本誌連動|『アンプラグド』以前のクラプトン・アコースティック。 本誌連動|『アンプラグド』以前のクラプトン・アコースティック。

本誌連動|『アンプラグド』以前のクラプトン・アコースティック。

ギター・マガジン2021年3月号では、表紙巻頭特集『ギター・ヒーローが愛した、アコースティックの世界。』を掲載しています。その特集内にて、別格のプレイヤーとして紹介したのがエリック・クラプトン。氏の最も有名なアコギ名盤といえば、問答無用で『アンプラグド』かと思いますが、今回はあえてそれ以前、60〜70年代のキャリアにおけるクラプトン・アコースティックに光を当てました。本プレイリストで主要な名演をまとめたので、本誌を読みながらぜひお楽しみを!

文・選曲=編集部 Photo by Michel Linssen/Redferns


 エリック・クラプトンの代表作といえば、『アンプラグド』だと思う人は少なくないはず。クラプトンがアコースティック・ギターの名手であることをお茶の間に浸透させ、マーティンの000(トリプルオー)シェイプがグンと売れるきっかけになった、なんて噂もあるモンスター・アルバムだ(ライブ盤なのに)。

 では、あの名作にいたるまで、クラプトンはどのようにアコースティック・ギターと向き合ってきたのだろう? そう思って古い作品から聴き返すと、実はクリーム時代からアコギを弾いている。60年代、「CLAPTON IS GOD」とまで言われた彼の十八番は間違いなくエレキ・ギターによる演奏だったが、10代の時からロバート・ジョンソンら古いブルースマンをいたく敬愛していたクラプトンにとって、アコギという楽器はもともとエレキよりも身近な存在だったのだ。

 60年代後半、クリームでヘヴィなエレキ・サウンドを鳴らしまくったクラプトンは、まるでその疲れを癒すかのように、70年代に入ると土の匂いが漂うゆるやかなアメリカン・サウンドを追求していく。いわゆる“レイドバック期”と言われる時代だ。『461 Ocean Boulevard』〜『Backless』あたりがおおむね該当するかと思うが、“レイドバック=くつろいだ”サウンドを生み出す要として、アコースティック・ギターは非常に大切な存在だった。リゾネイターによるスライド・ギターを始め、実に豊かな演奏を多数聴くことができる。特に「Give Me Strength」(『461 Ocean Boulevard』)の冒頭、テクニック主義とは正反対のゆったりとしたメロディ運びが実に心地よく、この時期の彼のモードがうかがい知れる。ドラッグ禍〜アルコール依存などハードな時期を過ごした70年代のクラプトンにとって、アコギのサウンドはある種の救い、だったのかもしれない。

 そんなレイドバック期の70’sクラプトン作品を中心にしつつ、クリームやブラインド・フェイス、デレク&ザ・ドミノスの作品から重要なアコースティック・ナンバーをまとめてみたのが本プレイリストだ。『アンプラグド』以前のクラプトン・アコースティック、ぜひご堪能を!

*本記事はギター・マガジン2021年3月号の特集と連動しています。

『ギター・マガジン2021年3月号』
特集:ギター・ヒーローが愛した、アコースティックの世界。

クラプトン、デュアン、フルシアンテ。キースにピートにジョン・メイヤー。Jマスキスにガルシアにハウ。コイツら全員、アコギもヤバい!!!