Page not found https://guitarmagazine.jp 月刊誌『ギター・マガジン』が展開するWEBメディア。通称ギタマガWEB。アーティスト・インタビュー、ギター、アンプ、エフェクターといった機材情報、奏法解説やフレーズ分析などなど、すべてのギタリストに向けた情報をお届けします。For All Guitar Players. Thu, 28 Mar 2024 03:44:14 +0000 ja hourly 1 島袋優(BEGIN)に聞く、初のソロ・アルバム『55rpm』のアレンジと“スライドの流儀” https://guitarmagazine.jp/interview/2024-0328-masaru-shimabukuro/ Thu, 28 Mar 2024 11:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=378308

BEGINのギタリスト、島袋優が初のソロ・アルバム『55rpm』をリリースした。親交のあるミュージシャたちに“島袋優という人間を使って、音楽で遊んでほしい”とオファーをして完成した本作のギターには、彼のルーツであるブルースや沖縄音楽はもちろん、ハワイアンやレゲエ、ラテンまで、様々なアプローチが詰め込まれている。そんな新作のアレンジの話に加え、彼の代表的なプレイ・スタイルの1つである“スライド”についても深く話を聞いた。

インタビュー=福崎敬太

“島袋優っていう人間を使って、音楽でたくさん遊んでほしい”

初のソロ・アルバムである『55rpm』は歌モノの作品ですが、ギターはどのような立ち位置で考えていましたか?

 ギターありきではありましたね。ただ、僕はブルースがめっちゃ好きで、自分が作る曲はそういう曲を中心にやろうと思っていたんです。とにかくそういうギターが弾きたくて、最初はどブルースみたいな曲を作っていたんですよ。

 そしたら、全然歌えなくて。コブシとかそういうニュアンスが全然出せていなくて、ダサくなっちゃうんです。

ブルース愛が強くて、自分の声に納得できなかった?

 それもあるかもしれない。(比嘉)栄昇が歌っているイメージで自分でも歌ってみるんだけど、ああいうふうには全然表現できていなくて。“うわ、どうしよう”っていうところから、自分が作る曲に関しては始まったんです。

歌が大きな鍵になっていったんですね。

 そもそもBEGINをやっていて、自分がボーカルをやるっていうのを全然考えたことがなかったんですよ。「海の声」(2015年)がauのコマーシャルで使われて、栄昇から“優、この曲はお前が歌え”って言われて歌ったのが、自分がメインで歌う初めての曲ぐらいで。まぁ、アルバムで1〜2曲歌うっていうことはありましたけど。

 とにかく、ボーカルのとらえ方がや考え方が、アルバムの制作に入ってから180度変わったんです。それで、今自分の歌が一番表現できるメロディで作っていって、それと平行してどブルースみたいなギターがちょっとずつ減っていくわけですよ。アレンジによって入れたりはしましたけどね。

そのアレンジはどのように進めていったのですか?

 まず自分がアレンジしたものに関しては、どうやったら自分のボーカルが活きるのか、どういう表現をしたら聴いてくれる人に届くような歌い方ができるのかを考えて。ギターも含めて、何回もやり直しをしながら作っていきましたね。

 例えばスキマスイッチの(大橋)卓弥が書いてくれた「貝がらの唄」は、もとはバラードだったんです。で、まずデモテープが届くんですけど、もうスキマスイッチなんですよ(笑)。

デモでは大橋さんが仮歌を入れているんですか?

 そうなんです。だから“うわ〜、やばい! 俺、ここまでのクオリティ出せるかな……”みたいなプレッシャーがあって(笑)。でも、自分なりのアプローチでアレンジをすれば、きっと面白くなるはずだって思って、ちょっとハワイアン・レゲエっぽい感じにしたんです。

アレンジをほかの方にお願いした曲については?

 それは本当に完全にお任せでやっていました。みんなには“島袋優っていう人間を使って、音楽でたくさん遊んでほしい”っていうオーダーしかしていないんですよ。

 キヨサク(MONGOL800)がアレンジしてくれた「シージャー GO GO!」は、初期の頃のモンパチっぽい感じになっているのが面白いなって思ったり。

 あと、NAOTO(ORANGE RANGE/g)がアレンジしてくれた「タピオカとパンケーキ」は、彼が作ったベーシックから展開していったりもしましたね。

 オケに仮のボーカルを入れに行った時に、“アタマにプロローグみたいなパートをつけたいな”って話をしていたんですよ。“スパニッシュ・ギターみたいなものを入れて、HIROKI(ORANGE RANGE/vo)にインチキ・スペイン語でやってもらおうか?”みたいな話になって。そこで“いや、アルベルト(城間/DIAMANTES)がいるじゃん!”ってことで、すぐにお願いして冒頭のスペイン語を入れてもらったり(笑)。

“こういうメロディがきてほしい”ってイメージして、コード進行をつけたりしています

「ラブソングを歌ってみるよ」のソロは儚く歌い上げるメロディですが、どのように考えていきましたか?

 実はギター・ソロを組み立てる時、最初は全部アドリブから入るんですよ。とにかくスタジオに入って、その時に感じたものを一度バーっと弾いて、それでどんどん決め込んでいく。

 ただ、アドリブで出てきたフレーズを組み合わせているから、すぐ忘れちゃうんです(笑)。ライブをやる時にまた思い出さないといけない。

 このソロは、トレモロをかけないと、歌詞の内容とギターがリンクしない感じがあって。ローズのトレモロとぶつからないか心配だったんですが、やってみたら案外いけましたね。

アドリブを弾く時に、コード進行やスケールについてはどの程度意識していますか?

 うーん……でも、伴奏のコード進行は自分で決めているじゃないですか。その時に、“こういうメロディがきてほしい”っていうものを目指して、コード進行をつけたりしています。ハーフ・ディミニッシュからマイナーにいくようなところも、フレーズはまだ頭の中でも聴こえていないけど、“ここで泣きのギターが入れられるな”っていうイメージで進行を作っている。

 例えば、「今日は明日のイエスタデイ」はサビだけEからGに転調するんですけど、間奏で徐々にGまで転調させようっていうイメージの組み方で。マーヴィン・ゲイの「What’s Going On」の世界観をもう少し細かくとって、少しずつEからGに転調していくようなことを考えていたり。で、それを考えてからフレーズを考えていく。

なるほど〜、ソロの流れをイメージしたコード進行を組むことから始まるんですね。

 そうですね。ただ、BEGINの場合はヘッド・アレンジが多いので、ピアノもギターも一緒にやるから、もっとざっくりしていると思う。“ギター・ソロはこういうコード進行で”って言うこともありますけど。

 今回は“ギターでどうやって届けられるようなメロディになるかな”っていうことを考えて、普段よりもそういう意識があったかもしれないですね。もちろん、あえて歌のコード進行をそのまま使っていることもありますし。

「シージャー GO GO!」や「青のまま」、「歓びのブルース」は、ブルースやブルース・ロックを基調にしたアプローチです。ブルージィな音使いでプレイする時に考えていることはありますか?

 僕は音楽やギターを習ったことがなくて、いまだに譜面があまり読めないんですよ。一度ジャズを勉強しようと思って教則本を買ってきたんですけど、もう全然……(笑)。そういうくらいなので、感覚でしかないんですよね。

 例えばキーがGの曲で、Am7からD7に戻る時に、Aマイナーのアルペジオでメロディを弾いて、GマイナーにいったりEマイナー(Gメジャー)にいったり。そういう普通のブルースやジャズの奏法があるじゃないですか。その感じを沖縄の感じとごちゃまぜにできないかなって思っていた時はありました。メジャー・セブンスとセブンスを面白く混ぜたくて、めっちゃ考えていましたね。「島人ぬ宝」(2002年)ではうまいことやれたかなって思っているんですけど。

 ただね、自分が今まで聴いてきた音楽の感覚、“ここにいったら泣ける”とか、そういう感覚でしか弾いていない気がします。

本当にスライドが好きでめっちゃ聴いてきたんです

ソロや上モノのアプローチだと、スライドも島袋さんの定番アプローチだと思います。「ドミナント色のレコード」だとブルージィだけどキャッチーな、内田勘太郎さんのような雰囲気があったり。

 勘太郎さんのスライドにはめちゃくちゃ影響を受けましたよ。一度2人で(ギター・デュオ“Two Tones”として)ツアーを回ったこともあって。僕の中でアイドルのような存在だったので、凄く影響を受けたし、色んな刺激を受けましたね。

「converse」だとメイン・メロはキャッチーで、シモブクレコードの「Come back Jerry!!」(2009年/『Looking South West』収録)だとデュアン・オールマンっぽい感じもあります。

 よく知ってますね(笑)。

スライドで影響を受けたのは勘太郎さん以外にどういうギタリストがいますか?

 それこそデュアン・オールマンはめっちゃ好きだし、ジョニー・ウィンターみたいな激しいのも好きです。で、一番影響を受けたのはライ・クーダーかな。

 本当にスライドが好きでめっちゃ聴いてきたんです。スライド・ギターだけを集めたマニアックなレコードがあって、それを聴いたり。

どのように今のスライド・スタイルは作られていったのでしょうか?

 もちろん黒人ブルースマンのオープンGやオープンEのスライドも好きなんですが、いまだに研究中なのはペダル・スティール。自分なりに一生懸命やったんだけど、やっぱりあのニュアンスはあれでしか出せなくて、行き着いたのが普通のラップ・スティールだったんですよ。チューニングも色んなものを見ながら勉強してやって。

 たぶん、そういったものの集大成として、今のスタイルに行き着いたんですよね。ブルージィだし、ハワイアンっぽさもあるような。

スライド・バーは小指につけてピックで弾いていますが、バーをはめる指やピッキング、チューニングなどのセットアップは曲によって変わりますか?

 普通のコードも弾きやすいように小指につけていたんですけど、レコーディングでスライドしか弾かない時も小指につけてしか弾けなくなっちゃいましたね。

 で、右手だけはたまに指じゃないと雰囲気が出ない時があって。ピックだとコンって鳴ってしまう時とか、2弦を弾きたいのに1弦と3弦も共鳴しちゃったりする時とかは指で弾いたりします。だから、スライドは右手が難しいと思います。

 チューニングはオープンGにしたり、1弦だけDに落としたりしますけど、基本はレギュラーですね。オープンDとかは自分の音楽に取り入れたことはないんですよ。

ずばり、スライドの秘訣を聞かせて下さい!

 スライドって何より、自分が一番気持ち良いところでパンと止められるかどうかだと思うんですよ。あとはビブラートだと思う。押弦で言ったらハンマリング・オンみたいなプレイと、ビブラート。自分が一番気にしているのはそういうところですね。

 ニュアンスが凄く大事で、それによって大きく音楽性が変わるのがスライドの面白いところなんですよ。同じフレーズでも、緩やかに弾いたらハワイアンっぽくなったり、激しくやったらブルースっぽくなったりしますから。

ありがとうございます。では最後に、今作のギターについて一言お願いします。

 アルバムを買ってくれた人に“カッコ良いな”って思ってほしくてギターを弾いていますけど、逆に“何かカッコ悪いな”って思ってほしいところもあるんです。俺がブルースマンのギターを聴いてそうだったんけど、変なところでチョーキングが止まったり“何でここで止まるの? ちょっと低くない?”みたいなブルースっぽいニュアンスを、あえて残したりしているんですよ。そういう、へたっぴで面白くて泣いているギターを届けられたら良いなって思います。

作品データ

『55rpm』
島袋優

テイチク/TECI-1817/2024年2月21日リリース

―Track List―

  1. 今日は明日のイエスタデイ
  2. タピオカとパンケーキ
  3. ラブソングを歌ってみるよ
  4. ドミナント色のレコード
  5. シージャー GO GO!
  6. 太平洋音頭
  7. converse
  8. スターリリー
  9. 海の声 (Mighty Crown Reggae Remix ver.)
  10. 貝がらの唄
  11. 青のまま
  12. 歓びのブルース
  13. からっぽカタツムリ

―Guitarists―

島袋優、下地イサム、川満祐揮、Kuboty

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どうせ練習するならメトロノームと | ギター上達100の裏ワザ:055 https://guitarmagazine.jp/for_beginners/2024-0328-urawaza-055-lets-practice-with-metronome/ Thu, 28 Mar 2024 08:00:45 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=345465

「こんな練習方法や考え方があったのか!」……読むだけで上達する魔法のギター講座

文:いちむらまさき イラスト:花くまゆうさく
*この記事は書籍『ギター上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集』(リットーミュージック刊)の内容を転載したものです。

テンポ・キープを心がけたいなら ➡ 練習時間のほとんどをメトロノームと一緒に

 裏ワザ020でも述べたように、週に1日だけ7時間練習するよりも、毎日1時間練習する方が上達します。そして、どうせ練習するなら、なるべくメトロノームを使って練習しましょう。上記の計算で言えば、1年間に365時間練習できることになります。その365時間、メトロノームを使用した人と、まったく使用しなかった人では、差が出ることは理解できますね。

 もちろん、練習の中には、本番同様にメトロノームなしでする練習もありますので、現実には“すべての時間で”というのは無理ですが、普通の練習をしていく際には、なるべくメトロノームを使用しましょう。そのためには、常に自分が普段ギターを弾く場所から手の届く位置にメトロノームを置き、いつでもスイッチが押せる状態にしておくことです。

 もちろん“メトロノームで練習する”の次の段階として、“メトロノームで練習して録音して聴いてみる”を行なえば、さらに向上します。

イラスト

『ギター上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集』

著者いちむらまさき
品種電子書籍
発売日2006.05.17
ISBN9784845613168

いちむらまさき プロフィール

岐阜出身のギタリスト&ウクレリスト&ライター。音楽制作、ソロ・ギター・スタイル、インストラクターなどで活動。

様々な雑誌に記事を書きつつ、『ギター・コードを覚える方法とほんの少しの理論』、『楽譜を見えるのがうれしくなる方法とプレイに直結させるコツ』、『音楽理論がおもしろくなる方法と音勘を増やすコツ』、『コード進行を覚える方法と耳コピ&作曲のコツ』、『ピアノでコードを覚える方法とほんの少しの理論』、『ギターを弾いているだけで音感がアップする方法』、『ブルース・ギターをはじめる方法とプレイ幅を広げるコツ』、『ギター・スケールを覚えないでアドリブをはじめる方法』、『ウクレレのお手入れ&お手軽カスタマイズを楽しむ本』、『ジャズコで聴き比べる歪みエフェクター97』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本 リズム強化編』、『ギター上達100の裏ワザ』、『ギター作曲100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDエレクトリック・ギター』、『アコギ上達100の裏ワザ』、『耳コピ上達100の裏ワザ』、『ライブ上達100の裏ワザ』、『ウクレレ上達100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDウクレレ』、『気づいた人から上手くなる! ギタリストのハテナに答えます!』、『ギターで作曲する方法とほんの少しのコード理論』(すべてリットーミュージック刊)などを執筆。

東京でギター/ウクレレ楽器教室も。

◎公式サイト→https://blog.goo.ne.jp/ichimuramasaki

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プロビデンスのギター用ケーブル“F201 Fatman”がリニューアル エレキ・ギターに大切なナチュラルでファットなサウンドを提供 https://guitarmagazine.jp/news/2024-0328-providence-f201-model/ Thu, 28 Mar 2024 03:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=379323  2023年に続々とリニューアルされたプロビデンス(Providence)のシールド・ケーブル。その中からギター用ケーブルの“F201 Fatman”を紹介しよう。

Providence/F201 Fatman

 F201 Fatmanは、コンダクターに独自の芯線構成を持つNCW1 OFCを使用することなどにより、いわゆる“高級ケーブル”にありがちな余計な音の成分を排除。なおかつ原音を損なうことなく、よりナチュラルで、ギター・サウンドにとって一番大切な中低域をしっかりとカバーしたファットなサウンドを提供する。

