ノイズやトラブルのないペダルボードやラックを構築するための実践書が13年ぶりにアップデート
ペダルボードやラック・システムから生じるノイズやトラブルのない運用を目指すプレイヤーに向けた実践書、『ギタリストとベーシストのためのシステム構築マニュアル』。その増補改訂版が、2026年10月21日(水)にリットーミュージックより刊行される。

著者は、数多くの著名ミュージシャンのシステム設計を幅広く手がけてきたFREE TEH TONE(フリーザトーン)代表の林幸宏氏。
林氏の著書には、2013年刊行の旧版を始め、『ギタリストとベーシストのためのシステム構築Q&A』(2015年)、『回路図で音を読み解く! ギター・エフェクターとアンプの秘密がわかる本』(2022年)があるが、本作はその起点となった本を13年ぶりにアップデートした1冊となる。
想定されるおもな読者は、多数のエフェクターを所有してシステムを組んでいるものの、ノイズや機材のトラブルに悩まされているギタリストおよびベーシストだ。
本書では、そうした悩みを解決するための基礎的な電気知識や配線のテクニックが丁寧に解説されている。
また176ページだった旧版から224ページへと増量された今回の改訂では、現代の機材事情に合わせた大幅な加筆・修正が実施された。
全3章で構成される本書のおもな変更点は以下のとおり。
第1章 システム構築の基礎知識
近年のギタリストやベーシストにとって新たな課題となっている「MIDI」や「ライン出力」に関する項目を追加。現代的なシステム構築に対応する知識が補完されている。
第2章 システム構築の概要
「ビンテージ機材は音が良いのか?」、「エフェクターの接続順が生む新たな効果」といったテーマを扱う全8項目のコラム集「良い音を出すためのヒント集」を新設。音作りのアプローチに役立つ知見がまとめられている。
第3章 システム構築の実例
旧版の掲載事例を一新し、菰口雄矢氏と二家本亮介氏による対談および2人のシステム解説へと全面改訂。
さらに、スイッチャー、MIDIスルー・ボックス、ジャンクション・ボックスなどを盛り込んだボードの構築手順を6つのステップで追う企画「写真で解説 ペダルボード構築の手順とポイント」を増補している。
単に情報量が増えただけでなく、現代のアマチュアからプロまでに共通する機材環境や悩みに寄り添った内容へと深化している点も特徴だ。
これから初めてペダルボードを組む人にとっては、構想段階から実際の作業までをサポートするガイドブックとして活用できるだろう。
一方でベテラン層にとっても、組み上げたシステムの細部を再検証し、より高い完成度を目指すためのリファレンスとして役立つ仕上がりになっている。
以下に掲載する目次では、各パートの小見出しを含めて100項目以上を網羅しているので、購入を検討する際の参考にしてほしい。
『ギタリストとベーシストのためのシステム構築マニュアル 増補改訂版』
目次
- はじめに
第1章 システム構築の基礎知識
01 音の信号について
- ギターやベースの出力が電気信号になるまで
- ギターの信号は交流信号
- 弦の振動方向による倍音構成の変化
- アンバランス方式とバランス方式

02 インピーダンスと信号の劣化
- インピーダンスとは?
- 川の流れをイメージしてみよう
- 入力インピーダンスと出力インピーダンス
- ピックアップの出力はハイ・インピーダンス
- “音の劣化”とシールド・ケーブル
- 低音域の劣化もあり得る
- 音質劣化とインピーダンスの関係
- インピーダンスは低ければ低いほど良いか?
- 積極的に“劣化”を利用する
- プラグの汚れも音質劣化につながる

03 エフェクターのバイパス方式
- 電子スイッチ方式
- トゥルー・バイパス方式
- 非トゥルー・バイパスの機械式スイッチング[1]
- 非トゥルー・バイパスの機械式スイッチング[2]
- スイッチング方式によって生まれるエフェクターの“相性”
- 音質劣化を防ぐためのシステム導入
- 劣化した音の方が自然な場合も

04 信号の位相による音の変化
- 音作りの“位相”について
- 低音域の干渉はバンド全体に影響
- 逆相の原因とは?
- 逆相になる機材の発見方法
- 逆相になる機材の対処法
- 正相、逆相以外の位相問題
- ディレイ音の位相
- レコーダーを使った位相のチェック
- レコーディング時のマイキングで起こる位相差
- デジタル・エフェクターの“レイテンシー”

