園田努(maya ongaku)が、2ndアルバム『Nothing Space Music』のレコーディングで使用したギターを本人が解説! 園田努(maya ongaku)が、2ndアルバム『Nothing Space Music』のレコーディングで使用したギターを本人が解説!

園田努(maya ongaku)が、2ndアルバム『Nothing Space Music』のレコーディングで使用したギターを本人が解説!

2026年8月12日(水)に2ndアルバム『Nothing Space Music』をリリースしたmaya ongaku。本記事では、園田努(vo,g)がレコーディングで使用したギターを本人の解説とともにご紹介。

取材・文=森部真衣 機材撮影=星野俊

Sonoda’s Guitars

Fender
Stratocaster ST72

海外ツアーでも活躍する
日本製ストラトキャスター

園田が『Nothing Space Music』のレコーディングを始め、ライブでも使用しているメインのストラトキャスターは、1985年〜1987年に生産された“Aシリアル”を持つ日本製。購入時から改造は施されていない。

maya ongakuのヨーロッパ・ツアーを控えていた2023年春頃、神奈川県藤沢市に店舗を構える“楽器屋BOW”でたまたま本器を見つけ、試奏したところ気に入ったため購入したという。

園田はアルペジオや単音でのプレイが多いため、もともとはハムバッカーを搭載したSGやレス・ポールのようなモデルが欲しいと漠然と思っていたそうだ。現在は、どんなエフェクトにも違和感なく対応し、イコライジング次第では太い音も出すことができるストラトキャスターの万能さを気に入っているとのこと。

園田が“ライ・クーダーっぽくてかっこいい”と話すラージ・ヘッドには、2箇所のストリング・ガイドを搭載。ブレット・ナットのほか、3点留めのネック・プレートにはネックの仕込み角を調整できるマイクロ・ティルト用の穴が開いており、70年代製モデルの仕様が色濃く反映されている。

ボリューム・ノブは全開にし、トーン・ノブはだいたい“7.7”くらいまで下げているとのこと。使用するピックアップはフロントのみ。

Fender / ST72

Fender
Telecaster TL52

数々の改造が施された
JVシリアルのテレキャスター

1982年〜1984年に生産された“JVシリアル”の日本製テレキャスター。おもに『Approach to Anima』(2023年)や『Electronic Phantom』(2024年)のレコーディングで使用されたとのこと。園田が大学入学を機にバンドを始めた際、初めてのエレキ・ギターとしてヤフオクで購入した1本だ。

園田はキース・リチャーズに憧れて入手したものの、以前の持ち主がデヴィッド・スピノザのサウンドを再現するために数多くのカスタムを施していたため、いわゆるテレキャスターらしいサウンドとは異なるという。しかし、園田自身もデヴィッド・スピノザのギター・サウンドを好んでいたことから、モコモコとした質感がありながらも音抜けの良いサウンドを気に入っているそうだ。

プライベートでも交流があるというSuchmosのメンバーが本器を弾いたところ、“大当たりを引いたぞ”と絶賛したこともあり、自身では改造を施さず、購入時の状態で使用。

演奏時にピックアップ・セレクターに手が当たらないよう、コントロール・パネルが逆さまに入れ替えられている。ピックアップはどちらも70年代初期のSeymour Duncan製に交換されているそうだ。

ネック・プレートを始め、初期ブラックガード・スタイルを再現したマイナス・ネジを採用。また、ジャック・プレートはボディにビス留めすることで安定性を高めるレス・ポール・タイプに交換されている。

チューニングはストラトキャスター、テレキャスターともにレギュラーで、弦はD’AddarioのNYXL1046 NYXL Regular Light(.010〜.046)を使用。弦を張り替えた直後の金属的な音が好みでなく、高音域を削りたいため、1年以上交換しないことが多いという。

Fender / TL52

Gibson
LG-1

ブルージィなサウンドを生み出す
スモール・ボディ

2021年〜22年頃にeBayで購入したという、小ぶりなボディのアコースティック・ギター。園田の妻が“ギターを弾きたい”ということで、2人で共用する前提で購入したが、現在は園田しか使用していないそうだ。

ラダー・ブレイシング構造による1940〜50年代ブルースのような素朴なサウンドが特徴で、“良い意味でふくよかな音ではないので、ほかの楽器の邪魔をしないところを気に入っている”とのこと。

この日は撮影できなかったが、園田はギブソンのJ-50も所有しており、レコーディングではサウンドによってLG-1とJ-50を使い分けている。LG-1は「Hisoku Blue」、「Permanent Waves」、「Thinkingscape」、J-50は「Flowing」、「Astral Echoes」などで使用された。

弦はマーティンのM170 Extra Light(.010〜.047)を使用。チューニングは基本的にレギュラーだが、『Nothing Space Music』のレコーディングでは「Flowing」のみ2弦を半音上げている(C)。そうすることで、2弦(C)と3弦(G)の間の音程がちょうど5度になり、低い弦で作ったフレーズのキーを上げたい時に、同じフォームのまま高い弦を押さえることができるため、便利だという。

Gibson / LG-1

Pick

園田が所有する唯一のピック。厚さは1.0mmほどで、ライブ後にアメリカのギター少年から“オレのピックを使ってツアーをしてくれ”と手渡されたものだという。それ以来、大切に使い続けているそうだ。

