NELKEのワンマン・ライブ『Fullfocus』@恵比寿LIQUIDROOM公演で伊藤雅景が使用したストラトキャスター NELKEのワンマン・ライブ『Fullfocus』@恵比寿LIQUIDROOM公演で伊藤雅景が使用したストラトキャスター

NELKEのワンマン・ライブ『Fullfocus』@恵比寿LIQUIDROOM公演で伊藤雅景が使用したストラトキャスター

5ピース・ロック・バンド、NELKE(ネルケ)のワンマン・ライブが2025年3月12日に恵比寿LIQUIDROOMにて開催された。本公演でギタリストの伊藤雅景が使用したストラトキャスターを紹介しよう。

取材:文=小林弘昂 機材解説=編集部 機材写真=星野俊 ライブ写真=橘麻子

Masakage’s Guitars

1989 Fender
Eric Clapton Stratocaster

1989 Fender / Eric Clapton Stratocaster(前面)
1989 Fender / Eric Clapton Stratocaster(背面)

魔改造を施したクラプトン・シグネチャー・ストラト

伊藤のメイン・ギターは、1989年製のエリック・クラプトン・ストラトキャスター。恵比寿LIQUIDROOM公演では全曲で本器が使用された。

改造点は多く、ピックアップは中野区の工房“F-sugar”にてLindy FralinのReal54 Setに交換。内部配線は、長野県の工房“なとり音造”によってビンテージの配線やコンデンサにカスタムされている。また、サドルはKTSのチタン・サドル、PR-11。ネック・プレートはFreedom Custom Guitar ResearchのTone Shift Plateに交換。

本器のサウンドは“攻撃力、パンチ、ギラつきに全振りした音色”になっているとのこと。

チューニングは半音下げで、スプリングはRaw Vintageの5本がけ。フローティングは1mm程度の高さにセットアップされている。使用弦はフェンダーのSuper 250’s Nickel Plated Regular(.010〜.046)。


1987 Fender
Stratocaster

1987 Fender / Stratocaster(前面)
1987 Fender / Stratocaster(背面)

“本八幡THE 3rd STAGE”に保管されていた日本製ストラト

知り合いを通じ、今回のワンマン・ライブ前にサブ・ギターとして借りた日本製のフェンダー・ストラトキャスター。本器は2020年に閉店した千葉県のライブハウス“本八幡THE 3rd STAGE”の受付に置かれていたものだという。

伊藤曰く“メインのクラプトン・モデルと比べて、ロー・ミッドが落ち着いたコシのある音色”とのこと。今回のワンマン・ライブでは出番がなかったが、NELKEの新作『Paragraph』収録の「Believe in Breeze」は本器でレコーディングされた。

弦やセットアップ、チューニングはクラプトン・モデルと同じ。

Interview

ずっと“3プライ最高!”だったんですけど、
ようやく1プライの良さがわかってきました(笑)。

伊藤雅景
伊藤雅景

メイン・ギターの詳細を教えて下さい。

エリック・クラプトン・モデルのブラッキーですね。80年代の個体です。

なぜメイン・ギターにストラトキャスターを選んだんですか?

ストラトは音を前に出したい時、一番自分の気持ちについてきてくれるんですよね。ジャズマスターやSGを使っていた時期もあるんですが、ストラトが一番自分の感覚についてきてくれる感触があったんです。

ピックアップを始め、かなり手が加えられていますよね?

ピックアップはもともとLace Sensorだったんですけど、今はLindy Fralinが3つ載っています。改造は“なとり音造”という工房にお願いしていて、中のコンデンサ、配線材とかは全部60〜70年代のものに交換されているみたいですね。それとサドルがKTSのチタン・サドルに換わっています。前まではサドルが錆び錆びで、よく弦が切れていたので交換しました。あとは、ネック・プレートをFreedom Custom Guitar ResearchのTone Shift Plateにしています。ちなみに、1、2弦をストリング・ガイドに通してないところも変わってる部分かもしれません。

なぜガイドを使わないんですか?

よくアームで揺らしたり、ピッチを下げたりするんですけど、1、2弦だけ戻りが悪いんですよ。というのも、この個体のナットの溝が少し狭くて、1、2弦だけピッチが戻りきらずにシャープしちゃうんですね。一応、弦をストリング・ガイドに通さなくなってからは解決しました。

その代わりにテンションがゆるくなりますよね?

そうなんですよ。たまに弦がナットからはずれます。ぶっちゃけジェフ・ベック・モデルみたいにローラー・ナットとロック・ペグにしたいんですけど、そしたら本当にジェフ・ベック・モデルになっちゃうので(笑)。

クラプトンをジェフ・ベックにするという前代未聞の改造(笑)。

だから今はジェフ・ベック・モデルが欲しいですね(笑)。

コントロール類も改造していますか?

トーンの配線が変わっていて、リア・ピックアップにも効くようにしています。

ボリューム・ノブはMAXの時もありますし、バラード曲やギターが主役じゃない楽曲では下げることが多いですね。

ピックアップは普段どのポジションを?

