GRAPEVINEが2002年にリリースしたアルバム『another sky』の全曲再現ライブ“in a lifetime presents another sky”が、2023年2月23日(木)に中野サンプラザホールにて開催された。今回はそのリハーサル現場に潜入し、田中和将(vo,g)と西川弘剛(g)の使用機材を撮影。“ライブではなるべく色んなギターを使ってあげたい”と語っていた、田中の愛器を5本紹介しよう。
取材/文=伊藤雅景 協力=TEAM ACTIVE・大和正尚(GRAPEVINEギター・テック) ライブ写真=藤井拓 ギター写真=星野俊
Fender/American Vintage 60s Telecaster
GRAPEVINEの活動中期から登場するテレキャスター
2007年前後に中古で購入したという、日焼けしたレイク・プラシッド・ブルーがクールなテレキャスター。「超える」(2007年)のMVが発表された頃から頻繁に使用するようになった1本で、田中のギター・テック曰く“バンド・アンサンブルに馴染む音色が特徴”とのこと。ネック・プレートにはフリーダムカスタムギターリサーチ製のTone Shift Plateが採用されており、これを装着してから好みのサステイン感が得られるようになったという。コンデンサーも交換されているが、型番は不明。
2023年2月23日(木)@中野サンプラザホール公演でAmerican Vintage 60s Telecasterを使用した楽曲リスト
- ふたり – 『another sky』(2002年)収録
- マダカレークッテナイデショー – 『another sky』(2002年)収録
- BLUE BACK – 『another sky』(2002年)収録
- ドリフト160(改) – 『another sky』(2002年)収録
- マリーのサウンドトラック – 『another sky』(2002年)収録
- Gifted – 『新しい果実』(2021年)収録
- ねずみ浄土 – 『新しい果実』(2021年)収録
- Our Song – 『Circulator』(2001年)収録
Fender/American Original 60s Telecaster
攻撃的なサウンドが特徴の1本
近年導入された、元気なサウンドが特徴だという1本。“バンドに馴染むのはAmerican Vintage 60s Telecasterだが、本器のほうがテレキャスター感が強く出てくれる”とテック談。田中がアグレッシブなギターをプレイする楽曲で登場することが多く、下記の本器を使用した楽曲のリストからも、その傾向が見て取れるだろう。ピックアップはセンター・ポジションが最も使用頻度が高く、ボリューム・ノブも細かく調整しながらサウンドをコントロールしている。なお、ネック・プレートには前出のテレキャスターと同様のパーツを採用している。
2023年2月23日(木)@中野サンプラザホール公演でAmerican Original 60s Telecasterを使用した楽曲リスト
- LET ME IN〜おれがおれが〜 – 『another sky』(2002年)収録
- Tinydogs – 『another sky』(2002年)収録
- Suffer The Child – 『イデアの水槽』(2003年)収録
- フラニーと同意 – 『Sing』(2008年)収録
- Alright – 『ALL THE LIGHT』(2019年)収録
- MISOGI – 『MISOGI EP』(2012年)収録
- EVIL EYE – 『BABEL,BABEL』(2016年)収録
Fender/Made in Mexico Stratocaster
田中が初めて導入したストラトキャスター
『新しい果実』(2021年)のレコーディングで一番活躍したというストラトキャスター。田中がバンドにストラトキャスターを導入した(6〜7年前)のは本器が初で、それまで使ってこなかった理由は“ストラトキャスターはギター・ヒーローが持つものという印象があったから”だそうだ。カッティングが映える“シャリッ”とした音色に近づけるため、ネック・エンドにシムを挟み、鳴りを微調整している。なお、写真ではアームが装着されており、ブリッジも1〜2mmほどフローティングしているが、あまり使用することはないようだ。
2023年2月23日(木)@中野サンプラザホール公演でMade in Mexico Stratocasterを使用した楽曲リスト
- アナザーワールド – 『another sky』(2002年)収録
- Sundown and hightide – 『another sky』(2002年)収録
- ナツノヒカリ – 『another sky』(2002年)収録
Epiphone/Casino
新たに導入された2本目のカジノ
田中のメイン・ギターといえば、バンド結成当初から所有しているビンテージのカジノだが、近年この1本(USA Collection)が新たに導入された。本人曰く“とにかくバランスが良く、66年製と比べて肉づきの良いサウンドが気に入っている”とのこと。「目覚ましはいつも鳴りやまない」の音源で聴けるギター・イントロは66年製カジノの音だが、今回のライブでは本器によって奏でられた。田中がカジノのピックガードをはずしているのは、立っている時にノブ類が見えなくなってしまうから。
2023年2月23日(木)@中野サンプラザホール公演でCasinoを使用した楽曲リスト
- 目覚ましはいつも鳴りやまない – 『新しい果実』(2021年)収録
- Colors – 『another sky』(2002年)収録
Gibson/Southern Jumbo
新品から育てた新たなメイン・アコギ
本記事で紹介した田中のギターの中では一番新しく、新品で購入したというギブソンのSouthern Jumbo。テック曰く“以前メインで使用していたアコースティック・ギター(ギブソン/1999年製のJ-50)と比べると、音が前に飛んでこない”という印象だったそうだが、調整をくり返し使い続けているうちに、満足がいくサウンドに育ってきたそうだ。ピックアップをL.R.Baggs製のElement VTCからAnthemに換装しているところがポイント。
2023年2月23日(木)@中野サンプラザホール公演でSouthern Jumboを使用した楽曲リスト
- それでも – 『another sky』(2002年)収録
- Big tree song – 『Burning tree』(2015年)収録
- 作家の顛末 – 『Everyman,everywhere』(2004年)収録
作品データ
『in a lifetime presents another sky』
GRAPEVINE
スピードスター/VIZL-2136/2022年12月21日リリース
―Track List―
(DISC1 Blu-ray)
- マリーのサウンドトラック
- ドリフト160(改)
- BLUE BACK
- マダカレークッテナイデショー
- それでも
- Colors
- Tinydogs
- LET ME IN~おれがおれが~
- ナツノヒカリ
- Sundown and hightide
- アナザーワールド
- ふたり
- CORE
- さみだれ
- Gifted
- ねずみ浄土
- コーヒー付
- 1977
- STUDY
- Scare
- R&Rニアラズ
- 風の歌
- Alright
―Track List―
(DISC2 CD)
- マリーのサウンドトラック
- ドリフト160(改)
- BLUE BACK
- マダカレークッテナイデショー
- それでも
- Colors
- Tinydogs
- LET ME IN~おれがおれが~
- ナツノヒカリ
- Sundown and hightide
- アナザーワールド
- ふたり
―Guitarists―
田中和将、西川弘剛