“ストマン進行”の生みの親 ボビー・ブランド “ストマン進行”の生みの親 ボビー・ブランド

“ストマン進行”の生みの親 
ボビー・ブランド

“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えたーー“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今でこそブルース・セッションの場で常識として扱われているが、かなりジャジィな変化系12小節ブルースであるこの“ストマン進行”を作ったのが、今回紹介するボビー・ブランド。この名曲をスタンダードとして不動のものにした立役者と、それを支えた名手ウェイン・ベネットの演奏でチルしよう。

文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈


月曜朝をオシャレにキメる!

Tボーン・ウォーカーの「ストーミー・マンデイ・ブルース」。この名作を、さらなるスタンダードの座に押し上げたのは、ボビー・ブルー・ブランドだ。

50年代にBBキングらとしのぎを削り、メンフィスで音楽キャリアをスタートさせたブランド。57年にはエリック・クラプトンでも有名になる「ファーザー・アップ・ザ・ロード」が初ヒットに。60年代に入ると、新時代を感じさせるゴスペル的唱法を武器に、モダン・ブルース界を快進撃。

ブランドによる「ストーミー・マンデイ」は、62年にR&Bチャート5位になっている。

原曲と違う雰囲気を出すため、7~8小節目に“Ⅰ-Ⅱm-Ⅲm-Ⅱ♯m”と変化をつけ、これが俗称“ストマン進行”として定着。

ギターはブランドのレギュラー・ギタリスト、名手ウェイン・ベネット。9thのコードの動きや、ソロも含めTボーンのフィーリングを残したクールな名演で、ブランドの歌を際立たせた。

もともと、セッション時間の余りを利用して録音してみた、というから、瓢箪から駒的ヒットだった。

なお、ブランド版は最初、Tボーンよりも先に同名異曲を残していたビリー・エクスタインらが作曲者としてクレジットされ、Tボーンは印税トラブルに悩まされることにもなった。

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