 また、ケーブルを長く引き回した際にありがちだった高音域の低下や音痩せに対しても、強力な効果を発揮する。

 さらに超過密編組シールドとカーボン含有の導伝ビニルを使用することにより、電磁ノイズをシャットアウト。使用時につきものの床たたきノイズ、テレビやラジオなどの高周波ノイズ、モーター等から発生するノイズからサウンドを守るように作られている。

 プラグは、F201ケーブルの求めているサウンドに一番マッチしたオール24金メッキのProvidence NP-14GおよびNP-14GLを使用。

 長さは1m、2m、3m、5m、7mの5種類。プラグはS/S、S/L、L/Lの3通りが用意されている。

 そして昨年のリニューアルにより、さらに抜けが良くクリアなサウンドになったのが特徴だ。

Providence
F201 “Fatman” PLATINUM LINK GUITAR CABLE

【スペック】
●Providence with NCW1 OFC
●Conductor-Size: 0.75mm²
●Construction: 150/0.08OFC(No./mm)
●Diameter: 1.14mm
●Insulation-Thickness : 1.43mm(±0.05mm)
●Diameter: 4.00mm
●Innerr Jacket-Thickness: 0.25mm
●Diameter: 4.50mm
●Shield-Diameter: 5.00mm
●Jacket-Thickness: 0.90mm(±0.10mm)
●Diameter: 6.80mm
●Maximum conductor resistance(20°C): 23.60 (Ω/km)
●Capacitance(1kHz): Approx.100(pF/m)

【標準価格】
1.0m S/S:6,380円(税込) S/L:6,600円(税込) L/L:6,820円(税込)
2.0m S/S:6,820円(税込) S/L:7,040円(税込) L/L:7,260円(税込)
3.0m S/S:7,260円(税込) S/L:7,480円(税込) L/L:7,700円(税込)
5.0m S/S:8,140円(税込) S/L:8,360円(税込) L/L:8,580円(税込)
7.0m S/S:9,020円(税込) S/L:9,240円(税込) L/L:9,460円(税込)

【問い合わせ】
パシフィクス TEL:045-510-4060 http://www.providence.jp

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注目のキャビネット・シミュレーター搭載ペダル7選 いつでもどこでもベスト・サウンドを! https://guitarmagazine.jp/gear/2024-0328-7-featured-cabinet-simulators/ Wed, 27 Mar 2024 22:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=377355

技術の発展と共に進化を続けてきたキャビネット・シミュレーター。近年ではレコーディングだけでなくライブでも取り入れるギタリストが増え、ステージ上に実機のアンプやキャビネットを置かない現場も多く見かけるようになった。

自宅で作り込んだ音をそのまま出力できるキャビネット・シミュレーターは、スタジオやステージ、配信といった様々な場所やシチュエーションで演奏する現代のプレイヤーにとって欠かせないアイテムになっている。

ここではキャビネット・シミュレーター機能を備えた注目のペダル7機種を、ギタリスト青木征洋にレビューしてもらった。

撮影:八島崇
*本記事は、ギター・マガジン2024年4月号の「いつでもどこでもベスト・サウンドを! キャビネット・シミュレーターの世界」を抜粋・再編集したものです。

青木征洋 プロフィール

青木征洋

あおき・まさひろ●作編曲家/ギタリスト/エンジニア。代表作に『ストリートファイターV』、『ベヨネッタ3』、『戦国BASARA3』などがある。自身が主催し、アーティストとしても参加するG5 Project、G.O.D.では世界中から若手の超凄腕ギタリストを集め、『G5 2013』はオリコンアルバム・デイリーチャート8位にランクイン。またMARVEL初のオンライン・オーケストラコンサートではミキシングを務める。

strymon
IRIDIUM

strymon/IRIDIUM

OVERVIEW

定評あるリバーブ・アルゴリズムとステレオIRが豊かな響きを生む

 独自のモデリング技術、Matrix Modelingによる3種類のアンプ・モデルを搭載し、アンプごとに3つのキャビネットIRを切り替えて使うことができるペダル。

 IRはステレオで、24ビット/96kHz(500ms)の高解像度ファイルを採用している。IRローダーのstrymon Impulse Manager(Mac/Windows)を使うことで、外部IRの読み込みも可能だ。

 DRIVE、LEVEL、BASS、MIDDLE、TREBLEといったパラメーターのほか、ルーム・アンビエンスを付加することができるROOMを装備。アーリー・リフレクションのIRと、残響テールを生むstrymonのリバーブ・アルゴリズムを組み合わせることで自然な響きを再現している。

リア・パネル
リア・パネル。左からIN、OUT L、OUT R、EXP/MIDIの入出力が並ぶ。インプットもステレオ(TRSフォーン)に対応しており、入力信号に合わせてMONO/STEREO/SUMを切り替えることが可能だ。フロント側にはヘッドフォン・アウトが備わっている。

AOKI’s IMPRESSION

こだわって収録されたIRによって音作りに迷うことがない。

 どのIRも“ここだ”とこだわったマイク・セッティングで録られているのを感じました。マイク位置などは調整できませんが、パラメーターが絞られていることで迷わずに音作りができるので、まさにキャビシミュ初心者にオススメできるモデルです。

 なによりstrymonのリバーブ・アルゴリズムが内包されているのが魅力だと思います。

 少しこだわりが出てきたら、外部IRを使ってみるのも良いかもしれませんね。

strymon
IRIDIUM

【スペック】
●搭載キャビネット・モデル数:9(アンプ・モデルごとに3種類、外部IR対応)
●コントロール:DRIVE、AMP(round/chime/punch)、CAB(A/B/C)LEVEL、BASS、MIDDLE、TREBLE、ROOM、FAVスイッチ、ON/OFFスイッチ、STEREO入力設定(MONO/SUM)
●入力端子:インプット(フォーン)EXP/MIDI(TRSフォーン)
●出力端子:アウトL(フォーン)、アウトR(フォーン)、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・ミニ)
●電源:9VACアダプター(別売り)
●外形寸法:102(W)×67(H)×117(D)mm(突起部含む)
●重量:450g

【価格】
オープン・プライス(市場予想価格56,000円前後)

【問い合わせ】
オールアクセス https://allaccess.co.jp

BOSS
IR-200

BOSS/IR-200

OVERVIEW

150以上のキャビネット・モデルから2基同時使用が可能なIRペダル

 2基のカスタムDSPを備えたアンプ&キャビネット・シミュレーター。プリアンプには往年の機種から同社のMDP技術を採用したものまで、多彩なモデルを用意している。

 キャビネットには、144のBOSSオリジナルと10のCelestionによるステレオIRデータを収録(外部IRも読み込み可能)。キャビネットAとBで異なるIRを同時使用できるのもポイントだ。

 そのほか、ノイズ・サプレッサーやEQ、アンビエンスといったエフェクトを内蔵しており、センド&リターンで外部エフェクターを使用することもできる。

 2系統あるアウトへのルーティングも柔軟で、PAとステージへ違ったサウンドを送出することも可能だ。

リア・パネル
リア・パネルにはインプット、センド、リターン、アウトプットA&B、MIDIイン&アウトがスタンバイ。
サイド・パネル
左のサイド・パネルにはAUXインとヘッドフォン・アウト、フット・スイッチやエクスプレッション・ペダルを接続するCTL1,2/EXP端子、USB端子(マイクロB)が並ぶ。

AOKI’s IMPRESSION

マイクごとの多彩なIRによってサウンドの違いを学べる1台。

 BOSSオリジナルだけでなく、スピーカー・ブランドであるCelestionのIRが入っているのがポイントで、個人的には後者のサウンドが好みでした。

 マイクの種類ごとにバリエーションがあって、この1台でマイクによる音の違いを学ぶことができると思います。

 アンビエンスではルームとホール・リバーブ、アンビエンス・マイクのシミュレートを選んで響きを調節できるのも便利。拡張性あるI/Oも好印象です。

BOSS
IR-200

【スペック】
●搭載キャビネット・モデル数:154(+ユーザー最大128)
●コントロール:MEMORY、AMP、CABNET、AMBIENCE、MENU、EXIT、GAIN、LEVEL、BASS、MIDDLE、TREBLE、フット・スイッチ×2
●入力端子:インプット(フォーン)、リターン(TRSフォーン)、AUXイン(ステレオ・ミニ)、CTL 1, 2/EXP(TRSフォーン)、MINIイン(ステレオ・ミニ)
●出力端子:アウトプット(A/MONO、B/共にフォーン)、センド(フォーン)、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・ミニ)、MIDIアウト(ステレオ・ミニ)
●電源:ACアダプター
●外形寸法:101(W)×65(H)×138(D)mm
●重量:660g

【価格】
オープン・プライス(市場予想価格44,000円前後)

【問い合わせ】
ローランド https://roland.cm/contact

ZOOM
G2 FOUR

ZOOM/G2 FOUR

OVERVIEW

3種類のIRを動的にブレンドするマルチレイヤーIR機能を搭載

 22種類のアンプ&キャビネットと79種類のエフェクトを内蔵したマルチ・エフェクター。同シリーズのG1 FOUR/G1X FOURから大きく進化したのが、新たにマルチレイヤーIR機能を搭載したキャビネット・シミュレーター部だ。

 実際のキャビネットは、再生されるギター音の音量に合わせてコーンの鳴り方が変わるが、1つのIRファイルのみではその挙動まで再現することは難しい。G2 FOURではギターの音量ごとに収録した3種類のIRを搭載。入力音に合わせて自動でブレンドされるようになっており、リアルなキャビネットのトーンを得ることができるようになっている。

 ペダルが備わったG2X FOURも発売中だ。

リア・パネル
リア・パネルの端子群。左からインプット、AUXイン、アウトプット×2(RIGHT、LEFT/MONO)、エクスプレッション・ペダル用のコントロール・イン。本体左側面にはヘッドフォン・アウトとUSB-C端子が備わっている。

AOKI’s IMPRESSION

ギタリストのプレイにも影響する有機的な響きを再現できている。

 入力音量でIRが切り替わるので、強く弾いた時はひしゃげたように、弱いタッチではキラッとした部分が残り、演奏に追従して音の輪郭に変化が出てくれる印象です。単一のIRのみとは違った、リッチなリアクションが得られるシミュレーターですね。

 本来キャビネットは凄く表情豊かに音を出す機材で、その音の反応がギタリストの演奏にも影響します。そんな有機的な響きに近づいたペダルだと感じました。

ZOOM
G2 FOUR

【スペック】
●搭載キャビネット・モデル数:22
●コントロール:カーソル・キー×4(▲、▼、▲、▲)、パラメーター・ノブ×4、フット・スイッチ×3
●入力端子:メイン(フォーン)、AUXイン(ステレオ・ミニ)
●出力端子:メイン(フォーンL/R)、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・ミニ)
●電源:ACアダプター、USBバス・パワー
●外形寸法:184(W)×71(H)×145(D)mm
●重量:707g

【価格】
オープン・プライス(市場予想価格24,000円前後)

【問い合わせ】
ズーム カスタマーサポートセンター TEL:0570-078206 https://www.zoom.co.jp/ja

Two notes
Opus

Two notes/Opus

OVERVIEW

マイクの距離や角度まで追い込める膨大なIRを内包したシミュレーター

 長年ロード・ボックスやアンプ&キャビネット・シミュレーターを手掛けてきたTwo notes。同社の新製品として発表されたのがOpusだ。

 シンプルな2ノブの筐体にアンプ&キャビネット・シミュレーターの機能が詰め込まれており、アンプはプリアンプ部とパワー・アンプ部をそれぞれ設定可能。

 キャビネットはIRだが膨大なファイルを収録しており、マイクの種類(8種類の中から2本を選択可能)やキャビネットからの距離の設定、ルーム・エミュレートも行なえる。

 エレキ・ギター/ベースだけでなく、エレアコ用IRが多く搭載されているのも特徴だ。

 各設定は専用ソフトやアプリから視覚的にエディットができる。

左サイド・パネル
左側面にはMIDIイン、ヘッドフォン・アウト、AUXイン、グラウンド・リフト・スイッチ、DIアウト、ライン・アウトが並ぶ。
右サイド・パネル
右側面にアンプ/インスト/ライン・イン、スピーカー・アウト、レベル・セレクト(AMP/LINE/INST)、USB-C端子、電源端子が備わっている。

AOKI’s IMPRESSION

即戦力のサウンドが内蔵エンハンサーでさらに磨かれる。

 アンプ部がプリとパワーで別々にコントロールできるというのが良いですね。

 自前のアンプ・ヘッドを使いたい場合、センドから出すとパワー・アンプ回路を通りませんが、Opusにつないでプリアンプをオフに、パワー・アンプをオンするという使い方ができます。

 IRももちっとした質感の即戦力になるサウンドで、内蔵エフェクトのエンハンサーとの組み合わせで、より良いレスポンスを表現してくれました。

Two notes
Opus

【スペック】
●搭載キャビネット・モデル数:32(追加購入や外部IR対応、マイク切り替え可能)
●コントロール:PRESET/PARAM、VOLUME/VALUE、インプット・レベル切り替え(AMP/LINE/INST)、グラウンド・リフト・スイッチ
●入力端子:AMP/INSTRUMENT/LINE(フォーン)、MIDIイン(ステレオ・ミニ)、AUXイン(ステレオ・ミニ)
●出力端子:TO SPEAKER(フォーン)、DIアウト(XLR)、ライン・アウト(フォーン)
●電源:12VACアダプター
●外形寸法:100(W)×60(H)×121(D)mm(突起物含む)
●重量:450g

【価格】
オープン・プライス(市場予想価格58,080円前後)

【問い合わせ】
日本エレクトロ・ハーモニックス https://www.electroharmonix.co.jp

Universal Audio
UAFX OX Stomp Dynamic Speaker Emulator

Universal Audio/UAFX OX Stomp Dynamic Speaker Emulator

OVERVIEW

老舗レコーディング機器ブランドがキャビネットの名機をモデリング

 IRではなく、Dynamic Speaker Modelingと呼ばれるメーカー独自のモデリングによってキャビネット・サウンドを再現するペダル。

 本体上ではシンプルな操作のみできるが、UAFX Controlアプリ(iOS/Android)で詳細な設定が可能だ。

 往年の名機を中心とした22のキャビネット・モデルを内蔵しており、キャビネットへのマイクは6種類(+DI)から2本、ルーム・マイクは6種類から選ぶことができる。キャビネットのブレイク・アップ具合を調整するSPEAKER DRIVEも搭載している。

 また、1176を再現するコンプやEQ、ステレオ・ディレイ、モジュレーション、プレート・リバーブも使用可能だ。

リア・パネル
リア・パネルの端子。ステレオに対応するインプットとアウトプット、電源端子、USB-C端子が並ぶ。

AOKI’s IMPRESSION

圧倒的な自信を感じさせるナチュラルな響きのモデリング。

 ビンテージ機器のモデリングに定評あるブランドらしく、リアリティ重視のサウンドです。アンプ・シミュレートはないですが、その分“キャビネット部分はOX Stompに任せろ”という圧倒的自信が感じられます。

 キャビネットのマイクだけでなくルーム・マイクもとても自然な響きで、良いスタジオで鳴らしているようなサウンドです。

 やはりビンテージ・サウンドにこだわりを持つ方にオススメしたいですね。

Universal Audio
UAFX OX Stomp Dynamic Speaker Emulator

【スペック】
●搭載キャビネット・モデル数:22(それぞれでマイクの設定が可能)
●コントロール:ROOM、SPEAKER DRIVE、OUTPUT、マイク切り替えスイッチ×2(DYNAMIC/CONDENSER/RIBBON)、MIC 1、RIG(1~6)、MIC 2、フット・スイッチ×2(A、B)
●入力端子:インプット1/MONO(フォーン)、インプット2/STEREO(フォーン)
●出力端子:アウトプット1/MONO(フォーン)、アウトプット2/STEREO(フォーン)
●電源:9VACアダプター(別売り、400mA)
●外形寸法:92(W)×65(H)×141(D)mm
●重量:588g

