豊富なラインアップがそろうフェンダー製品のなかで、現在もっとも出荷本数が多く「売れている」のが、メキシコ製のスタンダードな製品ラインである“Player Ⅱ シリーズ”だ。
手に取りやすい10万4,500円(税込)からという価格帯と、ビンテージ・スペックとモダン・スペックのちょうど中間に位置する「誰にでも扱いやすいスペック」が、その人気の理由だろう
そして、この“Player Ⅱ シリーズ”をベースに、演奏者が手を加えたくなるポイントをおさえ、工場出荷時点ですでに改造(=モディファイ)を施されたモダン・スペックのシリーズが、“Player Ⅱ Modified シリーズ”ということになる。
この記事では、両シリーズのストラトキャスターとテレキャスターを例に、“Player Ⅱ シリーズ”と“Player Ⅱ Modified シリーズ”の違いについて徹底解剖していこう。
外観からでもわかるポイントから、一見しただけでは判別できないような内部構造まで、細かく比較・分析する。
初めての人でも迷わない。より使いやすいフェンダー“Player Ⅱ シリーズ”
まずは基本となる“Player Ⅱ シリーズ”の仕様を解説し、それから“Player Ⅱ Modified シリーズ”について深掘りしていこう。
一部の例外をのぞき“Player Ⅱ Modified シリーズ”と共通の木工部、クラシックな仕様を下敷きにしながらもモダンな仕様を取り入れた、“Player Ⅱ シリーズ”のハードウェアとエレクトリックは、まさに現代のフェンダーにおけるスタンダードともいうべきスペックだ。
“Player Ⅱ シリーズ”のストラトキャスター、テレキャスターには、伝統的なシングルコイル・ピックアップ搭載のモデルと、ハムバッカー・ピックアップ搭載モデルがある。そして、ここでは紹介しないが、ジャズマスター、ジャガー、ムスタングも、各5色のカラーバリエーションでラインアップされている。
今回チェックした“Player Ⅱ シリーズ”は、そのうち以下の3モデルだ。



ボディ&ネックの木工部
アルダー・ボディを基本として、のちにチェンバード・アッシュとチェンバード・マホガニーが追加された“Player Ⅱ シリーズ”。
ネックはメイプルのモダン“C”シェイプ、指板はワンピースのメイプルかローズウッド(パーフェロー)で、9.5インチ(241 mm)ラジアス、22フレット仕様でミディアムジャンボフレットというところまで各モデル共通だ。
これは「誰の手にもなじみ、ストレスなく演奏できる仕様」に対する、現代のフェンダーからのひとつの解答とも言えるのかもしれない。
扱いやすくまとめられたハードウェア
クラシックなスペック再現の追求ではなく、使いやすさを重視するシリーズならではのポイントは、チューナーやブリッジといったハードウェア面にも。

チューナーは一見するとビンテージスタイルのクルーソン・タイプのようでありながら、ナット締めでチューニング安定性が増したギア比18:1のClassicGearチューニングマシンだ。
ブリッジは、ストラトキャスターでは2点支持トレモロ、テレキャスターはブリッジプレート周囲にフェンスのないタイプのブリッジと、6Wayサドルが採用されている。


Playerシリーズ専用ピックアップ

“Player Ⅱ シリーズ”各モデルには、Player Series Alnico 5 Strat Single-CoilやPlayer Series Alnico 5 Tele Single-Coilといった、Playerシリーズ専用ピックアップが搭載されている。

また、ストラトキャスターであれば、標準的な3シングルの構成にくわえ、ブリッジ側にハムバッカーを搭載した“Player Ⅱ Stratocaster HSS”。テレキャスターでは2シングルの標準構成と、前後に2基のハムバッカーを備えた“Player Ⅱ Telecaster HH”といったハムバッカー搭載モデルもある。
ちなみに、“Player Ⅱ シリーズ”のストラトキャスターは、3シングルのモデルであっても、ボディにはブリッジ・ピックアップとしてハムバッカーを搭載できるだけのサイズのザグリ(穴あけ加工)が施されている。購入後にピックアップ交換を行なう場合でも、木部への後加工は必要ない。
フェンダー純正の改造(=モディファイ)が施された“Player Ⅱ Modified シリーズ”
いっぽう、スタンダードな“Player Ⅱシリーズ”に、様々な改造(=モディファイ)を施したのが、“Player Ⅱ Modified シリーズ”。
新規開発された特殊な機能が搭載されているというわけではなく、あくまでフェンダー定番の範疇ながらも、演奏者からの要望が多い「ツボを押さえた」改造ポイントによって、使い勝手やサウンドのバリエーションを広げていることに注目したい。
“Player Ⅱ Modified シリーズ”には、以下の全5モデルがラインアップされている。





