【Special Talk Session】大山純(ストレイテナー)×伊藤雅景(NELKE)が語る、ライブ・イベント『TIME TO FUZZ Vol.2』に向けた意気込み 【Special Talk Session】大山純(ストレイテナー)×伊藤雅景(NELKE)が語る、ライブ・イベント『TIME TO FUZZ Vol.2』に向けた意気込み

【Special Talk Session】大山純(ストレイテナー)×伊藤雅景(NELKE)が語る、ライブ・イベント『TIME TO FUZZ Vol.2』に向けた意気込み

ギター・マガジン主催のライブ・イベント、『TIME TO FUZZ Vol.2』が2026年3月26日(木)に新宿LOFTで開催される。出演はストレイテナーとNELKEの2組。イベントに向けて、大山純(ストレイテナー)と伊藤雅景(NELKE)のギタリスト対談を実施! 2人の出会いや互いの印象はもちろん、ギタリストならではの音作りについてなどを話してもらった。

取材・文=森部真衣 人物撮影=ピー山(大山純)、橘麻子(伊藤雅景)

ストレイテナーとの対バンを目標に
バンドをやってきた。
──伊藤雅景

伊藤雅景

今回『TIME TO FUZZ Vol.2』でストレイテナーとNELKEの対バンが決まりましたが、今の伊藤さんの心境は?

伊藤 ストレイテナーとの対バンを目標にバンドをやってきたんですよ。“夢は武道館!”とかじゃなかったんです。なので、今から骨折とかもしたくないし、まずは当日を生きて迎えたいです(笑)。本当に、その先どういう目標を立てようかっていうレベルで楽しみですね。

大山 じゃあ、もう終わっちゃうじゃん(笑)。

伊藤 次の夢を探さなきゃいけないです。

大山 オレが怪我して出れなかったらごめんね(笑)。

今回のイベントの話を聞いた時、大山さんを始めストレイテナーの皆さんはどういった反応でしたか?

大山 雅景君とは前から飲み友達だったので、“ついにきたか!”とみんな言ってました。 “デカくなったもんだなぁ”、“オレらは止まってんのになぁ”って(笑)。

伊藤 いやいや(笑)。

大山さんが最初にNELKEのことを知ったのはいつでしたか?

大山 バンドよりも先に雅景君と知り合ったんです。それで彼から“バンドをやってるんですよ”っていう話を聞きました。曲を聴いてみたら、すごく現代的で、“我々の世代には手を出せない音楽だなぁ”と思いましたね。つまりラフなロックさがなくて、すごくかっちり、しっかり、頭良く作ってるなという印象です。

伊藤さんのギター・プレイに関しては?

大山 知識もあるし、テクニックも十分だし、現代的だし。素敵ですよね。

伊藤 僕はテナーから影響を受けまくってるんですけど、そう思うところはありますか?

大山 よくわからないね(笑)。機材くらいかな?

伊藤 機材はそうですね。ホリエさんとOJさんが使っている機材をずっと追ってきたので、似てるかもしれないです。

大山 やっている曲調が我々と違って、雅景君は楽曲に向けてちゃんとフレーズを作ってるよね。もし雅景君がストレイテナーに入ったら、オレみたいなことをやるのかもしれない。今はNELKEの彼しか知らないけど。

伊藤 テナーは曲のキメなどで音が切れてないところがあるのがめっちゃ好きで、そういうのもやりたいんですよね。NELKEはボーカルのRIRIKOがデモを作って、そこにオレがリード・ギターをアレンジしていくんですけど、NELKEではそういうアイディアは採用しないことが多くて。なので全部が全部、自分の意思でできあがったギター・アレンジではないんですけど、ストレイテナーに寄せようという意思はありますね。

大山 我々の曲はキメがないから、その辺が適当になっていて、レコーディングをすると“4人とも違うなぁ”っていう時もある。

伊藤 そういう印象はありますね(笑)。

大山 波形で合わせてみようと調節しても、“合わねぇ!”となって、“もういっか!”みたいな時もありますよ(笑)。

ギターを変えたら音像が下がってきて、
柔らかくて角のない音にちょうどハマってくれた。
──大山純

大山純

伊藤さんはずっとストレイテナーのファンだったそうですが、どういったキッカケで聴き始めたのでしょうか?

