ギター・マガジン2020年11月号で敢行した奏法企画『スティーヴィー・ワンダーから学ぶ、コード進行の極意』。本誌が発売した直後、スティーヴィー・ワンダーから新曲2曲のリリースがアナウンスされた。うぅ……本誌でできなくて悔しい!! ということで、そんな時はギタマガWEBの出番です! 最新楽曲の中から、ゲイリー・クラークJr.が参加した「Where Is Our Love Song」のコード進行を学んじゃいましょう(来たる新アルバムにも期待!)。
文/採譜=安東滋 浄書=Seventh
「Where Is Our Love Song (feat. Gary Clark Jr.)」
さり気なく魅せるグッド・ハーモニー
スペシャルな閃きを発散させるグッド・ハーモニーを自在に操る天才スティーヴィー・ワンダー。以下にあげたのは、4年ぶりに発表された新曲のイントロからBメロまでの和音展開をモデリングしたコード譜です(註1&2)。
Aメロ中盤に登場する“一時転調”的なコード展開(*1)、それに続くセカンダリー・ドミナント絡みの“ツー・ファイブ”(*2)など、ナチュラルな和音展開の中にもリスナーの耳を「おっ☆」と惹きつけるナイスなコード展開が組み込まれています。
例によって、キー=D♭の難しい設定(鍵盤楽器で弾くと黒鍵が山盛りのキー)ですが、これも“スティーヴィーあるある”ですね(笑)。譜例後の間奏パートからはAメロと同様のコード展開がキー=E♭に転調されて進行していきますが(*3)、この前半までのコード進行がわかればきっとエンディングまでたどっていけると思います。
完奏にトライしてみて下さい!
註1:譜面に記入したフォーム図は、原曲のコード感をギター1本で体感できるようにモデリングしたものです。
註2:分数コードの分母側に和音としての基本スタンスがある場合の度数表示については、分母側をローマ数字で記入しています。
*1:G♭(Ⅳ)のコードを一時的なトニック(Ⅰ)の和音と仮想し、その“仮トニック”にセカンダリー・ドミナント=G♭7の機能を含ませて【Ⅰ→Ⅱm7→Ⅲm7(♭5)→Ⅳ】の流れでダイアトニック的に進行させていく“一時転調”的なアイディア。
*2:続くE♭m7に向かって進行するセカンダリー・ドミナント=B♭7を【Ⅱm7(♭5) →Ⅴ7】の形にツー・ファイブ分割した和音展開。
*3:曲中盤の間奏パートから全音上のkey=E♭に転調。その繋ぎ目には新keyのドミナント7thであるA♭(onB♭)が置かれています。
『ギター・マガジン2020年11月号』
特集:横山健
[KEN YOKOYAMA]
本記事の元となった『スティーヴィー・ワンダーに学ぶ、コード進行の極意』はギター・マガジン2020年11月号に掲載! 「Sir Duke」や「Don’t You Worry ‘Bout A Thing」などの名曲からコード進行のアイディアをたっぷりと学びましょう!