【価格】
61,600円(税込)

【問い合わせ】
フックアップ TEL:03-6240-1213 http://www.hookup.co.jp

IK Multimedia
TONEX Pedal

IK Multimedia/TONEX Pedal

OVERVIEW

AI Machine Modeling機能で自分だけのトーンをキャプチャーできる

 実機のアンプ&キャビネット(+エフェクター)で作り込んだサウンドを精密にキャプチャーできるAI Machine Modelingを搭載するペダル。

 実機のパラメーターの動きをモデリングするわけではなく、作ったトーンをリアルに再現する技術で、IRやモデリングとはまた違った性能を発揮する。

 キャプチャーしたサウンドは“トーン・モデル”と呼ばれ、自身の機材でも生成できるほか、世界中のユーザーがトーン・モデルをシェアしており、それらをインポートすることも可能だ。

 トーン・モデル以外にも、膨大なIRを使ってマイクやルームのシミュレートが行なえるVIR機能、外部IRローダーも使用することができる。

リア・パネル
リア・パネル。インプット、ステレオ対応のアウトプット、ヘッドフォン・アウト、MIDIイン&アウト、エクスプレッション・ペダルやフット・スイッチ用端子、USB端子が備わっている。

AOKI’s IMPRESSION

使いたい音が明確に決まっているギタリストにピッタリ

 静的な表現になってしまいがちなIRとは違って、AIによるモデリングでダイナミクスや周波数特性の変化といった動的な部分をシミュレートされているように感じます。

 “この機材の組み合わせを、このパラメーターで使いたい”と、サウンドのビジョンが定まっているギタリストにはピッタリです。

 自分でトーン・モデルを作る際も、付属ソフトにガイドに従って進めるだけなので、迷わず行なえると思います。

IK Multimedia
TONEX Pedal

【スペック】
●搭載キャビネット・モデル数:1,100種類のTone Modelを使用可能(+ユーザーTone Model)
●コントロール:MODEL、PRESET、PARAMETER、GAIN、BASS、MID、TREBLE、VOLUME、フット・スイッチ×3(A、B、C)
●入力端子:インプット(フォーン)、MIDIイン、EXT.CONTROL(TRSフォーン)
●出力端子:アウトプットL/MONO(フォーン)、アウトプットR(フォーン)、ヘッドフォン・アウト(TRSフォーン)、MIDIアウト
●電源:9VACアダプター
●外形寸法:176(W)×55(H)×142(D)mm
●重量:906g

【価格】
69,300円(税込)

【問い合わせ】
フックアップ TEL:03-6240-1213 http://www.hookup.co.jp

Fender
Tone Master Pro

Fender/Tone Master Pro

OVERVIEW

フェンダーのデジタル技術が結集した初のサウンド・プロセッサー

 フェンダー初のデジタル・サウンド・プロセッサー。7インチのタッチ・ディスプレイと、回すことでパラメーター調整もできるフット・スイッチで快適な操作性を実現している。

 アンプやキャビネット、エフェクトのモデリングは100種類以上。27モデルが選べるキャビネットのIRは数千にも及び、マイクの種類や角度、距離を設定可能だ。

 マイクはギター録音で定番のダイナミック/コンデンサー/リボン・マイクのモデルを7種類用意している。

 内部のルーティングでパラレルを選べば、2台の異なるキャビネットをステレオで鳴らすことも可能。また外部IRファイルの読み込みにも対応している。

リア・パネル
リア・パネルにはマイク/ライン・インやインスト・インのほか、ループ1~4、4系統のアウト、ヘッドフォン・アウト、コントロール用端子×4、MIDIイン&スルー/アウト、micro SDスロット、USB-C端子がスタンバイ。
Tone Master FR-10
Tone Master Proを始めとする、アンプ・シミュレーターに最適化された10インチ・パワード・スピーカーのTone Master FR-10(オープン・プライス:市場予想価格77,000円前後)。12インチのTone Master FR-12(オープン・プライス:市場予想価格92,400円前後)もラインナップしている。

AOKI’s IMPRESSION

質の高いモデリングとIRで鳴らした瞬間から納得できる音。

 やはり搭載しているフェンダー・アンプのモデリングとIRの質が高いですね。最初のプリセットを鳴らした瞬間から納得感のある響きが出てきてくれました。

 キャビネットのマイキングは自由にポジションを動かせるのではなく、4×8のグリッドから指定するようになっています。

 初心者にとってはプリセットを選ぶ感覚で使えますし、上級者も経験から“このポイントかな?”と狙った音へたどり着きやすいと思いますね。

【スペック】
●搭載キャビネット・モデル数:27(外部IR対応)
●コントロール:ナビゲーション・コントロール、マスター・ボリューム、タッチ・スクリーン、ロータリー・エンコーダー兼フット・スイッチ×10、グラウンド・リフト・スイッチ
●入力端子:マイク/ライン・イン(XLR/フォーン・コンボ)、インスト・イン(フォーン)、ループ・リターン×4(1~4)、AUXイン(ステレオ・ミニ)、EXP×2(フォーン)、TOE SWITCH(フォーン)、AMP CTRL(TRSフォーン)、MIDIイン
●出力端子:アウトプット1 L/R(XLR L/R、フォーン L/R)、アウトプット2 L/R(フォーンL/R)、ループ・センド×4(1~4)、ヘッドフォン・アウト(TRSフォーン)、MIDIアウト/スルー
●電源:100~240V電源
●外形寸法:371(W)×96.4(H)×261.6(D)mm
●重量:4kg

※ファームウェア・アップデートv1.2.56が公開中(新機能追加や操作性の向上など)

【価格】
オープン・プライス(市場予想価格220,000円前後)

【問い合わせ】
フェンダーミュージック TEL:0120-1946-60 https://www.fender.com

総評

最後に、青木が考えるキャビネット・シミュレーターの現在、そしてこれからについて語ってもらった。

青木征洋
青木征洋

IRをどう扱うのか、その仕組みが洗練されてきた。

様々なキャビネット・シミュレーター・ペダルを試しましたが、いかがでしたか?

 同じ環境で一度に試聴するのはなかなかないことですし、新鮮な体験になりました。キャビネットのシミュレーターが出音に影響するのはもちろん、その前段にあるアンプなどの入力部分がキャビネット・シミュレーターへ与える影響の大きさも再認識できましたね。

近年は多くのメーカーからシミュレーターが出ていて、その価格もサイズも様々です。初めて導入する人にとっては悩みのタネですね。

 もちろん価格が上がると入出力数が多くなったり、そもそものIRやモデリングの質が上がるものが多いですが、今回試した製品たちはそれぞれの強みを持っているのが印象的でした。やっぱり世の中のギタリストの数だけスタイルがあって、それらをカバーできる製品が日々生まれているのだろうなと感じます。

 とにかく試奏して判断するのは大事ですね。キャビネット・シミュレーターはヘッドフォン・アウトがあるものが多いので、楽器店で試奏する際も違いがわかりやすいのではないでしょうか。

シミュレーターの進化というのは感じましたか?

 ギタリストにとってIRファイルをどう扱えると良いのかを考えて開発され、それが洗練されてきているのを感じました。グラフィック・インターフェースで視覚的にマイキングできるのか、逆にポイントを絞って音作りの近道にするのか……様々な考え方があると思います。

 昔であれば“シミュレートするのは3種類のみ!”みたいなものが多くありましたが、世の中のギタリストがデジタルの分野に詳しくなるのに合わせて、機材も発展してきていますよね。これからも良くなっていってほしいし、ギタリストもそれに追いついていきたいところです。

IRの質の向上については?

 IRの技術そのものに関してはそこまで大きな進化というものはないと思いますが、“レコーディングの技術や知識がある人”が各製品の開発にしっかり携わっているのだろうと感じます。

 どういうマイクを、どんな位置で、どんな場所で録るのかはIRの質に大きく関わってきますし、録る人の腕の差がでやすいでしょう。優れたスタッフがこのフィールドに参入してきているのだろうなと思います。

本来のダイナミクスを復元する技術が広まるかも。

青木さんが今回試奏する中で印象に残った製品は?

 Two notes Opusですかね。プリ/パワー・アンプのシミュレートだったり、専用アプリのデザインだったり、ユーザーのことをわかっているなと。Two notesは長年キャビネット・シミュレーターを開発してきて、ロード・ボックスのノウハウもしっかり持っているメーカーですが、プリアンプとパワー・アンプのモデリングまで加えてきたことには少し不安もあって。でも実際に試してみたところ、やっぱり彼らは良いアンプの音を判断できる耳をしっかり持っていると実感し、安心できたんです。

 あとはフェンダーのTone Master Pro。アンプ・モデリングの質も素晴らしく、キャビネットのIRも実践的なポイントで録音されていて、フェンダーの技術力の高さを体感しました。

今後、キャビネット・シミュレーターの技術はどのようになっていくと思いますか?

 録られたIRから、本来キャビネットが持っているダイナミクスを復元するような方法が広まっていくのかなと思いますね。そうなるとアンプ・シミュレーターの性能もより発揮することができますし、実機にマイクを立ててレコーディングした音と、シミュレーターからのライン音の差というのはどんどんと埋まっていくような気がしますね。

ギター・マガジン2024年4月号
横山健のギター愛

本記事はギター・マガジン2024年4月号に掲載された「いつでもどこでもベスト・サウンドを! キャビネット・シミュレーターの世界」を一部抜粋/再編集したものです。本誌ではキャビネット・シミュレーターの基礎知識など、さらに役立つ情報も紹介しています。

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yonigeを支えるバッキング・サウンドの秘密に迫る! 牛丸ありさが使用するペダルボード、アンプを解説 https://guitarmagazine.jp/gear/2024-0327-yonige-ushimaru-amp-pedal/ Wed, 27 Mar 2024 11:00:09 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=371535

yonigeの牛丸ありさ(vo,g)が使用するエフェクター、アンプを紹介! 今回掲載するのは、2024年2月11日(木)に渋谷CLUB QUATTROで開催されたライブ時に撮影したものだ。彼女のコード・プレイやアルぺジオの音色を彩る、シンプルなペダルボード&ディバイデッド・バイ・サーティーンの詳細を見ていこう。

取材/文:伊藤雅景 機材写真:大谷鼓太郎

エレキ・ギター用ペダルボード

エレキ・ギター用ペダルボード

【Pedal List】
①One Control/Iguana Tail Loop MKIII(スイッチャー)
②テック作/クリーン・ブースター
③BOSS/OD-3(オーバードライブ)
④BOSS/BD-2(オーバードライブ)
⑤テック作/オーバードライブ
⑥Zoom/MS-70CDR(マルチ・エフェクター)
⑦TC Electronic/PolyTune Mini(チューナー)
⑧BOSS/DD-3(ディレイ)
⑨Vital Audio/VA-08 MkII(パワーサプライ)

歪み&空間系をバランス良くチョイス

コンパクトにまとめられた牛丸のエレキ・ギター用ペダルボード。

ギターの信号はスイッチャー(①)のインプットへ入力され、各ループで②〜⑥を経由後、⑦〜⑧を通過しアンプへ向かう。

テック作のクリーン・ブースター(②)はクランチ用、OD-3(③)は粒が粗いディストーション、BD-2(④)は音量をプッシュするオーバードライブで、ソロなどで使用。テック作のペダル(⑤)が最も歪むペダルで、“ファズ一歩手前”なサウンドが特徴。ライブでは「スクールカースト」のオクターブ・ソロなどで踏んでいる。

空間系ペダルは⑥と⑧の2台。マルチ・エフェクター(⑥)ではホール・リバーブの“HD Hall”というモードを使用していた。

最後段のDD-3(⑧)は発振サウンド用で、曲間のつなぎなどで活躍している。

アコースティック・ギター用ペダルボード

アコースティック・ギター用ペダル・ボード

ステージ袖に用意されたアコギ用のボード。ギターからTC Electronic/Polytune 3(チューナー:左)に入力され、L.R.Baggs/Para Acoustic D.I.(DI/右)からPAへと信号が送られている。

Amplifier

Divided by 13/CCC9/15 Head & Cabinet

Divided by 13/CCC9/15 Head & Cabinet

12インチ1発のスピード感が魅力

yonigeのメジャー・デビュー記念にレーベルからプレゼントされたという牛丸のメイン・アンプ、ディバイデッド・バイ・サーティーンのCCC9/15。チューブ管をEL84と6V6GTの2種類から選べるモデルで、撮影時はEL84をセレクトしていた。

キャビネットにはセレッション製G12Mが1基搭載されている。本人曰く“とにかくレスポンスが早く、解像度が高いアンプ”だそう。

なお、使用するギターによってローディーがツマミの位置を変えており、コントロールにはそのセッティングを記すシールが貼られている。使用ギターとアンプのセッティングの組み合わせは以下のとおり。

Setting

Divided by 13/CCC9/15のセッティング。
Divided by 13/CCC9/15のセッティング。

セッティング:Fender/American Professional II Jazzmaster

  • トグル・スイッチ:EL84
  • MV(マスター・ボリューム):4時前
  • BASS:9時前
  • TREBLE:2時
  • VOLUME:10時前

セッティング:Gibson Custom/’57 Reissue Les Paul Standard

  • トグル・スイッチ:EL84
  • MV(マスター・ボリューム):10時過ぎ
  • BASS:11時過ぎ
  • TREBLE:4時
  • VOLUME:11時過ぎ

セッティング:Gibson/Dave Mustaine Flying V EXP Rust In Peace

  • トグル・スイッチ:EL84
  • MV(マスター・ボリューム):12時
  • BASS:1時過ぎ
  • TREBLE:4時前
  • VOLUME:11時過ぎ

セッティング:Gibson Memphis/1963 ES-335TDC VOS Bigsby

  • トグル・スイッチ:EL84
  • MV(マスター・ボリューム):10時前
  • BASS:9時過ぎ
  • TREBLE:2時
  • VOLUME:1時

作品データ

『Empire』
yonige

配信&オフィシャルサイトでの通販限定/YONG-0001/2024年1月10日リリース

―Track List―

  1. Super Express
  2. 愛しあって
  3. walk walk
  4. DRIVE
  5. Club Night
  6. 神様と僕
  7. スクールカースト
  8. Exorcist
  9. seed(re-recordingver.)
  10. デウス・エクス・マキナ
  11. True Romance
  12. a familiar empire

―Guitarists―

牛丸ありさ、土器大洋

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表紙は“真空管”!? ギター・マガジン2024年5月号が4月12日(金)発売! https://guitarmagazine.jp/news/2024-0327-gm2405/ Wed, 27 Mar 2024 09:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=380102

“真空管”の魅力をお届けする50ページの大特集

 2024年4月12日(金)発売のギター・マガジン2024年5月号は、“真空管”が表紙! ギタリストに愛され続ける真空管について、その魅力を徹底的に深堀りします。


 20世紀初頭に発明された増幅素子、真空管。1950年代からトランジスタが普及するに従い多くの分野では小型素子に置き換えられていったが、オーディオとギター・アンプの世界ではいまだ第一線で使用されている。真空管の何がギタリストの心を捉え続けるのか。真空管の基礎知識をギタリスト向けにわかりやすく解説し、その魅力を改めて考える50ページの大特集。

 そのほか、新作を発表したクルアンビンのマーク・スピアー特集やウィルコ来日時のジェフ・トゥイーディー&ネルス・クラインの機材紹介、ギター録音にお薦めのDAWガイドなど、ギタリスト向けの特濃情報をお届け。

 紙版にはギタリスト生本直毅&五十嵐勝人が監修した「青春コンプレックス -恒星- Live ver.」(結束バンド)のギター・スコアが小冊子として付属。また、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ来日記念企画として、往年の大名盤『Blood Sugar Sex Magik』より3曲の楽譜を掲載する。