音質にも好影響。ショートポストロッキングチューナーとヘッド周りのモディファイ

“Player Ⅱ Modified シリーズ”の変更点として、ヘッド周りの見た目でわかりやすいのは、“Player Ⅱシリーズ”のClassicGearチューニングマシンから、ロック式チューナーに変更されている点だろう。


しかし、ここで特筆すべきは、“Player Ⅱ Modified シリーズ”ではすべての弦のポストが一回り背の低い「ショートポスト」ということだ。ぱっと見では判別が難しいが、側面からの比較写真を見ると、その違いがわかるはずだ。




ショートポスト化には、ナットからポストへ向かう弦が急角度になることで弦のテンションが上がり、より芯のあるサウンドが得られるというメリットがある。




またストリングガイドも、クラシックなスタイルだった“Player Ⅱシリーズ”に対し、モダンなものに変わってチューニング安定性向上に貢献している。
また、フェンダーではあまり前例のない「TUSQ」ナット装備であることも、“Player Ⅱ Modified シリーズ”の特徴。




Graph Tech社の人口象牙であるTUSQを用いたナットは、チューニング安定に有効なだけでなく、音質面ではハイのピーク音域が出やすい特性があり、きらびやかなサウンドになる。もちろん、フェンダーらしいシングルコイル・サウンドとの相性はばっちりだ。
ストラトではアーミング幅の拡大も! ブリッジ部のモディファイ


ブリッジ部のモディファイでは、特にストラトキャスターに注目。これは正面から見ただけではまったくわからないが、実はブリッジ裏からボディ内部に向かって接合されているトレモロブロックを従来の形状から大胆にカット。これまでにない形状に面取りされているのだ。


これにより、ボディ木部のザグリは“Player Ⅱシリーズ”のストラトと共通でありながら、アーム・ダウン時のトレモロ・ユニット可動域が大幅に拡大している。


上の写真で比較すると、可動域の違いは一目瞭然だろう。このブリッジは、“Player Ⅱ Modified シリーズ”で初採用された新型となる。
また、ストラトキャスター、テレキャスターともに、“Player Ⅱ Modified シリーズ”ではブリッジサドルもよりサスティーンを稼げる専用のブロックタイプに変更された。


“Player Ⅱ Modified シリーズ”用、新設計のNoselessピックアップ

“Player Ⅱ Modified シリーズ”のピックアップは、コイルを縦積みにスタックしてノイズキャンセルするNoiselessピックアップが、このシリーズ用として新設計されて搭載されている。

ノイズレス・ピックアップの宿命的な悩みが、ノイズと一緒にハイの音域も落ちてしまうという問題。だが、今回のPlayer II Noiseless StratならびにPlayer II Noiseless Teleピックアップでは、これまでのNoiselessピックアップでもっともトレブルが出ている感覚があった。

なお、“Player II Modified Stratocaster HSS”ならびに“Player II Modified Telecaster SH”が搭載しているハムバッカーも、このシリーズ専用設計の新たなピックアップ。Player II Modified Humbuckerだ。
プッシュ/プル・スイッチで幅広いサウンドメイクが可能
外観からはわからないものの、“Player Ⅱ Modified シリーズ”最大の特徴と言っても過言ではないのが、各モデルとも「トーン2」のノブに備えたプッシュ/プル・スイッチだ。


