T-SQUARE『FLY! FLY! FLY!』の弾きどころ。 T-SQUARE『FLY! FLY! FLY!』の弾きどころ。

T-SQUARE『FLY! FLY! FLY!』の弾きどころ。

安藤正容にとってT-SQUARE最後の作品となる『FLY! FLY! FLY!』。ここでは作品中のプレイから厳選して参考譜例をお届けしよう。今回は安藤作曲の2曲にフィーチャーした。ギターを手に最新作を聴きながら、ぜひトライしてみてほしい。

譜例作成/解説=石沢功治 作品解説=近藤正義 写真=小原啓樹

『FLY! FLY! FLY!』

次世代へ引き継ぐT-SQUAREスタイル

THE SQUAREとしてのデビューから43年。T-SQUARE通算48枚目となるオリジナル・アルバム。同時に、リーダーとしてバンドを牽引してきた安藤正容にとって在籍最後のアルバムとなる。

全9曲中6曲を作曲しているのが最も若いメンバー、板東慧(d)。彼の楽曲が柱となり、昔からのスクエアらしさを醸し出しながらもうまくアップデート感を盛り込んでいる。そして安藤の作曲した2曲は、現在も進化する彼のギター観が表出した楽曲だ。2020年に対談した河野啓三も作曲で1曲参加。曲/演奏/録音3拍子そろった、安藤を送る作品としてふさわしい傑作。

ストレートで力強いアルペジオ・リフ

「Only One Earth」のイントロで聴ける低音リフを土台に作成してみた(参考タイム0:32〜0:40)。基本的にこの4小節のコード・パターンが曲を支配していて、安藤の曲にしては、これまでにないストレートな構成が見て取れる。


シンプルだがメロディアスなテーマ

「Only One Earth」でのテーマ弾きの出だしをシミュレートしたもの(参考タイム1:11〜1:20)。Aメジャー・スケールによるメロディアスな旋律が展開されている。2弦9fから弾き始める、7フレット・ポジションの可能性もあり。


美しさを感じるブルージィなソロ入り

「Only One Earth」でのソロの冒頭部分を下地にスケッチ(参考タイム3:42〜3:51)。F♯マイナー・ペンタによるブルージィな節回しが特徴的。また、そんな中で織り交ぜられる3小節目後半での2弦9f=G♯の9thの響きが実に生きている。

テクニカルなソロだが、かつてなくエモーショナル

「The Hotrodder」に登場するソロ後半8小節を素材に模してみた(参考タイム2:18〜2:30)。ソロ・パートのみEに転調するが、臨時記号が少なくなるので、曲全体のキーであるBマイナー(♯がふたつ)で記してある。12フレット・ポジションでのEマイナー・ペンタ主体によるロックな節回しが炸裂していて、3小節目からワウ・ペダルを用いることによってワイルドさも増幅している。キーボードの内声の動きからご覧のコードにしたが、E一発で捉えてかまわない。

作品データ

『FLY! FLY! FLY!』 T-SQUARE

T-SQUARE Music Entertainment Inc./OLCH10022-23/2021年4月21日リリース

―Track List―

01.閃光
02.FLY! FLY! FLY!
03.Only One Earth
04.Quiet Blue
05.Brand new way
06.Growing Up!
07.The Hotrodder
08.回帰星-kaikiboshi-
09.Joy Blossoms

―Guitarist―

安藤正容