 収録コンテンツは以下のとおりだ。

CONTENTS

特集:真空管の小宇宙

  • ギター・アンプに使われる3種類の真空管
  • 身近なアンプの真空管構成をおさらい
  • 真空管の歴史
  • 草薙正朗(アムトランス)が語る現在の真空管メーカー事情
  • Q&A形式でズバリ答えます! 真空管にまつわる38の素朴なギモン
  • 対談:アキマツネオ × 安孫子義一(ピーズ)
  • 現行管VSビンテージ管4番勝負! 林幸宏(フリーザトーン) × 篠原勝(SHINOS)
  • 真空管の未来を担うKORG Nutube
  • Line 6が挑んできた真空管サウンドのデジタル再現
  • Column
    戦争と真空管

特別付録小冊子(※電子版には付属しません)

  • アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」公式監修ギター・スコア「青春コンプレックス -恒星- Live ver.」/結束バンド

Featured Guitarist

  • マーク・スピアー(クルアンビン)

Special Program

  • ウィルコ来日公演での使用機材特集

The Instruments

  • ギタリストのためのDAWガイド

Axis’ Gear

  • ウェンズデイ

インタビュー

  • 柴田聡子&岡田拓郎

GM Selections(※電子版には掲載されません)

  • 「Under The Bridge」/レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
  • 「Naked In The Rain」/レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
  • 「They’re Red Hot」/レッド・ホット・チリ・ペッパーズ

and more…

ギター・マガジン2024年5月号
『巻頭特集 真空管の小宇宙』
2024年4月12日(金)発売

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ズレるのは4拍裏が原因 | ギター上達100の裏ワザ:054 https://guitarmagazine.jp/for_beginners/2024-0327-urawaza-054-lets-take-care-of-back-of-4th-beat/ Wed, 27 Mar 2024 08:00:49 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=345466

「こんな練習方法や考え方があったのか!」……読むだけで上達する魔法のギター講座

文:いちむらまさき イラスト:花くまゆうさく
*この記事は書籍『ギター上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集』(リットーミュージック刊)の内容を転載したものです。

テンポのズレを避けるには ➡ 4拍裏を大切にしよう

 ここで言う4拍裏とは、どちらかと言えば“裏”という点ではなく、“4”から“1”の時間のことです。裏ワザ053でも述べたように、テンポ・キープの練習をしている際に、演奏がメトロノームよりも走ってしまう人は、“4”から“1”を数え忘れがちなのです。そして、それを“走った”と教えてくれるのがメトロノームなわけです。まず、これを認識して下さい。そして、裏ワザ051に書いた、小さなテンポと大きなテンポの同時意識が重要になります。

走ってしまう人のパターン
走ってしまう人のパターン

 これを攻略するには、とにかくメトロノームで練習することです。その際、“メトロノームで大きなテンポを出して、小さな音符を弾く”、“メトロノームで小さなテンポを出して、大きな音符を弾く”など、色々なパターンで練習してみましょう。これは“遅れてしまう”という欠点の克服でもあります。

『ギター上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集』

著者いちむらまさき
品種電子書籍
発売日2006.05.17
ISBN9784845613168

いちむらまさき プロフィール

岐阜出身のギタリスト&ウクレリスト&ライター。音楽制作、ソロ・ギター・スタイル、インストラクターなどで活動。

様々な雑誌に記事を書きつつ、『ギター・コードを覚える方法とほんの少しの理論』、『楽譜を見えるのがうれしくなる方法とプレイに直結させるコツ』、『音楽理論がおもしろくなる方法と音勘を増やすコツ』、『コード進行を覚える方法と耳コピ&作曲のコツ』、『ピアノでコードを覚える方法とほんの少しの理論』、『ギターを弾いているだけで音感がアップする方法』、『ブルース・ギターをはじめる方法とプレイ幅を広げるコツ』、『ギター・スケールを覚えないでアドリブをはじめる方法』、『ウクレレのお手入れ&お手軽カスタマイズを楽しむ本』、『ジャズコで聴き比べる歪みエフェクター97』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本 リズム強化編』、『ギター上達100の裏ワザ』、『ギター作曲100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDエレクトリック・ギター』、『アコギ上達100の裏ワザ』、『耳コピ上達100の裏ワザ』、『ライブ上達100の裏ワザ』、『ウクレレ上達100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDウクレレ』、『気づいた人から上手くなる! ギタリストのハテナに答えます!』、『ギターで作曲する方法とほんの少しのコード理論』(すべてリットーミュージック刊)などを執筆。

東京でギター/ウクレレ楽器教室も。

◎公式サイト→https://blog.goo.ne.jp/ichimuramasaki

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『TOKYOハンドクラフトギターフェス2024』 5月25日・26日にすみだ産業会館にて開催 https://guitarmagazine.jp/news/2024-0327-tokyo-handcraft-guitar-fes-2024/ Wed, 27 Mar 2024 03:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=379488  アコースティック・ギターやウクレレのファンのためのイベント『TOKYOハンドクラフトギターフェス2024』が、2024年5月25日(土)と26日(日)の2日間、東京都墨田区の「すみだ産業会館サンライズホール」にて開催される。


 2005年に始まった『TOKYOハンドクラフトギターフェス』は、コロナ禍による2回の中止を挟み、今年で第18回目を迎える。

 当日の会場には75社以上の出展者が集結し、ギターやウクレレを中心とした手工弦楽器やパーツなどの展示会を実施。

 10数組のアーティストが観客の目の前でライブを展開する「SUPER ACOUSTIC LIVE2024」も開催される。

 さらに楽器の実技や理論が学べるワークショップとセミナーに加え、参加者同士が演奏を披露し合うギター大会も予定。

 初夏の週末をアコースティック・ギターやウクレレに囲まれて過ごしたい人は、ぜひこの会場に足を運んでみよう。

TOKYOハンドクラフトギターフェス2024/SUPER ACOUSTIC LIVE 2024 概要

  • 日程:2024年5月25日(土)〜26日(日)
  • 会場:すみだ産業会館8階サンライズホールおよび9階会議室(東京都墨田区JR錦糸町駅前)
  • 入場料:1,800円(税込/入場当日1日のみ有効/同伴の中学生以下無料)
  • 主催:TOKYOハンドクラフトギターフェス実行委員会

SUPER ACOUSTIC LIVE 2024 出演予定者(五十音順)

  • アポンタイム/APONTIME
  • anzu
  • 岡崎倫典
  • Karen Tokita
  • キヨシ小林&ウクレレオーケストラジャパン
  • GRAND ROYAL TOKYO
  • 椎谷求&瀬知ヨーコ
  • T.T.Cafe
  • 名渡山遼
  • 松井祐貴
  • まるやまたつや&伊藤光希
  • 矢後憲太
  • 吉川忠英
  • Luciano Ghosn

*以下の写真は『TOKYOハンドクラフトギターフェス2023』で撮影されたものです。

ワークショップ&セミナー

  • ギター・ワークショップ「ソロギター・スキルアップ講座」 by 松井祐貴
  • 詳しすぎない音楽講座「ギターとウクレレのおもしろい仕組み」 by いちむらまさき
  • ウクレレ・ワークショップ「アンサンブルを楽しもう」 by T.T.Cafe 課題曲『東京ブギウギ』
  • ウクレレ実践セミナー by 名渡山遼 課題曲 中島みゆき『糸』

スペシャル・コンテンツ

  • 来場者ライブ「素人だらけの300秒ギター大会」 by 楽器挫折者救済合宿
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イエスタデイズ・ニュー・クインテット 『アングルズ・ウィズアウト・エッジズ』/マーク・スピアーの此処ではない何処かへ|第34回 https://guitarmagazine.jp/article/2024-0327-mark-speer-34/ Tue, 26 Mar 2024 22:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=368467

現代の音楽シーンにおける最重要ギタリストの1人、クルアンビンのマーク・スピアーが、世界中の“此処ではない何処か”を表現した快楽音楽を毎回1枚ずつ紹介していく連載。

今回の1枚は、マッドリブ(MADLIB)のプロジェクト、イエスタデイズ・ニュー・クインテットのインスト作、 『アングルズ・ウィズアウト・エッジズ』。マーク曰く“ファンキーかつヒップホップな感覚”という1枚。ちなみに、ギターはほとんど入っていない。

文=マーク・スピアー、ギター・マガジン編集部(アルバム解説) 翻訳=トミー・モリー デザイン=MdN
*この記事はギター・マガジン2024年2月号より転載したものです。

イエスタデイズ・ニュー・クインテット 『アングルズ・ウィズアウト・エッジズ』
/2001年

アシッド・ジャズとヒップホップを
融合させた小洒落インスト作

アメリカのアンダーグラウンド・ヒップホップ・シーンを代表するプロデューサー、マッドリブ(MADLIB)が“イエスタデイズ・ニュー・クインテット”名義でリリースしたインストゥルメンタル・アルバム。アシッド・ジャズとヒップホップを融合させたような小洒落た作風で、ラウンジのBGMのように聴けるとっつきやすさが魅力。

ファンキーでミステリアスなヴァイブ。僕もこういうバンドをやっていたよ。

 これは確かプロデューサーのマッドリブがやっているプロジェクトだよね。彼がほとんど1人ですべてのパートをプレイしているんだ。ちなみにギターはほとんど入っていない。もうあまり気にしないでおくれ。

 このアルバムにはブラジルのリズムによる影響があり、それと同時にアシッド・ジャズのカルテットのような印象も受ける。夜のラウンジでかかっていそうだよね。

 僕は地元のヒューストンで昔、友人のミュージシャンたちとこういったサウンドのバンドをやっていて、まさしくラウンジでプレイしていたことがあったんだ。サウンドもこのアルバムに近かった。だから親近感があるというか、単純に好みなんだ。

 このアルバムはファンキーかつヒップホップな感覚があって、ドラムなんてディアンジェロみたいで最高だね。キーボードはシンプルで無駄がないし、クールなベース・ラインもある。そして、リズム的にはかなりうしろノリだよね。タイム感をしっかり刻んだドラムに対して、ほかの楽器は大体うしろ気味になっている。程度の違いこそあれどね。その少々のズレが良いムードにつながっていると感じるよ。

 それから、このアルバムはかなりオープンな作風だよね。まるで自宅で録音したような感じだから、それがまた1つの魅力となってミステリアスなヴァイブをもたらしている。全体的にモヤがかったような雰囲気がとてもクールなんだ。そこがこのアルバムの好きなところでもあるよ。

マーク・スピアー(Mark Speer) プロフィール

マーク・スピアー(Mark Speer) 

テキサス州ヒューストン出身のトリオ、クルアンビンのギタリスト。タイ音楽を始めとする数多のワールド・ミュージックとアメリカ的なソウル/ファンクの要素に現代のヒップホップ的解釈を混ぜ、ドラム、ベース、ギターの最小単位で独自のサウンドを作り上げる。得意技はペンタトニックを中心にしたエスニックなリード・ギターやルーズなカッティングなど。愛器はフェンダー・ストラトキャスター。好きな邦楽は寺内タケシ。

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エリック・クラプトンにとって、フェンダー・ストラトキャスターとはどんな存在なのか https://guitarmagazine.jp/gear/2023-0326-why-eric-clapton-play-stratocaster/ Tue, 26 Mar 2024 11:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=377492

キャリアの初期には様々なギブソン・ギターを愛用したエリック・クラプトンだが、ソロ転向後の彼のそばには常にストラトキャスターがあった。今回はエリックがストラトキャスターを相棒として選んだ理由や、その切っても切り離せない関係性について深く考えてみたい。

文=細川真平 Photo by Ian Gavan/Getty Images

なぜ初期にストラトキャスターを選ばなかったのか

エリック・クラプトンは、ブルース・ブレイカーズ時代(1965〜66年)にギブソン・レス・ポール・スタンダードを使用し、ロック・ギター・サウンドの基礎を作り上げた。そして、その後のクリーム(1966〜68年)では、レス・ポール・スタンダード/カスタム以外にも、SGやES-335やファイアーバードなどのギブソン製ギターを使い、ギブソン・サウンドこそがブリティッシュ・ブルース・ロック・サウンドであると、広く認知させていくことになった。

しかし、ブラインド・フェイス(1969年)が解散したあと、エリックはストラトキャスターを使い始め、1970年以降はストラトキャスターこそが彼の最も信頼のおける相棒になっていく。

つまり、キャリアを大きくいくつかに分けた場合の、第1期全盛期とも言うべき期間には、彼はストラトを使用していないのだ。

ヤードバーズ時代(1963〜65年)にはテレキャスターを使っていたエリックだったが、どうやらストラトキャスターに対しては、ややネガティブな先入観を持っていたようだ。このことについて、本人はこう語っている。

ストラトキャスターのネックが、僕にはいつも非常に狭く見えて、チョーキングをするだけのスペースがないのではないかと思っていたんだ。実際には僕の間違いだったけどね。

それと、それまで見たことのあるストラトはどれもローズウッド指板のものでね。その前にローズウッド指板のギターを使ったこともあったけれど…理由は聞かないでほしいんだが、僕はローズウッド指板に嫌悪感を持っていたんだ。

だから、メイプル・(ワンピース)ネック指板のストラトを手にした時には、その弾きやすさに驚いたよ。

エリック・クラプトン

ここで語られているメイプル・ワンピース・ネック指板のストラトというのが、のちに“ブラウニー”と呼ばれることになる、56年製のサンバースト・フィニッシュのストラトだと思われる。彼はこれを、1967年5月に購入している。1970年にリリースされた、記念すべきソロ第1作『Eric Clapton』(邦題:エリック・クラプトン・ソロ)のジャケットに写っているのがこのギターだ。

そして、デレク・アンド・ザ・ドミノス名義で同年(ソロ・アルバムのあと)にリリースした『Layla and Other Assorted Love Songs』(邦題:いとしのレイラ)の裏ジャケットにも、ドミノに埋もれるようにして写っている。

エリック・クラプトンがストラトキャスターを選んだ理由

この時期に彼がストラトを使い始めた理由は何だったのだろうか?

もちろん前述のとおり、メイプル・ワンピース・ネック指板の弾きやすさに気づいたという点はある。しかし、“ブラウニー”の購入は1967年5月なので、実際にメインとして使い始めるまでには2年以上が経過している(その間、ブラインド・フェイス期には、テレキャスターに“ブラウニー”のネックを移植して使用していたこともある)。

そう考えると、もう1つの理由はサウンドの面だろう。

“ギブソン・サウンドこそがブリティッシュ・ブルース・ロック・サウンドであると、広く認知させた”と先ほど書いたが、1969年の夏以降エリックは、デラニー&ボニーの影響で米南部のスワンプ・ロックに、まさに沼(スワンプ)にはまるように傾倒していく。そこには、ブリティッシュ・ブルース・ロックの分厚くハードなサウンドは必要なかったし、彼自身そういうサウンドには飽き飽きしていた。

そんな彼に、ストラトの軽快にして枯れたサウンドはぴったりだったのだろう。

さらにもう1つの理由として、操作性の面もあるかもしれない。

ソロ・アルバム『Eric Clapton』の当初のタイトル案が『Eric Clapton Sings』だったことからもわかるように、本作から彼は本格的に歌い始めた。歌いながら弾くとなると、ギブソン系よりもコントロール部分がシンプルなストラトのほうが、手元でのボリューム調整やそれに伴う歪み量のコントロールがしやすいのは間違いなく、これもストラトにスイッチした大きな理由だったのではないだろうか。

そして、これはストラトを使うことでの副次的な要素だったのかもしれないが、彼はストラトのハーフ・トーン(リア・ピックアップとセンターPU、センターPUとフロントPUの間にセレクター・ノブを止めて出すことのできる独特のサウンド)にも強く惹かれている。

ちなみに、ハーフ・トーンがエリックの発明(発見?)のように言われることがあるが、それは間違いで、古くはバディ・ガイ(彼が最古の使用者ではないだろうか?)が、その後はジミ・ヘンドリックスも使っており、エリックはその影響下で、“せっかくストラトを使うならハーフ・トーンも使おう”というところから使い始めたのではないかと思われる。

『Eric Clapton』でもハーフ・トーンらしき音は聴けるが、エリック自身は『Layla and Other Assorted Love Songs』での「Bell Bottom Blues」を代表例に挙げ、“このセンターとリアのハーフ・トーンが大好きだ”と語っている。

このようないくつかの要因が重なって、エリックはストラトをメインに使うようになっていったのだと思う。

また、ブラインド・フェイスでの盟友、スティーヴ・ウィンウッドがストラトを使っていたことの影響があったことも、本人が認めている。

それ以外にも、これは本人の発言などでの確証は得られていないが、バディ・ガイからの影響も考えられる。クリームの結成は、1965年にバディがトリオ形態でロンドンで行なったギグをエリックが観て感銘を受けたところから始まった。その時もバディはストラトを使っていただろうから、“バディのようにストラトを弾きたい”という思いはそれ以降エリックの中に必ずあったはずだ。また、バディがメイプル・ワンピース・ネックのストラトを愛用していたことも、エリックがその仕様のストラトを手に取った理由ではないだろうか?

