ナイア・イズミの基本情報 期待の新星ネオソウル・ギタリスト ナイア・イズミの基本情報 期待の新星ネオソウル・ギタリスト

ナイア・イズミの基本情報 
期待の新星ネオソウル・ギタリスト

ロサンゼルスでの路上演奏が全米に評価されるまで

音楽専門学校へと進んだナイアは、目的の作曲に関して習得したのち、中退してしまう。その後、地元のコロンブスでサポート・ギタリストや音源制作をしながら、ミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせる。ちなみに、現在は出生時と同様に男性として活動するナイアだが、この頃は女性として7年間活動していた。当時作った「Soft Spoken」は、社会的なジェンダーや芸術への偏見に対するメッセージを歌った楽曲で、最新作にも収録されているほか、後述するTiny Desk Contestに応募した代表曲だ(以下がTiny Desk Contestに応募した動画)。

そして、拠点をロサンゼルスへと移し、ストリートでのパフォーマンスをするようになる。路上では、これまでのトラック・メイキングのノウハウを生かし、自身で作ったバック・トラックを流しながら演奏した。さらに、現在もソロ・パフォーマンスの際に披露する、ボイス・パーカッションとルーパーを用いた“1人バンド”スタイルの演奏も身につけていく。

その後、Tiny Desk Contestでグランプリを獲り、注目を集めるようになるわけだが、それまでの経緯についての説明は、本人の言葉を借りながら辿っていこう。

ナイア・イズミ ロサンゼルスに来たけど、あまりにもミュージシャンが多くて、恐ろしく社交的じゃないと仕事を得ることすらできなかった(笑)。僕はそういうのが苦手だったから路上で自分の音楽を披露することにして、その様子をInstagramに投稿していったんだ。すると、日に日に注目されて、EPも少しずつ出せるようになって、“どうしてギグをプレイする必要があるんだろう?”と思うようになった。出演しても一銭ももらえないフェスに出なくても、ストリートで多くの人に観てもらえて500ドルも貰える日もあったよ。路上なんて誰もやりたがらなかったけど、僕はそこからチャンスを得てNPRのTiny Desk Contestでグラプリを獲得するに至ったんだ。

Tiny Desk Contestは、YouTubeの人気動画シリーズ“Tiny Desk Concert”を制作する米NPR放送が、2014年末に立ち上げたもの。2015年の初代グランプリには、グラミー・アーティストにもなったファンタスティック・ネグリート(インタビュー記事はこちら)が選ばれた、注目のコンテストである。ナイアはこの2018年の受賞について、当時をこう振り返る。

ナイア・イズミ Tiny Desk Contestに投稿したあとも僕は路上でプレイして稼ぐのに忙しくて、コンテストを勝ち抜いた知らせを聞いた時は嘘かと思ったよ。あれ以来僕はやりたいことができるようになり、キャリアが大きく変わったね。

ナイアが語るとおり、その後は注目ギタリストとして演奏の場が増えていく。そして、2019年にはソニー・マスターワークスと契約すると、さっそく来日公演が実現する。さらに同年にはフェンダーがサポートするアーティストとして“Fender NEXT”に選出され、翌年のNAMMショウではAmerican Acoustasonic Stratocasterのデモンストレーションを披露した。

そしてようやく、これまでの代表曲を含む自己紹介にぴったりの1枚として、2021年7月30日に『A Residency in the Los Angeles Area』でデビューを果たした。今後さらなる飛躍を遂げるであろう、この超大型新人のギタリストとしての側面に、本特集でじっくりと迫っていこう。

作品データ

『A Residency in the Los Angeles Area』
Naia Izumi

輸入盤/2021年7月30日リリース

―Track List―

01. Honesty
02. Natural Disaster
03. Six Inch Stilettos
04. Voodoo
05. Water
06. What Happened To Love?
07. Good At Being Lonely
08. Sad Song
09. As It Comes
10. Be Still
11. Personal Heaven
12. Hand In Hand
13. Soft Spoken (Sound City Version)

―Guitarist―

ナイア・イズミ