2ピース・バンドのドミコにとって、ステージ上でアンサンブルを構築するうえで、Line 6 DL4のルーパー機能は必須アイテム。ボーカル&ギターのさかしたひかるは、MkIIモデルも発売直後に入手したほどだ。今回はバンド・アンサンブル上でのDL4 MkIIの実力を探るべく、ドミコの2人にライブ形式でのデモンストレーションをお願いした。さかしたが使用したMkIIディレイのセッティング、試奏インプッションも合わせてチェック!
取材=福崎敬太 動画撮影=川村健司 録音=石井キョショ 写真撮影=イノクチサトシ デザイン=久米康大 協力=西川口Hearts
録音タイムが長くなったのが凄く嬉しいですね
DL4 MkIIの発売翌日に、ボードに組み込んだ写真をSNSにアップしていましたよね。そしてすでにライブでも使っているということで、おそらく日本イチ早く現場に導入したギタリストなんじゃないかと(笑)。
ははは(笑)。サイズもほぼ一緒なので、入れ替えるだけでしたしね。でも、ほかにもいるんじゃないですかね(笑)?
いやぁ、少なくともその1人であることは間違いないですよ(笑)。実際に使ってみた第一印象はどうでしたか?
ディレイもひと通り使ってみましたけど、リバーブが組み合わさることが想定されているような印象でしたね。ディレイだけだとその余白を残しているような雰囲気。逆に言うと、リバーブとの組み合わせで作り込みの余地がすごく残されている。なおかつ個人的にも面白いエフェクトがいくつもあって。“20年経った感”がありましたね(笑)。
ライブでは[Looper]モードのみの使用だと思いますが、実際に現場で使った感想を聞かせて下さい。
まず、音の解像度が凄く上がりました。従来モデルだと、ループを鳴らした状態でドラムと合わせて何かを弾いたりした時に、埋もれてしまう感じがあるんです。でも、新型は別のアンプから出しているような鮮明さがあって、それは凄くビックリしました。逆に、音の減衰を利用したルーパーを使ったロング・ディレイみたいなことは、あまりにも音がクリアなのでやりづらくなりましたけど、そうやって使う人ってかなり少数派なので……(笑)。明らかにメリットのほうが大きいですよ。
特にドミコのライブだと違いがわかりそうです。
単純に演奏しやすいし、“フレーズが見える”んですよ。例えば「化けよ」みたいにレイヤーを重ねていく曲で、どんなにカッコ良いフレーズをループさせたとしても、旧型だとバンドインした時に“なんとなく”しか聴こえてない。でも今はフレージングが最後まで残っている。それは感動しましたね。
そういえばルーパーの設定で、MIXツマミの位置が変わっていましたね。
旧型はフルの状態でループ音と原音がイーブンくらいだったんですけど、新型はその状態だとループ音のほうが大きくなるんですよ。なので、ちょっと下げてイーブンくらいの状態にしていますね。12時だと弾いている音に少し食われちゃうという感じなので、1時くらいですね。
ほかに感じた良さは?
電源が標準的な9Vで動くようになったのと、あとはサイズ。俺、小さすぎるペダルが嫌いなんですよ。踏みづらいし、ライブを想定していない。でも、DL4もDL4 MkIIも世界中で売っているから、ボタンの幅も色んな人にとっての“ちょうど良い幅”なんですよね。それは相変わらず良い。それに奥行きが狭まっているから、さらにエフェクターをもう1個追加できるスペースが確保できますよね。あとルーパーに関しては、録音タイムが長くなったのが凄く嬉しいです。
単体で120秒まで対応できるようになりましたね。
前であったら曲中に“1/2(ハーフ)SPEED”モードにする曲もあったので、常に尺を替えるスイッチを押せる状態じゃなかったんです。なので、“この曲はフレーズが長いからハーフ・モードから始める”、“次の曲は曲中にフレーズ自体をハーフに替えるから〜”とか、曲を始める前に設定を確認しなくちゃいけなかったんですけど、それを考えなくても良いのが嬉しい。間違える時があるんですよ。
やっぱりあるんですか?
年に2回くらい(笑)。「ベッドルーム・シェイク・サマー」みたいに14秒以上のループを使う曲で、ハーフ・モードにせずに始めちゃったり。
新しいルーパーを使ってやりたいことはありますか?
