KEYTALKのリハーサル現場に潜入し、リード・ギターである小野武正の機材を撮影成功! 長年のメイン・ギターであるSGスタンダードを始め、1961年製のレス・ポール/SGカスタム、近年入手したギブソン・カスタムのSGまでを一挙に紹介。さらに、ペダルボードやアンプのセッティングも合わせて見ていこう。
取材/文=伊藤雅景 写真=小原啓樹
小野武正の使用ギター
Gibson/SG Standard
メインの座に君臨し続ける、小野の絶対的メイン・ギター
小野が高校一年生の時(2004年)に購入し、それ以来不動のメインSGとして君臨し続ける、2002年製のギブソンSGスタンダード。新作『DANCEJILLION』のリード・ギターはすべてこのSGでレコーディングされた。
ピックアップはフロントを選択することが多く、太くコシのあるサウンドを奏でる。配線材、コンデンサーの交換、ピックアップ・コイルの巻き直しなど改良点は多岐にわたるが、基本的には後述のレス・ポール/SGカスタムの音像に近づけているそうだ。チューニングはレギュラーで、使用弦はダダリオのRegular Light(.010-.046)。
Gibson/1961 Les Paul Custom
レス・ポール/SGカスタム生産初年度の貴重なビンテージ
小野が所有する、1961年製の希少なレス・ポール/SGカスタム。“Les Paul”の名を持ったままSGシェイプに変わった初年度の1本だ。絶妙に日に焼けたホワイトのフィニッシュ、メッキが禿げたゴールド・パーツなど、貫禄の雰囲気を醸し出している。
2021年の取材時に付いていたリア・トーンのノブは取れてしまったほか、ブリッジをモントルーのABR-1に交換している。新作のレコーディングでは登場しなかったが、小野曰く“高音域のギラつき感が気に入っている”とのこと。使用弦、チューニングは前述のSGスタンダードと同様。
Gibson Custom/SG Standard
新たにお目見えした、ウォーミング・アップ中のニューSG!
新たに入手したという、ギブソン・カスタムのSGスタンダード。61年製レス・ポール/SGカスタムの仕様を多く取り入れた1本だ。2023年9月の“DANCEJILLION Release Tour 2023”では、サブ・ギターとしてセッティングされている。
サウンドは“解像度が高く余計なロー成分が少ない”そうで、“フレージングが細かくても、アンサンブルに埋もれないです。逆に、ロー・ミッドの「ブリッ」とした部分や、曲を引っ張っていくような音の太さは黒SGに軍配が上がります”とのこと。また、取材時はまだ本格的な調整が終わっておらず、セッティングを詰めている最中だった。今後、活躍の場が増えていくであろう1本だ。
小野武正のペダルボード
歪みペダルはゼロ! 超シンプルなペダルボード
【Pedal List】
①Jim Dunlop/GCB95 Cry Baby(ワウ・ペダル)
②BOSS/DD-3(ディレイ)
③BOSS/TU-3(チューナー)
④テック製作/チャンネル切り替えスイッチ
⑤FREE THE TONE/PT-3D(パワー・サプライ)
ワウ、ディレイ、チューナー、チャンネル切り替えスイッチで構成された、超シンプルな小野の足下。
ギターの信号は①〜③の順で通過しアンプへ向かう。歪み成分はアンプのゲインのみで、ギター・ソロ時などはアンプのチャンネルを切り替えで対応している。
②のディレイは単音リフやロング・トーンの際の“味つけ”で踏んでいる。ディレイ・タイムやフィードバック、レベルは特に決まっておらず、ざっくりとセッティングしているそうだ。
小野武正の使用アンプ
Marshall/JCM2000 I.M.I LIGHTS MOD
& HIWATT/412 Cabinet
太く甘いリード・サウンドを演出するブリティッシュ・アンプ
小野の代名詞でもあるマーシャルのJCM2000 & ハイワット製4発キャビネット。一時期、ヘッド・アンプにJCM800を採用していたが、高音域に寄りすぎてしまい音が散らばる印象があったため元のJCM2000に戻したという。
なお、本機は愛知県の工房、I.M.I LIGHTSによるモディファイが施されている。また、ハイワットのキャビネットにはセレッションのVintage 30が4基搭載されている。
セッティング
※CHANNEL A⇔Bの切り替えは足下のフット・スイッチで行なう。
※CHANNEL A内のCLEAN⇔CRUNCHの切り替え、ツマミの調整はローディーが行なう。
【CHANNEL A(CLEAN)】
GAIN=2時
VOLUME=2時前
【CHANNEL A(CRUNCH)】
GAIN=11時
VOLUME=10時
【CHANNEL B】
GAIN=12時前
VOLUME=11時過ぎ
LEAD SWITCH=1
【EQUALISATION】
BASS=3時過ぎ
MIDDLE=最大
TREBLE=9時過ぎ
PRESENCE=9時過ぎ
【SWITCH】
TONE SHIFT=オフ
DEEP=オフ
作品データ
『DANCEJILLION』
KEYTALK
ユニバーサル/TYCT-60211/2023年8月30日リリース
―Track List―
- ハコワレサマー
- 狂騒パラノーマル
- Puzzle
- MAKUAKE
- 君とサマー
- ワッショイ!
- 夜の蝶
- Supernova
- 九天の花
- 未来の音
- MY LIFE
- shall we dance?
―Guitarists―
小野武正、寺中友将