マウンテンによるストイックな「ストマン」レスリー・ウェストを堪能する19分間 マウンテンによるストイックな「ストマン」レスリー・ウェストを堪能する19分間

マウンテンによるストイックな「ストマン」
レスリー・ウェストを堪能する19分間

“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今週はマウンテンによるカバーをピックアップ! 初期のライブ・レパートリーとしていくつかのテイクを残しているが、アトランタ・ポップ・フェスティバルでの19分超に及ぶ演奏は要注目!! レスリー・ウェストの熱いインプロヴィゼーションが“うんざりするほど”楽しめます(笑)

文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈

「ストマン」はあくまでひとつの素材!

思い起こせばかれこれ45年ほど前、私が東京に出てきて最初に入った、大学サークルの1年先輩のバンドは、ジャンルを超えて有名バンドの代表曲をカバーしており、その中にマウンテンの「ドント・ルック・アラウンド」もあった。で、私は右も左も分らぬままに覚えて、歌ったもの。う~ん、甘酸っぱくも、ほろ苦い思い出。

それはさておき、マウンテンといえば、クリームにも大きく関わったフェリックス・パパラルディが、歌/ギターのレスリー・ウェストをメインに据えて、クリームの夢をさらに発展させるべく作ったバンド。オリジナル中心のパワー・ロック・バンドだったが、やはりブルースは曲作りの土台にあり、「ストマン」は初期のライブ・レパートリーとなっていた。

ウッドストック始め、いくつか録音が残っているが、有名なのが70年にアトランタ・ポップ・フェスティバルで披露した19分にも及ぶバージョン。当時、ワイト島フェスティバルとまとめた3枚組LP『The First Great Rock Festivals Of The Seventies – Isle Of Wight / Atlanta Pop Festival』でも、14アーティストを集めたコンピレーションにも関わらず、同曲が19分フルで収められていたほどだ。現在はマウンテンの集大成2枚組コンピ『Over the Top』にも丸まる収録されている。

ジミ・ヘンドリックスの「ヴードゥー・チャイル」的なヘヴィ・ブルース・ロック・アプローチで、ピッキング・ハーモニクスやフィード・バックなどを織り交ぜたウェストのギターの独擅場。終盤はテンポも変えたインプロヴィゼーションが展開され、「ストマン」はあくまでひとつの素材。ある種、ロック・バンドによるブルース・カバーの典型的アプローチと言えそうだ。