NOCTURNAL BLOODLUSTのインタビュー第二弾は、もう1人のギタリストであるValtz(ヴァルツ)の登場だ。8弦ギターという驚異的な重低音を自在に操りリフ・ワークを聴かせる一方、最新シングル「THE ONE」では流麗なギター・ソロも難なくこなすテクニカル派だ。
取材/文=村上孝之 写真=nonseptic inc.
今後はヘヴィ・ミュージックの中でも幅広さを出していけると思う。それを、すごく楽しみにしています。
ギター・マガジン初登場なので、まずはギターを始めた時期や、きっかけなどを話していただけますか。
Valtz ギターを始めたのは小学校5年生のときでした。当時はサッカーをやっていたんですけど、コーチがXの大ファンでCDを貸してくれたんです。それでXを知ったのと、そのコーチに“よかったらギター弾いてみる?”と言われまして。それでXのバラード曲を教えてくれて、弾いているうちにXがすごく好きになりました。ただ、サッカーをやっていたのでギターは一旦フェイドアウトしてしまうんです。それで中学でも最初は運動部に専念していたんですけど、中2の春休みにもう1回ギターをやってみようと思って。それでXの「Silent Jealousy」や「WEEK END」といった激しい曲をどんどんコピーするうちに、本格的にギターにハマっていきました。
その後、X以外のアーティストにもハマっていたんですね。
Valtz 最初はXばかりコピーしていたけど、ギター教室の先生に止められたんですよ。Xだけだと世界が広がらないから、もっといろんなものを聴きましょうということで。その流れでイングヴェイ(・マルムスティーン)を知ったのと、『ヤング・ギター』を読み始めて。ヤンギに載っていたインテリペリやポール・ギルバート、シンフォニーX、アングラとか、テクニカルなバンドを聴くようになりました。ただその後に、ブルースにもハマりましたね。メタルを片っ端から聴いていく中で、メタル・ギタリストというレッテルを貼られるのはカッコ良くないんじゃないかなと思うようになったんです。それで、スティーヴィー・レイ・ヴォーンやゲイリー・ムーアなどのブルース・プレイヤーにハマって、ブルースも極めようと思うようになりました。
Valtzさんのエモーショナルな面はブルースから来ているんですね。NOCTURNAL BLOODLUSTに加入されたのは、どういう流れだったのでしょう?
Valtz 彼らとは元々友達だったんです。知り合ってから、もう10年弱くらいになるのかな。バンドにギターがいなくなったということはなんとなく知っていて、連絡がきた時に加入の話だなということはすぐに察しました。それで、加入するならこれはやりたい、これはやりたくないということを明確に全部伝えたんです。具体的には、まずメタルコア・バンドとして海外を見据えた活動をしたいということが大前提としてありましたね。あとは、異性をターゲットとするような活動ではなくて、とにかく音楽をやりたいということも伝えて。収益があがるからといって音楽ではない部分に力を注いだりするような活動はやりたくないと。そういうことを話したら全部受け入れてくれるということだったので、一緒にやることにしたんです。
双方の目指すところが一致していたことがわかります。では「THE ONE」について教えてください。
Valtz リード曲の「THE ONE」はMasa(b)が作った曲で、デモを聴いたときはシンプルに感じるけど、よく聴くとMasaらしい凝った一面が含まれているなと思いました。ギターはチューニングが8弦のスタンダードFなので、音像がボヤけないように、何を弾いているのかわからなくならないように、しっかり一音一音ヒットさせて、極力ノイズが乗らないように弾きました。
超絶的な重低音でいながらクリアなギター・サウンドが最高にカッコいいです。それに、テクニカル&エモーショナルなギター・ソロも聴きどころです。
Valtz ギター・ソロは結構手こずりましたね。16小節あるけど、体感的にはすごく短いんですよ。ハーフテンポになるセクションなので最初は全編メロディアスにしようと思ったけど、それだとすごく退屈なソロになってしまう。だったら自分の得意なテクニカルな部分と印象に残るメロディアスな部分の両方をこの短い中に入れないといけないなと思って、そこに苦労しました。
それが奏功して、心を駆り立てられるギター・ソロに仕上がっています。続いて、カップリングの「Corruption」にいきましょう。
Valtz 「Corruption」はYu-taro(g)らしい曲だなという印象ですね。激しい曲でいながらサビはキャッチーで、ライブでも映えると思う。個人的には今後は全然キャッチーではない、極悪な曲も作りたいなと思っていますけど。
そういう楽曲も楽しみです。レコーディングやライブで使用している主な機材も教えていただけますか。
Valtz ギターはスケルヴェセンの8弦をメインにしています。個人的に8弦を弾きたいからという理由だけで、3年前くらいにオーダーしました。
見た目の迫力が凄まじいですね(笑)。
Valtz スケルヴェセンはYouTubeで知りました。モダン・デイ・バビロンのギタリストがスケルヴェセンを使っていて、YouTubeに動画をアップしていたんですよ。それを見て、まずは7弦を入手しました。それがすごく良かったから、8弦も迷わずにオーダーしました。スケルヴェセンは見た目が洗練されていて、マルチ・スケールやポプラ/バールの木材など、モダン系のギター・ブランドが現在採用しているトレンドの要素を一通り押さえてくれているんですよね。それに、オーダーする段階でチューニングやサウンドの方向性にどんな素材やPUが合うかという相談をしながらマテリアルを決められるんです。最終的にはギター単体でローが出過ぎる木材を使ってしまうと音がボヤけてしまうので、カラッとした音が出るようにしてもらいました。
理想的な1本を作られたんですね。使用アンプは?
