ギタリストなら絶対に聴くべきブリティッシュ・ブルース・ロックの名盤40枚(1/4) ギタリストなら絶対に聴くべきブリティッシュ・ブルース・ロックの名盤40枚(1/4)

ギタリストなら絶対に聴くべき
ブリティッシュ・ブルース・ロックの名盤40枚(1/4)

ギター・マガジンで連載中の40周年記念企画「偉大な40枚の○○○名盤」の内容を、本WEBサイトで順次公開します。第1回目の今回は、2021年1月号に掲載したブリティッシュ・ブルース・ロックの名盤40枚の中から最初の10枚を紹介!

選盤・文:安東滋


ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ
『Blues Breakers With Eric Clapton』

リリース:1966年
●ギタリスト:エリック・クラプトン

英国ブルース・ロックの金字塔

クラプトンが英国ブルース界の首領=ジョン・メイオールの元でブルース修行した時代の大名盤。図太い音でのびのびとブルース・スタンダードを弾きまくる、当時のEC節の魅力が満載だ(録音当時21歳)。レス・ポール&マーシャル製アンプ(通称“ブルースブレイカー”コンボ)のセットアップによる絶品のオーバードライブ・トーンも伝説。

ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ
『A Hard Road』

リリース:1967年
●ギタリスト:ピーター・グリーン/ジョン・メイオール

“緑神”の出世作

“緑神”ことピーター・グリーンが参加した最初のアルバム(録音当時21歳)。前任者クラプトンからの影響を含みつつも、B.B.キングやフレディ・キングを手本にした端正かつモダンなフレージングで英国ブルース・シーンの第一線に躍り出た出世作だ。マイナー曲で露出させる、“泣き”の感覚が充満するソロ・スタイルもグリーンの看板。

ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ
『Crusade』

リリース:1967年
●ギタリスト:ミック・テイラー/ジョン・メイオール

“クラプトン小僧”のキャラ全開!

ミック・テイラーが加入した最初の作品。当時“クラプトン小僧”とも言われたほどエリック・クラプトン大好き少年だったミック・テイラー(弱冠18歳!)の初々しい弾きっぷりが聴きどころ。端正で流麗なフレージングはもちろん、太い音色のハムバッカー・トーンにもクラプトンからの影響が濃厚に発色する。まさに“クラプトン・マナー”全開の一枚!

ジョン・メイオール
『Primal Solos』

リリース:1977年
●ギタリスト:エリック・クラプトン/ミック・テイラー/ジョン・メイオール

クラプトン期とテイラー期のレア音源

クラプトン期とミック・テイラー期、それぞれのライブ録音のカップリング盤。発売は77年だが、録音はそれぞれ65年と68年、つまりクラプトン・サイドは先に紹介した名盤『Blues Breakers With Eric Clapton』を制作する前の貴重なライブ・パフォーマンスということになる。ミック・テイラー・サイドは最終トラックが聴きもの。

ザ・ヤードバーズ
『Five Live Yardbirds』

●リリース:1965年
●ギタリスト:エリック・クラプトン

若き“スローハンド”の溌剌とした演奏

三大ギタリストを輩出した英国ロックの老舗バンド=ザ・ヤードバーズのデビュー作となったライブ録音(発売は65年だが収録は64年3月、当時クラプトンは19歳!)。若き日のエリック“スローハンド”クラプトンの溌剌としたプレイが切り取られた、ファン必聴の名盤だ。ブルース・スタンダード/R&Bカバーのフレッシュな演奏が目玉。

ザ・ヤードバーズ
『Live Yardbirds featuring Jimmy Page』

●リリース:1971年
●ギタリスト:ジミー・ペイジ

ZEP前夜の貴重なライブ音源

ザ・ヤードバーズ末期、ジミー・ペイジが同バンドを仕切っていた頃のライブ音源(リリースは解散後の71年だが、録音は解散直前の68年3月)。一応ヤードバーズ名義だが、収録曲の中には「幻惑されて」の元になったトラックなど、後のZEPの楽曲へと発展していくマテリアルが端々に散りばめられている……という興味深い内容。まさにZEP前夜!

クリーム
『Wheels Of Fire(クリームの素晴らしき世界)』

●リリース:1968年
●ギタリスト:エリック・クラプトン

火花を散らす怒涛のアドリブ合戦

スタジオ録音とライブ録音が対になった2枚組。中でもブルース曲「Crossroad」、「Spoonful」を豪快にアレンジしたライブ盤での凄まじい演奏は、“歌が終わったら全員が怒涛のアドリブ合戦に突入する!”……このクリームの大看板であるスリリングな演奏スタイルを世に知らしめた問答無用のマスターピース。そのエキサイティングな音像は圧倒的!

クリーム
『Goodbye(グッバイ・クリーム)』

●リリース:1969年
●ギタリスト:エリック・クラプトン

クリーム流ブルース・ロックの醍醐味

ライブ録音とスタジオ録音で構成された最終作。「Badge」を含むスタジオ作品の滋味も捨てがたいが、目玉はやはり「I’m So Glad」、「Politician」を軸にした強力なライブ・トラックにあり! 続編の『Live Cream』、『Live Cream Vol.Ⅱ』と併せて、そのスリル満点に展開するクリーム流ブルース・ロックの醍醐味に浸るべし!

ハウリン・ウルフ
『The London Howlin’ Wolf Sessions』

●リリース:1971年
●ギタリスト:エリック・クラプトン/ハウリン・ウルフ/ヒューバート・サムリン

ハウリン・ウルフとの英国セッション

シカゴ・ブルースの親分=ハウリン・ウルフを主役に迎え、クラプトンを筆頭とする英国ロック勢がそれをバックアップする企画盤(録音は70年)。その軽快なトーンから推測すると使用ギターはストラトと思われる。ちなみに録音デートでみると、ブラインド・フェイス解散後からデラニー&ボニー参加に重なる時期のセッション、という時代考証。

エリック・クラプトン
『From The Cradle』

●リリース:1994年
●ギタリスト:エリック・クラプトン

ブルースに回帰したキャリア中期作

英国ブルース・ロックの規範スタイルを作り上げながらも紆余曲折のギター人生を送ってきたクラプトンが一念発起、全曲ブルース・スタンダードを取りあげたキャリア中期の作品。マディやエルモアなど、敬愛するブルースマン達の名曲群を嬉々として弾きまくるクラプトンの姿がここにある。まさに首までどっぷりとブルースに回帰した逸品。

      | 次ページへ>


*本記事はギター・マガジン2021年1月号にも掲載しています。

『ギター・マガジン2021年1月号』
特集:追悼 エディ・ヴァン・ヘイレン

12月11日発売のギター・マガジン2021年1月号は、エディ・ヴァン・ヘイレンの追悼特集。全6編の貴重な本人インタビューを掲載。