モデルごとにプッシュ/プル・スイッチの挙動は異なるが、それぞれ伝統的なモデルのスイッチ操作では得られない、幅広いサウンドメイクが可能となる。
Player II Modified Stratocaster
~ネック側ピックアップが常時ONに~
“Player II Modified Stratocaster”の場合、プッシュ/プル・スイッチ機能をオンにすると、ネック側のピックアップが常時オンの状態となる。
つまり、5Wayピックアップ・セレクターでブリッジ側PU(ポジション1)を選択しているときにはテレキャスター的な「ブリッジPU+フロントPU」が可能となり、またブリッジ側ハーフトーン(ポジション2)の状態では「ブリッジPU+ミドルPU+フロントPU(すべてのPUがオン)」にできる。
Player II Modified Telecaster
~ピックアップ配列をシリアルに切り替え~
“Player II Modified Telecaster”では、プッシュ/プル・スイッチ機能によって通常はパラレルのピックアップ配線がシリアルに切り替わる。これにより、PUセレクターをポジション2(ブリッジPU+ネックPU)にした際、より太いハムバッカー的なサウンドが得られる。
Player II Modified Stratocaster HSS
~ハムバッカーをシングルコイル化~
ブリッジ・ピックアップにPlayer II Modified Humbuckerを搭載している“Player II Modified Stratocaster HSS”では、プッシュ/プル・スイッチ機能でハムバッカーをコイル・スプリットし、シングルコイル・ピックアップとして使用可能。HSS構成ながら、3シングルのストラトのような運用も可能で非常に汎用性が高い。
Player II Modified Telecaster SH
~伝統的なテレキャスのようにも使えるコイルスプリット~
ネック・ピックアップにPlayer II Modified Humbuckerを搭載している“Player II Modified Telecaster SH”もまた、プッシュ/プル・スイッチ機能でハムバッカーをコイル・スプリット可能。
ネックPUをシングルコイルとすることで、伝統的な2基のシングルコイル・ピックアップ搭載テレキャスターとして使えるのは、同じハムバッカー搭載テレキャスターでもコイル・スプリット機能に非対応の“Player II Telecaster HH”にはない特徴であるといえる。
木工部も独特な“Player II Modified Stratocaster HSS Floyd Rose”


Floyd Rose Specialダブルロッキングトレモロ・ユニットをブリッジとし、ロックナットや22フレット仕様など、“Player Ⅱ Modified シリーズ”のなかでもひときわ個性的な外観なのが、“Player II Modified Stratocaster HSS Floyd Rose”だ。

ここまで紹介してきたモデルは基本的にボディやネックの木工部は共通仕様だが、このモデルだけはフロイドローズのためのボディのザグリだけでなく、ネックも指板ラジアスが平坦な12インチであることなど、木工部の仕様が他モデルと異なる。

エレクトロニクスに関しては、プッシュ/プル・スイッチ機能も含めて“Player II Modified Stratocaster HSS”と大きな違いはない。
自分に合った一本が見つかる“Player Ⅱシリーズ”と“Player Ⅱ Modified シリーズ”
誰もが扱えるスタンダードで汎用性の高い“Player Ⅱシリーズ”と、そこにモディファイを加えてプレイの可能性を広げた“Player Ⅱ Modified シリーズ”。
どちらも手に取りやすい価格帯のシリーズながら、指板のロールエッジ処理など従来の“Player シリーズ”よりさらにクオリティーが上がった完成度の高さは、初心者からベテランまで満足できる仕上がりだ。自分に合ったスペックを選べるラインアップの豊富さはもちろん、多彩なカラー・バリエーションの存在も見逃せない。
2025年最新フェンダーのスタンダードとモダンなモディファイの妙を、ぜひ店頭で手に取って体験してみてほしい。特に仕様やサウンドメイクの幅が広い“Player Ⅱ Modified シリーズ”なら、どんなプレイヤーにとっても理想的な一本を見つけることができるはずだ。
Fender
Player ⅡModifiedシリーズ
・Player II Modified Storatocaster(税込価格 165,000円)
・Player II Modified Storatocaster HSS(税込価格 170,500円)
・Player II Modified Telecaster(税込価格 165,000円)
・Player II Modified Telecaster SH(税込価格 170,500円)
Fender
Player Ⅱシリーズ
・Player II Storatocaster(税込価格 104,500円~121,000円)
・Player II Storatocaster HSS(税込価格 108,900円~126,500円)
・Player II Telecaster(税込価格 104,500円~121,000円)
・Player II Telecaster HH(税込価格 108,900円)
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