マテウス・アサトやティム・ヘンソン(ポリフィア)との共演でも知られるプリニが、先の来日公演(2024年3月)で使用したストランドバーグ製シグネチャー・ギターについて語る! 唯一無二のルックスが目を惹くヘッドレス・モデルに詰め込んだ、彼のこだわりとは?
インタビュー/翻訳=トミー・モリー 機材写真=大谷鼓太郎
Strandberg Guitars
Salen NX 6 Tremolo Plini Edition Prototype
独自形状のフレット・システムが特徴
プリニが3月の来日公演で使用したのは、ストランドバーグ製Salen NX 6 Tremolo Plini Editionのプロトタイプ。市販のプリニ・シグネチャー・モデルとほぼ同一の仕様だが、独自の形状によって正確なピッチを実現する“トゥルー・テンパーラメント・フレッティング・システム”が採用されている。
ピックアップはSuhr製のClassic T(フロント)と、ストランドバーグ製のPlini Editionハムバッカー(リア)を搭載。コントロールは、ボリューム・ノブが1つと、3ウェイのピックアップ・セレクターのみというシンプルな構成だ。
トレモロ・ユニットはストランドバーグ独自の“EGS Rev7 トレモロ・システム&ストリング・ロック”が採用されており、正確なオクターブ・ピッチと、なめらかなアーミングが可能となっている。
イナーシャ・ブロックやトレモロ・スプリングはクラシックな構造で、プリニ所有のモデルは2本のスプリングをハの字でセッティングしていた。
プリニが語る、シグネチャー・モデルへのこだわり
このフレットの奇妙な感じがとても気に入ってね。
すぐに、“僕のシグネチャーにも打ってもらえないかな?”って連絡したんだ。
今回の来日公演で使用したシグネチャー・ギターについて、お気に入りのポイントを聞かせて下さい。
これは市販されているプリニ・シグネチャー・モデルのプロトタイプなんだ。僕だけのために作ってもらったカスタム・モデルで、2022年の中旬頃からオラ・ストランドバーグ(ストランドバーグの創設者)と一緒にデザインから考えていったんだ。
まず、特徴的なのは、トゥルー・テンパーラメント(スウェーデンのギター・ブランド)製のフレットだよね(下写真)。
僕がスウェーデンのゴッセンバーグでライブをした時に、トゥルー・テンパーラメントのスタッフが彼らのフレットを打ったストランドバーグのギターやレス・ポール、ストラトキャスターを持ってきてくれたんだ。
それで、このフレットの奇妙な感じがとても気に入ってね。すぐオラに連絡して、“僕のシグネチャーにもトゥルー・テンパーラメントのフレットを打ってもらえないかな?”って相談したんだ。
かなり特殊な形状のフレットですが、プレイ中に違和感はありませんか?
まったく感じなかったね。慣れてしまえば通常のギターを弾く感覚と全然変わらないんだ。見た目はヘンな感じだけどね。指板をあまり見ないプレイ・スタイルを身につければ、不思議と自分の感覚とマッチしていくんだよ。
ピックアップはSuhrとSeymour Duncanですよね?
そうだね。リア・ピックアップはSeymour DuncanのJBに似た感じで、フロント・ピックアップはTLタイプ用だね。
このシグネチャー・モデルのもとになったSalenシリーズはフロントもリアもTLタイプのピックアップなんだけど、僕のはリアをハムバッカーに変えている。コントロールはシンプルで、1ボリュームと3ウェイ・スイッチが付いているだけだね。プッシュ/プルの機能もないんだ。
使用した木材についても聞かせて下さい。
実は覚えていないんだ(笑)。ストランドバーグのギターを何本か弾いて、その中から音の響きが気に入った木材を選んだからね。ストランドバーグのスタッフたちは、どうすれば僕が求めるサウンドのギターが作れるのかを熟知していたから、そういったマテリアルのチョイスは彼らを信頼して任せていたよ。
三日月型のポジション・インレイも目を惹きますね。
僕が初めてリリースしたEP『Sweet Nothings』(2013年)のアートワークに三日月が入っていて、その後の作品にも何度も三日月のイラストを入れたんだ。すると、それが僕のロゴみたいになっていってね。それでこのデザインを入れてもらったんだ。
作品データ
『Mirage』
Plini
2023年12月1日リリース
―Track List―
- The Red Fox
- Five Days of Rain
- Still Life
- Aqua Vista
- Ember
―Guitarists―
プリニ、トシン・アバシ