そして、ジミ・ヘンドリックスとの関係性についても語ることはできるだろう。ジミが生きている間は、エリックは気後れしてストラトを使えなかったという話もあったりはするのだが、実際にはエリックは1969年中にはストラトを使用し始めているので(『Eric Clapton』のレコーディングは1969年11月から始まっている)、その噂には根も葉もない。ただ、エリックがジミを意識しなかったことなど一度もないはずなので、ジミを通してストラトへの思いが徐々に募っていったということは十分にあり得る。

名器ブラッキーと、シグネチャー・ストラトの誕生

“ブラウニー”の次にエリックのメインのストラトになったのが“ブラッキー”だ。いくつかの中古ストラトのパーツを寄せ集めて自ら組んだギターで、ボディ・フィニッシュがブラックだったことからこう呼ばれる。

もとになったストラト数本を彼は1970年に購入しているが、“ブラッキー”が公に初お目見えしたのは1973年1月13日、ロンドンのレインボー・シアターで行なわれた“レインボー・コンサート”の1stショーでのことだ。

その後、ライブでもレコーディングでもメインで使用され、アルバム『Slowhand』(1977年)、『Backless』(1978年)、ライブ・アルバム『Just One Night』(邦題:ジャスト・ワン・ナイト〜エリック・クラプトン・ライヴ・アット武道館〜)ではジャケットにも登場している。

“ブラッキー”時代は12年に及ぶが、1985年にフェンダーがエリックのシグネチャー・ストラトのプロトタイプ開発に着手。レース・センサー・ゴールド・ピックアップと、ミッド・ブースト回路、高域を強調するTBXコントロールを搭載していることが特徴だった。

エリックはこれを、レコーディング中だったアルバム『August』(1986年)で使用、また同年6月20日、ウェンブリー・アリーナでの“プリンス・トラスト・コンサート”では、トリノ・レッド・フィニッシュの個体が公に初登場した。

そして、いくつかの仕様の見直しを経て、1988年に“エリック・クラプトン・ストラトキャスター”として発売されることに。

“エリック・クラプトン・ストラトキャスター”は今に至るまでに、ピックアップを含めて仕様変更はいくつかあったものの、ミッド・ブースト回路の搭載は変わらない。これこそがこのモデルの最大の肝と言っていいだろう。

“ブラウニー”と“ブラッキー”は、細かい違いはあれど、基本的には50年代仕様のオーソドックスなストラトだった。1970年代のエリックは、スワンプ・ロックから、よりゆったりとしたレイド・バックと呼ばれる音楽性へと進んでいったが、そうした音楽性において“ブラウニー”と“ブラッキー”のクリーンなサウンドは最適解だった。

しかし、1985年の『Behind the Sun』から一気にモダンな音楽性へと変貌すると同時に、サウンドももっと歪み量の多い、ダイナミックでパワフルなものが必要になってきた。そうした中で、ミッド・ブーストはエリックにとって福音となったのだろう。

もちろん、足下やラックのエフェクターで解決することもできたわけだが、そうではなく、手元で完結させたいという気持ちが彼にはあった(今でもある)のだと思う。また当然、他のギターに持ち替えるという選択肢もあるわけだが、そうしないのはやはり、歌いながら弾くことを前提としてのストラトの操作性の部分が大きいだろう。

だがそれ以上に、彼がストラトキャスターを使い続けるのは、ストラトというギターを愛しているからだと思うし、結局はこの部分が一番重要かもしれない。そしてそれは、いつまでも変わらないもののように見える。

エリック・クラプトン・ストラトキャスター

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クラシックの指揮者に学ぶ | ギター上達100の裏ワザ:053 https://guitarmagazine.jp/for_beginners/2024-0326-urawaza-053-learn-from-classical-conductors/ Tue, 26 Mar 2024 08:00:52 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=345467

「こんな練習方法や考え方があったのか!」……読むだけで上達する魔法のギター講座

文:いちむらまさき イラスト:花くまゆうさく
*この記事は書籍『ギター上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集』(リットーミュージック刊)の内容を転載したものです。

走ってしまうのを修正するには ➡ 指揮者のコンダクトをイメージしよう

 クラシック音楽にはなぜ、指揮者が必要なのでしょう? それは、クラシック音楽に、一定のテンポが定まっていないからです。大勢の楽団員は、指揮者の振る指揮棒で、場面ごとのテンポに乗っています。その際、最も重要なのが、“4拍目から1拍目に向かう時間”です。これをバンドに置き換えます。

4拍子の重要な部分はココ
4拍子の重要な部分はココ

 カウントでドラマーが“1〜2〜3〜4〜”と声を出しますが、この“4”のあとに、メンバー全員が、曲のスタートである“1”で音を出すわけですね。ここでズレたらカッコ悪くなります。そして、このテンポのくり返しの中で“走ってしまう人”は、“4”の裏の時間を数えるのが苦手、という面があります。そういう人は、4拍裏を数えるというよりも、4拍〜1拍に向かう時間をキープする、と考えましょう。

 クラシック音楽は、指揮者次第という面がありますが、それはテンポをリードするということが指揮者の役目だからです。指揮者としては、4拍子を大きく振ったり小さく振ったりして演奏者をリードし、楽曲に躍動感や静けさを演出します。また、4拍〜1拍に向かう時間を長く表現すれば、テンポを超えた“タメ”に近い時間を演出することができます。

指揮者の4拍子パターン
指揮者の4拍子パターン

 裏ワザ051で示した“歩く数え方”にしても、まずは“1”を踏む前に、スタートからの時間が存在することを意識して下さい。前にも小節があると考えた“1〜2〜3〜4〜”の“4”がスタートであって、そこから“〜1〜2〜3〜4〜”と数えるわけです。このように、“4”から“1”の時間を意識することがリズム上達の秘訣です。そして、それがくり返されることで、テンポ・キープされるわけです。

歩き始めは“4”からスタート
歩き始めは“4”からスタート

『ギター上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集』

著者いちむらまさき
品種電子書籍
発売日2006.05.17
ISBN9784845613168

いちむらまさき プロフィール

岐阜出身のギタリスト&ウクレリスト&ライター。音楽制作、ソロ・ギター・スタイル、インストラクターなどで活動。

様々な雑誌に記事を書きつつ、『ギター・コードを覚える方法とほんの少しの理論』、『楽譜を見えるのがうれしくなる方法とプレイに直結させるコツ』、『音楽理論がおもしろくなる方法と音勘を増やすコツ』、『コード進行を覚える方法と耳コピ&作曲のコツ』、『ピアノでコードを覚える方法とほんの少しの理論』、『ギターを弾いているだけで音感がアップする方法』、『ブルース・ギターをはじめる方法とプレイ幅を広げるコツ』、『ギター・スケールを覚えないでアドリブをはじめる方法』、『ウクレレのお手入れ&お手軽カスタマイズを楽しむ本』、『ジャズコで聴き比べる歪みエフェクター97』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本 リズム強化編』、『ギター上達100の裏ワザ』、『ギター作曲100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDエレクトリック・ギター』、『アコギ上達100の裏ワザ』、『耳コピ上達100の裏ワザ』、『ライブ上達100の裏ワザ』、『ウクレレ上達100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDウクレレ』、『気づいた人から上手くなる! ギタリストのハテナに答えます!』、『ギターで作曲する方法とほんの少しのコード理論』(すべてリットーミュージック刊)などを執筆。

東京でギター/ウクレレ楽器教室も。

◎公式サイト→https://blog.goo.ne.jp/ichimuramasaki

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ジャクソンのAmerican Seriesより、2ハムバッカーのSoloistが2機種登場 https://guitarmagazine.jp/news/2024-0326-jackson-american-series-soloist/ Tue, 26 Mar 2024 03:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=378973  2022年に発表され、ジャクソンのフラッグシップ製品ラインとして大きな反響を呼んだAmerican Seriesより、新たに2つのSoloistモデルが登場した。日本国内での販売は2024年3月21日(木)より開始されている。

Jackson American Series Soloist SL2MG

 Jackson American Series Soloist SL2MGは、2基のハムバッカーとダブルロッキング・トレモロを搭載したモデルで、ボディ・カラーはSatin Lambo Orange、Matte Army Drab、Satin Blackの3色。

Satin Lambo Orange(前面)
Satin Lambo Orange
Satin Lambo Orange(背面)
Satin Lambo Orange
Matte Army Drab(前面)
Matte Army Drab

Matte Army Drab(背面)
Matte Army Drab
Satin Black(前面)
Satin Black

Satin Black(背面)
Satin Black

Jackson American Series Soloist SL2MG HT

 Jackson American Series Soloist SL2MG HTは、2基のハムバッカーとハードテイル・ブリッジを搭載したモデルで、ボディ・カラーはMatte Army DrabとSatin Blackの2色。

Matte Army Drab(前面)
Matte Army Drab

Matte Army Drab(背面)
Matte Army Drab

Satin Black(前面)
Satin Black

Satin Black(背面)
Satin Black

 この2つのモデルに共通する特徴を紹介しよう。

ボディ/ネック

 ボディ材はアルダーでシェイプはSoloist。

 スルーネック構造の3ピース・メイプル・ネックには、グラファイトの補強ロッドが埋め込まれている。

指板

 エボニー指板には、12インチ~16インチのコンパウンド・ラジアスを採用。エッジには丁寧なロールオフ処理が施されている。

 フレットは24本のジャンボ・ステンレス・フレットで、マザー・オブ・パールのインレイの形状は、逆向きのシャークフィン。

指板

 また、Luminlayのサイド・ドットにより、暗いステージでもフレット・ポジションの視認性が確保される。

 さらにヒールマウントのトラスロッド調整ホイールにより、ネック調整も容易だ。

ピックアップ

 2基のピックアップはEMG 81(ブリッジ)とEMG 85(ネック)。これらのハムバッカーは、パンチがありながらも、モダン・メタルには必要不可欠なクリアさと分離感を持ったサウンドを提供する。

ピックアップ

コントロール

 コントロールは1ボリューム、1トーン、3ウェイ・ブレード・スイッチで構成。シンプルながらも、多彩なジャンルに対応するパワフルなサウンドを提供する。

コントロール

ハードウェア

 チューナーはGotoh MG-Tロッキング・チューナー。

チューナー

 Dunlopのデュアルロッキング・ストラップ・ボタンもプレミアムなスペックだ。

 これらのハードウェアのカラーは、すべてブラックで統一されている。

ブリッジ/ナット

 ブリッジとナットは、SL2MGとSL2MG HTとで異なっている。

 SL2MGに採用されているのは、Floyd Rose 1500シリーズのダブルロッキング・トレモロとロッキング・ナット。

Floyd Rose 1500シリーズ・ダブルロッキング・トレモロ
Floyd Rose 1500シリーズ・ダブルロッキング・トレモロ

 一方のSL2MG HTには、Hipshotの6 String Fixed .175ブリッジと、Graph TechのTUSQ XLナットが採用されている。

Hipshot 6 String Fixed .175ブリッジ
Graph Tech TUSQ XLナット

American Seriesとしての特徴

 テクニカルなプレイに必要不可欠な要素を備えたギターであることや、カリフォルニア州のコロナ工場で製作されるモデルであることは、American Series全般に共通する特徴だ。

 なお、American Seriesの初のモデルとして2022年に登場したAmerican Series Soloist SL3や、2023年に発表されたAmerican Series Virtuosoについては、以前の記事を参照してほしい。

Jackson
American Series Soloist SL2MG

【スペック】
●Body Material: Alder
●Body Finish: Matte, Satin
●Neck: Maple, Speed Neck
●Neck Finish: Satin Color Matched
●Fingerboard: Ebony, 12” to 16” Compound Radius (304.8 mm to 406.4 mm)
●Frets: 24, Jumbo Stainless Steel
●Position Inlays: Inverted Mother of Pearl Sharkfin (Ebony)
●Nut (Material/Width): Floyd Rose® 1500 Series Locking, 1.6875”
●Tuning Machines: Gotoh® MG-T Locking
●Scale Length: 25.5” (64.77 cm)
●Bridge: Floyd Rose® 1500 Series Double-Locking Tremolo
●Pickups: EMG® 81 (Bridge), EMG® 85 (Neck)
●Pickup Switching: 3-Position Blade: Position 1. Full Bridge Pickup, Position 2. Bridge and Neck, Position 3. Neck Pickup
●Controls: Volume, Tone
●Control Knobs: Dome-Style
●Hardware Finish: Black
●Strings: Nickel Plated Steel (.009-.042 Gauges)
●Case/Gig Bag: Included Jackson® Foam Core Case (p/n: 2994742100)

【希望小売価格】
484,000円(税込)

【問い合わせ】
フェンダーミュージック TEL:0120-1946-60 https://www.jacksonguitars.jp

Jackson
American Series Soloist SL2MG HT

●Body Material: Alder
●Body Finish: Matte, Satin
●Neck: Maple, Speed Neck
●Neck Finish: Satin Color Matched
●Fingerboard: Ebony, 12” to 16” Compound Radius (304.8 mm to 406.4 mm)
●Frets: 24, Jumbo Stainless Steel
●Position Inlays: Inverted Mother of Pearl Sharkfin (Ebony)
●Nut (Material/Width): Graph Tech TUSQ XL, 1.6875”
●Tuning Machines: Gotoh® MG-T Locking
●Scale Length: 25.5” (64.77 cm)
●Bridge: Hipshot® 6 – Fixed .175
●Pickups: EMG® 81 (Bridge), (Middle), EMG® 85 (Neck)
●Pickup Switching: 3-Position Blade: Position 1. Full Bridge Pickup, Position 2. Bridge and Neck, Position 3. Neck Pickup
●Controls: Volume, Tone
●Control Knobs: Dome-Style
●Hardware Finish: Black
●Strings: Nickel Plated Steel (.009-.042 Gauges)
●Case/Gig Bag: Included Jackson® Foam Core Case (p/n: 2994742100)

【希望小売価格】
473,000円(税込)

【問い合わせ】
フェンダーミュージック TEL:0120-1946-60 https://www.jacksonguitars.jp

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ディスク・レビュー『スピーク・トゥ・ミー』 ジュリアン・ラージ https://guitarmagazine.jp/article/2024-0326-disc-julian-lage/ Mon, 25 Mar 2024 22:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=374025 『スピーク・トゥ・ミー』
ジュリアン・ラージ
『スピーク・トゥ・ミー』ジュリアン・ラージ
ユニバーサル 2024/3/15 全13曲

現代のヴァーチュオーゾが新境地を見せる最新作

 ジョン・ヘンリーをプロデューサーに起用した今作は、新境地に踏み込むフレッシュな仕上がり。

 これまでエレキとアコギはアルバム中に同居しない傾向だったが、今回はアコギ率が高めながらエレキ曲も少々というバランスで、管楽器や鍵盤類の入った曲もあり、いつものトリオ編成に華やかな色彩感を加えた音像が印象的だ。

 アパラチアン・フォークやポップなテイスト、砂漠っぽいロッキンなリフもの、デレク・ベイリー~オーネット・コールマン~チャールズ・ロイドを横断するフリーなソロやアンサンブルまで、リズムとハーモニーを自在に操りつつ、底なしの深みをたたえて心の最深部まで刺激してくる。

 自然な弦の響きが微細に聴き取れる録音も素晴らしく、完全ソロ・ギターの「マイセルフ・アラウンド・ユー」ではかすかに聴こえる息遣いの中から、気ままに旅するように音楽に向かうジュリアンのスピリットが伝わってくるようだ。

 またしても開かれる音楽の新たな可能性。傑作!

