文:井戸沼尚也、関口真一郎、編集部 製品撮影:星野俊
KR’Z ナノダイヤモンド ケーブル
響/XL
芯線をナノダイヤモンドでコーティング
KR’Z-ナノダイヤモンド ケーブルは、独自の技術で約3~5nmのダイヤモンドを芯線の表面にコーティングした新世代のケーブルだ。楽器用ケーブルとしては、芯線構造の違いからレンジ感が異なる3モデルをラインナップ。そのうち響(HIBIKI)は、2本の並行線にクロスする形で銅線を編み込んだ芯線構造で、低音域から高音域まで最もレンジが広いモデル。その名のとおりコードやアルペジオの響きに優れ、アコギとも相性が良い。
NISHIDA’S COMMENT
音量と音圧が今回の中でトップ・クラス!
明らかに音が大きいですね! 音量、音圧ともに今日試したモデルの中でもトップ・クラスですし、ガッツのある音という感じがします。レンジも非常に広いんですが、低域のボヤけがちな部分はタイトで、それによってよりクリアに感じますね。音の“むき出し感”があって、レスポンスも速いです。こうやって音圧や派手さがあると平面的な音にもなりがちなんですが、ちゃんと奥行きを感じられるのもポイント高いですよ。
ライン録音レビュー
他モデルと比べてインターフェースへの入力レベルが高い。レンジも広く、録音後の加工をあまり行なわずにギターに存在感が出せるだろう。(編集部)
BRAND INTRODUCTION
ナノダイヤモンドと芯線構造が高める伝送効率
新たに誕生した国産の楽器用ケーブル・ブランド、KR’Z-ND CABLE。本ブランド製ケーブルの特徴は、複数本を撚り合わせた芯線の表面にナノダイヤモンドを極薄コーティングしていること。製造・販売を行なうザクレスは2017年に創業。もともと省電力ケーブルの開発に携わっていたスタッフが、伝送効率を高める素材として、それまで高度医療や精密機器に利用されてきた高分子材料、ナノダイヤモンドに着目。コーティング技術を研究する過程で、さらに幅広い分野への応用を着想し、その研究と製品の開発・製造を目的として設立された。
まずはハイエンド・オーディオ向け高級ケーブルの製造から始めてみたところ上質でクリアなサウンドが得られたことから、楽器用に応用できるかもしれないと、改良をくり返し多数のトップクラス・ミュージシャンの試奏を経て、ついにハンドメイドで製品化に至ったのがナノダイヤモンド ケーブルだ。芯線の構造別に響(HIBIKI)、雅(MIYABI)、爽(SOU)の3モデルをラインナップ。通電反応の早さ、レンジの広さ、音の粒立ちの良さ、心地よい倍音の響きに加え、柔らかさと軽さでプロ・ギタリストを中心に人気を集めている。販売はウェブサイトのみで行なわれ、製品はすべてシリアル管理されるのでアフターケアも万全だ。
OTHER MODEL
[写真左]中低音寄りの音響特性に優れる雅(MIYABI)。20,800円(3m)。ベーシストやダウン・チューニングに最適。
[写真右]中高域寄りで、明るくきらびやかなサウンドが魅力的な爽(SOU)。19,600円(3m)アクティブ・ピックアップのギターや、キーボードなどデジタル楽器との相性も良い。
KR’Z ナノダイヤモンド ケーブル
響(HIBIKI)
価格 : 22,000円(3m S-S)(税抜)
ザクレス https://krzndcable.thebase.in
*本記事はギター・マガジン2020年10月号にも掲載されています。
本号の特集は「’70s BLUE NOTE〜70年代ブルーノートとクロスオーバー前夜のギタリスト」。”新時代の音を作ってやる”という気概のこもった当時のギタリストたちのプレイと、デヴィッド・T.ウォーカー、リー・リトナーらの証言インタビューで、彼らのドラマと偉業に迫っていく。