今、国産ギターがアツい。ということで、今回はギター・コレクターとしても知られる野村義男に登場願い、注目のブランドのギター10本の実力を確かめてもらった。
ここでは茨城県日立市に工房を構えるFour Spirals Basses & Guitarsから、Grace [麗]をピックアップ。巧みな木工技術と、日本古来の塗装“拭き漆(ふきうるし)”により作り出される芸術性の高いギターの実力を見ていこう。
動画撮影/編集=熊谷和樹 録音=嵩井翔平 取材/文=小林弘昂 撮影=星野俊 デザイン=ジャスティスマサキ
※本記事はギター・マガジン2023年1月号の『野村義男が弾く! 今注目の国産ギター10本』から一部抜粋/再編集したものです。
Four Spirals Basses & Guitars
Grace [麗]
日本古来の塗装を用いた芸術的ハンドメイド・ギター
茨城県日立市に工房を構えるFour Spirals Basses & Guitars。巧みな木工技術と、日本古来の塗装“拭き漆”により作り出される芸術性の高いギター&ベースが話題を呼んでいる。
Grace [麗]と名付けられた本器は、独特のボディ・シェイプと2つのハムバッカーを備えた1本。ボディ・トップには貴重なキルテッド・メイプルを採用し、“拭き漆”によって杢目の美しさを際立たせている。ボディのエッジはカーブを描き、体へのフィットもバツグン。セット・ネック仕様でヒール部分にはなめらかな加工が施されており、最終フレットまでストレスなく演奏できる点にも注目したい。
フロントとリアの2つのボリューム・ノブはそれぞれプッシュ/プルが可能で、プルするとハムバッカーがシリーズ接続からパラレル接続になる。また、2つのトーン・ノブもプッシュ/プルでき、プルするとコイル・タップされシングルコイル・サウンドも楽しめるように。芸術的なルックスとモダンなスペックをあわせ持った、まさに現代的なギターだと言えるだろう。
Nomura’s Impression
美しい仕上がりなので弾くのがもったいないです(笑)。
弾いてるとギターが体にピッタリ入ってくるの! “人間工学にもとづいたデザインなのかな?”っていうくらい不思議なコンターで、この感じは初めてで面白かった。
ルックス的には楽器というよりも芸術品ですよね。杢目が角度によって動いて見えるから気持ちが良い。高級感のある美しい仕上がりなので、弾くのがもったいないです(笑)。ネックも弾きやすくて良いんですよ。今時9プライのネックを作る職人さんはいないから、久しぶりにこういうのを見られて嬉しかったですね。
音は凄くパワーがある。コイル・タップをして普通のギターと同じくらいの出力になったので、ずっとタップしていたほうがいいのかなっていうくらい(笑)。今日はすべてのギターを同じセッティングのアンプで弾いたので、最初にクリーンでコードを鳴らした状態からパワーを感じましたね。歪ませてもガツンと来たから、デカいアンプで鳴らしたほうがこのギターの良さを発揮できるんじゃないかな。
Four Spirals Basses & Guitars
Grace [麗]
フォー・スパイラルズ・ベーシズ&ギターズ / グレース [レイ]
【スペック】
●ボディ:キルテッド・メイプル・トップ、マホガニー・バック
●ネック:マホガニー&メイプル(9プライ)
●指板:ブラジリアン・ローズウッド(標準仕様はローズウッド)
●フレット数:23
●スケール:628mm
●ペグ:GOTOH SG301 MG
●ピックアップ:Seymour Duncan SH-1n(フロント)、同SH-4(リア)
●コントロール:ボリューム×2(どちらもシリーズ/パラレル切り替えプッシュ/プル・スイッチを搭載)、トーン×2(どちらもコイル・タップ用のプッシュ/プル・スイッチを搭載)、3wayピックアップ・セレクター
●ブリッジ:GOTOH GE103B-T & GE101Z with FIXER
●カラー:ナチュラル(拭き漆)
※本個体はオーダー品のため標準仕様と異なる部分があります。
【価格】
687,500円(税込)
【問い合わせ】
Four Spirals Basses & Guitars
TEL:090-3599-8238
ギター・マガジン2023年1月号
『特集:ビートルズ『Revolver』』
2023年12月13日(火)発売