(青山陽一)

【曲目】
①ヒムナル
②ノーザン・シャッフル
③オミッション
④セレナーデ
⑤マイセルフ・アラウンド・ユー
⑥サウス・マウンテン
⑦スピーク・トゥ・ミー
⑧トゥー・アンド・ワン
⑨ヴァニシング・ポインツ
⑩ティブロン
⑪アズ・イット・ワー
⑫76
⑬ナッシング・ハプンズ・ヒア

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夜の本気ダンスの新作『dip』でのギター・アレンジを、西田一紀&米田貴紀が語る https://guitarmagazine.jp/interview/2024-0325-yoru-no-honki-dance-dip/ Mon, 25 Mar 2024 11:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=376145

夜の本気ダンスがメジャー4thアルバム『dip』をリリース。様々な種類のサウンドが入り乱れ、多様なジャンルの要素を内包しながらも、米田貴紀のジャキジャキのテレ・サウンドと西田一紀によるアグレッシブなリフやオブリが、それぞれの楽曲を“夜ダン”たらしめている。そんな新作のギター・アレンジやサウンド・メイクについて、西田と米田の2人に話を聞いた。

インタビュー=福崎敬太 写真=shoko ishizaki

“曲を作りたい”気持ちが自分の中で大きかったんです──米田貴紀

ギタマガ初登場ということで、まずはギターを始めた経緯から聞かせて下さい。

西田 僕は小中高とずっと野球をやっていたんですけど、高校2年生の時にヒジを痛めてボールを投げられなくなって、部活を辞めたんですよ。それで急にやることがなくなってしまい、“何かやりたいけど、どないしよう……”って思って。家に祖父の家から持ってきたギターがあったから始めたんです。当時ギターを弾いていた友達に弦を張ってもらって、そいつらに教えてもらったりしながら。

バンドをやるようになった流れは?

西田 大学生になった時に、トリオでバンドをやっていた小学校の同級生から、“ギター弾かへん?”って言われたので、“やる!”って言って始めた感じですね。

米田さんはどうですか?

米田 僕がギターを始めたのは中3の頃で、高校に入学するまでの間に何か新しいことをやりたい気持ちがあったんです。それまでは音楽を聴くこと自体にも興味を持っていなかったんですけど、ASIAN KUNG-FU GENERATIONを聴いて、バンド・サウンドやギターのカッコ良さに触れて。

 それと同じくらいの時期に漫画の『BECK』(著:ハロルド作石/連載は1999〜2008年)を読み始めて、その影響もあって“自分でもバンドを組みたい、ギターを弾いてみたい”という衝動が生まれて、ギターを買いましたね。

そのきっかけとなったアジカンのアルバムは何だったんですか?

米田 『崩壊アンプリファー』(2003年)でした。CDショップでイチオシとしてプッシュされていて、“今の最先端のロックはこれなのかな”って思ってとりあえず買ってみたんです。

  それまで流行りのポップスくらいしか聴いていなかったで、正直、最初は“うるさいな”っていう感想だったんです(笑)。でも、それがどんどん馴染んでいって、カッコ良いなって思うようになったんですよね。

最初からギター・ボーカルでしたか?

米田 最初に組んだバンドではリード・ギターでした。ただ、作曲はしていて。“曲を作りたい”気持ちが自分の中で大きかったんです。

それぞれ影響を受けたギタリストを教えて下さい。

西田 ネットで調べたら“レッド・ツェッペリンっていう凄いバンドがあるらしい”っていうのを知って、一番最初はレッド・ツェッペリンを聴き始めたんです。始めは“退屈やな”って思っていたんですけど、ずっと聴いていたらある時“これ、めちゃめちゃカッコ良いやん”っていう瞬間がきて。

 そこからレッド・ツェッペリン、AC/DC、ジミ・ヘンドリックスみたいな、“ザ・ギター”っていう感じのロックを聴いていく中で、ブルースに入っていくんです。

 で、大学生の頃に色々と聴いて、最終的に“スティーヴィー・レイ・ヴォーンが一番カッコ良い!”ってなりましたね。“ブルースでこんな弾き方、ありなんや!”って。

米田 僕は“ギタリストでこの人”というのは、なかなかいないんです。ただ、岡村靖幸さんのギターの使い方、リズムをバリバリ際立たせる感じは、凄く“良い使い方やな”って思って、尊敬しています。

米田貴紀
米田貴紀(vo,g)

『dip』はギターに重きを置いて作った1枚──西田一紀

最新作『dip』のギターは、どのようなものに仕上がったと感じていますか?

米田 バンドの4人の音じゃない、シンセなどの音が入ってきたことで、ギターだけで上モノとかを引っ張らなくて良くなったんです。リズムに関しても、ギターが無理に引っ張らなくちゃいけないっていうのがなくなった分、より自由にギターを配置できるようになったのかな、とは思いましたね。

西田 『Fetish』(2019年)まではスタジオで曲を作っていて、曲を作る米田がギタリストなので、サウンド的にもギター主導で曲を作っていくことが多くて。

 で、『PHYSICAL』(2021年)や『armadillo』(2022年)あたりからパソコン(DTM)でも曲を作るようになって、リズム・セクションをもっと強固にしたい、グルーヴを追求したいってなっていったんです。そこではギターが主役にならんでもいいというか、アレンジをする時にもベースとドラムのアレンジにフォーカスしていて。

 その2枚を経て、今作『dip』を作る時、“もう一度ギターで色々やりたいな”ってことになったんですよね。それに、ケンモチヒデフミさんやビッケブランカさんたちの音を入れた、バンドっぽくないベーシックの中で、どうやって自分たちらしさを出せば良いかを考えた時に、やっぱりバンドには絶対に必要なギターっていう楽器で色々やっていった感じで。

 なので『dip』はギターに重きを置いて作った1枚という感じはあります。

それこそ「ピラミッドダンス feat. ケンモチヒデフミ」のギターは、リフの存在感もあって、自由に動き回るオブリも耳を引く印象があります。アレンジはどのように進めていったのですか?

西田 まずケンモチさんがエレキ・ギター以外が仕上がった状態のデモを送って下さって。それだけで聴けるくらいの完成度だったんですが、それだけだとバンドっぽさはない状態。

 でもよく聴いていったら、“ここに何か放り込んでこいよ”みたいな間がある気がして。会話で“こうしてくれ”というのはあまりなかったんですけど、隠された要求を察知してやっていきました(笑)。

 無機質で良いところはそこに沿わせて、オブリなどで人間が演奏している有機的な感じを。その押し引きをうまいこと曲の中でできたら良いなっていうイメージで作っていきましたね。

「GOOD LUCK」だと低音弦のリフとコード・リフが入りますが、これらのパート分けやフレーズ・メイクは同時に進んでいくんですか?

米田 「GOOD LUCK」はたしか同時でしたね。元ネタがイギリスのマキシモ・パークっていうバンドで、ギターとシンセサイザーが上で鳴っているんです。だから「GOOD LUCK」の上のパートはちょっとシンセっぽいイメージもありつつ、それをギターで弾いた感じですね。

西田一紀
西田一紀(g)

遅いBPMでも疾走感は生み出すことができる──米田貴紀

2人でギター・パートについて話し合う時は、どういう会話があるんですか?

米田 僕からニシカズ(西田)に言うことで一番多いのは、“音はこれくらいで切って”、“もうちょっとキレ良く”とか、リズムのニュアンスについて。

 言葉でも表現しづらいくらいの微妙な音符の長さが、自分の中ではけっこう大事やったりするんですよ。そういうことはレコーディングの前に話したりしていますね。

ギターのリズムやグルーヴについて、何か意識しているポイントなどはありますか?

西田 一度ちょっと体を動かしてみて、そこからギターのフレーズを考える、というのは今回やっていましたね。

 というのも僕は、家のスピーカーで大きい音で音楽を流しながら、1人でフラフラ踊っていたり、友達と酒を飲んで踊ったりしていて。そういう変な踊りをしていたら、“このリズムはこういう体の動きとフィットするな”って感じる時があるんです。

 そういう感覚で、ベーシックを作る時にもその音を流しながら変な動きをして。“あ、この動きが引っかかるから、こういうギターのアプローチにしようかな”みたいな。

自然体から生まれるグルーヴという感じですね。米田さんはどうですか?

米田 やはり緩急が一番大事ですね。演奏する時もそうですし、フレーズを考える時にも言えるんですが、遅いところは遅く、速いところはより速く聴こえるように意識することで、その波がつながっていくと思うんです。

 BPMが速いからといって疾走感が生まれるというわけではなく、遅いBPMでも疾走感は生み出すことができる。そういうところは緩急で生み出すものかなと。

「ABRAKADABRA」はアヴァンギャルドな感じのソロですが、どんなイメージでアプローチを考えていきましたか?

西田 今作にはシンセとか色んなサウンド感がある中で、これはバンド・サウンドだけで最後まで押し切る曲だったので、ギター・ソロは椅子に座って頭で考えて弾くやつじゃないな、と。それで、家でバーっと酒を飲んで何テイクも弾いて、“よし、この感じでいこう”って。そうやって絞り出したソロですね。

ギター・ソロを作る時、どういう流れで作ることが多いですか?

西田 曲に沿わせたい時は、コード感や曲が絡んでいるリズムだったりそういうものに対して考えながら塗っていく感じで考えますし、この「ABRAKADABRA」であったり、曲のバランスを壊したほうが良い時は、ちょっと酔っ払ってから考えたり(笑)。

 シラフやとどうしても、“そこはちょっと音がはずれてるんじゃない?”みたいに細かなことを考えてしまう真面目な自分が出てくる。なので、もっとおおざっぱに考えたい時はそういう感じで作ります。

米田さんがギターのメロやリフを作る時はどういう流れが多いですか?

米田 僕はひたすら数を量産していって、というのが多いです。でも、無意識に何も考えずにフレーズを考えていって、“良いのができたな”って感じた時は、自然と歌のメロディを拾っていたりしますね。

 それは歌でも言えることなんですけど、自然と歌とギターがリンクする時は、けっこう良いフレーズだったりするのかな、って思います。でもそれを意識してやると変になっちゃったり。そこはちょっと難しいですよね。

米田貴紀

「ABRAKADABRA」のギターも弾いてみてほしいな──西田一紀

今作はthe telephonesの石毛輝さんが編曲に加わっている楽曲もあります。石毛さんとギターのフレーズやサウンドについて話したことで何か印象に残っていることはありますか?

米田 「パセティックガール」の時にリズムについて言ってもらったことですね。自分の中では“今のでOKかな”っていうテイクが録れた時に、石毛さんが優しく“もうひと頑張りいこう”って言ってくれたり。

 “もうちょっと勢いを”みたいに言われるところは、“たしかになぁ〜”って(笑)。そう思えるからこそやれる。そういう場面はちょいちょいあって、凄く助かりました。

西田さんはどうですか?

西田 パソコン上で良いギターの音ができてしまうと、レコーディングの時にそれを再現するのに凄く困るんです。例えば「GOLD」はデモの段階で“絶対にこれ!”っていう音があって、“どうしたら再現できますか?”って相談したら、石毛さんが持っている機材を使えば再現できると教えてくれて。

 プラグインでTONEXを使っていたんですけど、それを実機で鳴らせるやつ(TONEX Pedal)を持っていて、“あぁ〜21世紀ですね〜”と(笑)。

 しかも、デモでは“これ!”って思っていたけど、そこにパンチ力も加えて下さって。あれは凄くありがたいなって思いました。

さて、2人それぞれ、お互いをどのようなギタリストだと感じているか聞かせてもらえますか?

西田 “スーパー・ダウン・ピッキング・マシーン”。

米田 ははは(笑)。

西田 僕だったらオルタネイトで弾くやろなっていう「Crazy Dancer」みたいな速い曲でも、全部バババババってダウン・ピッキングで弾いていたりするので、男らしいなって(笑)。でも、テレキャスターで弾くその音が、このバンドのサウンドの要になっている。

米田 たしかにダウンが好きですね。クラッシュのジョー・ストラマーとかのダウン・ピッキングの感じが昔好きだったんですよ。

 それにダウンのほうがラクで、オルタネイトのほうが苦手(笑)。

“スーパー・ダウン・ピッキング・マシーン”ですね……(笑)。米田さんから見た西田さんは?

米田 しっかりトラディショナルなものを吸収している人が弾く音、っていうのは思いますね。決してトラディショナルなフレーズを弾いたからそう、っていうわけではなくて、今っぽいフレーズを弾いていても、ちゃんとバックボーンが見える。説得力のある音を出しているギタリストだと思います。

西田 ありがとうございます。

米田 (笑)。

では最後に、ギタリストたちに聴いてほしい本作のポイントをそれぞれ聞かせて下さい。

米田 ニシカズが弾く「DYWD?」のテーマ・フレーズは一度コピーしてみてほしいですね。めちゃめちゃしんどいフレーズで、かなりスパルタな体育会系のフレーズなんですよ。

西田 それで言ったら、「ABRAKADABRA」のギターも弾いてみてほしいな。あれも基本的にずっと同じリフがループしているんですけど、ほぼ16分で刻み続けている。米田が持ってきたんですけど、その米田もデモの時点でそんなに弾けていないっていう(笑)。

米田 (笑)。

西田 こっちのほうがストイックで、最初は腕がちぎれるかと思いました(笑)。これは何回もやっていたら、オルタネイトが綺麗になってくるんじゃないかな(笑)。だからチョネ君もこの曲を練習したらオルタネイトが弾ける。

米田 ははは(笑)。たしかにダウンじゃ弾けないな。オルタネイトの良い教材になる。

西田一紀

夜の本気ダンス “blue spring 18 dip” TOUR

日程/会場

  • 2024年5月6日(月・祝)/栃木・HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
    17:30開場/18:00開演
  • 2024年5月7日(火)/神奈川・F.A.D YOKOHAMA
    18:30開場/19:00開演
  • 2024年5月10日(金)/岡山・CRAZY MAMA 2nd Room
    18:30開場/19:00開演
  • 2024年5月11日(土)/愛媛・松⼭サロンキティ
    17:30開場/18:00開演
  • 2024年5月21日(火)/兵庫・Music Zoo KOBE 太陽と⻁
    18:30開場/19:00開演
  • 2024年5月29日(水)/北海道・札幌 Sound lab mole
    18:30開場/19:00開演
  • 2024年5月31日(金)/新潟・CLUB RIVERST
    18:30開場/19:00開演
  • 2024年6月16日(日)/福岡・LIVE HOUSE CB
    17:30開場/18:00開演
  • 2024年6月21日(金)/大阪・梅⽥CLUB QUATTRO
    18:00開場/19:00開演
  • 2024年6月26日(水)/愛知・名古屋CLUB QUATTRO
    18:00開場/19:00開演
  • 2024年7月2日(火)/東京・渋⾕CLUB QUATTRO
    18:00開場/19:00開演

チケット

  • ⼀般前売:5,000円(税込/ドリンク代別途必要)
  • 学割前売:3,900円(税込/ドリンク代別途必要)

※情報は記事公開時のものです。最新のチケット情報や公演詳細は夜の本気ダンス公式HPをチェック!

