ディスク・レビュー『SONGBOOK VI』 石若駿 ディスク・レビュー『SONGBOOK VI』 石若駿

ディスク・レビュー『SONGBOOK VI』 石若駿

『SONGBOOK VI』
石若駿

『SONGBOOK VI』石若駿
APOLLO SOUNDS YS0006 ¥2,200 発売中 全7曲

先鋭的ミュージシャンが多数参加 “歌”をコンセプトにした作品群の6枚目

 神出鬼没で変幻自在。現在の日本のシーンにおいて、何か新しい音楽が生まれる現場には必ず石若駿がいるのでは? 本作で6枚目を数える“Songbook”はそんな彼がライフワークと標榜する、歌をコンセプトにした作品群だ。

 先鋭的なミュージシャンが集う中、ギタリストは①②③に西田修大、③に市野元彦、⑥に苗代尚寛が参加して自身の持ち味を発揮。

 ①では西田のギター1本で始まる冒頭で楽曲の世界観を一瞬にして提示しつつ、独自のボイシング感覚を持ったコード・ワークで曲のサウンドを大きく広げていく。

 市野による③でのコンテンポラリーなプレイは特筆すべきもので、歌と一体となって時に寄り添い、時にリードしつつ、終盤の長尺ソロも含めて終始楽曲を牽引。

 ギターでアンビエントな空間レイヤーを演出する⑥での苗代の手腕も見事だ。

 こうした実験的な試みの数々が、“歌”という軸でポピュラー音楽の枠につなぎ止められている。

(田中雄大)

【参加クレジット】
石若駿(vo, d, k, etc)、西田修大/市野元彦/苗代尚寛(g)、マーティ・ホロベック(b, baritone gt)、角銅真実/細井徳太郎/櫻/Ying(vo)、ermhoi(cho)、高木大丈夫(banjo)、ギデオン・ジュークス(tuba)、松丸契(clarinet)、他

【曲目】
①あちらの空は晴れ
②You
③Natsu Wa Mijikai
④台形のダンス
⑤Pentatonic 物語
⑥空に逢う、朝を待つ
⑦May 2nd

ギター・マガジン2023年5月号表紙

ギター・マガジン2023年5月号
『追悼 鮎川誠』
2023年4月13日(木)発売