ジョン・フルシアンテが語る、フリーとの“フェイスオフ”セッションと「Veronica」のグルーヴ【レッチリ来日特集2024】 ジョン・フルシアンテが語る、フリーとの“フェイスオフ”セッションと「Veronica」のグルーヴ【レッチリ来日特集2024】

ジョン・フルシアンテが語る、フリーとの“フェイスオフ”セッションと「Veronica」のグルーヴ【レッチリ来日特集2024】

レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテ本人が語る、『Unlimited Love』(2022年)の作曲秘話を大公開。アルバムがどういったアプローチで制作されたのかを、楽曲ごとにふり返ってもらった。今回は「Veronica」に関する制作秘話をお届け。

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翻訳=トミー・モリー Photo by Ethan Miller/Getty Images

テンポが流動的に切り替わる感じを表現したかったんだ

 フリーと俺は、作曲の時は常に“フェイスオフ”って呼んでいるヤツをやってきた。ジャムりながら、お互いの目を見つめ合ってフィーリングを伝え合うことだね。

 例えば、ジャムっていてグッドなヴァースが思い浮かび、さらにもう1つのセクションが欲しくなったとする。そうした時に“フェイスオフ”することによって、“OK、俺は出て行くからお前はそのままここにいなよ”というグルーヴができたりするんだ。

 そんな感じで作曲を進めていた時に、“実は俺たちって、サビとヴァースで拍子を変えるアレンジをあんまりやってないよな”という話になったんだ。それが「Veronica」の主題になったんだよね。

 この曲のヴァースは4/4拍子なんだけど、サビでは3/4拍子になっているんだ。今まではそこまでやってこなかったけど、俺はそういうアプローチも好きなんだよね。

 俺が好きなブラック・サバスにも、そういうテンポやフィーリングの曲があってね。彼らの初期の作品には、テンポが曲中で切り替わるアレンジが多い。ほかに例を挙げるとすると、ナンシー・シナトラとリー・ヘイゼルウッドの「Some Velvet Morning」や、ザ・ビートルズの「We Can Work It Out」とかもそうだね。

 あと、この曲のもう1つのポイントは、ヴァースで強烈に揺れているフィルターのエフェクトだ。実はこれはギター用のエフェクトではなくて、俺のモジュラー・シンセによるものなんだよ。それに逆回転のリバース・エフェクト的な処理も施している。

 こうすることで、テンポが流動的に切り替わる感じを表現したかったんだ。それは「Veronica」のように1つの楽器だけにかけていることもあれば、バンドのオケ全体にかけることもある。

 俺の耳はいつもこういうものを探し求めているよ。“生々しさを犠牲にせずに、どうやったらもっとカラフルな音像にできるんだ?”ってね。

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作品データ

『UNLIMITED LOVE』 レッド・ホット・チリ・ペッパーズ

『UNLIMITED LOVE』
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ

ワーナー/WPCR-18552/2022年10月14日リリース

―Track List―

  1. Black Summer
  2. Here Ever After
  3. Aquatic Mouth Dance
  4. Not the One
  5. Poster Child
  6. The Great Apes
  7. It’s Only Natural
  8. She’s a Lover
  9. These Are the Ways
  10. Whatchu Thinkin’
  11. Bastards of Light
  12. White Braids & Pillow Chair
  13. One Way Traffic
  14. Veronica
  15. Let ‘Em Cry
  16. The Heavy Wing
  17. Tangelo

―Guitarist―

ジョン・フルシアンテ