ギター・マガジン2026年8月号の特集『にっぽんのペダル・ビルダーに会いにいく』では、国内の注目ブティック・エフェクター・ブランドのビルダー9名に登場してもらい、これまでの経歴や音楽の趣味、そしてペダル作りの哲学まで語ったインタビューを掲載。ギタマガWEBでは本誌に掲載した一部として、各ブランドのイチ押しペダルとビルダーのレコメンド・コメント、そしてギタリストASHによる試奏インプレッションをお届けする。今回は世界屈指のペダル・コレクター、細川雄一郎が主宰するCULT。
取材/文=鈴木伸明 撮影=星野俊 デザイン=三本昌樹
CULT/Ray

デザイン、回路、音色、どれも前例なし
ビンテージ・エフェクターの豊富な知識でも知られる細川雄一郎によるブランド、ペダル・ショップ“CULT”。ブランド初のオリジナル・モデルとして発表されたRayは、“〜系”のような既存のカテゴリーに属さない新しいドライブ・サウンドを目指して開発された。“音楽的な歪みを生み出す素子をリニアにドライブさせる”、“ドライブ・サウンドに大きく干渉しない補完的なトーン・コントローラー”をコンセプトに、前例のない素子の組み合わせによる個性的な回路を作り上げている。
モデル名Ray=光線が象徴するように、レスポンスやアタックの速さと太さ、粘りを同居させたサウンドが高く評価されている。オリジナル設計の超々ジュラルミン合金筐体や、段差をつけて落とし込まれたノブなど、ルックス面の卓越したセンスにも注目したい。
Builder’s Voice

細川雄一郎 トレブルとベースの操作感も良いし、どのポジションでも使えると思います。僕が好きなさまざまなエフェクターの良いとこ取りをしたような感じで、誰もやってこなかったことを回路でやっているんです。パーツも一般的に7円くらいのものを使う部分で、1個1,500円のものを使ったり。だからほかでは出せない音なんですけど、それなのにいろんなギターやアンプに合う汎用性の高さがあります。個性的な音だけど、あらゆるシーンで使える1台です。
ASH’s Impression
ルーツ系にもモダンな音像にも対応する懐の深いトーンが強みだと思う

ASH バイパス音はソリッドで艶やかな音ですね。ツマミをすべてセンターにしてオンにすると実音よりも大きな音が出ます。以前弾いたことがあってカッコいい印象を持っていましたが、今弾いてもまったく変わらない。シャープなローが気持ちいいので、クリーンなコンボ・アンプと相性が良いと思いました。
普通は歪みが増すと音の輪郭がぼやけてしまうけど、ゲインをマックスにしても音の速度が変わらない。トレブルの帯域が特徴的で、上げても耳が痛くならないのは、非常に考えられていると思います。アンサンブルの中でしっかり前に出てくる音ですね。
どこにも属さない音色だと思うんですが、ギターのキャラクターをすごく引き出してくれる。ルーツ系のサウンドにも、新しい音楽にも対応できる懐の深いトーンがこのペダルの強みだと思います。個人的に大きな筐体は信頼感があるし、サウンドにも影響しているように感じます。誤作動の心配がないノブの設計も現場で役立つでしょうね。
Brand Information
設立年: 2018年
所在地: 神奈川県
問い合わせ: info@cult-pedals.com
公式HP: www.cult-pedals.com