夜の本気ダンス公式HP
https://fan.pia.jp/honkidance/

作品データ

夜の本気ダンス『dip』ジャケ写

『dip』 夜の本気ダンス

ビクター/VICL-65916/2024年1月24日リリース

―Track List―

  1. ピラミッドダンス feat. ケンモチヒデフミ
  2. DYWD?
  3. Vivid Beat
  4. GOOD LUCK
  5. Gold
  6. ABRAKADABRA
  7. パセティックガール
  8. Crush me

―Guitarists―

西田一紀、米田貴紀

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ジミー桜井が4月7日(日)に原宿クロコダイルでライブ 1973年のZEPヨーロッパ・ツアーをトリビュート https://guitarmagazine.jp/news/2024-0325-jimmy-sakurai-live/ Mon, 25 Mar 2024 10:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=376425 アメリカを拠点に活動するギタリスト、ジミー桜井が2024年4月7日(日)に東京・原宿クロコダイルでライブを行なう。本公演ではレッド・ツェッペリンが1973年に行なったヨーロッパ・ツアーをトリビュートする予定だ。

“ジミー・ペイジのスピリットを受け継ぐギタリスト”であるジミー桜井のプレイを、日本で体感できる絶好のチャンスだ。ぜひライブ会場に足を運んでみてはいかかだろうか。

現在アナウンスされている公演の詳細は以下のとおり。

公演概要

日程/場所

  • 2024年4月7日(日)/東京・原宿クロコダイル
    14:30開場/15:30開演

チケット

  • 7,900円(税込)

※全席指定、オーダー別途必要。

※情報は記事公開時のものです。最新のチケット情報や詳細は公式HPをチェック!

https://www.mrjimmyledzeppelinrevival.com/japan

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時間を円でイメージ | ギター上達100の裏ワザ:052 https://guitarmagazine.jp/for_beginners/2024-0325-urawaza-052-imagine-time-as-circle/ Mon, 25 Mar 2024 08:00:56 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=345468

「こんな練習方法や考え方があったのか!」……読むだけで上達する魔法のギター講座

文:いちむらまさき イラスト:花くまゆうさく
*この記事は書籍『ギター上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集』(リットーミュージック刊)の内容を転載したものです。

テンポ・キープを認識するには ➡ 円を描くイメージを持つ

小さな円、大きな円
小さな円、大きな円

 音楽で最も大切なことはテンポとリズム、つまり時間です。時間は、譜面や図版で表わすには横に表示しますが、演奏時には、頭で“円”をイメージしましょう。小さなリズムの円をくり返すと共に、大きなリズムの円を回転させます。これが連動して、同時に回転しているわけです。ここにヒントがあります。

 例を出すと“16ビートをプレイする際には1小節ごとの大きな円を意識する”、“4拍子をプレイするには16分音符の小さな円を意識する”ということです。簡単に言えば、小さな円と大きな円を同時に感じる、もしくは、プレイに対比する円を意識すればよいのです。

 円を意識した上で、“1分という時間を数えなさい”ゲームをしましょう。60秒という長い時間を、勘でズバリと言い当てることは不可能に近いです。が、1秒の間隔(感覚)を60回数えれば、当てる可能性は上がってくるわけです。そして、その1秒を、表拍と裏拍で数える(8分音符)、あるいは“タカツク”(16分音符)で数えていけば、可能性はさらに上がります。これがリズムの基礎です。

イラスト

 逆の考え方もしておきましょう。メトロノームの数値というのは、1分という時間の分割で数字が定められています。つまりテンポ60は、1秒ということです。しかし、実際の1秒は意外に長く数えにくい時間です。よって、テンポ120で8分音符を120回数える──これが1分です。これらを円でイメージして数える──それがリズムのとらえ方のイメージです。

リズム・ボックスのテンポ60(左)と120(右)
リズム・ボックスのテンポ60(左)と120(右)

『ギター上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集』

著者いちむらまさき
品種電子書籍
発売日2006.05.17
ISBN9784845613168

いちむらまさき プロフィール

岐阜出身のギタリスト&ウクレリスト&ライター。音楽制作、ソロ・ギター・スタイル、インストラクターなどで活動。

様々な雑誌に記事を書きつつ、『ギター・コードを覚える方法とほんの少しの理論』、『楽譜を見えるのがうれしくなる方法とプレイに直結させるコツ』、『音楽理論がおもしろくなる方法と音勘を増やすコツ』、『コード進行を覚える方法と耳コピ&作曲のコツ』、『ピアノでコードを覚える方法とほんの少しの理論』、『ギターを弾いているだけで音感がアップする方法』、『ブルース・ギターをはじめる方法とプレイ幅を広げるコツ』、『ギター・スケールを覚えないでアドリブをはじめる方法』、『ウクレレのお手入れ&お手軽カスタマイズを楽しむ本』、『ジャズコで聴き比べる歪みエフェクター97』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本 リズム強化編』、『ギター上達100の裏ワザ』、『ギター作曲100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDエレクトリック・ギター』、『アコギ上達100の裏ワザ』、『耳コピ上達100の裏ワザ』、『ライブ上達100の裏ワザ』、『ウクレレ上達100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDウクレレ』、『気づいた人から上手くなる! ギタリストのハテナに答えます!』、『ギターで作曲する方法とほんの少しのコード理論』(すべてリットーミュージック刊)などを執筆。

東京でギター/ウクレレ楽器教室も。

◎公式サイト→https://blog.goo.ne.jp/ichimuramasaki

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Line 6のギター・プロセッサー“POD Express Guitar”が5月に発売 HXファミリーからアンプ/エフェクトを継承 https://guitarmagazine.jp/news/2024-0325-line-6-pod-express-guitar/ Mon, 25 Mar 2024 03:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=377138  Line 6のアンプ/エフェクト・プロセッサーの新製品“POD Express Guitar”が、2024年5月に発売される。

POD Express Guitar

 POD Express Guitarは、エフェクト・ペダル・サイズの非常にコンパクトな筐体に、Helix FloorをはじめとするHXファミリーから継承した7種類のアンプ/キャビネットと、ルーパーを含む17種類のエフェクトを搭載したギター・プロセッサー。本機はシンプルな操作性を追求したユーザー・インターフェースになっており、瞬時にプレイヤーが思い描くサウンド・メイクが可能だ。

POD Express Guitarのおもな特徴

  • コンパクトな筐体と「HX」ファミリーから継承した17種類のアンプ/エフェクト
  • シンプルな操作性を追求したユーザー・インターフェース
  • ギターを演奏したい時にすぐに使用できる機能性
  • 3本の単三電池(付属)または9V電源アダプター(別売)で動作
  • 幅92mm×奥行130mm×高さ56mm、重量350gとコンパクトな筐体
  • USB Type-C端子を搭載し、オーディオ・インターフェースとしても使用可能

フロント・パネル

フロント・パネル

 7種類が用意されたアンプ/キャビネットのモデルは、トップ・パネルの中央にあるノブで選択できる。

 CLEAN、CRUNCH、HEAVYなど、求めるサウンドが一目でわかるプリセット・ネームになっている。

 中央のノブの周りはマルチ・カラーLEDとなっており、7つのセグメントが用意されている。アンプ・モデルを表わすほか、ALTボタンを押しながら4つのエフェクター・ノブ(DIST、MOD、DELAY、REVERB)を操作すると、選択中のエフェクトの掛かり具合が7段階で表示される。

入出力端子

入出力端子

 本体背面には5つの入出力端子を搭載。メイン・アウト(ステレオ)、ステレオ・ヘッドホンの出力端子のほか、USB Type-C端子やエクスプレッション・ペダルの入力端子を備えているため、別売のエクスプレッション・ペダルで様々なパラメーターを制御したり、オーディオ・インターフェースとしても使うことができる。

電源/重量

 電源は3本の単三電池(付属)または9V電源アダプター(別売)で動作。また、重量が350gと非常に軽量なため、どこでも気軽に持ち運びができる点も嬉しい。

 また、次の動画はPOD Express Guitarの操作法をわかりやすく解説したもので、日本語字幕もついている。

Line 6
POD Express Guitar

【価格】
33,000円(税込)

【問い合わせ】
ヤマハミュージックジャパン Line 6インフォメーションセンター TEL:0570-062-808 http://www.line6.jp

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今週の誕生日ギタリスト!|3月25日(月)〜3月31日(日) https://guitarmagazine.jp/article/2024-0325-guitarists-birthday/ Sun, 24 Mar 2024 22:00:19 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=338976

毎週月曜の朝に、一週間分の誕生日ギタリストをご紹介するこのコーナー。今回はこの人たちです! 皆さま、おめでとうございます! 自分やお友達と同じ生まれ日のギタリストを探してみよう!

写真はアンガス・ヤング/Photo by Joey Foley/FilmMagic
*所属バンドは過去のものも含めて表記しています。

3月25日(月)

  • 山下和仁(1961年)
  • バズ・オズボーン(1964年) – メルヴィンズ
  • ジェフ・ヒーリー(1966年)
  • ヤマジカズヒデ(1966年) – dip
  • 佐々木秀尚(1981年) – 有形ランペイジ、TRIX

3月26日(火)

  • ネッド・ドヒニー(1948年)
  • ジェームス・イハ(1968年) – ザ・スマッシング・パンプキンズ
  • FKJ(1990年)

3月27日(水)

  • ロバート・ロックウッド・ジュニア(1915年)
  • 吉川忠英(1947年)
  • 高中正義(1953年)- サディスティック・ミカ・バンド
  • 大谷令文(1960年)- MARINO
  • 松本孝弘(1961年) – B’z
  • 涼平(1983年) – 彩冷える
  • ボーグ/藤本大貴(不明) – G.O.D.

3月28日(木)

  • スティーヴ・ターナー(1965年) – マッドハニー、グリーン・リヴァー
  • 長尾大(1971年) – Do As Infinity
  • デイヴィッド・キューニング(1976年) – ザ・キラーズ

3月29日(金)

  • 中川敬(1966年) – ソウル・フラワー・ユニオン、ニューエスト・モデル

3月30日(土)

  • エリック・クラプトン(1945年)– ザ・ヤードバーズ、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ、クリーム、ブラインド・フェイス、デレク&ザ・ドミノス
  • 森山達也(1956年)– THE MODS
  • マタイン・ウェスターホルト(1979年)
  • ロビン・ペックノルド(1986年) – フリート・フォクシーズ
  • 長田カーティス(1988年) – indigo la end

3月31日(日)

  • フレディ・グリーン(1911年)
  • ヒュー・マクラッケン(1942年)
  • アンガス・ヤング(1955年) – AC/DC
  • ジャック・アントノフ(1984年) – FUN.
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みの×ギルド・ギター6番勝負! 注目の最新ラインナップを徹底試奏 https://guitarmagazine.jp/gear/2024-0322-guild-mino/ Fri, 22 Mar 2024 11:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=376505

ポール·サイモン、バディ·ガイ、マディ·ウォーターズ、山下達郎など、名手たちが好んで使用するギルドのギター。長い歴史を持つ伝統的なブランドだが、果たして現在のギルド・ギターの実力はどうなのか? YouTuberとしても広く知られ、気鋭の音楽評論家でギタリストの“みの”が、ベースを含む計6本を徹底レポートする。

取材・文:辻昌志 撮影:小原啓樹
※本記事はギター・マガジン2024年4月号に掲載された『伝統と革新のギルド·ギター』を一部抜粋/再編集したものです。
【PR】問い合わせ:ヤマハミュージックジャパン ギター・ドラムご相談窓口(☎︎0570-056-808  https://guildguitars.com/ja/

1. STARFIRE I DC

Starfire I DC(前面)
Starfire I DC(背面)

レジェンドらを魅了したギルド・エレキの代表格

1960年に誕生以来、バディ・ガイやデイヴ・デイヴィス(ザ・キンクス)、トム・フォガティ(CCR)などを魅了してきたギルド・エレキ・ギターの代名詞的存在=スターファイアー・シリーズ。ダブル・カッタウェイのセミアコ仕様である本器は、ピックアップに自社製ハムバッカー2基をマウント。ビンテージ・ライクで芳醇なギルド・サウンドを味わえる。ネックは薄めのUシェイプ仕様で、オリジナルのビブラート・テイルピースもクールだ。

プルした状態のボリューム・ノブ
各PUのボリューム・ノブはプッシュ/プルでコイル・タップが可能。よりブライトなシングル・サウンドも出せる。

1967年以前のロック・ ギターの良い音がします。

みの&STARFIRE I DC
 

『The Kink Kontroversy』(ザ・キンクス/65年)のジャケットに写っていて、憧れたスターファイアー。これもまさに60年代のガレージ・サウンドが出ますよ。さらにニッチに言えば “1964~66年”の音に近いですね。

67年になるとジミヘンやクリーム、ジェフ・ベック・グループなどの時代になって歪みの質が変わりますけど、それ以前のロック・ギターの良い音がします。アンプのナチュラルなクランチと相性が良くて、ミッドもしっかり出ていて、リッチさもあるというか。フィードバック音も超気持ち良いし、ギター側でトーンを絞った音も使えますよ。

コイル・タップした時のサウンドは、パリンとした音になってカッティングも合いますが、シティ系というよりはいなためのテイストにフィットするかも。スティーヴ・クロッパーや60年代のJBのイメージですかね。

あとはネックが薄めなので、初心者や女性でも負担なく弾けるギターかと思います。

STARFIRE I DC

【スペック】
●ボディ:メイプル
●ネック:マホガニー
●指板:ローズウッド
●フレット:22
●スケール:629mm
●ピックアップ:ギルドHB-2×2
●コントロール:ボリューム×2(プッシュ/プル・コイルタップ)、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター
●ブリッジ:ギルド・チューン・オー・マティック with ギルド・ビブラート・テイルピース(※チェリー・レッドのみストップ・バー・テイルピース)
●ペグ:ギルド・ビンテージ18オープン・ギア
●カラー:エメラルド・グリーン(写真)、ペルハム・ブルー、チェリー・レッド、カリフォルニア・バースト
●付属品:ギルド・プレミアム・ギグ・バッグ

【価格】
115,500円(税込)

2. STARFIRE BASS II

STARFIRE BASS II(前面)
STARFIRE BASS II(背面)

オール・マホガニーのボディにアップデートしたPUを搭載

スターファイアー・ベースと言えば、かつてはフィル・レッシュ(グレイトフル・デッド)やジャック・キャサディ(ジェファーソン・エアプレイン)、最近ではトム・ヨークがザ・スマイルで使用する隠れた本格派セミアコ・ベース。本器のピックアップ=BS-1 BiSonicは、60~70年代のギルド・ベースに搭載されていたBS-1をアップデートした逸品である。オール・マホガニーの温かなサウンドを保ちつつ、モダンにも攻められる1本。

ピックアップ・セレクターとマスター・ボリューム
1弦側ホーンに配されたピックアップ・セレクターとマスター・ボリューム。ノブの値がわかる金属の目印があるのも嬉しい。

適度に腰高でワルな音。ギタリストにも弾きやすいです。

みの&STARFIRE BASS II
 

まずこれ、ネックが凄く弾きやすいです。“ギタリストが弾くベース”という視点から申し上げると、本格的なベースを持った時の“うわ、弾きにくっ”っていう感じがないんですよね。2フレット先を小指で押さえるあの感じがない……と言えば伝わりますかね(笑)? とにかく、気軽に手に取って弾けます。

ブランドで言えば、昔のヘフナー感がありますね。そういう意味では、フラットワウンド弦とも相性が良さそうです。

ピックで弾いても良い感じですねぇ~。そして適度に腰高だから、ワルな音がするというか。ガシガシ弾けて凄く気持ち良い。こう手首をしならせて……チャス・チャンドラー(アニマルズ)とか、60年代のベーシストっぽく弾いてみたくなるな。

そして歪ませてみると、この音、めっちゃエロスがありますよ。音がグチャっとつぶれず、きれいに歪みが乗ります。8分音符のダウンで刻むと、パンキッシュな感じもいけますね。歪みの許容量が大きいのでしょう。最高に素敵な音ですよ。

STARFIRE BASS II

【スペック】
●ボディ:マホガニー(※エメラルド・グリーンとフレイム・メイプル・カラーのものはメイプル)
●ネック:マホガニー(with メイプル)
●指板:エボニー
●フレット:21
●スケール:781mm
●ピックアップ:ギルドBS-1 BiSonic×2
●コントロール:ボリューム×3、トーン×2、3ウェイ・ピックアップ・セレクター
●ブリッジ:ギルド・アジャスタブル・ベース・ブリッジ with エボニー・サドル
●ペグ:グローバー142Cビンテージ・スタイル
●カラー:ナチュラル(写真)、エメラルド・グリーン、フレイム・メイプル
●付属品:ギルド・デラックス・ハードケース

【価格】
247,500円(税込)

3. SURFLINER

SURFLINER(前面)
SURFLINER(背面)

裏通しのオフセット・ボディ! 今のギルドが打ち出す完全新作

マディ・ウォーターズが使ったS-200など、ソリッド・エレキの製作にも定評があるギルド。本器サーフライナーは、そんな60~70年代のビンテージ・ギルドにインスパイアを受けて生まれたオリジナル・シェイプのギターだ。リアのハムバッカーには、60年代のギルド・ハムバッカーの音を完全再現したLB-1を搭載。各PUは個別のスイッチでオン/オフができる仕様で、計7パターンの音作りが可能となっている。23フレット仕様も個性的。

ヘッド角
テンションを考慮してヘッドには角度がつけられている。弦裏通し構造と相まって、張りのあるテンション感を確保!

