“ギター・ソロが鳴るとスキップをする”イマドキ(?)のリスナーからの支持も厚い新世代のプロ・ギタリストたちが、改めてソロの魅力を紹介する特集『このギター・ソロ聴いてみな? 飛ぶぞ!!』。今回は、エレキ&アコギ双方を自在に操り、独創的なプレイ・スタイルを武器に活躍するシンガー・ソングライター、崎山蒼志にも選曲してもらった。
あなたにとってのギター・ソロとは?
感情、感覚の行く先
───崎山蒼志
崎山蒼志が選ぶ
ギター・ソロ名曲3選!
No.1|「パープル・レイン」 プリンス&ザ・レヴォリューション
崎山 この曲に出会った当時、まだプリンスの音楽をあまり知らなかったのと、彼にギターのイメージをあまり持っていなかったので、 この曲のミュージック・ビデオを見て衝撃を覚えました。白いギターに、歪みながらも澄み渡るかっこいい音像、そしてギター・ソロを掻き鳴らす姿。
プリンスの弾くギターは、エモーショナルさに満ちています。特に4分41秒あたりからリピートされるフレーズが大好きです。雨の中、強い意志を持って立ち上がるようなそのフレーズに、何度聴いても心を揺さぶられます。
収録アルバム
『パープル・レイン』/プリンス
No.2|「トークトーク」 橋本絵莉子波多野裕文
崎山 1音だけのギター・ソロ。段々ハウリングになり、その1音がさらに伸びてゆく。歌詞の世界観と相まって、誰かを思う儚くも真っ直ぐな気持ちにも、波だけを広がらせ走り続ける汽車のようにも、様々な聴こえ方のする非常に文学的なソロだと思います。切ない。聴くたびに胸を打たれます。楽曲に効果的に響き渡る、究極に削ぎ落とされた大好きなソロです。
収録アルバム
『橋本絵莉子波多野裕文』/橋本絵莉子波多野裕文
No.3|「ニア・ディーティー,エムアイ」 ブラック・ミディ
崎山 1分49秒あたりからの、まるで大サビかのような盛り上がりをみせるギター・フレーズとリフ。もはやソロではないのかもしれませんが、これは確実にぶっ飛びます。
ブラック・ミディの音楽、ジョーディ・グリープのギターには毎回ぶっ飛ばされています。この未聴感、まだ体感したことない方は是非! 四次元、五次元の幾何学的ジェット・コースターがあなたを待っているでしょう……。
収録アルバム
『シュラーゲンハイム』/ブラック・ミディ
崎山が弾く、本人イチオシのギター・ソロはコレ!
崎山蒼志/通り雨、うつつのナラカ
崎山 個人的にはエモーショナルさに全振りしたギター・ソロです。幾度かテイクを重ねる中で、短い秒数でどれだけメロディアスかつ破滅的に弾けるのか、そのバランスが議題となっていました。怒り泣きしているような、そんなソロが弾きたかった。気に入っています。
収録アルバム
『Face To Time Case』/崎山蒼志
今回選曲してもらったギタリストは……
崎山蒼志
さきやまそうし◎シンガー・ソングライター。FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONIC、RISING SUN ROCK FESTIVALなど大型フェスへの出演も経て、2021年1月27日にアルバム『find fuse in youth』でメジャー・デビュー。2022年2月2日セカンド・アルバム『Face To Time Case』を発売。現在、テレビドラマやアニメ、映画主題歌、CM楽曲などを手がけるほか、独自の言語表現で文学界からも注目を浴びている。ギター・マガジンWebにてコラム“崎山蒼志の未知との遭遇”連載中。
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