ギタリストのライブ機材を動画で紹介する“THE AXIS’ GEAR SPECIAL”。第1回目のゲストは、斉藤和義、ゆず、今井美樹、石崎ひゅーいなど、様々なアーティストのサポートを行なっている真壁陽平が登場。本記事では真壁のメイン・ペダルボードとアンプを紹介しよう。
取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊 動画撮影・編集・録音=川村健司
THE AXIS’ GEAR SPECIAL Vol.01
真壁陽平/ペダルボード&アンプ編
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Makabe’s Pedalbords
2つのボードをフル活用する巨大セット
【Pedal List】
①Budda / Bud-Wah Red Label Ver.(ワウ)
②Eventide / PitchFactor(ピッチ・シフター)
③Z.Vex / Box Of Rock Vexter Series(オーバードライブ)
④Xotic / AC Booster(オーバードライブ)
⑤Fulltone / Soul-Bender(ファズ)
⑥Third Man Records × Mantic / Flex Fuzz(ファズ)
⑦Organic Sounds / Organic Drive “Hydra”(オーバードライブ)
⑧Wren and Cuff / The Caprid(ファズ)
⑨Fulltone / Supa-Trem(トレモロ)
⑩Shin’s Music / Baby Perfect Volume Stomp-Deluxe(ボリューム・ペダル)
⑪Xotic / X-Blender(ブレンダー)
⑫BOSS / DM-2W(ディレイ)
⑬Chase Bliss / MOOD(グラニュラー/ルーパー/ディレイ)
⑭the King of Gear / MINI GLITCH(グリッチ)
⑮Eventide / ModFactor(マルチ・モジュレーション)
⑯Eventide / TimeFactor(ディレイ)
⑰strymon / blueSky V1(リバーブ)
⑱Handmade Foot Switch
⑲TC Electronic / PolyTune 2(チューナー)
⑳F-sugar / fsp Proline Custom(パワー・サプライ)
㉑MXR / Carbon Copy Deluxe(ディレイ)※未接続
㉒ProCo / RAT Ⅱ(ディストーション)※未接続
㉓Handmade Attenuator ※未接続
㉔JHS Pedals / The VCR(ブースター/コーラス/リバーブ)※未接続
2つの大きなボードを置いている真壁の足下。複数のツアーやレコーディングが重なることがあるため、なんと同様のボードを4セットも用意しているそうだ。
ギターからは、まず①〜⑪の番号順につながれている。⑪X-Blenderには⑫〜⑮の4台をループ。そして⑪X-Blenderのアウトから⑯TimeFactorと⑰blueSkyを通ってアンプに接続される。
アンプはクリーンの状態で、メインの歪みは③Box Of Rockを使用。ほとんど常時オンでプリアンプ的に活用している。本機をメインにしている理由は、“あんまりコンプレッションしない歪みなので、そのあとに歪みペダルを重ねていっても頭打ちにならないから”とのこと。
そのあとに接続されている5台の歪みペダル(④〜⑧)は、だんだん歪み量が大きくなるように置かれており、ソロなどで歪みや音量を稼ぎたい時は④AC Boosterをオンにする。⑦Hydraは音量を持ち上げるブースターのような感覚で、③Box Of Rockと④AC Boosterと一緒にオンにすることが多いとのこと。
⑤Soul-Benderは清水ひろたかから譲り受けたもので、ザラついたサウンドが欲しい時に使用する。⑥Flex Fuzzは飛び道具的な役割。⑧The Capridが一番音量が大きく、歪みも多いペダルだ。
このように真壁はファズを使用するため、前段のバッファの影響を受けないように②PitchFactorはトゥルー・バイパスに設定している。②PitchFactorでは、Diatonicモードによるピッチ・シフターや、Crystalモードによるシンセのようなサウンドなど、様々なプリセットを作成。
⑩Baby Perfect Volumeはハイ/ローのインピーダンスを選択できるモデルで、真壁はハイ・インピーダンスに設定。本機を歪みペダルのうしろに接続しているのは、マスター・ボリューム的な役割で使用するからだという。⑲PolyTune 2は⑩Baby Perfect Volumeのチューナー・アウトに接続されている。
