antzがPetit Brabanconのツアー“BURST CITY”で使用した、立体感を生み出すサウンド・システム antzがPetit Brabanconのツアー“BURST CITY”で使用した、立体感を生み出すサウンド・システム

antzがPetit Brabanconのツアー“BURST CITY”で使用した、立体感を生み出すサウンド・システム

DIR EN GREY、L’Arc~en~Ciel、MUCCなど、長いキャリアを持つバンドのメンバーが集い、新たな表現を追求するプロジェクト=Petit Brabancon(プチ・ブラバンソン)。本記事では、2024年9月に行なわれた新EP『Seven Garbage Born of Hatred』のリリース・ツアー、“BURST CITY”でantzが使用したサウンド・システムを紹介する。

取材・文=原田右恭 機材撮影=小原啓樹

antz’s Amplifier

・Mesa/Boogie / Dual Rectifier Road King(Head)
・Mesa/Boogie / 4×12 Recto Standard Slant Cabinet(Cabinet)

antzのアンプ全景

約20年間愛用するハイゲイン・アンプ

antzのメイン・アンプは、2004年頃から約20年間も愛用しているMesa/BoogieのDual Rectifier Road King。4つのチャンネルを駆使して、クリーン/クランチ/歪み/ソロの音色を作り出していた。チャンネル切り替えは、RJM Music TechnologyのAmp GizmoをMIDI接続し、後述するペダルボード内のスイッチャー(ProvidenceのPEC-2)で行なっている。

antz’s Rack System

antzのラック・システム

核となるラック型マルチをセット

【Rack List】
①RJM Music Technology / Amp Gizmo(MIDIアンプ・コントローラー)
②CUTOM AUDIO JAPAN / Effect Loop Interface ver.1(エフェクト・ループ・インターフェース) 
③TC Electronic / G-Force (マルチ・エフェクター)

アンプ・ヘッドとキャビネットの間にセッティングされたラック・システム。

①Amp Gizmoは、アンプ・ヘッドのチャンネル切り替えをスイッチャーでMIDI制御するために導入。

③G-Forceは長らくantzを支えてきた核となるエフェクターで、②Effect Loop Interfaceを経由してアンプ・ヘッドのセンド/リターンに接続。以前、電池が切れて完全に使えなくなったそうだが、現在は修理を行ない、プリセットも再セッティングされている。

antz’s Pedalboards

ペダルボード

多種の空間系エフェクターを駆使したシステム

【Pedal List】
【Board1】
④Providece / PEC-2(プログラマブル・スイッチャー)
⑤DigiTech / Whammy DT(ピッチ・シフター)
⑥Empress Effects / Compressor MKⅡ(コンプレッサー)
⑦BOSS / NS1X(ノイズ・リダクション)
⑧Papa Goriot Studios / ADVENT/MONOLITH(ベース・オーバードライブ)
⑨TC Electronic / Polytune 3(チューナー)
⑩BOSS / PS-5(ピッチ・シフター)
⑪Klon / KTR(オーバードライブ)
⑫Papa Goriot Studios / ADVENT Ver.2(オーバードライブ)
⑬FREE THE TONE / PA-1QB(プログラマブルEQ)
⑭DEATH BY AUDIO / FUZZ WAR(ファズ)
⑮KENTON Electronics / THRU-5(MIDIスルー・ボックス)
⑯Studio Daydream / JCTBx4/MD Junction Box(ジャンクション・ボックス)

【Board2】
⑰Morningstar FX / ML5(プログラマブル・スイッチャー)
⑱Daconovo / DOREMiDi(USB MIDIホスト) 
⑲MASF Pedals / POSSESSED(ディレイ)
⑳Line 6 / Echo Pro(ディレイ)
㉑ZOOM / MS-70CDR+(マルチ・エフェクター)
㉒Line 6 / VERBZILLA(リバーブ)
㉓BOSS / MD-500(マルチ・モジュレーション)

antzのペダルボードは2枚。ギターからの接続順は、まず⑯JCTBx4/MD Junction Boxに入り、⑪KTRを経由して④PEC-2にイン。④PEC-2の各ループに接続されているペダルは下記のとおり。

・Loop 1=⑤Whammy DT
・Loop 2=⑩PS-5
・Loop 3=⑥Compressor MKⅡ
・Loop 4=⑦NS1X
・Loop 5=⑬PA-1QB
・Loop 6=⑧ADVENT/MONOLITH + ⑦NS1X
・Loop 7=⑫ADVENT Ver.2 + ⑦NS1X
・Loop 8=⑭FUZZ WAR + ⑦NS1X

そして④PEC-2のアウトから2枚目のボードの⑰ML5を経由し、アンプに接続。⑰ML5の各ループに接続されているペダルは下記のとおり。

・Loop A=㉓MD-500
・Loop B=⑲POSSESSED
・Loop C=㉑MS-70CDR+
・Loop D=⑳Echo Pro
・Loop E=㉒VERBZILLA

⑪KTRは常時オンで使用。本機特有の音の持ち上がり具合が気に入っており、歪ませずにバッファー的に使っているとのこと。⑥Compressor MKIIはクリーン・サウンドのみでオンに。ラック型コンプレッサーのようなイメージで、細かく設定を詰められるところが気に入っているという。

1枚目のボード

⑦NS1Xは3台の歪みペダルのノイズ・リダクションとして使用。antzはアンプを歪ませているため、⑧ADVENT/MONOLITHは7弦ギター用のブースター、⑫ADVENT Ver.2+はバリトン・ギター用のブースターという使い分け。⑫ADVENT Ver.2+のほうが腰高なサウンドだという。ギターによってブースターを使い分けている理由は、2本のギターの出力のバランスを取るため。⑭FUZZ WARは「非人間」のみで使用。

⑬PA-1QBは、ほかのメンバーから出音に対する意見があった時に、最終的な出音を調整するためのもの。

⑤Whammy DTは、SHIFT UP/DOWNとWHAMMYの2機能を使用するために本ツアーより導入。「OBEY」では1オクターブ・アップ+ドライ、「a humble border」では東京公演以降アレンジが入り1オクターブ・ダウン+ドライ、「眼光」と「Mickey」では2オクターブ・アップを使っていた。今作『Seven Garbage Born of Hatred』の肝と言えるエフェクターだろう。⑩PS-5はベンド・ダウン用で、「Don’t forget」と「I kill myself」の2曲で使用した。

2枚目のペダルボード

⑲POSSESSEDは「OBEY」のソロのみで使用。⑳Echo Proはantz曰く“目視ができるDL4のようなイメージで使っています”とのこと。㉒VERBZILLAは「dub driving」のドローン的な部分のみで使用。㉑MS-70CDR+と㉓MD-500は曲ごとにセッティングを細かく変更していた。

作品データ

『Seven Garbage Born of Hatred』
Petit Brabancon

MAVERICK DC
DCCA-130
2024年6月14日リリース

―Track List―

  1. move
  2. dub driving
  3. BATMAN
  4. 眼光
  5. a humble border
  6. Mickey
  7. Vendetta

―Guitarists―

ミヤ、antz