ソウル界のマルチな才能 ウィリー・ハッチ ソウル界のマルチな才能 ウィリー・ハッチ

ソウル界のマルチな才能 
ウィリー・ハッチ

“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えたーー“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今日はソウル・シンガー/アレンジャー/プロデューサーとさまざまな顔を持つ才人=ウィリー・ハッチをご紹介しましょう。ギタリストとしてもなかなかの腕の持ち主だが、この「ストマン」のギターはアーサー・アダムスとジェミ・テイラー。なお、音源がサブスクリプション・サービスなどにないので、自力で盤を探す or YouTubeなどで検索してみてほしい。

文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈


『Concert In Blues』(1976/Motown)
Willie Hutch

ジャジィな雰囲気から一転、
ファズでエモーショナルに!?

ウィリー・ハッチは60年代末からLAをベースに活動した、ソウル・シンガー/ギタリスト(2005年没)。サム・クック系のシンガーとしても人気が高いが、70年代にはモータウンでソングライター/アレンジャー/プロデューサーとしても活躍し、クエンティン・タランティーノもファンだった『フォクシー・ブラウン』のサントラも、ハッチの仕事。

ジャズやファンクも消化した、洗練された感覚の持ち主だが、そのルーツにブルースがあったことも、このカバーで教えてくれた。

件のストマンは、76年の『Concert In Blues』収録(上画像)。ライヴ盤ではありません。またブルースばかりやっているわけではないけれど、モータウンらしいゴージャスなグルーヴのファンク・ブルース的な曲も何曲か。

参加ギタリストは、アーサー・アダムスとジェミ・テイラーという名手ふたり。

で、肝心の「ストーミー・マンデー」は、オーソドックスなスロー・ブルース。「ストマン進行」も取り入れ、抑えた歌い口や発声の仕方も、完全にボビー・ブランド流。同時に、サム・クックがこの曲を歌ったらどうなったか、などとあらぬ妄想も。

イントロで1コーラスたっぷりギターを弾いた後、3コーラス歌って、最後にギターで締め、なのだが、これが猛烈なファズ・サウンド。う~む、これはちょっと考え落ちだったかも。

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