デザイン、構造、サウンドのいずれも独創的な製品を世に送り出し続けているGamechanger Audio(ゲームチェンジャー・オーディオ)より、筐体内部にブラシ付きDCモーターを組み込んだペダル型シンセサイザー、“Motor Pedal”がリリースされた。

リアルタイム・ピッチ・トラッカーによって楽器の入力信号を解析、その演奏の周波数にモーターの回転速度を同期させ、その機械的なエネルギーをオーディオ信号に変換する唯一無二の仕組みを持つ“エレクトロ・メカニカル・シンセサイザー”だ。
5種類のモーター・ベース・シンセシス・エンジン

“Motor Pedal”に搭載された物理的なモーターをベースとしたサウンド・エンジン(モーター・ベース・シンセシス・エンジン)には、5種類のモードがある。モーターの動作音を単純に拾うだけではなく、様々なアプローチが試みられており、歌などの音声やギター以外の入力にも対応する。
- MOTOR: 回転するコイルを電磁ピックアップで直接拾う生のモーター音。グリッチィで、うなりを上げるような磁気的サウンド。
- MXD: モーターとデジタル波形のクロス・モジュレーション。荒々しく歪み、メタリックな質感を生み出す。
- M-WAVE: モーターの出力にピッチ・ロック&ハード・シンクしたデジタル・オシレーター。
- COIL MODE: DC電圧でモーターを回転させる代わりにコイルへ交流電流を流し込むことで共鳴的なアナログ振動や金属的なハムを生成。
- VOCODER MODE: モーターの出力をキャリアとし、楽器信号をモジュレーターとして使う24バンド・デジタル・ボコーダー。
パラメーター・ノブとガス・ペダルによる各種コントロール

本機のコントロールは、各種パラメーターを調整するノブと、モーターのピッチや挙動をコントロールできる多機能ガス・ペダルによって行なう。それぞれのコントロールに関する概要は次のとおりだ。
パラメーター・コントロール(コントロールノブ)
- Analog TONE BOOST: モーター出力のキャラクターを整えるための強力なチルトEQ(傾斜型イコライザー)。
- TWO VOLUME KNOBS: ドライ信号とモーター出力、それぞれを独立して調整できる2系統のボリューム・ノブ。
- motor drive: モーター出力に重厚なアナログ・ディストーションを加えるドライブ回路。
- Envelope: 短くパーカッシブなスタッカートから、エンベロープ・フォロワー、長いリリースまで幅広く調整可能。
- glide: モーターエンジンにポルタメント(音程のなめらかな移行)カーブを適用。
- vibrato: クラシックなピッチ・モジュレーション。繊細な揺らぎから激しいオシレーションまで対応。
- motor Interval Selector: モーター・ピッチを±1オクターブ、完全5度、完全4度でオフセット可能。
- X-MOD Mode: 入力信号をモーターエンジン全体とクロス・モジュレーションさせるアンプリチュード・モジュレーション・モード。
多機能ガス・ペダルの操作モード
- ACCELERATOR: ピッチ・シフトをなめらかに操ることができ、踏み込めばモーターをレッドラインまで加速。
- RAKE: ピッチを下降させるモード。ペダルを踏み込むとモーターを失速させるような効果を演出。
- CLUTCH: モーターとピッチ・トラッカーを一時的に切り離し、ドローン(持続音)を作り出すのに最適。
- VOLUME: スプリング付きペダルを使い、心地よいボリューム・スウェルを直感的にコントロール。
- DRIFT: ペダルを繊細に操作してビブラートのように揺らしたり、踏み込みで一気にサウンドを崩壊させることも可能。
摩耗したモーター・ブロックは交換可能
コア・サウンドエンジンとしてブラシ付きDCモーターを用いる“Motor Pedal”は、その性質上モーターのブラシが時間経過と共に摩耗することになる。そこで本機はユーザー自身で簡単にモーターの交換が可能な構造を採用。アンプの真空管を取り換えるのと同じくらいの手軽なモーター交換を可能とした。
モーター・ブロックの耐用時間はおよそ3,000~5,000時間。モーター・ブロックの交換タイミングは、ペダルの“CHECK ENGINE”ランプがオレンジや赤に変化することで確認できるようになっている。
日本限定のホワイト・バージョンも

なお、日本限定で30台限りのホワイト・バージョン、“Motor Pedal Japan Limited”もリリースされた。通常版、ホワイト・バージョンともに価格だ同一で、税込75,900円となる。