05 ノイズについて
- ノイズ源特定の難しさ
- 聴いてわかる種類のノイズ
- グランド・ループによるノイズ
- 電源でのグランド・ループ
- スイッチング・システムでのグランド・ループ
- 電源トランスは大きなノイズ源
- 無駄に長いケーブルはノイズを招く
- ケーブルの品質や接点の抵抗
- ケーブルを曲げすぎない/張りすぎない
- エフェクターの接触によるグランド・ループ
- マルチ・ケーブルを使ったグランド・ループの軽減

06 電源について
- 壁コンセントの電源
- 電源タップの性能差
- パワー・ディストリビューターの性能差
- ACアダプターの種類
- ACアダプターにおける過電流
- パワー・サプライの性能差
- パワー・サプライで起こるグランド・ループの対処
- 近年はアイソレート・タイプのパワー・サプライが増加
- デイジー・チェーン・タイプの電源ケーブル
- 電源関係のケーブルの取り回し
- デジタル・エフェクターとアナログ・エフェクターの混在
- インジケーターLEDの追加によるノイズ
- 電圧が低い場合の問題と対処法
- スライダック使用時の注意点
- 昇圧トランスの使用
- 理想的な電源を作り出す機器
- 電源から混入するサージ・ノイズ
- 家庭用電源の電圧降下
- 電源の周波数の違い
- 基本的な対処の積み重ねこそ重要

07 MIDIについて
- MIDIの基本
- MIDI端子の種類
- エフェクターへ送信するMIDI信号は一方通行
- MIDIをどう使うか
- MIDIのトラブル・シューティング
- MIDI 2.0の楽器業界への影響

08 ライン出力について
- ライン出力前提のシステム構築
- ライン出力ならどこでも同じ音が鳴るのか?
- ラインでの音作りの注意点
- ステレオ・ライン出力について
- プロの現場では“イヤモニ”が普及
- ライブ現場の音をどうジャッジするか?

- 用語解説
第2章 システム構築の概要
01 システム全体の構想
- システム構築の構想、計画の立て方
- コンパクト・エフェクター数個を並べる場合
- 大規模なシステムを構築したい場合
- 余裕のあるシステム作りを心がける
- 拡張性を確保する

02 ペダルボード製作の注意点
- ペダルボードの選択の仕方
- ボードの“フチ”にも要注目
- マジックテープの貼り付け
- 配線の固定について
- 電源の配置と選択
- 操作性にも要注目!

03 ラック・システム製作の注意点
- ラックを組む際は固定をしっかり
- ラックケース選びのポイント
- ラック・システムにおけるディストリビューターの重要性
- ラック・システムの現状

COLUMN 良い音を出すためのヒント集
- ビンテージ機材は音が良いのか?
- アンプへの入力レベル
- 楽器だけでなく、身体全体を鳴らす
- マット・スコフィールドのEQ術
- エフェクターの接続順が生む新たな効果
- 倍音のコントロール
- バンド・サウンドの面白さ
- デジタル機器のバックアップについて

第3章 システム構築の実例
- 対談 菰口雄矢×二家本亮介
- 菰口雄矢 システム解説
- 二家本亮介 システム解説
- 写真で解説 ペダルボード構築の手順とポイント
○STEP1 使いたい機材を決める
○STEP2 レイアウトを検討してボードを用意
○STEP3 DCケーブルの配線
○STEP4 オーディオ・ケーブルの配線
○STEP5 エフェクターと配線の固定
○STEP6 仕上げのラベル貼り
○FINISH 完成!
○MAINTENANCE ペダルボードのメインテナンスと保管



- さいごに
- 増補改訂版 あとがき
- 筆者プロフィール
林 幸宏(はやし ゆきひろ) プロフィール
1968年生まれ。三重県出身。1991年に芝浦工業大学卒業後、楽器/プロ・オーディオ関連企業にて、楽器/プロ・オーディオ機器の設計やメンテナンス、ミキシング・コンソールの設置、レコーディング・スタジオのシステム設計などを経験。1991年から1997年までは技術者としての活動だけでなく、ギター・テックとしてレコーディングやライブ現場でのキャリアを積む。1997年、大手電機メーカーに入社後、音響ホール向けカスタム・ミキサーの設計、デジタル・コンソール、デジタル・アンプなどの開発/設計を担当。
2002年、(有)フリーザトーンを設立、代表として就任。日本の著名ミュージシャンのシステム設計を幅広く手がけ、FREE THE TONEの名を業界に広める。2011年、(有)フリーザトーンのオーナーおよび代表取締役に就任。

ギタリストとベーシストのためのシステム構築マニュアル 増補改訂版
林 幸宏(著)
| 品種 | 書籍 |
|---|---|
| 仕様 | A5判 / 224ページ |
| 発売日 | 2026.10.21 |
| ISBN | 9784845644971 |