今年で88歳を迎えた日本ジャズ・ギター界の重鎮、中牟礼貞則。彼への計30時間を超えるインタビューをまとめた書籍と、歴史的な未発表音源を収録したCDがセットになった商品『中牟礼貞則 孤高のジャズ・インプロヴァイザーの長き旅路』が、2021年6月25日(金)にリットーミュージックより発売される。
本書のインタビューで中牟礼は、鹿児島での子供時代から米軍キャンプでの演奏、1960年代の伝説の”銀巴里セッション”への参加や、渡辺貞夫らと巻き起こしたボサ・ノヴァ旋風について、そして2020年代にかけての活動まで、彼のキャリア全般を広く語っている。彼が歩んできた“長き旅路”を、この1冊で俯瞰できる内容だ。
インタビューの各パートには、渡辺貞夫や渡辺香津美など、中牟礼との親交が深いミュージシャンたちの証言や、編著者・久保木靖によるコラムが盛り込まれ、インタビューの本編に出てきた話題を補完する構成になっている。中牟礼の略歴、愛器、ディスコグラフィ、共演者・関係者からのコメントのページも充実の内容だ。
一方のCDは3部構成で全10曲入り。第1部の“Live at Club Fantasia 1956”(4曲)は銀座の高級クラブ・ファンタジアで1956年に録音された音源で、第2部の“Duo with Lee Konitz 1997”(4曲)はサックス奏者の故リー・コニッツとのデュオ演奏、そして第3部“Solo Guitar 2020”(2曲)は本書の読者のために中牟礼が特別に弾いたソロ・ギターとなっている。
この1枚のCDに収められた新旧音源の録音時期には、じつに64年もの隔たりがあるが、だからこそ昔と今の中牟礼のギターを時を超えて楽しむことができる。また日本におけるジャズ史の研究資料としても、これは第一級の価値を持つのではないだろうか。
本書の予約受付は、Amazonなどですでに開始されている。またリットーミュージックのホームページでは、付録CDの音源全10曲の出だしの45秒を試聴できるので、そちらもぜひチェックしてほしい。
『中牟礼貞則 孤高のジャズ・インプロヴァイザーの長き旅路』の内容
◎中牟礼貞則〜略歴〜
◎こだわり抜いた愛器たち
◎本編
[第1章]鹿児島でキャッチしたジャズの魅力
[第2章]キャバレーや米軍キャンプでの奮闘
[第3章]徳山陽との出会い、そして音楽的な飛躍
[第4章]高柳昌行との切磋琢磨と銀巴里セッション
[第5章]渡辺貞夫の帰国とボサ・ノヴァ旋風
[第6章]リーダー活動の充実/ハーモニーの深化(1970年代)
[第7章]スタジオ仕事やジャズ系セッションへの取り組み
[第8章]近年のリーダー活動(1990年代〜2020年代)
[第9章]インプロヴィゼーションの核心。さらにその先へ
◎共演者・関係者からのコメント
◎ディスコグラフィ
主要作品/客演作品
◎CD収録曲
- Feather Bed(Live at Club Fantasia 1956)
- Kary’s Trance(Live at Club Fantasia 1956)
- All Of Me(Live at Club Fantasia 1956)
- Froggy Day(Live at Club Fantasia 1956)
- Stella By Starlight(Duo with Lee Konitz 1997)
- These Foolish Things(Duo with Lee Konitz 1997)
- All The Things You Are(Duo with Lee Konitz 1997)
- Body And Soul(Duo with Lee Konitz 1997)
- Close Enough For Love(Solo Guitar 2020)
- Never Let Me Go(Solo Guitar 2020)
中牟礼貞則
孤高のジャズ・インプロヴァイザーの長き旅路
「日本のジャズ」を体現するギタリストの88年の歩み
ジャズ史に衝撃を与える歴史的な発掘音源CDが付属!
品種 | 書籍 |
著者 | 久保木 靖(編著) |
仕様 | A5判/224ページ/CD付き |
発売日 | 2021.06.25 |