エスキベルの石井悠翔と横山秦一が語る、『Overthere』に込められたオルタナティブな制作哲学 エスキベルの石井悠翔と横山秦一が語る、『Overthere』に込められたオルタナティブな制作哲学

エスキベルの石井悠翔と横山秦一が語る、『Overthere』に込められたオルタナティブな制作哲学

東京を拠点に活動するバンド、エスキベルが、今年4月15日(水)に新EP『Overthere』をリリースした。前作『Sines』(2025年)ではモジュラー・シンセを大々的に導入し新たな音像に迫った彼らだが、それを経たことで今作では改めてギターの魅力を再認識したという。ギタマガWEBでは、石井悠翔(vo,g)と横山秦一(g)にインタビューを実施。音楽的ルーツや楽曲制作への姿勢、そして本作に盛り込まれた実験的なアプローチについて、たっぷりと語ってもらった。

取材・文=森部真衣 人物撮影=星野俊 ライブ撮影=タカギタツヒト

石井悠翔(vo,g)
石井悠翔(vo,g)

メロディも歌詞も海外寄りにしたら、
このバンドでやる意味がなくなってしまう。
──石井悠翔

ギター・マガジン初登場となるので、まずは2人がギターを始めたキッカケから教えてください。

石井 昔から父親の影響でRCサクセションみたいな日本のロックが好きだったので、なんとなく“音楽が好きだな”とは思ってたんです。僕が小学6年生くらいの時に、どこのメーカーのものかさっぱりわからないんですけど、誕生日プレゼントで子供用のアコギを買ってもらったんですよ。でもアコギって弦が硬いので、小学6年生が弾くには難しくて、多くの人と同じでFコードが押さえられずに1回弾くのをやめちゃったんです。それで、“僕は聴くのが向いてるんだな”と思いましたね(笑)。

なので実質、高校からギターを始めたような感じです。当時はThe Birthdayが好きで、フジイ(ケンジ)さんがレス・ポール・カスタムを使ってたので、モデルは違うやつなんですけどレス・ポールを買いました。

横山 僕がギターを始めたのは、中2になるかならないかくらいの時ですね。姉がクラシック・ギターをやっていてアコギが家にあったので、それをジャカジャカと弾き始めて、中3になって初めてお年玉でエレキを買いました。Tokaiのレス・ポール・タイプですね。

横山さんは最初の1本目がTokaiだったんですね。

横山 ジミー・ペイジが好きでレス・ポールが欲しいなと思っていたんですけど、ギブソンは高くて買えなかったので、地元の楽器店でTokaiのものを買いました。当時はまだTokaiが安く買えたんですよ。そのギターは高校の時に転んでぶっ壊しちゃったので、もう今はないです(笑)。あれはけっこうショックだったな。

物心がついて最初に反応した音楽や、現在でも特にお気に入りのアーティストは?

横山 車や家ではエンヤとフィリップ・ベイリーがかかってましたね。エンヤの『A Day Without Rain』(2000年)がずっと流れていたので、一番古い記憶はエンヤです。変な家だったんですよ(笑)。今アンビエントが好きなのもそのせいだと思います。

石井 母親が地元のコミュニティのダンスか何かの集まりに行っていて、ORANGE RANGEの『musiQ』(2004年)をかけて毎週末踊っていたのが記憶の隅っこにあります(笑)。小さい頃は車でかかっている音楽がすべてだったので、RCサクセションや斉藤和義さん、The Birthday、BUMP OF CHICKEN、スピッツ、Mr.Children、ゆずみたいな、日本のメイン・ストリームの曲を聴いていて、今もバイブルではありますね。

そうだったんですか。

石井 日本の音楽史で“はっぴいえんど中心史観”というものがありますけど、個人的には忌野清志郎さん中心の文脈で音楽を探していました。なので、高校で横山に会うまでは日本の音楽しかわからなかったですね。

横山 けっこう日本の音楽が根底にあるよね。

最近のエスキベルの楽曲は、ノスタルジックなコード進行や日本の情景が浮かぶような歌詞が多くなってきたと思います。日本のフォーク・ロックからの影響は?

石井 聴いてはいますけど、最近は作曲方法が初期の頃から根本的に変わってきているのが大きいのかなと思います。最初の頃は僕が弾くサイド・ギターの簡単なコードが基音になっていたんですけど、最近は横山がコンポージングする曲が増えて、楽曲の練り方が変わっていった感じですね。

横山 初期の頃は、“みんなで音を出して曲ができたら楽しい”という気持ちでやっていたんですけど、“とにかく良い作品を作りたい”という気持ちにシフトしていった結果です。

石井 横山が作るフレーズには海外の曲調がたっぷり入っていると思っています。僕も海外の曲は聴くんですけど、メロディも歌詞も海外寄りにしたら、このバンドでやる意味がなくなってしまうと思うんですよね。だからあえて日本語っぽさを強くして、洋楽と分離させることを考えた結果かなと感じてます。

プレイ面で影響を受けたギタリストはいますか?