シンプルな構成の曲で“1-Switch Looper”を使って、ディレイ・モデルも一緒に使ってみたいですね。
リバーブとディレイの組み合わせを考えるのが楽しいんですよ
今回の動画では“MkIIディレイ・モデルを使ってほしい”という我々からのオーダーから、「化けよ」で[Harmony]を使ったプリセットを組んでいましたね。
「化けよ」は人間の手で弾けないようなフレーズで、アルペジエイターを使って作っているんです。で、[Harmony]の原理がアルペジエイターに近い感じがあったので、その代用のようなイメージで使いました。
代用してみてどうでしたか?
音の太さを感じましたね。こういう使い方も今日やるまで想定していなかったんですけど、変えても気づかれないくらいにできたんじゃないかな(笑)。対応できる幅の広さを改めて感じました。
従来のDL4を使っている人って、あまり飛び道具で使わないじゃないですか。便利なエフェクトが3つ即座に切り替えられるっていうところがポイントというか。でも、実際に使ってみると、あんなヘンテコなサウンドにも対応できる。もちろん、今回はオーソドックスなディレイは使わなかったですけど、そういうのは“LEGACY”モードとして残っていますし。単純に前のモデルに機能がプラスされて、格段に幅が広くなりましたよね。
で、特にリバーブが凄いです。リバーブと組み合わせることができて、それぞれのパラメータもいじれて、ミックスの仕方も選べる。設定によってはリバーブ専門のチャンネルにもできるから。
「ベッドルーム・シェイク・サマー」のプリセットは?
[Glitch]とリバーブは[Octo]ですね。
どういうイメージでセッティングしましたか?
グリッチ系のサウンド自体はもともとあったけど、ここ3〜4年くらいで流行り出したじゃないですか。僕も買って使っていたりして、その原理というか仕組みはなんとなくわかっていたので、“そこにリバーブを足したら個性的なシマー・リバーブっぽい感じになるかな”って。本当にその組み合わせを考えるのが楽しいんですよ。
リバーブもホールやルームのようなものだけじゃなく、色々な種類があるのもポイントですよね。
リバーブはまだ全部試せていないですけど、ディレイとリバーブのアルゴリズムが近い感じもあるので、同じくらいバリエーションがあるんだと思うんですよね。[Octo]自体がシマーっぽい感じがあったり、[Plateaux]も面白かった。“シークレット・リバーブ”って名のとおり、気づかない人もいると思うんですけど、それはもったいなさすぎる!
(笑)。
裏設定という感じですけど、やってみたら簡単ですし。“リバーブが欲しい”っていう人でも、DL4 MkIIを買うのはアリですよ。
DL4 MkIIをオススメするならどんなギタリスト?
俺は今回は飛び道具的な使い方をしましたけど、普通のディレイからシンプルなリバーブも入っているので、空間系を持っていない“これから何を買おう”って思っている人の1台目にもオススメですね。長い目で見たら安い買い物だと思います。あと、ディレイとリバーブの組み合わせは、“何か新しい音を出したい”っていう人にこそ考えてもらいたいです。もしかしたら適当に作っただけでも、新しい音楽が生まれたりするかもしれないですね。
それにマイク端子があるのはけっこう良いですね。歌のループを作ったり、弾き語りの人は面白いことができそうな気がします。
Line 6
DL4 MkII
【スペック】
ディレイ・エフェクト数:30
リバーブ・エフェクト数:15
ルーパー最長Rec時間(フル/ハーフ):120秒/240秒(microSDで拡張可)
入出力端子:1/4″イン×2、XLRマイクイン×1、1/4″アウト×2、EXP/FS端子、MIDIイン/アウト/スルー、USB、micro SD
電源:9V DCアダプター
サイズ:235(W)×114(D)×51(H)mm
重量:0.92kg
【価格】
希望小売価格:59,400円(税込) ※価格改定により2023年1月27日に記事内の記載を更新
【問い合わせ】
ヤマハミュージックジャパン Line 6インフォメーションセンター TEL:0570-062-808 http://www.line6.jp
https://line6.jp/effects-pedals/dl4-mkii/