全部使っています。ライブ会場のハイの抜け具合やフレーズによって選んでますね。フロントとセンターのハーフ・トーンはカッティングで使います。例えば「生徒A」や「愛してたフリ、愛されてたフリ」という曲ですね。

リア・ピックアップは?

「Vivification」、「バイバイアクター」のリフとか、「努力教信者」のソロとか、“ガンッ!”といきたい時はリアです。

では、フロントもしくはセンターで基本の音作りをしているんですね。

そうです。実はリアを使う時だけDemeterのFuzzlatorというファズを踏むんですよ。リア用にFuzzlatorのToneノブをセッティングしているので、高音が“カンッ”といきすぎず、ファットになるんです。なのでメインの歪みの時にリアは使わないですね。

メイン・ギターの気に入っているところは?

今まで1プライ・ピックガードにメイプル指板という、50年代スタイルのギターを持ったことがなかったんですけど、年齢を重ねてきて1プライがいけるようになってきたというか。ずっと“3プライ最高!”だったんですけど、ようやく1プライの良さがわかってきました(笑)。

赤いストラトの詳細も教えて下さい。

これは借り物で、サブ器として使わせてもらっています。自分が10代の頃からずっと出演していた本八幡THE 3rd STAGEというライブハウスがあったんですけど、その受付にずっと置かれていたストラトなんですよ。本八幡THE 3rd STAGEが閉店したあとに後輩が譲り受けて、今は自分がその後輩から借りています。なので本当の所有者がわからないんですよね(笑)。

いつから借りているんですか?

今年に入ってからですね。もともと日本製の青いストラトを使っていたんですけど、調子が悪くなっちゃって。そのタイミングでメインとサブをどっちも入れ替えました。

音の印象はどうですか?

メインのクラプトン・モデルはメイプル指板なので、ローズウッド指板のサブに持ち替えた時にめちゃくちゃコシがあるなと感じますね。ロー・ミッドが落ち着いているというか。メイン・ギターは配線を換えていますし、Lindy Fralinもけっこうハイが強いピックアップでキャリンキャリンな音なので、より落ち着いて聴こえます。

弦はどのメーカーのものを使っていますか?

フェンダーの弦で、Super 250’s Nickel Plated Regularというものです。ゲージは.010〜.046ですね。ずっとElixirのコーティング弦を使っていたんですけど、この赤ストラトを借りた時にフェンダーのSuper 250’sが張ってあると言われて、それが良かったんです。“いつ張ったの?”と聞いたら“2〜3ヵ月前”って言われたんですけど、あんまり錆びてなかったんですよ。使っていても不思議とツルツルのままなんです。しかも値段も3セットで1,700円とかで(笑)。なので最近はこのフェンダー弦を使うことが多いですね。

スプリングは何本張っていますか?

どっちのストラトもRaw Vintageに交換していて、5本張っています。ブリッジはちょっとだけ浮いていますね。アーム・アップはあんまりしなくて、ダウンさえできればいいので5本です。

なるほど。

あとはクラプトン・モデルのネック・プレートをFreedom Custom Guitar ResearchのTone Shift Plateに交換しているんですけど、サステインが伸びるのを実感しました。サブのプレートはフェンダー純正のままです。

伊藤さんの好きなギタリストは?

名越由貴夫さん、西田修大さん、田中義人さんですね。パワー・プレイじゃなく、繊細なアルペジオをキレイなクランチで鳴らす人が好きかもしれないです。

伊藤雅景
伊藤雅景

LIVE INFORMATION

NELKE ONEMAN LIVE TOUR 2025-2026 “Diary”

  • 2025年10月05日(日) 仙台darwin ※SOLD OUT
  • 2025年10月10日(金) 金沢 AZ
  • 2025年10月22日(水) 福岡 BEAT STATION
  • 2025年10月24日(金) 広島 SIX ONE Live STAR
  • 2025年10月25日(土) 岡山 IMAGE ※SOLD OUT
  • 2025年11月03日(月) 北海道 cube garden
  • 2025年11月15日(土) 高松DIME
  • 2025年11月16日(日) 神戸 Harbor Studio
  • 2025年11月28日(金) 大阪 BIG CAT
  • 2025年11月30日(日) 名古屋 THE BOTTOM LINE ※SOLD OUT
  • 2026年01月14日(水) Zepp DiverCity(TOKYO)

NELKE オフィシャルHP
https://nelke.aremond.com/

作品データ

『Paragraph』
NELKE

2025年3月10日リリース

―Track List―

  1. 努力教信者 (NELKE ver.)
  2. 燻る
  3. 虹の色よ鮮やかであれ (NELKE ver.)
  4. Believe in Breeze
  5. 生徒A (NELKE ver.)
  6. 夏果て
  7. ロリポップサイダー (NELKE ver.)
  8. Vivification (NELKE ver.)

―Guitarists―

RIRIKO、伊藤雅景