横山 ジョン・メイヤーですね。最近だとビッグ・シーフのバック・ミークの存在がデカいかもしれないです。

石井 僕は曲を必死に覚えて弾いている状態が長かったので、アウトプットできているかというと微妙ですけど、強いていうならチバユウスケさんは好きですね。あとは、向井秀徳さんのやっていることをやろうとしている部分は多かったです。

横山秦一(g)
横山秦一(g)

ギターを主体にして何かを作ったほうが
絶対に自分らしいものができる。
──横山秦一

今作『Overthere』のデモ音源は誰が作ったんですか?

横山 石井と集まって2人で作りました。

石井 横山が楽器のフレーズを8割方作って、それを共有してもらって僕が歌を乗せて、吉田(有志/b)と一緒にアレンジしていきましたね。

作曲をする時はギターを使うのでしょうか?

横山 基本はギターですね。フレーズが頭の中に浮かんできて、“これ良いな”と思ったらギターを弾いて録るので、ボイス・メモにギターの録音が大量に入ってるんですけど、それを組み合わせていく感じです。

今作のコンセプトや目指しているサウンドは、あらかじめ決めていましたか?

横山 “やっぱりギターでしょ!”っていう感じはありました。『Sines』(2025年)を制作していた時期はシンセにハマってたんですけど、やっぱりギターが好きなので、ギターを主体にして何かを作ったほうが絶対に自分らしいものができるなと思って、そこを大事にしましたね。

石井 『Sines』では、Aメロ→Bメロ→サビみたいな、“いわゆる曲として認識しやすい曲を作っていこう”っていう気持ちが個人的にはあったんですけど、今回はできるだけそういうことは考えずに“面白いもの作りたくね?”という感じでしたね(笑)。

横山 邪念がなくて良いと思う。

石井 もちろん毎回楽しくやってるんですけど、今回は特に純粋に楽しくできたと思います。

EP全編を通してダブリングされている部分が多かったり、パンニングが特殊だったりと、レコーディング時のこだわりがたくさん詰まっていますよね。

横山 ダブリングするとトランジェント(アタック音)が薄れてペタッとした音になるんですけど、それが大好きなので、ギターとボーカルどちらもダブリングしてます。デモ段階からパンとダブルは作ってますね。

レコーディングはどのように進めていったのでしょうか?

石井 ほかのみんなと変わらず、ベースとドラムを一緒に録って、そのあとサイド・ギターを僕か横山が弾いて、リード・ギターを横山が弾いて録りました。あとは『黄色の空と空想』(2022年)の時からドローンや飛び道具系を使ってるので、そういう変な音を最後に入れるためにレコーディングの日程を余分に取ってます(笑)。

横山 ドローンとかモジュラーみたいな、スタジオでやるにはちょっと時間が足りないような音は、家で作ったものをリアンプしてそのまま使う部分も多かったです。今回の「tucked────」はデモ段階だと何の楽器も入ってない部分も多くて、のちのちサンプルとして使いやすいように隙間を残して、柔軟に対応できるようにしてましたね。

石井 ミックス中に付け足した部分もけっこう多いんです。レコーディングが全部終わってから計算して、ミックスの時にエンジニアのKensei Ogataさんの家でボーカルを録らせてもらったり、“デモにあったこの音が良いよね”という部分を思い出したら、横山の作ったデモからそのまま取ってきたりもしてます。 

エンジニアのOgataさんによる提案や手法が反映されている部分も多いのでしょうか?

石井 やっぱりノウハウが桁違いにある方なので、けっこう多いですね。

横山 レコーディングもすごく寄り添ってやってくださるので、気持ちの汲み取りがめちゃくちゃ上手くて助かっている部分が多いです。

以前からOgataさんとの交流はあったのでしょうか?

石井 仲の良いバンドのSisters In The VelvetがレコーディングをOgataさんに頼んでいて、その関連で知り合って『Childhood(発達)』(2023年)の時からお願いしています。

横山 今はもうマブダチみたいな感じですね(笑)。

石井 年齢は離れてるんですけど、一緒にハードオフに遊びに行ったりとか、レコーディングだけのビジネス・パートナーっていう感じではなくて、お友達みたいになってます(笑)。

石井悠翔(vo,g)
石井悠翔(vo,g)

アコギが好きだということを思い出して
回帰していきました。
──石井悠翔

ここからは楽曲ごとに話を聞かせてください。「日照り」ではアコギとエレキの2本で繊細なフレーズを弾いていますね。どのように使い分けていますか?