伊藤 キッカケは、小5くらいの時に聴いてたラジオの『SCHOOL OF LOCK!』です。『アジカンLOCKS!』っていうASIAN KUNG-FU GENERATIONが先生だったコーナーのゲストでホリエさんや細美武士さんが出ていて、そこでストレイテナーの「BIRTHDAY」が流れたんですよ。それが最初に聴いた曲でした。その時はもちろんお金がなかったのでラジオで音楽を追ってましたね。そこから『Immortal』(2007年)がリリースされて、「TODAY」を聴いてもっとハマりました。OJさんが入るちょっと前から聴き始めたんです。

初めてストレイテナーのライブを観に行ったのはいつですか?

伊藤 高校2年生くらいの時ですね。“CREATURES PARADE TOUR”の初日のSHIBUYA-AXです。OJさんがストレイテナーに入ってから2枚目のアルバム(『CREATURES』/2010年)のリリース・ツアー。

大山 だね。

伊藤 そこで初めてストレイテナーを観て感動しました。ギターのテクニックもよくわかってない状態で観に行ったので、まず“ネットで観ていた人たちが知ってる曲を演奏している!”と感動したのを覚えてます。そこでライブにハマって、“CREATURES PARADE TOUR”には初日と終盤のJCBホール(現:Kanadevia Hall)の2回行きました。ライブに行き始めたキッカケはストレイテナーでしたね。

伊藤さんのように“学生時代からストレイテナーを聴いてました”という世代がシーンで頭角を現わすようになってきて、大山さんはそういう人から声をかけられることも多くなったんじゃないですか?

大山 そうですね。フェスとかで若い子から“コピバンやってました”と言われることは多いです。ただ、オレがストレイテナーに入る前の曲のほうがコピーしやすいみたいで、オレが入ってからの曲をやってたという人はあんまりいないかな。

伊藤 意外ですね。

大山 ちょっと複雑な気持ちになります(笑)。

昨年、ストレイテナーのホール・ワンマン・ライブ“Sad And Beautiful Symphony”が開催されましたが、伊藤さんは12月10日(水)のLINE CUBE SHIBUYA公演を観に行ったんですよね?

伊藤 立ち直れないくらい感動しました。

大山 そうですか(笑)。

伊藤 ホールの音響と楽曲がマッチしすぎていて……。昔の曲もかなりセトリに組み込まれていましたよね。OJさんが入ってからライブで観るのが初めての曲がけっこうあったので、“4人だとこんな風に進化するんだ”と感動しました。

大山さんは、ホール・ライブの感想はいかがでしたか?

大山 正直申し上げまして、収録カメラが入るとダメですね(笑)。ビビっちゃうんですよ。“ちゃんとやろう”っていうのが絶対に拭いきれなくて、1音でもミス・タッチが出ようものならタチが悪い。

伊藤 ハハハ(笑)。

大山 30歳後半くらいからは、“恥として残るかもしれないけど、死なないし、いいか!”とも思い始めて(笑)。今はそれがちょうどせめぎ合ってます。

そのホール・ライブでの大山さんのギター・サウンドがすごく良いレンジ感でした。柔らかい外音が客席に届いていましたが、音作りの秘訣は?

大山 ジャズマスターを使っていた頃は、“ちょっと邪魔なんじゃないかな?”っていうくらい、バンドの中でのオレの音像が高かったんですよ。今は曲も柔らかい音に変化してきたし、ジャズマスターでアレンジしているとしっくりこない部分がけっこうあったので、数年前にFreedom Custom Guitar Researchのカスタム・オーダー・ギターを作ったんです。2ハムバッカーのギターに変えることで音像が下がってきて、しかもオレの出したい柔らかくて角のない音にちょうどハマってくれたんですよね。ギターを変えたのがやっぱりキモかもしれないです。

Freedom Custom Guitar Researchのギターが導入されてからバンド全体のサウンドメイクが変わったと思いますが、大山さんもその効果を実感しているんですね。

大山 本当にそうですね。昔はもうギターだけ高い位置で“キラキラキラ”と鳴っていて、“みんなの音と混ざってくれない”ってずっと思ってました。

伊藤さんは客席から聴いていて、大山さんのサウンドはどう感じましたか?

