ギター・マガジン2022年9月号では、ジョニー・デップとのコラボレーション・アルバム『18』を発表したジェフ・ベックをフィーチャー。本誌特集と連動して、ジェフ・ベックのゲスト参加作品(共演作も含む)をプレイリストで紹介しよう。ジャンルなど気にもかけず、どんな音楽性でも個性の塊のようなギターを弾くジェフの名人芸を味わうべし!
文=近藤正義 Photo by Aaron Rapoport/Corbis/Getty Images
ジェフの個性、誰とやろうが薄まらず。
ギター・マガジン2022年9月号(8月12日発売)のジェフ・ベック特集にて、“とにかくギターがカッコいいジェフ・ベックの客演20”、“同業者=ギタリストとの共演から見るジェフの姿勢”というコーナーが設けてある。このたび、その記事に連動したプレイリストをApple Musicで作成。誌面の楽曲解説も読みながら、ぜひ聴いてみてほしい。
ジェフ本人のリーダー・アルバムはたくさんリリースされているので、当然のことながらジェフのギターを聴きたければそれらを聴けば済むわけである。それなのに、なぜわざわざほかのアーティストのアルバムに客演した録音物を探してまで聴きたいのか? それは、ジェフ・ベックというギタリストがその長いキャリアの中で常に他者との共演を原動力として前進してきたからだ。言い換えるなら、他者との共演こそがジェフのやる気を喚起させてきたということになる。そこに気がつけば、我々にとってジェフのリーダー作品とゲスト参加作品との間に境界線はない。要は、主導権がどちら側にあるか、という違いだけである。
ただし、ゲスト参加作品には、ジェフ本人のプロデュースではないだけに、出来上がりとしてはピンからキリまであるので気をつけよう。あまりジェフらしくないプレイだったり、ソロが短かったり、ギターのミックスが控えめだったり、そういうジェフ度の低い作品もあることは事実だ。リーダー作を擦り切れるまで聴いたファンにとってはそれでもありがたいのだが……。
一方、リーダー作と変わらないほどジェフ度の高いゲスト参加作品もある。そこにはリーダー作にはないスリルが展開されていたりするから、けっこう曲者。こういう曲を見つけた時の喜びはまさにファン冥利に尽きるわけだ。そこで今回は、興味を持たれた方々へのリスニング・ガイドとして、とびきりジェフ度の高い客演作品たちをプレイリストにした。
選曲は1970年代から2020年代まで幅広い時代を対象にしつつ、一聴してジェフだとわかる曲ばかりをチョイスした。中には、人様のしかも歌モノのレコーディングでこんなにジェフ・ベック流に弾いちゃって大丈夫なのか? と笑ってしまいそうな派手なプレイもある。クリーン・トーンからハード/ヘヴィなディストーション・ギターまで、あのなんとも言えない独特なジェフの節回しやトーン・ニュアンスなどを感じるには十分の楽曲群だろう。
それに加えて、プレイリスト後半に据えた“ギタリストのアルバムに客演した”5曲も必聴だ。これがまた、強烈で素晴らしいテイクばかり。ギタリストとの本格的な共演はジェフのリーダー作では存在しないので、こういう形で探して楽しむほかない。
以上これら珠玉の21曲(誌面では25曲紹介したが、サブスク非対応のものもあった。あしからず)。ジェフ度の高さとしては、ジェフのリーダー作に収録されていてもおかしくないレベルの曲ばかりで、きっと彼の個性の強さに改めて驚かされるだろう。ポール・ロジャースの有名なコメントである“世の中には2種類のギタリストしかいない。ジェフ・ベックとそれ以外のギタリストだ”。これにも納得がいくはずである。
ギター・マガジン2022年9月号
『JEFF BECK WITH……』
表紙特集はジェフ・ベック! ジョニー・デップとの意欲作『18』を急遽リリースしたジェフ・ベック。彼の創作意欲を駆り立てる共作者たちを総まとめ。