横山 あんまり考えてなかったかもしれない(笑)。でも今回はアタックの音でグルーヴを作ることを意識していて、それが本当に欲しい時にはエレキを使いました。

石井 アコギはレコーディングが進むにつれてメインで使っていくようになったよね。最初は裏鳴らしだけの役割が多かったんですけど、アコギが好きだということを思い出して回帰していきました。

サビの左側で鳴っているコーラスがかかった音はどのように作ったのでしょうか? 音をサイドに配置しているのが面白いです。

横山 ライブの時は使ってないんですけど、レコーディングではたしかEventide ModFactorの中にあるコーラスとビブラートを使ったと思います。歪みはT-RexのMøllerを使いました。ローの場所を作りたかったので、ローを真ん中に置いて、ハイ・ミッドは横に置くっていう考え方で配置していますね。

サビのあとのピチカートはギターの音なんですよね。

横山 Ogataさんが持ってるAMEKのマイク・プリアンプに突っ込んで、ゲインを上げたガット・ギターの音です。

石井 レコーディングの時のヘッドホンの音漏れがめちゃくちゃ入っていて、このままでいいのかなと思ってたんですけど、逆に馴染んでますね(笑)。

このピチカートの音は、ライブではどのように再現するんですか?

石井 実は僕がジャズマスターで弾いています。あそこはあれしかやることがなくて(笑)。

「生き続ける」では左右でアコギが2本入っていますが、かけ合いのようなフレーズはどのように作っていったのでしょうか?

横山 あぁ……どうですか?

石井 いやいや、オレわからないよ。これ作ったのあなたでしょ(笑)。

横山 こうやって話すと気づくんですけど、本当に全部感覚で作ってるんですよね(笑)。エレクトニカ的な裏にアクセントがあるリズムをギター2本で作りたくて、左chの1本は3連符を刻んで、右chのもう1本はそれを補強するような感じで3連符の間に入るフレーズを入れています。

石井 デモの時点からそうでした。

横山 あれが作りたかったんだよ(笑)。

サビ前はドラムが3連符で刻んだあと、拍手の音と一緒にテンポ感が散っていくアレンジになっていますよね。

横山 サビで一気に緊張感が出るんですよ。なので、それまでは雰囲気を緩和させるという意味で途中からリズムを崩しています。それはデモの時から作ってましたね。

石井 それをどうやってレコーディングするかを現場で考えて、拍手とかスティックを使いました。

横山 スティックで床を叩いてる音が入っていますね。

石井 横山と、サポートをしてくれている雪国の木幡徹己君(d)が各々床を叩いて、僕と吉田は拍手して録りました。

アコギの間奏は特に、ブルースやカントリーのような要素をとても感じました。

横山 そこはジョン・メイヤーからスティーヴィー・レイ・ヴォーンに入った時に覚えた節というか、手癖に近い動きだと思います。

楽曲の最後、ボーカルにディレイの発振音が入っていますが、こういったアレンジにした理由は?

横山 最後を空白にしていて、何らかの方法で広げたかったんですけど、普通のやり方は嫌だったので、“ディレイの発振じゃね?”となりましたね(笑)。

石井 できるだけ今まで使ってないディレイを使いたくて、BOSSのDM-2をOgataさんからお借りして録りました。

横山 Ogataさんは僕らの歴史を知ってるから、“今まで使ってないんじゃないか?”と提案してくれましたね。

録音する部屋の中にトイレがあって、
そのドアを開けるとすごく響くんですよ。
──横山秦一

「tucked────」のサビ前後の雅楽みたいな音はどうやって出しているのでしょうか?

横山 変なバイオリンみたいな音はE-Bowを使ってます。

最初からそういう音を出そうと思って?

横山 そうです。でも家でやるには難しくて、デモの時は全然違ったんですよ。椅子にギターを載せて、スライド・バーを使ってE-Bowで音を出していて、6〜8回くらい重ねてますね。

石井 レコーディングでもここが転換点となって、一気に曲の厚みが増しました。

横山 ありえないんですけど、レコーディングで使った“スタジオ・クルーソー”は録音する部屋の中にトイレがあって、そのドアを開けるとすごく響くんですよ(笑)。エコー・チェンバーみたいになっていたので、そこにマイクを立ててアンプから出た音を録りましたね。

石井 本当にあそこじゃないとできないよね。

横山 天然の超良いルームの音が出ていました。

ちなみに、雅楽は好きなんですか?

