絶頂期のピート・タウンゼントを感じる10の名演 絶頂期のピート・タウンゼントを感じる10の名演

絶頂期のピート・タウンゼントを感じる10の名演

ギター・マガジン2020年11月号では、今から遡ること半世紀前の“1970年”にフォーカスしたピート・タウンゼント特集を実施。ライブ・バンドとして夜な夜な奇跡的な名演をくり広げていた時期のザ・フーのギタリストに、多角的な視座で迫った。ここでは、本誌特集がより楽しめるよう、彼の魅力が詰まった1970年の熱演を厳選してお届けしよう。

文/選曲=編集部 Photo by Chris Morphet/Redferns/Getty Images


白いツナギに映える赤いSGスペシャル───これが1970年におけるピートのステージ・スタイル。そして、P-90由来の極上のクリーン・トーンからユニヴォックス製スーパーファズを用いた爆音ファズまでを操ることで、ロック・オペラ『Tommy』で描いた人物の精神世界を色彩豊かに表現した。ここにライブにおけるピートのギタリストとしての“凄み”があった。

以下3枚のライブ盤のおかげで、50年の時を経てもなお、我々はこの“凄み”を体感することができる。

その3枚とは、
『Live At Leeds』(1970年2月14日録音)
・ 『Live At Hull 1970』(1970年2月15日録音)
・ 『Live At Isle of Wight Festival 1970』(1970年8月29日録音)
である。

この中で唯一リアルタイムでリリースされたのは、英国・リーズ大学で収録された『Live At Leeds』で、当時は6曲のみの収録だった(レコードのB面にいたっては2曲しか収録されていないが、そのうちの1曲、「My Generation」は16分越えの大熱演!)。2001年にはデラックス・エディションがリリースされ“ライブ盤の金字塔”と謳われた本公演の全貌が明らかとなった。

そして、この公演の翌日に録音されたのが『Live At Hull 1970』だ。こちらは『Live At Leeds』よりもさらに攻めたピートのインプロが堪能できる1枚。“もし、本作が『Live At Leeds』と同時にリリースされていれば、どちらが「ライブ盤の金字塔」と呼ばれていたのだろう”と妄想をしてしまうほど、大名盤『Live At Leeds』と遜色ない内容となっている。

最後の『Live At Isle of Wight Festival 1970』は、第3回ワイト島フェスティバル出演時のライブ映像から音源のみを取り出した作品だ。“人間は聴覚よりも視覚からの情報を優先的に選択する”なんて話もあるが、映像を観ているとつい聴き逃してしまうピートのプレイの細部に迫ることができるのは実にありがたい。

本プレイリストではこの3作から10曲を厳選した。ぜひ、半世紀前のライブのように爆音で聴いてほしいところ。また、ピートの精神世界にまで肉薄した『1970年のピート・タウンゼント』特集を読みながら聴いてみると、楽曲の別の側面が見えてくるかもしれない。

『ギター・マガジン2020年11月号』
表紙:横山健

ギター・マガジン2020年11月号では、ザ・フーがひとつの絶頂期を迎えていた時期に焦点を当てた特集=『1970年のピート・タウンゼント』を展開。電子版も販売中のため、ぜひ本プレイリストと合わせてチェックしてほしい。