トム・ヴァーレインなど、ニューヨーク・パンクにも合いそう。

みの&SURFLINER
 

いわゆるSTタイプのハーフ・トーンとも違う、独特の鈴鳴り感……。フロント&センターPUの音に、そういう印象を受けました。リア・ハムバッカーはフィルタートロンの音に近い気がするけど、このギター固有のサウンドが出ますね。

歪ませると、ファットにドライブするというよりはノイジーで汚れた味のある音が得られます。リバーブを深めにして、ウェットにしても良い音ですね。

モデル名のとおり、サーフ系はバッチリ。もしもディック・デイルやカール・ウィルソン(ビーチ・ボーイズ)が当時持ってたら、ちょっと面白かったのでは?

トム・ヴァーレイン(テレヴィジョン)とか、ニューヨーク・パンク勢にも合いそうだし、リッキー・ウィルソン(The B-52’s)にも似合いそう。カッティングでジャキジャキするのも気持ち良いから、シティ・ポップみたいな音楽にもマッチしそうです。

このややビザール感と、ミッド・センチュリー感のあるルックスもイカしていると思いますね。

SURFLINER

【スペック】
●ボディ:ポプラ
●ネック:メイプル
●指板:メイプル
●フレット:23
●スケール:648mm
●ピックアップ:ディアルモンド・エアロソニック(フロント、センター)、ギルドLB-1(リア)
●コントロール:ボリューム、トーン、ピックアップ・オン/オフ・スイッチ×3
●ブリッジ:チューン・オー・マティック
●ペグ:ギルド・ビンテージ・スタイル
●カラー:ホワイト・セージ(写真)、カタリーナ・ブルー、サンセット・オレンジ
●付属品:ギルド・プレミアム・ギグ・バッグ
●重量:3.3kg

【価格】
82,500円(税込)

4. D-55

D-55(前面)
D-55(背面)

古くからのファンを惹きつける、ギルドの王道ドレッドノート

ウェイロン・ジェニングスやジョン・レンボーン(ペンタングル)、ビリー・ジョー・アームストロング(グリーン・デイ)など、多くのアーティストに愛されたD-55は、68年にカスタムメイド品として登場し、74年にレギュラー化したモデル。USA製の本器は、アディロンダック・スプルースを用いたスキャロップド・ブレイシングを採用。フィニッシュは極上のニトロ・セルロース・ラッカーで、古くからのギルド・ファンの心もくすぐるだろう。

ヘッド
エボニーの突板に“ピーク&シールド”と呼ばれる逆三角形型インレイが輝く、ギルドで最も象徴的なヘッド・デザイン。

煌びやかで粒立ちが上品な音、レコーディング映えしそうです。

みの&D-55
 

面白い。例えるなら、 “(持った感じの)入り口はマーティンで(音の)出口がギブソンっぽい”というか。

ギルドはもともとエピフォンにいた職人が集まってできたブランドですよね? だからなのかわかりませんが、ギブソンに近い魅力はあるんですよ。ワイルドで豊かな倍音を感じるんです。

なおかつ、この個体は粒立ちが上品で、きらびやかで軽やかに弾ける。サイド&バックの木材がローズウッドだから、最初は下の帯域がドーンと出るのかなと思ったんですけどね。不思議だなぁ……何だろう? ジョン・レノンが使っていたJ-160Eみたいなイメージで、少しデッドだけどブライトさがあって、レコーディング映えするような1本かもしれないです。

こういうギターをガシガシ弾いて録音すると、聴いた時に耳を引く音になるというか。それから、やっぱりこの弾きやすさは凄いです。ギルドのギターって、“これを弾くのか……”っていう気負いがなく弾けるから良いですね。

D-55

【スペック】
●ボディ:スプルース(トップ)、ローズウッド(サイド、バック)
●ネック:マホガニー(with ウォルナット・センター)
●指板:エボニー
●フレット:20
●スケール:651mm
●ブリッジ:エボニー
●ペグ:ゴトーSE700オープン・ギア
●カラー:ナチュラル
●付属品:ハードケース

【価格】
737,000円(税込)

5. F-1512

F-1512(前面)
F-1512(背面)

12弦アコギのパイオニアの実力をリーズナブルな価格で味わう

ギルドは12弦アコースティック・ギターを一般化させたブランドだ。本器F-1512はギルドが誇るお尻が大きなボディ・シェイプ=Fを採用、その豊かなトーンを継承しつつもリーズナブルな価格を実現している。ナット幅48mmの堅牢な3ピース・マホガニー・ネック、マザー・オブ・パールのロゼッタやインレイなど仕様面でも充実しており、12弦アコースティック・ギター・メーカーの老舗として看板に偽りナシだ。

マザー・オブ・パールのロゼッタ
サウンドホールにはマザー・オブ・パールのロゼッタが光る。

最初に触る12弦はコレ一択。ずっと弾き続ける1本にもなる。

みの&F-1512
 

弾く時に根性がまったく必要ない(笑)。この軽いタッチで12弦ギターを弾けるのは、かなり貴重なんじゃないですか?

スティーヴィー・レイ・ヴォーンが『MTV Unplugged』(90年)で、ギルドの12弦(69年製のF-412)をガシガシ弾いてますが、こちらも頑張ったら弾ける気にしてくれるというか(笑)。それくらい弾きやすい。

握り込みフォームでもいけるくらい、押弦がしやすいんですよ。アルペジオもスムーズに弾けます。このあたりは、12弦アコギ製作の代表格とも言うべきギルドの貫禄を感じますね。音も軽やかだし、レコーディング使用でも間違いナシのギターかと。

あと12弦ギターって、何を買えば良いのかわからないという問題が常にあると思うんですよね。でも、この弾きやすさなら、最初に触る12弦ギターはコレ一択と言っても過言じゃない。なおかつ、ずっとメインとして弾き続けられるギターにもなると思います。

F-1512

【スペック】
●ボディ:スプルース(トップ)、ローズウッド(サイド、バック)
●ネック:マホガニー
●指板:ローズウッド
●フレット:20
●スケール:648mm
●ブリッジ:ローズウッド
●ペグ:ギルドGシールド・コンパクト・クローズド・ギア
●カラー:ナチュラル
●付属品:ギルド・プレミアム・ギグ・バッグ

【価格】
159,500円(税込)

6. A-20 MARLEY

A-20 MARLEY(前面)
A-20 MARLEY(背面)

ボブ・マーリーが作曲用に使ったギルド・マデイラを復刻

ボブ・マーリーが作曲用として自宅に置き、70年代のヒット曲を数多く作ったという“ギルド・マデイラ”。オリジナルは74年に日本で製作されたものだという調査結果もあるが、その伝説的ギターをモチーフに製作したのがA-20だ。ピックガードに描かれた本人筆致のサイン、オリジナルを再現した丸角のヘッドストックなど、ファン垂涎の仕様が多く盛り込まれている。648mmのスケールのため、抱えやすさも特筆ポイント。

付属のギグ・バッグ
リサイクル・ナイロンを利用したギグ・バッグが付属。

ファンには凄く嬉しいと思う。僕ならスライド用として使うかも。

みの&A-20 MARLEY
 

このギター、ボブ・マーリー・ファンには凄く嬉しいでしょうねぇ。12フレットに名前のインレイが入ってますし、シグネチャーがこの値段で買えるのも嬉しいポイントなのでは。

音はサラッっと口当たりの良い音という印象です。試奏時は弦高が少し高めになっていたので、僕ならオープンGチューニングにしてスライド・ギターを弾くかな。かなり渋めにいけますよ。ライターをスライドとして使っても、いい感じの音になりました(笑)。

抱えてみた感じは、ドレッドノート・サイズのボディとは思えないほどコンパクトなギターを持ってる感じがします。不思議ですね。取り回しが良いってことだし、それこそ自宅用としてアリだと思います。

専用のケースもカッコ良いデザインですが、その素材もリサイクルのナイロン製だったり、あとはこのギターを1本作るごとに植樹をしたり、サステナビリティの観点からも考えられているアコギなんですね。

A-20 MARLEY

【スペック】
●ボディ:スプルース(トップ)、マホガニー(サイド、バック)
●ネック:マホガニー
●指板:パーフェロー
●フレット:20
●スケール:648mm
●ブリッジ:パーフェロー
●ペグ:ギルド・ビンテージ16オープン・ギア
●カラー:ナチュラル
●付属品:専用ギグ・バッグ

【価格】
52,800円(税込)

TOTAL IMPRESSION
一本筋の通った“不良”のギター。革ジャンにギルド、という選択肢を。

みの
みの 1990年アメリカ・シアトル生まれのギタリスト、音楽評論家、YouTuber。ソロ・プロジェクト“ミノタウロス”で活動する傍ら、19年にYouTubeチャンネル上で“みのミュージック”を開設。現在の登録者数は44万人。音楽評論も活発に行なっており、新著『にほんのうた 音曲と楽器と芸能にまつわる邦楽通史』(KADOKAWA刊)を3月4日に上梓した。

“この音、ギルドっぽいね”って説明できる個性がある。

 ギルドって、僕の中では神話上の生き物のようなイメージだったんです(笑)。デイヴ・デイヴィス(キンクス)が弾いているスターファイアーとか、当時のものが欲しかったけど見つからず、その時の音を追体験をしようとしてもできなかったんですね。でも今日弾いてみると、現代的なアップデートを感じつつも、そのギルド伝統の音に触れられた感じがしました。70年以上のブランドの歴史に通底する音や経験値が、今の新しいギルドにも残っているんですね。

 特にエレキは、“不良のギター”って感じで超クール。スターファイアーはワル~い音が出ましたね(笑)。しかも、筋が通った薄っぺらくない不良感というか。この価格帯で考えたら、めっちゃ良い選択肢だと思いますよ。高校生がひと夏バイトをしたら買える、なんならお釣りが来ると思う。僕なら、そのお釣りで革ジャンも一緒に買え!って薦めたいですね(笑)。

 アコギにも“ギルドの音”としか言いようのない強い個性を感じました。繊細さと豪快さが同居しているんです。一度弾いたら忘れないし、“この音、ギルドっぽいね”って説明できる個性があるというか。特に12弦ギター(F-1512)が良かったですね。12弦って、例えるならアコーディオンと同じように、イコールで特定の景色を作っちゃうような楽器じゃないですか。でも、そういうことに縛られずに使えそうな軽やかさを感じたんです。これはエレキにも言えることで、サーフライナーはシューゲイザーやシティ・ポップで使っても面白いと思う。

 楽器って、ギターは特にそうですけど“あの時のあの音”に縛られずに使うと、新しい景色が見えたりするじゃないですか? ギルドのギターから教わることは、まだまだ多くありそうです。

ギター・マガジン2024年4月号
横山健のギター愛

※本記事はギター・マガジン2024年4月号に掲載された『伝統と革新のギルド·ギター』を一部抜粋/再編集したものです。誌面ではさらにギルドのヒストリーや現社長のインタビューも掲載。

●お詫びと訂正
ギター・マガジン2024年4月号の特集記事『伝統と革新のギルド・ギター』内の、「ギルド・ヒストリー」(86ページ)にて、1965年製F-312、1965年製D-50の写真に印刷不良が発生しました。正しい写真は以下のとおりです。関係者及び読者の皆様にお詫びして訂正します。

1965年製F-312
1965年製F-312
1965年製D-50
1965年製D-50

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古市コータローが5月中旬よりソロ・バンド・ツアーをスタート ファイナルには仲井戸“CHABO”麗市らがゲスト参加! https://guitarmagazine.jp/news/2024-0322-furuichi-kotaro-live/ Fri, 22 Mar 2024 10:00:00 +0000 https://guitarmagazine.jp/?p=376071 THE COLLECTORSのギタリストである古市コータローのソロ・バンド・ツアー“赤のブルース”が、2024年5月18日(土)の岩手・CLUB CHANGE WAVE公演を皮切りにスタートする。

ツアー・ファイナルとなる東京・EX THEATER ROPPONGI公演は、古市コータローが60歳になる誕生日、5月30日(木)に開催。この日には、仲井戸“CHABO”麗市、佐々木亮介(a flood of circle)などがゲストとして参加する。

古市コータロー
古市コータロー

また、2年ぶり通算6枚目となるソロ・アルバム『Dance Dance Dance』を5月15日(水)にリリースすることも同時に発表。ソロ・バンド・ツアー終了後の5月31日(金)から、“赤のブルース~弾き語り編”での全国ツアーも予定している。

現在アナウンスされている日程は以下のとおり。

KOTARO FURUICHI SOLO BAND TOUR 2024“赤のブルース”

日程/会場

  • 5月18日(土)/岩手・CLUB CHANGE WAVE
    16:30開場/17:00開演
  • 5月25日(土)/愛知・JAMMIN’
    16:15開場/17:00開演
  • 5月26日(日)/大阪・Music Club JANUS
    16:15開場/17:00開演
  • 5月30日(木)/東京・EX THEATER ROPPONGI
    18:00開場/19:00開演

    <東京公演 ゲスト出演者>
    ウエノコウジ(The HIATUS/Radio Caroline)
    江沼郁弥(DOGADOGA)
    大森南朋
    クハラカズユキ(うつみようこ&YOKOLOCO BAND/M.J.Q/QYB/The Birthday/緊急バンド/OHIO101)
    佐々木亮介(a flood of circle)
    神野美伽
    仲井戸“CHABO”麗市

古市コータローsolo acoustic tour 2024“赤のブルース~弾き語り編

日程/会場

  • 5月31日(金)/東京・LIVE INN ROSA
    18:30開場/19:00開演
  • 6月2日(日)/茨城・LIVE MUSIC PUB Paper moon
    17:00開場/17:30開演
  • 6月3日(月)/宮城・LIVE & CLUB MACANA
    18:30開場/19:00開演
  • 6月6日(木)/静岡・LIVE HOUSE UHU
    18:30開場/19:00開演
  • 6月8日(土)/岡山・Blue Blues
    17:00開場/17:30開演
  • 6月9日(日)/京都・紫明会館
    17:00開場/17:30開演

※情報は記事公開時のものです。最新情報は下記でチェック!

THE COLLECTORS 公式サイト
https://thecollectors.jp/

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