イカサマイマサ『思い出は総天然色』 イカサマイマサ『思い出は総天然色』

イカサマイマサ
『思い出は総天然色』

ストリーミングやレンタルDVDやレンタルビデオが当たり前でなかった頃は、映画館で見逃した作品はテレビでかけてくれるまで観ることができなかった。それは、せいぜい20インチ程度(しかも白黒)のブラウン管式TVで見る日本語吹き替え版で、劇場のデカいスクリーンで字幕付きで観るそれとはまったく別モノなエンタメだった……。っていつの話だ? 自分の家がカラーTVに変わったのは俺が小4の年。そんな時代。

だからウルトラマンやセブンの身体が赤と銀だとか、謎の円盤UFOのおねえさんの髪が紫とか青だったなんて知らなかったかというとそんなことなくて、たぶん雑誌のカラー写真とかで見た情報が刷り込まれて観るたびに脳内着色していたんだろうね、すごいな、人間。

幼い頃から映画好きだった自分は、音楽も映画のサウンドトラックが入口だった。これぞ白黒映画って感じの『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』のテレビ放映をたまたま観てラストのコンサート・シーンにやられて“自分もギターを弾きたい!”って思ったのが洋楽に目覚めたきっかけだし。

ただ中学生になって何度目かのリバイバル上映で初めて劇場で字幕入りを観た時は、それまでJ.レノンの喋りは広川太一郎さんの声として刷り込まれていたのもあって、歌はともかくとして会話シーンの違和感がどうしても拭えずだった。厄介かも、人間。

ちなみに、『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』OP曲、「A Hard Day’s Night」のイントロのギター打ち鳴らしのコードに関して、いろんなヒトがいろんな解釈や分析をして難しいテンション・コード名を付けたりしてるけど、皆考えすぎでは?

10代の頃、ツイン・ギターのバンドを組んでいた。どちらかがバッキングでどちらかがリードを、とかいうのでなく、“ピアノは両手指合わせて10本だけど、ギターふたりいれば同時に12音出せるから俺らの勝ちじゃん?”てな感じで、同じコードをポジション違いで弾いたりひとりがトライアドを弾いたら、もう片方はadd9などのテンション付けたフォームで同時にガシャーンと鳴らすと不思議な響きが生まれるので“うぉー! これ新しいコード発明したんじゃね?”なんて遊んでいた。たぶん「A Hard Day’s Night」の有名なイントロもそんな感じかもね。

あ、そうだ。次回はなぜそう思っているかを、奥深いマニアの多いビートルズに関してテキトーかますと叱られるのを承知で、ギターを弾きながら口ずさんで曲を作るタイプの人間ならではの観点から解析してみよう。いまからギター取ってくるのでキミらはこれ観て待っといて。じゃ、次回、I’ll be Back……(って、いつだよ?)。

いまみちともたか

Profile

いまみちともたか

いまみちともたか◎1959年生まれ。BARBEE BOYSのギタリストとして1984年にデビュー後、佐野元春や井上陽水のレコーディングに参加するなど、多方面で活躍。ほかにも、椎名純平らとのヒトサライ、自身がホストとなってゲストを迎えるスタジオ・ライブ・シリーズ=“カメを止めるな”を主催するなど、精力的に活動中。

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