ギタリストなら絶対に聴くべき60年代ブルースの名盤40(1/4) ギタリストなら絶対に聴くべき60年代ブルースの名盤40(1/4)

ギタリストなら絶対に聴くべき60年代ブルースの名盤40(1/4)

『ギタリストなら絶対に聴くべき名盤40』の10個目のテーマは60年代ブルース! もちろんギターが主役の名盤ばかり! その第1回目となる今回は、1960年から1962年にかけてリリースされたアルバムを紹介します。

文・選盤=小出斉

Muddy Waters
『At Newport』

●リリース:1960年
●ギタリスト:マディ・ウォーターズ、パット・ヘア

王者マディの勇姿

1960年7月、ニューポート・ジャズ祭でのライブ録音。すでにヨーロッパ遠征もし、カーネギー・ホールの舞台も経験していたマディ・ウォーターズだったが、本ライブでその姿をより広く知らしめた。パット・ヘア、ジェイムズ・コットン、オーティス・スパンら鉄壁バンドを従えた、シカゴ・ブルースの王者マディの堂々たる雄姿!

Otis Spann
『Otis Spann Is The Blues』

●リリース:1961年
●ギタリスト:ロバート・ジュニア・ロックウッド

ピアノにからむ、いぶし銀ギター

50年代半ばからマディ・ウォーターズ・バンドの中核となっていたピアニスト、スパンがニューポート・ジャズ祭への出演をきっかけに、ジャズ・レーベル、キャンディドに録音した初ソロ作。スパンの歌/ピアノに、ロバート・ジュニア・ロックウッドのいぶし銀ギターが絡むデュオ・スタイルで、ロックウッドの歌も素晴らしい。

Mance Lipscomb
『Texas Sharecropper And Songster』

●リリース:1960年
●ギタリスト:マンス・リプスコム

65歳にして初レコーディング

テキサスで小作農をしつつ、地元民の楽しみのために演奏していたマンス・リプスコム、65歳にしての初録音。乾いた味わいのブルース、バラッド、ダンス・ナンバーなど幅広いレパートリーを、ギター1本で自在にくり広げる。アメリカン・ルーツ・ミュージックの良心=アーフーリー・レーベルの第一弾としても偉大な1枚。

Robert Pete Williams
『Free Again』

●リリース:1960年
●ギタリスト:ロバート・ピート・ウィリアムス

出所後のアコースティック弾き語り

59年に、ルイジアナのアンゴラ刑務所で見出されたロバート・ピート・ウィリアムスが、出所後に録音した60年のアコースティック弾き語り作。通常のブルース形式にとらわれぬ、歌とギターのコール&レスポンスが延々と続く特異なスタイルで、なんとも荒涼とした味わい。本盤収録曲をキャプテン・ビーフハートもカバーした。

Freddy King
『Sings』

●リリース:1961年
●ギタリスト:フレディ・キング

フレディ初の歌モノ・アルバム

三大キングとして、B.B.、アルバートと並び称されたフレディ。2人より若く、本格的にデビュー、活躍したのは60年代になってから。「ハイダウェイ」などのインスト・ヒットでも知られるが、本作は歌ものを集めた初めてのアルバム。「ハヴ・ユー・エヴァー・ラヴド・ア・ウーマン」など、剛力スロー・ブルースで汗が滴り落ちる。

Jimmy Reed
『At Carnegie Hall』

●リリース:1961年
●ギタリスト:ジミー・リード、エディ・テイラー、レフティ・ベイツ

この名前でライブ盤じゃない!?

独特のウォーキング・ビートで、50年代後半以降数々のヒットを放ったジミー・リードが、60年にカーネギー・ホールのコンサートに出演したのにかこつけた2枚組。半分は50年代のベスト選だが、「ビッグ・ボス・マン」、「ブライト・ライツ・ビッグ・シティ」等の60年代初頭ヒットをフィーチャー。ライブではありません。

John Lee Hooker
『Burnin’』

●リリース:1962年
●ギタリスト:ジョン・リー・フッカー、ラリー・ヴィーダー

モータウン勢をバックに従えて

特大ヒット「ブギ・チレン」などのブギと、おどろおどろしいスロー・ブルースの弾き語りで世に出たジョン・リー、50年代後半からはバンド化を進めていく。本作は主に63年の録音で、ジェイムズ・ジェマースンらのモータウン勢をバックにし、ロック筋でも有名になる「ブーン・ブーン」など独自のダンス・ブルースを展開する。

Lightnin’ Hopkins
『Mojo Hand』

●リリース:1962年
●ギタリスト:ライトニン・ホプキンス

脳天を揺らす黒い稲妻

40~50年代に、カントリー・ブルース系のスターであったライトニンも、60年代にはフォーク・ブルース・ブームの波に乗るが、本作は本来の黒人向けレーベルに録音されたもの。リズム隊をバックにしたアコースティック・ブルースだが、タイトル曲はギターも稲光るブギの傑作。ディープなスロー・ブルースも超絶のどす黒さ。

Little Junior Parker
『Driving Wheel』

●リリース:1962年
●ギタリスト:ジョニー・ブラウン、ウェイン・ベネット

メロウなアーバン・ブルースの極み

ジュニア・パーカーはハーピストとしてサニー・ボーイ・ウィリアムスンの影響も受けつつ、メンフィスでB.B.キングやブランドとしのぎを削ったアーバン・ブルース巨人。61年にヒットしたタイトル曲を始め、60年代初頭の録音で、抜群にジェントルでメロウな歌を聴かせる。ジョニー・ブラウンらのツボを押さえたギターも密かに聴きもの。

Bobby Blue Bland
『Here’s The Man』

●リリース:1962年
●ギタリスト:ウェイン・ベネット

痺れる大人のブルース

50年代後半からB.B.キングと共にモダン・ブルース界の2大巨頭となったボビー・ブランドのセカンド・アルバム。1作目『Two Steps From The Blues』(これも超名盤)で聴ける50年代のハードなゴスペル唱法から、余裕ある歌声へ。ウェイン・ベネットの名演も忘れられぬ「ストーミー・マンデイ・ブルース」収録。痺れる大人のブルース。

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*本記事はギター・マガジン2021年10月号にも掲載しています。

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