ、温かみを持った、立体的で心地のいい揺らぎをもたらす。
MODE II
- MODE Iよりもワイド・レンジで明るいロータリー・エフェクト。アンサンブルでの抜けのよさと、広がりのある揺らぎを両立。
- 歪みペダルなど、他のペダルとの組み合わせにも秀でている。
MODE III
- MODE IIの音抜けの良さはそのままに、DRIVEの可変幅を拡張し、オリジナルでは成し得ない深い歪みまで作り出す。
- 強い回転感も特徴で、激しい揺れと歪みの中でも輪郭を保ったサウンドは、インパクトのあるギター・ソロや、印象的なアルペジオなど、表現の幅を大きく広げる。
心地好い歪みを加えるDRIVEノブ
ビンテージのロータリー・スピーカーは、内蔵された真空管アンプによる独特なサチュレーションも特徴のひとつだが、RT-2では、このサウンドに着想を得た心地よい歪みをDRIVEノブによって加えることができる。
これにより、飽和感のあるロータリー・エフェクトや、歪みとうねりが組み合わさった存在感あるリード・トーンを作り出すことも可能だ。

また、背面のDRIVE KNOBスイッチをBALANCEに切り替えると、DRIVEノブでトレブル/ベース・ローターの音量バランスを設定することができる。
これにより、サウンドを追い込むための微調節や、大胆なセッティングにしてローファイなテイストに仕上げることも可能だ。

柔軟なリアルタイム・コントロール
エフェクトのON/OFFやFAST/SLOWの切り替えは、本体のペダル・スイッチで可能。
またペダル・スイッチの動作モードは4タイプから選べるため、演奏スタイルに応じた最適な操作が行える。

さらに、別売りのフット・スイッチを追加すれば、FAST/SLOWの切り替えを独立して操作できるほか、ローターの回転を徐々に減速させ停止させるBRAKE機能も使用可能になる。
また、エクスプレッション・ペダルを追加すれば、割り当てたパラメーターを足元で自在にコントロールすることができる。


なお、ロータリー・スピーカーというとハモンド・オルガンのイメージが強いかもしれないが、レジェンド級のロック・ギタリストたちがエレクトリック・ギターにロータリー・スピーカーを使用し、その独特なウネリを持つサウンドが後々までの語り草になった例もある。
またアマチュアにとって、大きく重量のあるビンテージ・ロータリー・スピーカーを自分で所有したり運搬したりすることは困難だった。しかしこの小型かつ軽量なRT-2 Rotary Ensembleの登場により、あの憧れのサウンドをようやく自分のものにできるという人もいるのではないだろうか。


RT-2のおもな特徴
- ロータリー・エフェクトに求められるサウンドと機能をコンパクト・ペダルで実現
- ビンテージ・ロータリー・スピーカーのサウンドから、より音の広がりを強調したサウンドまで、新規開発した3タイプを搭載
- 真空管アンプによるサチュレーションを加えるDRIVEノブ
- ローターの回転速度を視覚的に確認できるバーチャル・ロータリー・ディスプレイ
- ローターの回転速度をFASTとSLOWの2パターンで設定し、足元の操作で切り替え可能
- 回転速度を切り替える際のトランジション・スピードを選択できるRISE/FALL TIMEスイッチ
- トレブル/ベース・ローターの音量バランスを調節可能
- 4つのペダル・スイッチ・モードからエフェクトのオン/オフやローターの回転速度のコントロール動作を選択可能
- ステレオ対応の入出力端子
- 別売りのフット・スイッチもしくはエクスプレッション・ペダルを接続することで、FAST/SLOWの個別切り替えやBRAKE機能、割り当てたパラメーターのコントロールなどが可能
- 安心の長期5年保証
BOSS
RT-2
【スペック】
●サンプル・レート:48kHz
●AD変換:24ビット+AF方式 ※AF方式(Adaptive Focus method)はADコンバーターのSN比を飛躍的に向上させるローランド/ボス独自の方式。
●DA変換:32ビット
●規定入力レベル INPUT A(MONO)、INPUT B:-20dBu
●最大入力レベル INPUT A(MONO)、INPUT B:+7dBu
●入力インピーダンス INPUT A(MONO)、INPUT B:1M Ω
●規定出力レベル OUTPUT A(MONO)、OUTPUT B:-20dBu
●最大出力レベル OUTPUT A(MONO)、OUTPUT B:+7dBu
●出力インピーダンス OUTPUT A(MONO)、OUTPUT B:1k Ω
●推奨負荷インピーダンス OUTPUT A(MONO)、OUTPUT B:10k Ω以上
●バイパス:バッファード・バイパス
●コントロール:SLOWつまみ、FASTつまみ、DRIVEつまみ、LEVELつまみ、MODEスイッチ、ペダル・スイッチ、RISE/FALL TIMEスイッチ、DRIVE KNOBスイッチ
●インジケーター:CHECKインジケーター(バッテリー・チェック、SLOW/FAST 切り替え兼用)、VIRTUAL ROTOR
●接続端子 INPUT A(MONO)、INPUT B、OUTPUT A(MONO)、OUTPUT B端子:標準タイプ、SPEED端子:TRS標準タイプ、DC IN端子
●電源:アルカリ電池(9V形)、ACアダプター(別売)
●消費電流:115mA
●連続使用時の電池の寿命 アルカリ電池:約2.5時間 ※使用状態によって異なります。
●外形寸法:73(幅)×129(奥行)×59(高さ)mm
●質量(乾電池含む):450g
●付属品:保証書、チラシ(安全上のご注意、使用上のご注意、お問い合わせの窓口)、アルカリ電池(9V形);本体に接続済み
●別売品:ACアダプター:PSA-100、フットスイッチ:FS-5U、デュアル・フットスイッチ:FS-6/FS-7、エクスプレッション・ペダル:FV-500H/FV-500L/EV-30/Roland EV-5
【価格】
オープンプライス
【問い合わせ】
ローランドお客様相談センター TEL:050-3101-2555 https://www.boss.info/jp/