Valtz ライブのメインはコミューンが改造したマーシャルのJVMです。オートバイアス機能がついているので、僕はチューブをEL34から6L6に替えています。それに、ヘッドの背面にスーパー・ベースとハイカットという機能がついていて、モダンなローを出したり、マーシャル特有のハイのキンキンしたところを抑えられるようになっています。あとは、バッキングのレコーディングでは、ピーヴィーの5150Ⅱを使っています。ソロに向いているのがマーシャル、バッキングに最適なのが5150という印象かな。それに、音作りのメインでMaxonのOD9を使っています。定番の使い方で、ゲインはゼロにして、レベルを10にするパターン。このペダルは中域が“ゴツン”と出てローが少し削れるので、メタル・コアをやる上で扱いやすいんですよね。そういうセッティングにして、常にオンにしています。
プリアンプ的にOD9を使っているんですね。さて、新体制になったNOCTURNAL BLOODLUSTは、よりヘヴィ&ドラマチックさを増した印象があります。今後は、どんなところを目指していきたいと思いますか?
Valtz よりドラマチックに…みたいなことは意識しているわけではないので、そういうふうに聴こえているとしたら、意図的ではなく自然な結果ですね。とはいえドラマチックな方向性だけを突き詰めていく気はなくて、今後はいろんな顔を見せていくことになると思います。メタルといってもいろんなタイプがあって、うちのメンバーはみんなストライクゾーンが広いんですよ。だから、ヘヴィ・ミュージックの中でも幅広さを出していけると思う。それを、すごく楽しみにしています。
Valtz’s Guitars
Valtz’s Amplifier
Commune Marshall JVM410H MOD
カスタム/モディファイなどを多く手がける技術者集団“コミューン”によって手が加えられたマーシャル JVM。真空管を6L6に替えているほか、スーパー・ベース、ハイカットという機能が追加されている。バッキングのゲイン・ツマミ位置は10時とかなり低め。ギター・ソロでも12時くらいだそう。
Valtz’s Pedalboard
【写真右から】
◎Shure/GLXD16(ワイヤレス・レシーバー/チューナー)
◎DigiTech/Whammy DT(ピッチ・シフター)
◎Analog Man Maxon/OD9 MOD(オーバードライブ)
足元は超シンプル。OD9はゲインゼロ、ボリュームフルで常にオンという、メタルコア系定番の使い方。ワーミー・ペダルはドロップAに設定した7弦を半音下げるなど、チューン・ダウンする際に使用する。
作品データ
『THE ONE』
NOCTURNAL BLOODLUST
DANGER CRUE RECORDS/DCCA-1054/2021年9月1日リリース
―Track List―
01. THE ONE
02. Corruption
03. THE ONE (Instrumental)
―Guitarists―
Valtz、Yu-taro
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≪LIVE情報≫
NOCTURNAL BLOODLUST LIVE TOUR “THE AKASHIC BREAK TOUR
11月27日(土) 大阪 DROP OPEN 17:30/START 18:00
11月28日(日) 大阪 DROP OPEN 17:30/START 18:00
12月19日(日) 名古屋 CLUB UPSET OPEN 17:30/START 18:00
12月22日(水) 東京 新代田 FEVER OPEN 18:00/START 18:30
12月23日(木) 東京 新代田 FEVER OPEN 18:00/START 18:30
【チケット料金】
前売¥5,800 (税込/オールスタンディング)
※入場時ドリンク代別途必要
※未就学児入場不可・営利目的の転売禁止
※立ち位置指定
【オフィシャルHP先行】
受付URL :https://eplus.jp/ncbl/2021/
受付期間:10月20日(水)18:00~10月26日(火)21:00 入金期間:10月29日(金)13:00~11月3日(水・祝)21:00
【一般発売日】 2021月11月13日(土)