⑪X-Blenderには4台のペダル(⑫〜⑮)がループされている。譜面台の上に置かれた⑫DM-2Wと⑬MOODは飛び道具用で、どちらもリアルタイムでツマミを操作。⑫DM-2Wは発振専用だ。⑬MOODは西田修大の影響で導入したもので、アンビエントなサウンドを求められる時に使用。
同じく⑭MINI GLITCHもランダムなサウンドを創出する飛び道具として使用。⑮ModFactorでは様々なプリセットを作成しており、Chorus、Phaser、Vibratoなどのベーシックな音色はもちろん、ボリューム・スウェル的なUndulatorモードでシンセのようなサウンドを出すこともあるという。
⑯TimeFactorでもVintageDelayモードでのロング・ディレイや、DigitalDelayモードでの付点八部など、様々なプリセットを作成している。⑰blueSkyはおもにspringタイプ/modモードに設定。たまにshimmerモードに切り替えることもあるそうだ。
3台のEventide(②PitchFactor、⑮ModFactor、⑯TimeFactor)は同じタイミングで一気に導入したもので、現場ですぐに音作りができるため使い続けているという。
⑱はMILLMETERS MUSICのスタッフ、力武誠氏が製作したもので、⑯TimeFactorに接続。このフット・スイッチで⑯TimeFactorのプリセット・ダウンとタップ・テンポを操作している。㉓も力武氏が製作したもので、後述するShin’s MusicのBaby Masterと同様の回路が入ったアッテネーターとのこと。
未接続の㉑Carbon Copy Deluxeは、斉藤和義の現場で「やさしくなりたい」(2011年)を演奏する際に使用する1台。㉒RAT Ⅱは現在あまり使っていないが、たまに④AC Boosterと交換することもあるという。
ちなみにギター側のシールドは、KAMINARI GUITARSのK-CC5LSという、一部分のみがカール形状になっているモデルを愛用している。耳に痛い尖ったハイを抑え、中域に寄ったチューニングになっており、真壁はそのサウンドが気に入っているそうだ。
Makabe’s Amplifier
・Marshall / 1987X(Head)
・Orange / PPC212(Cabinet)
ヘッドルームに余裕を持たせた
50Wアンプと212キャビネットの組み合わせ
真壁のメイン・アンプは、50W出力のマーシャル1987Xと、12インチ2発のCelestion Vintage 30が搭載されたOrange PPC212の組み合わせ。このセットを8年ほど愛用しているとのこと。
以前はリイシューのマーシャルJTM45(30W)を使用していたが、ボリュームを上げた際に歪み始めるタイミングが早かっため、ヘッドルームに少し余裕があり、使い勝手が良い50Wの1987Xにシフトしたという。
Orangeのキャビネットは知人に薦められて導入。ローがガッツリしており、音がまとまっているとのこと。
1987Xはチャンネル・リンクをし、HIGHのⅠにインプット。各ノブはPRESENCEを2の位置、BASSを7の位置、MIDDLEを6の位置、TREBLEを3の位置にセッティング。アンプはクリーン・サウンドで使用するため、ボリュームを担うHIGH TREBLE(LOUDNESS 1)ノブは0.5程度しか上げていない。これよりも上げるとハイが出てきてしまうそうだ。NORMAL(LOUDNESS 2)ノブも1.8程度しか上げていない。
Shin’s Music / Baby Master
マーシャル・アンプに必須のアッテネーター
ギター・テックに薦められて導入したアッテネーター。1987Xのセンド/リターンに接続されている。
1987Xは50W出力だが、クリーンの状態でも音量が大きく、どの現場でも“音量を落として下さい”と言われるため、本機でボリュームを下げているという。真壁は“必須ですね。これがないとマーシャルは使えないです(笑)”とコメント。
真壁陽平
まかべ・ようへい◎1979年生まれ、北海道出身。両親の影響で幼少期より様々な音楽に触れ、中学生の時にギターを始める。ハードロックからオルタナティブ、さらにはソウルやジャズなど、オールジャンルに対応する高い音楽性を武器に、斉藤和義、藤井フミヤ、村越“HARRY”弘明、石崎ひゅーい、あいみょん、米津玄師、ゆず、今井美樹といった数多くのアーティストのライブ/レコーディングに参加。