伊藤 もちろんジャズマスター時代のギラギラな音も好きなんですけど、今のギターは歪ませたりブーストした時の迫力とコシが全然違うなって思います。特に「メタセコイアと月」のイントロのグワッと入ってくるアルペジオは、たぶん以前使っていたジャズマスターでは出ない音なんだろうなと思いました。

大山 そうだね。

伊藤 だから「メタセコイアと月」のイントロみたいに、音価が長いフレーズを入れたんだろうなって思いました。

大山 あの音数で十分気持ちいいからな。

伊藤 ギター・サウンドがファットになれば音数は減らしていける感覚がありますよね。

大山 うん。好みだけど、その存在感だけで十分かなって。楽だし(笑)。

久しぶりに演奏した楽曲もあったとのことですが、新しいギターに持ち替えたことで、過去の曲を現在のサウンドでリメイクする楽しさや難しさはありましたか?

大山 なるべく過去の音源に寄せようという気持ちはあるんですけど、アイディアが湧くと“新しくしてしまいたい欲”みたいなものが出ることがあって、その時は素直に新しくするかな。それでメンバーから何を言われるかどうかでドキドキする(笑)。でも、ほとんどの場合、“面白いね”と言ってくれるので、そういう点ではすごくやりやすく、楽しくやってますね。

伊藤さんは以前、“繊細なアルペジオをきれいなクランチで鳴らす人が好き“と話していて、NELKEでは「Incarnation」や「虹の色よ鮮やかであれ」など、ボーカルのバックでキレイなアルペジオを弾いている楽曲が多い印象です。プレイ面やサウンド面で伊藤さんが大山さんから影響を受けているところは?

伊藤 影響は受けてますね。それこそ、開放弦を混ぜてアルペジオを弾く手法はストレイテナーのギター・アプローチで学びました。単音とかリード・フレーズは自分の一存ではなかなか決められないところもあるんですけど、歌の裏で弾くアルペジオなどでは一番趣味を出していると思います。

NELKEが持っているものを全部出して、
楽しんでもらえればいいな。
──伊藤雅景

伊藤雅景

NELKEは同世代のバンドとの対バンが多い印象ですが、ストレイテナーというベテランとの対バンとなると、普段とは違うステージになるのでは?

伊藤 同世代と対バンすることが多いんですけど、自分たちのライブや楽曲は同世代とはちょっと雰囲気が違うのかなと思っています。NELKEのメンバーが平成のロック・バンドをめちゃくちゃ好きだったからか、けっこう“平成っぽい”って言われることも多いんです。なので、いつもどおりライブをしても、自分とRIRIKOが出すギターの音はストレイテナーのファンの方々にも刺さってくれるんじゃないかなと思いますね。2マンって、もう立ち向かうしかないというか。NELKEが持っているものを全部出して、お客さんに楽しんでもらえればいいなと思います。

今年、ストレイテナーは同世代のART-SCHOOLのトリビュート・ライブや、下の世代のthe cabsやKOTORI、そしてNELKEとの対バンなどをアナウンスしています。様々な世代との対バンに対して、どういう思いがありますか?

大山 本当はビビってますよ。先輩にもビビるし、後輩にもビビる。なんとか成功させたいし、先輩だから胸を貸すとかそういうのまったくないです。なんとか良いと思ってもらいたい(笑)。対バンだと我々のファン以外の方もいっぱい来ますから、若い世代と対バンできることは僕らにとってもご褒美みたいなものなので、ぜひ新しいファンを増やせるチャンスにしたいです。

伊藤さんはこの機会に大山さんに聞きたいことはありますか?

伊藤 普段、居酒屋とかで聞いちゃっていて、いつも“インタビューみたいですみません”となっているんです(笑)。……聞きたいことではないんですけど、いつかOJさんのセットで弾かせてほしいなと思ってますね。

大山 おお。

伊藤 音を鳴らしてみたいです。

大山 でも以前ストレイテナーのスタジオに雅景君が来た時、ギターを渡そうとしたら、“いやいや!”って言ってたじゃん(笑)。

伊藤 無理ですよ(笑)。

大山 弾けばいいのに。面白いね。

伊藤 実はサウンドメイクでずっと悩み続けていて。観客席で自分の音を聴いたり、録音した自分の音源を聴いたりっていうのをくり返しているんですよね。なので、OJさんの背中ではどういう音が鳴ってるのかを勉強させてほしいというか……。今度そういう機会を作らせてください(笑)。

大山 ライブの3時間前くらいに来て、オレのうしろに立って聴いててよ(笑)。

伊藤 弾くのは心持ち的に無理な気がするので、OJさんのうしろで音を聴きたいですね(笑)。音作りとかプレイ面を、もっと近いところからこれからも勉強させてほしいです。あとは最近、演奏する会場が大きくなってきたので、マイクもどういう組み合わせがいいのかとかも知りたいなと。

大山 それはエンジニアさんに聞いてもらったほうがいいよ。オレは任せちゃってるから。

大山さんがストレイテナーに加入して大きい会場でライブするとなった時、外音の調整はどうしていましたか?

