Char自身と多数の関係者の発言で彩られた壮大なドキュメンタリー
日本を代表するギタリストであるChar(竹中尚人)。その誕生から現在までの70年間の軌跡をたどった書籍『評伝 竹中尚人 Charと呼ばれて』が、2025年9月12日(金)にリットーミュージックより発売される。
著者はギター・マガジンを始めとするギター誌や音楽専門誌、音楽系ウェブ・サイトなどで長年にわたって執筆してきた細川真平。

本書は本人による“自伝”ではなく、他者が書いた“評伝”だが、中心になっているのはChar本人への計60時間に及ぶインタビューから得られた膨大な量の発言だ。
さらにCharの実兄、友人、スタッフなどの身近な関係者や、金子マリ、佐藤準、鳴瀬喜博、ロバート・ブリル、ミッキー吉野、トミー・スナイダー、泉谷しげる、仲井戸”CHABO”麗市、布袋寅泰、山岸潤史、古田たかし、JESSEらを始めとするミュージシャンたちの発言も多数掲載されている。
Charのバンド仲間のうち、取材時にはすでに他界していた藤井章司、ジョニー吉長、石田長生、ジム・コウプリー、加部正義らの言葉は当然ながら本書には(過去の文献からの引用を例外として)書かれていないが、彼らの名前とエピソードは、Charや関係者の発言の中に何度も登場する。
こうした多数のインタビュー取材をもとにした構成の中、著者はCharの各時期の活動内容と時代背景を時系列で丹念にまとめ上げ、時には自身の考察を交えながら、詳細な解説を行なっている。
その結果、本書はCharの70年間の軌跡を、様々な人々の発言で彩った壮大なドキュメンタリーとなった。
読者は本書を読むことで、それぞれの時期のCharが何を考え、どのような行動をとり、何に苦悩し、何に喜びを感じていたかを知ることができる。
その各章の内容は次のとおり。
第1章〈誕生~12歳〉 戸越のチャー坊
- 家族のこと
- ロックとギターへの目覚め
- フォックスの結成
第2章〈13歳~20歳〉 開花
- バスケットボールと「クロスロード」の3年間
- 高校進学とガス・マスクの結成
- ショックとバッド・シーン
- スモーキー・メディスン結成
- スモーキー・メディスンの軌跡
- チャーリー・ファンク・パーティーとマッド・ブラザーズ、そしてNSP
第3章〈21歳~23歳〉 栄光と挫折
- デビューに向けて
- ファースト・アルバム『Char』
- アイドルへの方向転換
- 芸能界での奮闘
- アイドル期の終焉
第4章〈24歳~32歳〉 無敵
- シーンへの復帰とFREE SPIRIT
- JLCの本格始動
- 一人息子ジェシーの誕生を経て
- “ゾーン”に入ったら無敵の三人
- 怒涛のスタジオ・ワーク
- 燻りはじめた不満
- リセット~ひとりぼっちのロンドン
第5章〈33歳~42歳〉 新たな挑戦
- 江戸屋設立
- JLC、ピンク・クラウドにピリオドを
- サイケデリックスのソロ・プロジェクト化
- 更なる変動のとき
第6章〈43歳~54歳〉 ギター・アイコン
- メジャーへの再挑戦と違和感
- チャー・ボガート&アピスでの経験
- 多方面にわたる充実した活動
- 両親の死を乗り越えて
- ギター・アイコンであること
第7章〈55歳~70歳〉 本物の自由
- ZICCA設立とTRADROCK
- 東日本大震災への思い
- ジョニー吉長の死を受け止めて
- 還暦記念ライブと石田長生の死
- 加部正義の死と45周年記念ライブ
- 時代遅れのRock’n’Roll Bandを経て
- 69歳(ロック・イヤー)
- 2025年、70歳(古希)を迎えて
第8章 Charと呼ばれて
- 関係者から見たCharという存在、そして伝えたいこと
- 母が遺した歌
- 空模様のかげんが悪くなる前に
以上でわかるとおり、第1章から第7章までは時系列で書かれている。
最終章である第8章は、関係者からCharへの言葉、Charの実母が息子のことを詠んだ短歌、Charの長い一人語り、の3部構成だ。
特に「空模様のかげんが悪くなる前に」と題された一人語りのパートには、古稀(70歳)を迎えたCharの現在の心境が21ページ(約1万4千字)にわたって綴られており、これが第7章までの怒涛の物語を締めくくるとともに、静かで透き通るような読後感をも与えてくれるものとなっている。
なお以下に並べた画像は、各章から1見開き分を抜き出したものだ。また本書に登場する人名やバンド名は巻末の“主要人名索引”で見ることができるので、その画像も添えておく。











Char プロフィール
1955年6月16日東京生まれ。本名・竹中尚人(たけなか・ひさと)。ZICCA RECORDS 主宰。8歳でギターを始め、10代からスタジオ・ミュージシャンとしてのキャリアを重ねる。1976年、「Navy Blue」でデビュー。1978年、Johnny, Louis & Char 結成。1988年、江戸屋設立以降、ソロと並行して、Psychedelix、BAHOでの活動を行なう。2009年にはWEB通販主体レーベル“ZICCA RECORDS”を設立。2016年、ギター・マガジン誌による、プロ・ギタリストを中心とした音楽関係者へのアンケート投票「ニッポンの偉大なギタリスト100」にて1位に選ばれる。2025年に古希を迎える。
細川 真平(ほそかわ しんぺい) プロフィール
1964年、香川県生まれ。早稲田大学卒業後、出版社、レコード会社勤務を経てライターに。ギター・マガジンを始めとするギター誌や音楽専門誌、音楽系ウェブサイトなどで幅広く執筆中。

『評伝 竹中尚人 Charと呼ばれて』
細川 真平(著)
| 品種 | 書籍 |
|---|---|
| 仕様 | 四六判 / 640ページ |
| 発売日 | 2025.09.12 |
| ISBN | 9784845643219 |