ギタリストならではの、目からウロコな作曲法があふれ出す!
文:いちむらまさき イラスト:花くまゆうさく
*この記事は書籍『ギター作曲100の裏ワザ 知ってトクするおもしろアイディア&ヒント集』(2010年/リットーミュージック刊)の内容を転載したものです。
ダイアトニック以外のコードを選ぶなら ➡ セブンス周辺には「逆Nの法則」
家に帰るにはセブンス・コードを通れ、と書いてきました。じゃぁ、そもそもセブンスって何?って話ですよね。
まず音の響きを言葉で表すと、メジャーは明るいです。で、マイナーは暗い。そして、セブンスは“アンニュイ”です。なんか不思議っぽくて、浮遊感があって、どこかに落ち着きたがるサウンドです。だから、家に帰りたがるのです。それが、「逆Nの法則」。裏ワザ016に書いたAmキーの時には、A音から2フレット上の5弦E音にセブンスの付いた、E7が登場するのです。
そしてもう1つ、Amキーで出てくることが多いのが、B7です(ピンクレディー「UFO」など)。
B7は、Eに行きたがります。逆Nの法則に準じると、「B7→E7→Am」の進行が考えられますね。さらにCとAmは似た者同士(裏ワザ015参照)なので、B7とE7はCキーでも使われる可能性の高いコードと言えるのです。セブンスの周りには、逆Nの法則の可能性があると思っていいでしょう。
ここまでの話をまとめると、CとAmは構成音が近いので、CキーとAmキーでは同じコードが使われることが多いのです。そこに「1、2m、3m、4、5、6m、7m(♭5)」以外の「珍しいコード(ノン・ダイアトニック・コード)」が出てくるということは、ある意味、部分的に転調しているとも言えます(本来の転調は、長めのセクションまるごとであり、元のキーに戻らない場合もあります)。
レストランの店長でも、昼休憩はしたいですよね。そんな時、誰か別の人で、多少責任的にも任せられる社員に、一時的に仮の店長になってもらう。そして、休憩時間が終わったら元の店長に戻る、というイメージです。
ダイアトニック・コードだけでも曲はいくらでも作れますが、個性を出すために部分転調させる(ノン・ダイアトニック・コードを使う)のです。そこで、セブンスの行きたがる方角である「逆Nの法則」を使えば、自然なコード進行が作れるということです。これらのパターンを知るには、既成曲の進行を見つめるのが得策ですよ。
『ギター作曲100の裏ワザ 知ってトクするおもしろアイディア&ヒント集』
著者 | いちむらまさき |
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品種 | 電子書籍 |
紙版発売日 | 2010.03.19 |
紙版ISBN | 9784845617968 |
いちむらまさき プロフィール
岐阜出身のギタリスト&ウクレリスト&ライター。音楽制作、ソロ・ギター・スタイル、インストラクターなどで活動。
様々な雑誌に記事を書きつつ、『ギター・コードを覚える方法とほんの少しの理論』、『楽譜を見えるのがうれしくなる方法とプレイに直結させるコツ』、『音楽理論がおもしろくなる方法と音勘を増やすコツ』、『コード進行を覚える方法と耳コピ&作曲のコツ』、『ピアノでコードを覚える方法とほんの少しの理論』、『ギターを弾いているだけで音感がアップする方法』、『ブルース・ギターをはじめる方法とプレイ幅を広げるコツ』、『ギター・スケールを覚えないでアドリブをはじめる方法』、『ウクレレのお手入れ&お手軽カスタマイズを楽しむ本』、『ジャズコで聴き比べる歪みエフェクター97』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本 リズム強化編』、『ギター上達100の裏ワザ』、『ギター作曲100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDエレクトリック・ギター』、『アコギ上達100の裏ワザ』、『耳コピ上達100の裏ワザ』、『ライブ上達100の裏ワザ』、『ウクレレ上達100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDウクレレ』、『気づいた人から上手くなる! ギタリストのハテナに答えます!』、『ギターで作曲する方法とほんの少しのコード理論』(すべてリットーミュージック刊)などを執筆。
東京でギター/ウクレレ楽器教室も。