Esraj

京都にある“民族楽器コイズミ”で購入したという、インドの民族楽器エスラジ。

エスラジとは、弓で弦を擦って演奏する弦楽器で、ラーガ(インド古典音楽における音楽理論)に合わせてチューニングを変える共鳴弦を備えている。また、鹿の皮が張られた共鳴胴によって、生音でありながらリバーブがかかったような響きを生み出せるのも特徴だ。

バイオリンとシタールの中間に位置するような特性を持ち、フレットがありながら、インド音楽特有の微分音を奏でることもできる。

おもに『Electronic Phantom』などのレコーディングで使用された。

Interview

トーン・ノブは7.7くらいにしてます。
ゾロ目が好きだから(笑)。

メインで使用している日本製のストラトキャスターを入手したのはいつ頃ですか?

maya ongakuが3人体制になって一番最初のライブではまだ使っていなかったので、2023年の春頃だと思います。藤沢にある“楽器屋BOW”の近くのレンタカー屋で働いてたんですけど、休憩時間にそのお店に行ったら、このストラトキャスターがドーンッと置いてあったんです。ちょうどアームが付いているギターが欲しいと思っていたので、“え、いいじゃん”と思って買いました。それまではずっとテレキャスターを使っていたんですけど、かなり調子が悪くて、ヨーロッパ・ツアーも決まっていたので、もうその場で即決しましたね。

もともとストラトキャスターが欲しいと思っていたわけではないんですか?

ストラトは音がチャカチャカしているイメージがあったんです。僕はアルペジオか単音弾きしかしないので、フロントにハムバッカーが載っているような太い音のギターが欲しいと思っていたんですよ。だからSGかレス・ポールが欲しいと漠然と思っていましたけど、ストラトもEQの設定でちょっと太い音が出せるので万能だと思います。

ストラトキャスターの気に入っているポイントはありますか?

どんなエフェクトをかけても違和感なく鳴ってくれて、チューニングも安定しているところです。海外にも持って行ってるんですけど、調子が悪くなったことがあまりないので、ライブ用のギターとしてめちゃくちゃ良いと思っています。

手元のコントロールはどんな感じで使っているんですか?

使っているピックアップはフロントだけです。ボリュームはさすがにMAXですけど、トーンは本当にちょっとだけ絞りたいので、目盛りはないですけどトーン・ノブは7.7くらいにしてます。ゾロ目が好きだから(笑)。ライブ前のおまじないですね。ストラトを買った時の値段も77,000円だったんですよ。

では、日本製のテレキャスターを入手したキッカケは?

大学に入る時に今のバンドを始めたんですけど、スタジオで弾くならエレキが欲しいということで、ヤフオクで僕が一番最初に買ったエレキ・ギターです。前のオーナーがピックアップをSeymour Duncanのものに替えていたりして、意味のわからないギターなんですよ(笑)。いわゆるテレキャスターの音ではなくて、モコモコした音がします。キース・リチャーズが好きで買ったはいいけど、“全然違うじゃん!”ってなりました。

自身で改造した箇所はありますか?

購入した当初のままですね。Suchmosのメンバーが弾いたら“大当たりを引いたぞ”と言っていて、“あ、やっぱり良いんだ”と思ったので自分では改造してないです。

テレキャスターの気に入っているところは?

デヴィッド・スピノザがギターを弾いているジョン・レノンのアルバムのギター・サウンドがめっちゃ好きなんですけど、このテレキャスターは前のオーナーがデヴィッド・スピノザの音を再現するために時間をかけてカスタムしたらしいんですよ。モコモコしているのに抜けてくる音なので、特別です。

ギブソンのアコースティック・ギター、LG-1はいつ頃から使用していますか?

2021年か22年ぐらいだったと思います。妻が“ギター弾きたい”と言っていて、良いアコギがないから欲しいという話になったんですよ。LG-1はボディが小さくて、小さな女の子にも良いと聞いたので、“僕も使うから”とeBayで買ったんです。結局、僕しか使ってないですけど(笑)。戦前や戦後のブルースマンみたいな、ちょっとパコパコした音が鳴ります。

LG-1の気に入っているところは?

アンサンブルと一緒になっても邪魔しないで、アコギらしくいてくれる感じがありますね。低域がそんなに出ないので、音抜けも良いです。

ピックは何を使っていますか?

ライブが終わったあとにアメリカのギター少年が、“君のギター最高だな、オレのピックを使ってツアーをしてくれ”とくれたピックです。普通は“ピックください”じゃないですか(笑)? “ピックあげます”は初めてだったので面白いと思って、それからずっとこのピックを使ってます。

この1枚をずっと使っているんですか?

これ以外使ってないですね。ほかにピックを持ってないので、これがなくなったら終わりです(笑)。自分で買うとポロポロ捨てて、ティッシュみたいに使っちゃうんですけど、これはもらったものなのでなくさないです。

作品データ

『Nothing Space Music』
maya ongaku

BAYON PRODUCION
ROMAN-036
2026年8月12日リリース

―Track List―

1. Vanishing Waves
2. Astral Echoes
3. Thinkingscape
4. Flowing
5. Hisoku Blue
6. In Nothing Space
7. You are Silence
8. Permanent Waves

―Guitarist―

園田努