the cabsの再結成ツアーで高橋國光が使用した2本のギターを本人が解説! the cabsの再結成ツアーで高橋國光が使用した2本のギターを本人が解説!

the cabsの再結成ツアーで高橋國光が使用した2本のギターを本人が解説!

2025年に再結成を果たしたthe cabsのツアー『the cabs tour 2025 “再生の風景”』が、8月〜11月にかけて全国9箇所で行なわれた。本ツアーで高橋國光(g)が使用した2本のギターを、本人の解説付きでご紹介しよう。

取材・文=小林弘昂 機材撮影=小原啓樹

Takahashi’s Guitars

2024 Fender
American Ultra Ⅱ Telecaster

2024 Fender / American Ultra Ⅱ Telecaster(前面)
2024 Fender / American Ultra Ⅱ Telecaster(背面)

本ツアーの前に入手した新たなメイン・ギター

高橋のメイン・ギターは、今回のツアーが始まる前にFender Flagship Tokyoで購入したというAmerican Ultra Ⅱシリーズのテレキャスター。手に入れたばかりのため“新品の音がする”と語っていたが、本器のパワー感を気に入っているとのこと。

ボディ材にはアルダーが採用されている。ボディ・バックとネック・ヒール部分には深めのボディ・コンターが施されており、フィット感を持たせた設計が特徴。さらにModern “D”シェイプのクォーターソーン・メイプル・ネック、コンパウンド・ラジアス指板、ジャンボ・フレットなど、プレイアビリティに特化したモダンな仕様がふんだんに盛り込まれた1本だ。

大きな改造点はないが、ストラップ・ピンを壊してしまったため、ピンのみ通常のタイプのものに交換されている。

ピックアップはUltra 2 Noiseless Vintage Teleを搭載。ピックアップ・セレクターはミックス・ポジションで固定されていた。ミックス・ポジションのみを使用している理由について高橋は、“一番キランとしているのがミックスかなと。ハンマリングやプリングを多く使うので一番良い感じになる気がするんですよ”とコメント。また、ミックス・ポジションで最適なサウンドになるように各ピックアップの高さを調整しており、リアを高めにセッティングすることでキラッとしたハイの部分を出しているとのこと。

ピックアップ・セレクター

弦はErnie BallのRegular Slinky #2221(.010〜.046)。the cabsの楽曲は基本的に変則チューニングで演奏されており、今回のライブではカポの使用を含めて8種類のチューニングが使われていた。

使用楽曲(2025年11月1日@Spotify O-EAST)

  • 「anschluss」
  • 「カッコーの巣の上で」
  • 「purusha」
  • 「第八病棟」
  • 「花のように」
  • 「sarasa」
  • 「チャールズ・ブロンソンのために」
  • 「地図」
  • 「新曲」
Fender/American Ultra Ⅱ Telecaster

2019 Fender
American Professional Telecaster

2019 Fender / American Professional Telecaster(前面)
2019 Fender / American Professional Telecaster(背面)

ソロでの初ライブに向けて手に入れた1本

サブとして用意されていたのは、österreichという高橋のソロ・プロジェクトでライブを始める際に購入したという、2019年製American Professionalシリーズのテレキャスター。ボディ材はアッシュが採用されている。

サブと呼ばれてはいるものの、ライブではセットリストの約半分の楽曲で登場。高橋曰く、“ずっと使っているので、音色的にはメインよりもこっちのほうが良い。オールドのような鳴りがします”とのこと。

本器も大きな改造点はなく、ピックアップ・セレクターはミックス・ポジションに固定されていた。ピックアップはV-Mod Single-Coil Telecasterを搭載。6〜4弦側はタイトでパンチのあるサウンドのAlnico Ⅴ、3〜1弦側はミドルに寄ったAlnico Ⅱという異なるマグネットが採用されている。

ピックアップ&ブリッジ

American Professionalのテレキャスターは、ビンテージ・タイプよりもアッシュトレイ・カバーの左右のエッジが低くなっているのが特徴。メイン器と違ってブリッジ・サドルがブラスの3連なのだが、ギター・テックは“変則チューニングがいっぱいあるし、できれば6連に交換したい”と話していた。

使用楽曲(2025年11月1日@Spotify O-EAST)

  • 「わたしたちの失敗」
  • 「ラズロ、笑って」
  • 「Leland」
  • 「二月の兵隊」
  • 「解毒される樹海」
  • 「camm aven」
  • 「すべて叫んだ」
  • 「キェルツェの螺旋」
Fender/American Professional Telecaster

Picks

Jim Dunlop / Tortex Triangle .088mm

ピックはJim DunlopのTortex Triangle .088mmを愛用。

Jim Dunlop/Tortex Triangle .088mm

Capotasto

カポはギター・テックからの指定で、D’AddarioのPW-CP-10を使用。本モデルを指定した理由は、“抑える強さを細かく調整できるため”とのこと。

Jim Dunlop/Tortex Triangle .088mm

Interview

ハンマリングやプリングを多く使うので、
ミックスが一番良い感じになる気がするんですよ。

2本のテレキャスターの使い分けはあるんですか?

ギターの使い分けはないですね。チューニングが複雑なので、大幅にチューニングが変わる時はギター・テックさんに持ってきてもらって入れ替えるという。音色的にはサブ・ギターのほうが良くて(笑)。サブはずっと使っているんですけど、メインは今年このツアーの前に買ったもので、まだ弾き込んでいないから新品の音がします。

メインのAmerican Ultra Ⅱはパワーのある音でした。

メインはパワーがすごいですよね。パリッとしていて、音が飛びます。サブはオールドのテレキャスターみたいな感じ。

テレキャスターのミックス・ポジションのみを使う理由はなんですか?

“パリン”というか、“キラッ”とした音が好きなんです。リアは軽いし、フロントは“ブオーン”という帯域があるし、一番キランとしているのがミックスかなと。メイン・ギターを買った時もミックスでしか試奏していないくらいですし。あと、演奏中にピックアップを使い分けようとすると手元が忙しくなるじゃないですか? そもそもこのバンドの曲は手元が忙しいので、あんまりやりたくなくて(笑)。だからミックスの決め打ちでやっています。

the cabsのギターは難しいフレーズをずっと弾いていますもんね(笑)。

そうなんです。ハンマリングやプリングを多く使うので、ミックスが一番良い感じになる気がするんですよ。でも、このあと試しに別のポジションを使ってみたら“めっちゃ良いじゃん!”となる可能性もあるので、なんとも言えないです(笑)。the cabsって“THEテレキャス”の音ではないじゃないですか? オレの思うテレキャスってリアの音なんですよね。

高橋さんのテレキャスター、2本共リア・ピックアップの高さが上がっていますよね?

テックさんにミックス・ポジション前提でピックアップの高さを調整してもらったんですよ。リアを上げ気味で、ハイの部分だけを出そうとしています。

2025年11月1日(土)Spotify O-EAST

【Setlist】
01. anschluss
02. カッコーの巣の上で
03. purusha
04. わたしたちの失敗
05. ラズロ、笑って
06. Leland
07. 第八病棟
08. 二月の兵隊
09. 解毒される樹海
10. 花のように
11. sarasa
12. チャールズ・ブロンソンのために
13. camm aven
14. 地図
15. すべて叫んだ

-Encore-
16. 新曲
17. キェルツェの螺旋