大山 もう任せました。外音って自分では一生聴けないし、ギタリストの手に負える次元じゃないんですよ。NELKEはPAさん付いてる?

伊藤 はい。PAさんいます。

大山 であれば、PAさんとよくお話をすることですね。

伊藤 たしかに、録音を聴いて話し合うしかないですもんね。

大山 “こういう音にならないかな?”みたいなことが言いやすい関係性を作るといいです。ストレイテナーの場合は、メンバーの中でオレだけ喫煙者で、スタッフもほぼ喫煙者なのね。

伊藤 なるほど(笑)。

大山 そうすると、オレとスタッフさんは喫煙所でめっちゃ会話できるの。

伊藤 僕も同じですね。僕が喫煙者で、スタッフも喫煙者だらけみたいな。

大山 そこで、“こういうのどうですかね?”ってお互い相談したりはしてるかな。

伊藤 なるほど。ストレイテナーは2本のギターの住み分けとかもだんだん変わってきたと思うんですけど、OJさんの使用ギターが以前のジャズマスターからFreedom Custom Guitar Researchのカスタム・オーダー・ギターに変わった時、基本のサウンドはホリエさんと話し合いながら作っていったんですか?

大山 オレが頑なに1本だから、逆にあっくんのほうが避けてくれてるかもしれない。

伊藤 それは機材のツマミの調節で避けるってことですか?

大山 いや、その器用さは持ち合わせてない(笑)。“この曲はストラトかSGか、もしくはテレキャスか?”みたいなギターの持ち替えでコントロールしてるかな。

伊藤 そうですよね。ホリエさんのギターかなり増えましたもんね。

大山 良いよねぇ(笑)。

新しい音楽は楽しいし、
いろいろ見せてほしいです。
──大山純

大山純

今回の『TIME TO FUZZ Vol.2』のような2マン・ライブに限らず、これまで音楽シーンを引っ張ってきた大山さんがNELKEや伊藤さんに抱く思いや、期待していることなどがあれば教えてください。

大山 まず、オレは音楽シーンを引っ張ってないですね。

伊藤 引っ張ってます(笑)。

大山 雅景君のことはちょっと引っ張れたかもしれないね(笑)。期待することは、まずは今のオレの年までバンドを続けてほしい。

伊藤 そうですね。やりたいです。

続ける秘訣みたいなものはありますか?

大山 ミュージック・ラバーであること。別にギターじゃなくてもいいんですよね。オレ、この前ムード・パンを買っちゃったんですよ。

伊藤 えー!

大山 いろんな楽器を持ってるの(笑)。音楽が好きだなって思うし、好きなら続く。あとは、こういう若い人たちがいるからじゃないですかね。新しい音楽は楽しいし、いろいろ見せてほしいです。

伊藤 嬉しいですね。若い世代って思ってくれてるのも嬉しいですし(笑)。

大山 もう若くないポジション?

伊藤 年下ばっかりになってきました。

大山 本当? 怖ぇ!

では最後に、『TIME TO FUZZ Vol.2』の意気込みを教えてください。

伊藤 イベントのフライヤーに書いてあるコンセプトみたいに、“ベテランとニュー・カマー”の対バン・イベントで、なおかつギタマガが主催するフェスなので、OJさんのギターのかっこよさと、自分とRIRIKOのギターのかっこよさが、どっちもお客さんに伝わるようなイベントにできたらいいなって思います。

大山 オレは、まずは当日まではなんとか生きる。優秀なスタッフのおかげでオレがその場にいれば音は出せるので、その日まで生きて現場に行って、初めて観る雅景君のギターを堪能できればいいですね。

Guitar magazine Presents
TIME TO FUZZ Vol.2

  • 【出演】
    ストレイテナー / NELKE
  • 【日時】
    2026年3月26日(木)
    Open 18:30 / Start 19:30
  • 【会場】
    新宿LOFT
  • 【チケット】
    前売 ¥6,000円 / 当日 ¥6,500円(+1drink)
    2025年12月20日(土)10時からe+にて一般発売中

    e+:https://eplus.jp/sf/detail/4440110001-P0030001