横山 それは……特にないです。ごめんなさい(笑)。

石井 たまたま雅楽みたいになっただけだね(笑)。

横山 でも、ああいう浮遊感のある音は好きですね。グライド感のある、ベンドっぽい音がけっこう好きです。

エスキベルではシンセも効果的に取り入れていると思いますが、こうした変わった音をあえてギターで出そうと思ったのはなぜでしょう?

石井 シンセはなんでもできちゃうんですよ。言い方はすごく悪いですけどズルみたいな感じなので、いかにギターで音を出すかっていう部分で、横山の独自の音になっているのかなと僕は勝手に思ってます。

横山 それはどうも(笑)。

ギターならではの制約がある中で音を作るのが楽しいということですよね。

横山 それはありますね。1回シンセに寄り道した時、ギター以外の楽器を深掘りしたことがなかったので、“やっぱりギターって面白いじゃん!”と逆に気づきました。

石井 横山は1年くらいモジュラー・シンセをすごくいじっていたので、それが大きい気がしますね。モジュラー・シンセのほうが柔軟性が高いので、変な音の作り方をインプットしてギターに戻ってきたんじゃないかなと思います。

横山 本当にモジュラー・シンセから学ぶことは多かったですね。“エフェクターってほぼモジュラーなんだな”と思っています(笑)。

「tucked────」のコンソールっぽい歪みはJHS PedalsのColour Box V1ですか?

横山 そうです。素晴らしい、最高のエフェクターだと思います。

石井 レコーディングでも重宝しましたね。

横山 ギターではないんですけど、スネアのエアーのマイクにずっとかけっぱなしにしていました。

先日のワンマン・ライブを観させていただきましたが、「tucked────」のライブのアレンジも良かったです。

横山 ライブだと高校の時のマインドというか、“みんなで音を出してアンサンブルしたら楽しい”という気持ちが入っていて、4人で演奏して曲として成立させるという大きな軸に向けてアレンジしています。

石井 わりと直感的にやってるよね。音源の雅楽みたいな音はライブで出しようがないので、その部分はベースとなるコード進行だけ横山が作って、あとは4人がそれぞれ好きに弾いてます。

横山 音源の印象は受け継ぎつつという感じですね。

石井悠翔(vo,g)
石井悠翔(vo,g)

その環境の中で楽しいことをするっていうのを
自然と大事にしてるのかもね。
──石井悠翔

「むかう」ではアンプの前にシンバルを置いて共振させることで、サステインを伸ばしていたそうですね。あえてこういったアナログな方法を取り入れている理由は?

横山 シンプルに面白いからですかね(笑)。

石井 “それでしかできない”っていうことを大事にしているかもしれないです。エフェクターは買ってしまえば音が出せますけど、我々がスタジオ・クルーソーというスタジオに行って、その環境の中で楽しいことをするっていうのを自然と大事にしてるのかもね。

横山 文化の縮図みたいになっていて、めちゃくちゃ良いなと思います。

2番からのボリューム奏法のような音はどうやって作りましたか?

横山 そこはアコギをモジュラーのサンプラーに入れて、タイミングよく鳴らして作りました。

生演奏らしい音の中に、モジュラーやグリッチのようなデジタルっぽい音を差し込みますよね。それはどういう効果を狙ってますか?

横山 突然ポップで変な音が鳴ることで、“ん?”と思わせる部分を大事にしたいとは思ってます。

石井 煌びやかな部分はデジタルなところが担ってますね。

「彼方の人」のギター・フレーズにはブルース的なアプローチを感じました。

横山 ここはブルースの下地な気がしますね。

石井 この曲だけ僕が弾き語りで作って横山にDAW化してもらったんですけど、その時にはもうアウトロのフレーズが付いていて、それを聴いた時は一番感動しましたね。

昔は2人ともBUMP OF CHICKENが好きだったんですよ。当時の藤原基央さんのプレイはカントリー色がめちゃくちゃ強かったので、そこで共鳴というか、勝手に理解できる部分もあるのかなと思っています。

EPラストの曲でフェードアウトさせた理由を教えてください。

石井 もともとはすごく長く録ってたんですけど、ここはちゃんと議論しました。フル尺で残したままミックスして、グリッチやドローンのリアンプを行なったうえで、全部使ってもいい状態まで作ったんですよ。

