ディープなサイケは普段聴くにはちょっとヘヴィ。でも特有の浮遊感はほど良く味わいたい。そこで今回は、1960年代後半に星の数ほど生まれたサイケ・ポップのナンバーから、現代のチルアウト的な解釈で気持ち良く聴けるギター・サイケ・ポップをセレクト。ダウナーなサウンドは極力排除し、とにかくくつろいで聴けるものを選んでみました。
文/選曲=山本諒 Photo by Getty Images
ほどよいサイケ感を心地良く。
最近は台風や寒い日など荒天も目立ちますが、10月といえば秋本番。夏のうだるような暑さから解放され、涼しい風や暖かな日差しに心地良さを感じる時期ですよね。そんな日にピッタリな、ややマニアックなプレイリストを作ってみました。題して、“チルアウト・レトロ・サイケ・ポップ”だ!
サイケデリック・ミュージックというと、おもにロックのフィールドだったらブチブチに歪んだファズ・ギターだとか、オルガンのどぎつい響き、リバーブを思いっきり効かせたアンサンブルなど、わりかしディープな世界観をイメージしますよね。じっくり聴き入る分には最高ですが、普段聴きするにはちょっと重たい。でも、サイケ特有の浮遊感はほど良く味わえるようなものを流したい。そんな人もちょっとはいるんではないだろうか!? そんな思いのもと、1960年代後半に星の数ほど生まれたサイケ・ポップのナンバーの中から、現代のチルアウト的な解釈で気持ち良く聴けるものをセレクトしてみました。ダウナーなサウンドは極力排除し、とにかくくつろいで聴けるものを選んでいます。
ドアーズやビートルズ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ピンク・フロイドといったクラシック・ロックの殿堂も織り交ぜつつ、知る人ぞ知るサイケ・バンドの楽曲を揃えてみましたが、本プレイリストで特筆すべきはストロベリー・アラーム・クロック。西海岸発、1967年の「Incense and Peppermints」という曲がヒットしたサイケ/ソフト・ロック・バンドですが、ビーチ・ボーイズばりの極上コーラス・ワークや、歪ませすぎない心地よいトーンのギター、パーカッションの多用など“チルな”サウンドが実に特徴的です。
それでこのバンド、サイケ・グループにしては質の高いギター・プレイがたくさん入っているのですが、それもそのはず。ギタリストはのちにレイナード・スキナードに加入する名人、エド・キングです。伸びやかなロング・トーンを混ぜたフレーズ作りの妙、ファズに頼りすぎない音作りなど、素晴らしいプレイを多数聴くことができます。未聴の方はぜひ、ストローベリー・アラーム・クロックも合わせてチェックしてみて下さい。