横山 管楽器も入っていただいたんですけど、思ったより全員の演奏が良くて。

石井 いざ配信に出すとなった時に、“短いほうが良くないか?”という話になったんです。僕は最初、“こんなに上手くいったんだから全部出してしまおう”と思ってたんですけど、話し合った結果、長い尺はいつか使うという約束で、配信には短くフェードアウトしたほうを出すことに落ち着きました。この間カセットも出したんですけど、そっちにはフル尺で入ってます。

横山 僕的には、フェードアウトのほうが冗長な感じがせず終わるのがすごく良くて。長いほうも良いんですけど、“オレらのことを良いと思ってくれていないと、これを良いとは思ってくれないよな”と思ったんです(笑)。カセットは良いと思った人が買ってくれると思うので、そっちに入れました。

石井 短くする理由の1個として、ちょっと足りないくらいのほうが良いと思ったんですよね。例えば人と遊ぶ時も、“ちょっと遊び足りない”くらいで帰ったほうが、また遊びたいなと思うじゃないですか。

たしかに。終電で帰ったほうがいいですもんね。

石井 そうです(笑)。朝までやろうよっていうのも楽しいんですけど、結局4時くらいになると“まだ電車来ないのか”って後悔するじゃないですか。そういう足りないというニュアンスも大事かなと思って短くしましたね。なので単に譲り合いではなく、話し合いの結果です(笑)。

横山秦一(g)
横山秦一(g)

自分たちが面白いと思わないとダメというか。
そうじゃないと音楽をできないなと思いますね。
──横山秦一

ドローンやグリッチ、発振音など、同じ音を出そうと思っても出せないトリッキーなエフェクトを使っていたり、ユニークなアレンジを多く取り入れて楽曲を制作を行なっているのはなぜでしょうか?

横山 自分たちがちゃんと面白いと思わないとダメというか。そうじゃないと音楽をできないなと思いますね。

石井 メイン・ストリームじゃなくても、“音楽が大事だから音楽をやっている”という人がとにかく好きなんです。今回のEPを制作していた時期は、AIが発達してきて誰でも音楽を作れちゃう雰囲気がだんだん濃くなってきたんですよ。その雰囲気の中で、“自分たちだけのものを作らないと意味がない”と4人が共通して思っていたし、“アーティストは全員そういう意思を持ってなきゃダメじゃない?”という思想が僕にはあるんですね。なので、このEPはアーティスト全員に聴いてほしいなと思ってます。

2人が思う今回のEPの聴きどころを教えてください。

横山 シンプルに曲が良いと思っているので、何も考えずに聴いてほしいなと思ってます。

石井 日本の音楽を聴いてきた僕と、海外の音楽を中心に聴いてきた横山が、日本で音楽をやっているというバック・グラウンドとギターを軸に聴いていただけたらなと思います。どう受け取ってもらってもいいんですけど、ニュアンスは伝わるんじゃないかな。

最後に、今後はどういう活動を展開していきたいですか?

横山 変わらずに曲を作りたいのと、面白いライブをやりたいですね。今回のワンマン・ライブも1本のライブとして流れを構成して、全体のダイナミクスを作ったんですけど、そういう方面であんまり見たことがないことをやりたいです。

石井 10人くらいの大所帯で演奏してみたいですし、もしそれが実現したら今度は“いかに4人で演奏するか”というのにも挑戦したいですね。あとは、今回のEPはギターが軸だったのでギターで音を作りましたけど、モジュラーとかシンセ、あとはKAOSS PADをせっかく持っているのでライブでも使ってみたいなと思っています。

横山 場所もこだわりたいな。

石井 ライブハウスはすごく好きなんですけど、僕らの活動規模が伴えばホールでもやりたいんだよな。

横山 木造の部屋とかでもやりたいよね。音響が面白いところでやってみたいかな。あと映像を全然出していないので、アニメーションとか映画とかも出したいな

石井 ウルフ・アリスがやってたね。

横山 あとは海外だと何人かやってる人がいるんですけど、アルバム全曲分のMVがあって、それを合わせたら1個の作品ができるようになってるんですよ。クアデカとかもやっていて、めっちゃ良かったよね。

石井 お金と時間さえあれば本当にやりたいんですけど、今回は惜しくも間に合わず……。

横山 それが一番やりたいかもしれない!

左から、吉田有志(b)、石井悠翔(vo,g)、横山秦一(g)
左から、吉田有志(b)、石井悠翔(vo,g)、横山秦一(g)

作品データ

Overthere
エスキベル

Esqvl
2026年4月15日リリース

―Track List―

01. 日照り
02. 生き続ける
03. tucked────
04. むかう
05. 彼方の人

―Guitarists―

石井悠翔、横山秦一